一般社団法人を運営していると、事業の追加や名称の変更などで定款を変更したい場面が出てきます。
定款変更には決まった手続きがあり、内容によっては登記も必要です。
この記事では、一般社団法人の定款変更の手続きを解説します。
定款変更が必要になる場面
定款変更が必要になる主な場面は次のとおりです。
- 事業の目的を追加・変更するとき
- 法人の名称を変更するとき
- 主たる事務所を移転するとき(定款に番地まで書いている場合)
- 役員の任期や人数のルールを変えるとき
- 非営利型の要件を整えるとき
特に多いのが事業目的の追加です。
新しい事業を始める際、定款の目的に記載がないとその事業を行えないため、目的を追加する定款変更を行います。
定款変更の手続きの流れ
定款変更は、次の流れで行います。
- 変更内容を決める
- 社員総会を招集する
- 社員総会で特別決議を行う(議決権の3分の2以上の賛成)
- 議事録を作成する
- 登記事項が変わった場合は変更登記を申請する
ポイントは、定款変更には社員総会の特別決議が必要なことです。
普通決議(過半数)より厳しい、議決権の3分の2以上の賛成が求められます。
これは定款が法人の根本ルールだからです。
変更登記が必要なケース
定款を変更しても、登記事項を変えた場合だけ変更登記が必要です。
たとえば、名称・目的・主たる事務所(番地)・公告方法などは登記事項なので、変更したら登記します。
一方、登記されていない事項(会費のルールなど)の変更は、登記は不要で総会決議だけで足ります。
変更登記には登録免許税がかかり、目的変更なら3万円が目安です。
登記は変更から2週間以内に行う必要があります。
定款変更には社員総会の決議が必要
定款を変更するには、社員総会の決議が必要です。
定款は法人の根本的なルールなので、理事だけで勝手に変更することはできません。
社員総会で、社員の意思を確認したうえで変更します。
定款変更の決議は、特別決議で行います。
特別決議とは、通常の決議より厳しい要件で可決される決議のことです。
総社員の半数以上が出席し、その3分の2以上の賛成が必要です。
この要件は、法律で定められています。
定款で要件を加重することはできますが、緩めることはできません。
定款変更は、慎重な手続きが求められるのです。
決議の内容は、議事録に記録します。
議事録は、変更の証拠として大切に保管しましょう。
後で登記が必要な場合、議事録が添付書類になります。
定款変更で登記が必要な項目
定款を変更しても、すべての変更で登記が必要になるわけではありません。
登記が必要なのは、登記事項にあたる項目を変更したときです。
登記事項には、目的・名称・主たる事務所の所在地などがあります。
たとえば、法人の目的(事業内容)を変更した場合、変更登記が必要です。
名称を変えた場合や、事務所を移転した場合も、登記が必要です。
これらは、登記簿に記載されている事項だからです。
一方、登記事項でない項目を変更した場合は、登記は不要です。
たとえば、会費に関する定めや、内部の運営ルールの変更などです。
これらは定款変更だけで足り、登記は必要ありません。
変更する項目が登記事項かどうかを、確認することが大切です。
登記が必要なのに行わないと、過料の対象になることがあります。
判断に迷ったら、専門家に確認しましょう。
定款変更登記の期限と手続き
登記が必要な定款変更をした場合、期限内に登記を行う必要があります。
登記は、変更があった日から2週間以内に行います。
この期限を過ぎると、過料が科されることがあります。
登記の手続きは、法務局で行います。
申請には、定款変更を決議した社員総会の議事録などが必要です。
変更内容によって、必要な書類が変わります。
登記申請は、自分で行うこともできますが、専門的な知識が必要です。
司法書士に依頼すれば、確実に手続きを進められます。
登記のミスを防ぐためにも、専門家の活用は有効です。
登記が完了すると、変更内容が登記簿に反映されます。
新しい登記事項証明書を取得して、内容を確認しましょう。
変更が正しく反映されているかを、必ずチェックすることが大切です。
目的(事業内容)を変更する場合
事業内容を変更したいときは、定款の「目的」を変更します。
新しい事業を始める場合、その事業が定款の目的に含まれているか確認しましょう。
含まれていなければ、目的を追加する定款変更が必要です。
定款の目的にない事業を行うと、問題が生じることがあります。
そのため、新しい事業を始める前に、目的を確認・変更しておくことが大切です。
目的は、将来の事業も見据えて、ある程度広めに設定しておくとよいでしょう。
目的の変更は、登記事項の変更にあたります。
そのため、変更後は登記が必要になります。
目的を追加・変更したら、2週間以内に登記を行いましょう。
許認可が必要な事業を追加する場合は、許認可の手続きも必要です。
定款変更と許認可の両方を、忘れずに行いましょう。
事業の拡大は、こうした手続きとセットで進めることが大切です。
名称や事務所を変更する場合
法人の名称を変更したいときも、定款変更が必要です。
名称は定款の記載事項であり、登記事項でもあります。
名称を変更したら、定款変更と登記の両方を行います。
事務所を移転する場合も、定款の確認が必要です。
定款で事務所の所在地を番地まで書いている場合は、定款変更が必要になります。
市区町村までの記載なら、同じ市区町村内の移転では定款変更は不要です。
