一般社団法人の設立を考えるとき、「実際にどんな事業ができるのか」が気になる方は多いはずです。
一般社団法人は事業内容に制限がなく、収益事業を含めて幅広い活動ができます。
この記事では、一般社団法人でできる具体的な事業例を分野別に紹介します。
一般社団法人でできる事業の範囲
一般社団法人は、法律上事業の種類に制限がありません。
株式会社と同じように、物品販売やサービス提供などの収益事業も行えます。
『非営利』とは『利益を分配しない』という意味であり、『利益を出してはいけない』わけではありません。
事業で得た利益は、団体の活動費や次の事業に充てることができます。
分野別の事業例
資格認定・検定ビジネス
民間資格の認定や検定試験の実施は、一般社団法人と非常に相性の良い事業です。
『○○検定協会』として検定を運営し、受験料や認定料を収益にするモデルが多く見られます。
業界団体・協会の運営
同業者が集まって業界団体を作り、会員から会費を集めて情報発信や研修を行うケースです。
中立的な立場が求められる団体に、一般社団法人の形態はぴったりです。
セミナー・研修・スクール
セミナーや講座、スクール事業も人気です。
教育・人材育成を目的とした非営利的な事業として、社会的信用を得やすくなります。
地域活動・文化・スポーツ
まちづくり、文化・芸術の振興、スポーツクラブの運営など、地域に根ざした活動も一般社団法人で行えます。
補助金・助成金の受け皿としても活用しやすい分野です。
こんな事業は注意が必要
事業内容は自由ですが、許認可が必要な事業は別途その許可を取る必要があります。
たとえば、人材紹介業なら職業紹介事業の許可、介護事業なら介護保険法上の指定など、業種ごとの規制は一般社団法人でも適用されます。
法人格が一般社団法人だからといって、許認可が免除されるわけではない点に注意しましょう。
利益を分配できない点だけは要理解
一般社団法人で唯一できないのが、利益を社員(構成員)に分配することです。
株式会社の配当のように、儲けを関係者で分け合うことはできません。
役員には報酬を払えますが、それは労働の対価であり、利益分配とは区別されます。
『利益を分けたい』なら株式会社、『活動のために利益を使う』なら一般社団法人、と考えるとよいでしょう。
一般社団法人で行える事業の幅広さ
一般社団法人は、事業内容に法律上の制限がありません。
そのため、株式会社と同じように、収益事業を含めてさまざまな活動ができます。
『非営利』という言葉から誤解されがちですが、利益を出すこと自体は自由です。
禁止されているのは、利益を社員(構成員)に分配することだけです。
事業で得た利益は、団体の活動費や次の事業への投資に使えます。
この自由度の高さが、一般社団法人の大きな魅力です。
会員制ビジネスから物販、コンサルティング、地域活動まで、目的に応じて自由に事業を設計できます。
ここでは、一般社団法人で実際に行われている事業例を、分野ごとに詳しく紹介します。
資格認定・検定ビジネスの例
一般社団法人と最も相性が良い事業のひとつが、資格認定・検定ビジネスです。
民間資格を認定したり、検定試験を実施したりする団体が、一般社団法人として運営されています。
『○○検定協会』『○○認定機構』といった名称の団体を見たことがある方も多いでしょう。
受験料や認定料、更新料などが主な収入源になります。
資格認定ビジネスに一般社団法人が向いているのは、中立性と信頼性が求められるからです。
特定の企業が運営するより、一般社団法人という非営利の形のほうが、資格の権威性を保ちやすくなります。
検定の受験者を増やせば、安定した収入につながります。
自分の専門分野で資格制度を作りたい人にとって、一般社団法人は有力な選択肢です。
業界団体・協会の運営例
業界団体や協会の運営も、一般社団法人の代表的な事業です。
同業者が集まって団体を作り、会員から会費を集めて、業界全体の発展に取り組みます。
具体的には、情報発信、研修・セミナーの開催、業界基準の策定、行政への提言などを行います。
中立的な立場が求められる業界団体に、一般社団法人の形態はぴったりです。
