結論から申し上げます。
社員総会の運営は、招集の決定・招集通知・当日の議事・議事録の作成の4つの手続でできています。
招集は原則として理事が行い(一般法人法36条3項)、日時・場所・議題などを決めます(38条1項)。
通知は社員総会の日の1週間前までに発します。書面投票などを認める場合は2週間前までです(39条1項)。
決議は、定款に別段の定めがなければ総社員の議決権の過半数が出席し、出席者の議決権の過半数で成立します(49条1項)。
議事録は法務省令の様式で作り、主たる事務所に10年間備え置きます(57条1項・2項)。
社員総会で決めること・決められないこと
社員総会の権限は、理事会を置いているかどうかで範囲が変わります。
理事会を置かない法人では、法人に関する一切の事項を決議できます(35条1項)。
理事会を置く法人では、法律に定める事項と定款で定めた事項に限られます(35条2項)。
どちらの法人でも、社員に剰余金を分配する決議はできません(35条3項)。
法律で社員総会の決議が必要とされている事項を、理事や理事会に任せる定款の定めは無効です(35条4項)。
| 主な決議事項 | 決議の種類 | 根拠 |
|---|---|---|
| 計算書類(貸借対照表・損益計算書)の承認 | 普通決議 | 126条2項 |
| 理事・監事の選任 | 普通決議 | 63条1項 |
| 理事の解任 | 普通決議 | 70条1項 |
| 理事・監事の報酬等(定款に額がないとき) | 普通決議 | 89条・105条1項 |
| 監事の解任 | 特別決議 | 70条1項・49条2項2号 |
| 社員の除名 | 特別決議 | 30条・49条2項1号 |
| 定款の変更 | 特別決議 | 146条・49条2項4号 |
| 事業の全部の譲渡 | 特別決議 | 147条・49条2項5号 |
| 解散 | 特別決議 | 148条3号・49条2項6号 |
事業報告は承認ではなく、理事が内容を社員総会に報告する事項です(126条3項)。
定時社員総会と臨時社員総会
定時社員総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければなりません(36条1項)。
法律は具体的な月数を決めていないため、時期は定款で定めます。
日本公証人連合会の定款記載例では「毎事業年度の終了後3か月以内に開催」とされています。
臨時社員総会は、必要がある場合にいつでも招集できます(36条2項)。
役員の欠員補充、定款変更、急ぎの事業判断などが典型的な開催理由です。
社員も、総社員の議決権の10分の1以上を持てば、理事に招集を請求できます(37条1項)。
請求後に遅滞なく招集手続が行われないときなどは、裁判所の許可を得て社員が自ら招集できます(37条2項)。
| 区分 | 開く時期 | 主な議題 |
|---|---|---|
| 定時社員総会 | 毎事業年度の終了後、定款で定めた時期(36条1項) | 計算書類の承認・事業報告・任期満了の役員選任 |
| 臨時社員総会 | 必要があるときいつでも(36条2項) | 役員の補充・定款変更・除名・解散など |
| 社員の請求による総会 | 議決権10分の1以上の請求(37条) | 請求した社員が示した目的事項 |
理事の任期は、選任後2年以内に終わる事業年度のうち最終のものに関する定時社員総会の終結の時までです(66条)。
監事は同じ数え方で4年以内です(67条1項)。改選の年は、定時社員総会の議題に役員選任を入れ忘れないようにします。
定時社員総会までの年間の流れ
定時社員総会は、決算から逆算して日程を組みます。
理事会を置く法人では、監事の監査を受けた計算書類と事業報告を、理事会で承認してから総会に出します(124条3項・126条1項3号)。
計算書類等は、総会の日の1週間前(理事会を置く法人は2週間前)の日から主たる事務所に備え置きます(129条1項)。
総会で計算書類を承認したら、遅滞なく貸借対照表を公告します(128条1項)。
役員を選任・再任したときは、2週間以内に変更の登記が必要です(303条)。
決算を締め、計算書類と事業報告を作る(123条2項)
監事を置く法人は監査を受ける(124条1項)