会員企業から集めた会費が主な収入源となり、非営利型なら会費は非課税になります。
業界団体は、会員同士のネットワークづくりや、業界の地位向上にも貢献します。
一定の規模の同業者がいる分野なら、業界団体の設立は十分に検討する価値があります。
業界の健全な発展を目的とした活動は、社会的にも意義があります。
セミナー・講座・スクール事業の例
セミナーや講座、スクール事業も、一般社団法人で多く行われています。
特定の分野の知識やスキルを教える教育事業を、非営利的に運営するケースです。
参加費や受講料が収入源になります。
教育・人材育成を目的とした事業は、社会的な信用を得やすいのが特徴です。
『一般社団法人』という看板があることで、参加者に安心感を与えられます。
単発のセミナーから、継続的な講座、本格的なスクールまで、規模はさまざまです。
自分の知識や経験を体系化して教えたい人にとって、一般社団法人は適した器になります。
教育を通じて社会に貢献しながら、事業として運営できるのが魅力です。
地域活動・まちづくりの例
地域活動やまちづくりの分野でも、一般社団法人が活躍しています。
地域のイベント運営、観光振興、商店街の活性化、地域コミュニティづくりなどです。
これらの活動は、行政や地元企業、住民と連携して進められることが多くあります。
一般社団法人という法人格があることで、団体名義で契約や助成金の申請ができ、活動の幅が広がります。
補助金・助成金の受け皿としても、一般社団法人は活用しやすい形態です。
地域に根ざした非営利活動には、一般社団法人がよく選ばれています。
任意団体として活動していたグループが、活動を本格化させるために法人化するケースも多いです。
地域のために何かしたいという思いを、形にする手段として有効です。
文化・芸術・スポーツ振興の例
文化・芸術・スポーツの振興も、一般社団法人の事業としてよく見られます。
音楽・美術・演劇などの文化活動、伝統文化の保存、スポーツクラブの運営などです。
これらの活動は、収益よりも普及や振興を目的とすることが多く、非営利の一般社団法人と相性が良いといえます。
会費、参加費、寄付、助成金などを組み合わせて運営します。
スポーツの分野では、競技団体やクラブチームが一般社団法人として運営されることもあります。
文化・芸術・スポーツの振興は、社会的にも価値の高い活動です。
こうした活動を継続的・安定的に行うために、一般社団法人という器が役立ちます。
情熱を持って取り組む分野を、法人として支える形です。
物販・サービス業など収益事業の例
一般社団法人は、物販やサービス業などの収益事業も自由に行えます。
団体の活動に関連した商品を販売したり、有料のサービスを提供したりするケースです。
たとえば、認定資格に関連した教材の販売や、コンサルティングサービスの提供などです。
これらの収益は、団体の活動を支える重要な財源になります。
ただし、非営利型の一般社団法人が収益事業を行う場合、その所得には法人税がかかります。
会費などの非収益事業は非課税ですが、物販やサービスの収益は課税対象です。
このため、収益事業と非収益事業を分けて記帳する区分経理が必要になります。
収益事業を行う場合は、税務面の管理に注意が必要です。
許認可が必要な事業に注意
事業内容が自由とはいえ、業種によっては許認可が必要です。
法人格が一般社団法人だからといって、許認可が免除されるわけではありません。
たとえば、介護事業なら介護保険法上の指定、人材紹介なら職業紹介事業の許可が必要です。
飲食業なら保健所の営業許可、古物の売買なら古物商許可が必要になります。
これらの許認可は、法人の種類に関係なく、その事業を行うために必須です。
一般社団法人で新しい事業を始めるときは、その事業に許認可が必要かを必ず確認しましょう。
無許可で事業を行うと、罰則の対象になることがあります。
また、許認可を受けるには、定款の目的にその事業が記載されている必要がある点にも注意が必要です。
利益分配だけはできない
一般社団法人で唯一できないのが、利益を社員に分配することです。
株式会社の配当のように、儲けを関係者で分け合うことはできません。