計算書類等の承認(124条3項)と、日時・場所・議題の決定(38条2項)
1週間前(書面投票などがあれば2週間前)までに通知(39条1項)。計算書類等を備え置く(129条1項)
計算書類の承認・事業報告・役員選任など
主たる事務所に10年間(57条2項)
貸借対照表の公告(128条1項)。役員変更は2週間以内に登記(303条)
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
招集の決定:理事が決める5つの事項
社員総会を招集するときは、理事が次の事項を決めなければなりません(38条1項)。
理事会を置く法人では、この決定は理事会の決議で行います(38条2項)。
理事会を置かず理事が2人以上いる法人では、理事の過半数で決め、特定の理事に任せることはできません(76条2項・3項2号)。
| 決める事項 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 日時及び場所 | 開催の日時と会場 | 38条1項1号 |
| 目的である事項 | 議題(「第1号議案 計算書類承認の件」など) | 38条1項2号 |
| 書面投票の可否 | 出席しない社員が書面で議決権を行使できるか | 38条1項3号 |
| 電子投票の可否 | 出席しない社員が電磁的方法で議決権を行使できるか | 38条1項4号 |
| 法務省令で定める事項 | 書面投票の期限、代理人の資格や人数、役員選任・定款変更などの議案の概要 | 38条1項5号・規則4条 |
役員の選任、役員の報酬等、事業の全部の譲渡、定款の変更、合併が議題のときは、議案の概要も決めます(規則4条3号)。
書面投票を採らない場合でも、これらの議題では議案の中身が通知の段階でわかるようにしておく必要があります。
招集通知:期限・方法・記載事項

招集通知の期限は、理事会の有無と書面投票の有無で決まります(39条1項)。
期限は「発する」日で数えるため、総会の日の1週間前の日までに発送すれば足ります。
理事会を置く法人や、書面・電子投票を認める場合は、書面での通知が必要です(39条2項)。
社員の承諾があれば、書面に代えてメールなどの電磁的方法で通知できます(39条3項)。
通知には、38条1項で決めた事項を記載します(39条4項)。
| 法人の形 | 通知の期限 | 通知の方法 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 理事会なし・書面投票なし | 1週間前まで(定款で短縮可) | 口頭・メールなども可 | 39条1項 |
| 理事会あり・書面投票なし | 1週間前まで(短縮不可) | 書面(承諾があれば電磁的方法) | 39条1項・2項2号・3項 |
| 書面投票・電子投票あり | 2週間前まで | 書面(承諾があれば電磁的方法) | 39条1項ただし書・2項1号 |
| 電子提供措置の定款の定めあり | 2週間前まで | 書面(承諾があれば電磁的方法) | 47条の4第1項 |
理事会を置く法人の定時社員総会では、承認を受けた計算書類・事業報告・監査報告を通知に添えて提供します(125条)。
書面投票を採る場合は、社員総会参考書類と議決権行使書面も交付します(41条1項)。
資料をWebに載せる電子提供措置は、定款に定めがある場合に使えます(47条の2)。
令和〇年〇月〇日 社員各位 一般社団法人〇〇協会 代表理事 〇〇〇〇
第〇回定時社員総会招集ご通知
拝啓 当法人の第〇回定時社員総会を下記のとおり開催いたしますので、ご出席くださいますようご通知申し上げます。
1.日時 令和〇年〇月〇日(〇)午後2時から
2.場所 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇会館 第1会議室
3.目的である事項 報告事項:第〇期事業報告の件 決議事項:第1号議案 第〇期計算書類承認の件 第2号議案 理事〇名選任の件
4.第2号議案の概要 理事候補者は〇〇〇〇、〇〇〇〇……(規則4条3号)
5.ご欠席の場合は、同封の委任状を〇月〇日までにご提出ください。
添付:第〇期計算書類・事業報告・監査報告(一般法人法125条)
書面投票(議決権行使書面)を採る場合は2週間前までに発送し、社員総会参考書類と議決権行使書面を同封します(39条1項ただし書・41条1項)。
招集通知の書き方は一般社団法人の社員総会の招集通知でさらに詳しく扱っています。
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一般法人法は、招集のときに社員総会の「日時及び場所」を決めるよう求めています(38条1項1号)。
そのため実務では、会場を決めたうえで、ビデオ会議でも参加できるようにする形が使われています。
議事録には、その場所にいない理事・監事・社員が出席した場合の出席の方法を書きます(規則11条3項1号)。
「代表理事〇〇は会場から、社員〇〇はWeb会議システムにより出席」のように、誰がどの方法で出席したかを残します。
オンライン参加の社員が、発言と質疑に会場と同じように加われる状態を保つことが前提です。
通信が途切れたときの扱いや採決の方法は、招集通知や運営ルールで先に決めておくと混乱を防げます。
- 招集通知に会場の所在地と、オンライン参加の方法・URLの案内方法を書いたか
- 参加者が本人であることを確かめる方法(事前登録・顔出しなど)を決めたか
- 採決の方法(挙手・チャット・投票機能)と、賛否の集計方法を決めたか
- 通信障害が起きたときに議事を止めるか続けるかを決めたか
- 議事録に、会場以外から出席した人と出席の方法を書く準備をしたか
詳しくは一般社団法人の社員総会はオンラインでできる?で説明しています。
会議を開かずに決める:決議の省略と報告の省略
理事か社員が議題について提案し、社員の全員が書面か電磁的記録で同意すれば、可決の決議があったとみなされます(58条1項)。
1人でも反対や未回答があれば、この方法は使えません。
同意の書面や電磁的記録は、決議があったとみなされた日から10年間、主たる事務所に備え置きます(58条2項)。
定時社員総会の議題すべてをこの方法で可決したときは、その時に定時社員総会が終わったとみなされます(58条4項)。
報告事項も、社員の全員が報告を要しないことに同意すれば、報告があったとみなされます(59条)。
この場合も議事録は必要で、決議があったとみなされた事項・提案者・日付・作成者を書きます(規則11条4項1号)。
手順と同意書の書き方は一般社団法人の書面決議(決議の省略)とは?で解説しています。
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議事録・招集通知・委任状・議決権行使書・書面決議(みなし決議)・社員名簿・会費督促・決算公告・役員変更の添付書類チェックリストまで。どの条文が根拠かと定款のどこを見るべきかを各書式に注記しています。一般社団法人とNPO法人は根拠法が違うため、章を分けて収録しました。
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議事録の作り方と保存期間
社員総会の議事録は、法務省令に従って書面か電磁的記録で作ります(57条1項・規則11条2項)。
議事録は総会の日から10年間、主たる事務所に備え置きます(57条2項)。
従たる事務所には写しを5年間備え置きます(57条3項)。
社員と債権者は、業務時間内いつでも閲覧や謄写を請求できます(57条4項)。
社員総会の議事録への署名は法律で義務づけられておらず、定款で「議長及び出席した理事が署名又は記名押印する」などと定めます。
議事録に書くべき事項を書かなかったり、虚偽を書いたりすると、理事などは過料の対象になります(342条7号)。
| 議事録の記載事項 | 根拠 |
|---|---|
| 開催の日時及び場所(会場にいない人の出席方法を含む) | 規則11条3項1号 |
| 議事の経過の要領及びその結果 | 規則11条3項2号 |
| 監事の報酬等についての監事の意見など、法律で述べられた意見の概要 | 規則11条3項3号 |
| 出席した理事・監事・会計監査人の氏名 | 規則11条3項4号 |
| 議長がいるときは議長の氏名 | 規則11条3項5号 |
| 議事録の作成に係る職務を行った者の氏名 | 規則11条3項6号 |