これは、非営利法人である一般社団法人の根本的な性格です。
事業でどれだけ利益を出しても、それを社員で山分けすることは禁止されています。
ただし、役員には報酬を支払うことができます。
役員報酬は職務の対価であり、利益の分配とは区別されるからです。
また、得た利益を団体の活動に再投資することは自由です。
『利益を分けたい』なら株式会社、『活動のために利益を使う』なら一般社団法人、と考えるとわかりやすいでしょう。
事業を決めるときのポイント
一般社団法人で行う事業を決めるときは、いくつかのポイントがあります。
まず、その事業が団体の目的に合っているかを考えます。
非営利の団体として、社会や会員のためになる事業であることが望ましいです。
次に、その事業に許認可が必要かを確認します。
また、収益事業を行う場合は、税務面の管理ができるかも検討します。
そして、定款の目的に、行う予定の事業を幅広く記載しておくことも重要です。
目的に書いていない事業はできないため、将来の展開も見据えて記載しておきましょう。
これらを踏まえて事業を設計すれば、一般社団法人を有効に活用できます。
複数の事業を組み合わせる運営
一般社団法人では、複数の事業を組み合わせて運営することもよくあります。
たとえば、資格認定を行いながら、その資格に関連したセミナーや教材販売も手がける、といった形です。
会費収入を基盤にしつつ、収益事業で活動の幅を広げる団体も多くあります。
複数の事業を組み合わせることで、収入源が分散し、運営が安定しやすくなります。
ただし、収益事業と非収益事業が混在する場合は、区分経理が必要になります。
どの事業が収益事業にあたるかを正しく把握し、会計を分けて管理しましょう。
事業を広げるときは、定款の目的に新しい事業が含まれているかも確認が必要です。
目的にない事業を始める場合は、定款変更が必要になります。
▶ 一般社団法人の記事一覧(設立・運営の完全ガイド)
- ▶ スポーツクラブを運営する
- ▶ 業界団体・協会を設立する
- ▶ 資格・検定の認定団体をつくる
- ▶ 学会・研究会を運営する
- ▶ 子ども食堂を運営する
- ▶ 地域活性化・まちづくり
- ▶ 文化・芸術団体を運営する
- ▶ 動物保護・保護犬猫活動
- ▶ 環境保全・自然保護活動
- ▶ 医療・介護・福祉の支援
- ▶ 子育て支援・親子の居場所
- ▶ 国際交流・多文化共生
そのほかのよくある質問
A. 構いません。禁止されているのは利益の分配で、利益を出して活動に使うことは問題ありません。
A. 事業の種類に制限はありませんが、許認可が必要な業種はその許可を別途取得する必要があります。
A. できます。ただし非営利型の場合、収益事業の所得には法人税がかかり、区分経理が必要です。
A. 払えます。役員報酬は職務の対価であり、利益の分配とは別物です。
事業例に関するまとめ
一般社団法人は、事業内容に制限がなく、幅広い活動ができます。
資格認定・検定、業界団体、セミナー・講座、地域活動、文化・芸術・スポーツ振興、物販・サービスなど、さまざまな事業が可能です。
唯一できないのは、利益を社員に分配することだけです。
利益を出すこと自体は自由で、得た利益は団体の活動に使えます。
ただし、許認可が必要な事業はその許可を取る必要があり、収益事業の所得には法人税がかかります。
事業を決めるときは、団体の目的との整合性、許認可の要否、税務面を確認しましょう。
定款の目的には、将来の事業も見据えて幅広く記載しておくことが大切です。
自由度の高い一般社団法人を活かして、目的に合った事業を展開していきましょう。
よくある質問
A. 構いません。禁止されているのは利益の分配であり、利益を出して活動に使うことは問題ありません。
A. 事業の種類に制限はありませんが、許認可が必要な業種はその許可を別途取得する必要があります。
A. 払えます。役員報酬は労働の対価であり、利益分配とは異なるため問題ありません。
A. できます。収益事業も自由に行えます。ただし非営利型の場合、収益事業の所得には法人税がかかります。