役員の選任があった総会の議事録は、変更登記の添付書面としても使われます。
記載例は一般社団法人の議事録の書き方で紹介しています。
手続を誤ったときに起きること
招集手続や決議方法が法令・定款に違反するとき、社員などは決議の日から3か月以内に取消しの訴えを起こせます(266条1項1号)。
決議の内容が定款に違反するときも、同じく取消しの対象です(266条1項2号)。
違反が重大でなく決議に影響しないと裁判所が認めれば、請求は棄却されることがあります(266条2項)。
決議の内容が法令に違反するときは、決議の無効の確認を訴えで求められます(265条2項)。
総会を開いた事実がないのに議事録だけがある場合などは、決議の不存在の確認が問題になります(265条1項)。
- 一部の社員に招集通知を送り忘れていないか(社員名簿の住所で発送したか)
- 通知を発した日が、1週間前(書面投票なら2週間前)の期限に間に合っているか
- 理事会を置く法人で、理事会の決議なしに理事が招集していないか(38条2項)
- 通知に書いていない議題を決議していないか(49条3項)
- 特別決議の議題を、普通決議の要件で可決していないか(49条2項)
- 委任状を総会ごとに受け取っているか(50条2項)
- 議事録に出席役員や議長の氏名、作成者の氏名が書かれているか(規則11条3項)
訴えの種類と期限は総会決議の取消し・無効・不存在の訴えで詳しく説明しています。
社員総会についてよくある誤解
誤解1:総会は年1回しか開けない。定時社員総会のほか、必要があればいつでも臨時社員総会を開けます(36条2項)。
誤解2:委任状は定足数に数えない。代理人が出席して議決権を行使するので、出席した議決権として数えます(50条1項)。
誤解3:理事会があれば総会で何でも決められる。
理事会を置く法人の総会は、法律と定款で定めた事項しか決議できません(35条2項)。
誤解4:当日に出た緊急動議もその場で決議できる。理事会を置く法人では、通知した議題以外は決議できません(49条3項)。
誤解5:議事録は作成後すぐ捨ててよい。主たる事務所に10年間の備置きが必要です(57条2項)。
誤解6:メールの同意だけで決議の省略はできない。電磁的記録による同意も法律上認められています(58条1項)。
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一般社団法人の社員総会の運営についてよくある質問
A. 原則として社員総会の日の1週間前までに発します。書面投票や電子投票を認める場合は2週間前までです。理事会を置かない法人は、定款で1週間より短い期間を定めることができます(一般法人法39条1項)。
A. 理事会を置かない法人で書面投票などを採らない場合は、通知の方法に法律上の制限はありません。書面による通知が必要な場合でも、社員の承諾を得ればメールなどの電磁的方法で発することができます(39条2項・3項)。
A. 普通決議は、定款に別段の定めがなければ、総社員の議決権の過半数を有する社員の出席が必要です。委任状や書面投票による議決権も出席として数えます(49条1項・51条2項)。
A. 社員の除名、監事の解任、定款変更、事業の全部の譲渡、解散などです。総社員の半数以上で、総社員の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(49条2項)。
A. 法律に定めはありません。定款で代表理事や会長を議長とするのが一般的です。議長は総会の秩序を維持し、議事を整理します(54条1項)。
A. 招集の際に日時と場所を定めることが求められているため(38条1項1号)、会場を設けてオンライン参加を併用する形が一般的です。議事録には会場以外からの出席方法を記載します(規則11条3項1号)。
A. 提案に社員の全員が書面か電磁的記録で同意すれば、可決の決議があったものとみなされます。同意書は10年間、主たる事務所に備え置きます(58条1項・2項)。
A. 社員総会の日から10年間、主たる事務所に備え置きます。従たる事務所には写しを5年間備え置きます(57条2項・3項)。
📖 参考にした公的機関の情報