事務所の移転は、登記事項の変更にあたります。
移転したら、2週間以内に変更登記を行いましょう。
管轄が変わる移転では、手続きがやや複雑になります。
名称や事務所の変更は、対外的な影響も大きい変更です。
取引先や関係者への連絡も、忘れずに行いましょう。
各種の届出先への変更手続きも必要になります。
定款変更でよくある失敗
定款変更では、いくつかの失敗がよく見られます。
一つ目は、決議要件を満たさずに変更してしまうことです。
定款変更には特別決議が必要なので、要件を満たさない決議は無効です。
二つ目は、登記が必要なのに登記を忘れることです。
登記事項を変更したら、2週間以内の登記が必要です。
忘れると、過料の対象になります。
三つ目は、議事録をきちんと作成・保管しないことです。
議事録は、変更の証拠であり、登記の添付書類にもなります。
正確に作成して、保管しておきましょう。
これらの失敗を防ぐには、手続きの流れを正しく理解することが大切です。
不安があれば、専門家のサポートを受けましょう。
確実な手続きで、定款変更を進めることが重要です。
定款変更と税務・行政への届出
定款を変更すると、内容によっては行政への届出も必要になります。
たとえば、事業年度を変更した場合は、税務署などに異動届出書を提出します。
登記とは別に、こうした届出が必要になることがあります。
名称や事務所を変更した場合も、各種の届出先への手続きが必要です。
税務署、都道府県、市町村などに、変更を届け出ます。
銀行や取引先への連絡も、忘れずに行いましょう。
許認可を受けている事業の場合、許認可の変更手続きも必要になることがあります。
定款変更だけでなく、関連する手続きを漏れなく行うことが大切です。
変更に伴う手続きを、リストアップしておくとよいでしょう。
これらの届出を忘れると、後で支障が出ることがあります。
定款変更をしたら、関連する手続きもセットで進めましょう。
不安があれば、専門家に確認すると安心です。
定款変更のタイミングの工夫
定款変更には、社員総会の決議が必要です。
そのため、定時社員総会のタイミングに合わせて変更すると効率的です。
わざわざ臨時の総会を開かずに済むからです。
複数の変更をまとめて行うのも、一つの工夫です。
変更したい項目が複数あるなら、一度の総会でまとめて決議します。
登記が必要なものも、まとめて申請できる場合があります。
ただし、急ぎの変更がある場合は、臨時総会を開く必要があります。
登記の期限があるものは、先延ばしにできません。
変更の緊急度に応じて、進め方を判断しましょう。
計画的に変更を進めると、手間とコストを抑えられます。
年間のスケジュールの中で、定款変更のタイミングを考えましょう。
効率的な運営につながります。
定款を最新に保つことの大切さ
定款は、法人の運営の基本となる重要な書類です。
実態と定款の内容が食い違っていると、トラブルのもとになります。
そのため、定款は常に最新の状態に保つことが大切です。
事業内容が変わったのに、定款の目的を変更していないケースがよくあります。
この状態だと、定款にない事業を行っていることになります。
気づいたら、早めに定款を変更しておきましょう。
役員の構成や、運営ルールが変わった場合も同様です。
実態に合わせて、定款を見直すことが大切です。
定期的に定款を確認する習慣をつけるとよいでしょう。
最新の定款は、いざというときの拠り所になります。
補助金の申請や、金融機関との取引でも、定款が求められることがあります。
きちんと整備された定款は、法人運営の基盤です。
定款変更を専門家に依頼する
定款変更の手続きに不安がある場合、専門家に依頼できます。
定款の作成・変更は、行政書士が対応します。
変更内容に応じた、正しい定款を作成してもらえます。
登記が必要な場合は、司法書士が登記手続きを代行します。
決議要件の確認から、登記申請まで、専門家に任せられます。
ミスなく確実に手続きを進められるのがメリットです。
依頼には費用がかかりますが、時間と手間を節約できます。
特に、複雑な変更や、登記を伴う変更では、専門家の力が役立ちます。
正確な手続きは、後のトラブルを防ぎます。
自分でできる部分は自分で行い、難しい部分だけ依頼する方法もあります。
団体の状況に応じて、上手に専門家を活用しましょう。
確実な定款変更で、健全な運営を続けることが大切です。
定款変更に関する補足
定款変更について、いくつか補足しておきます。
まず、定款の原本は、変更後も大切に保管しましょう。
変更の経緯がわかるように、議事録もあわせて保管します。
設立時の定款(原始定款)と、変更後の定款を区別して管理することも大切です。
どの時点の定款が有効かを、明確にしておきましょう。
書類の管理が、スムーズな運営につながります。
また、定款変更の決議には、社員への適切な招集通知が前提となります。
手続きの一つひとつを、正しく行うことが大切です。
手続きに不備があると、決議が無効になることもあります。
定款変更は、法人の重要な意思決定です。
正しい手続きで、慎重に進めましょう。
わからない点は、専門家に確認することをおすすめします。
そのほかのよくある質問
A. 社員総会の特別決議です。総社員の半数以上が出席し、その3分の2以上の賛成で可決されます。理事だけでは変更できません。
A. いいえ。目的・名称・事務所所在地など登記事項を変更した場合のみ登記が必要です。登記事項でない項目の変更なら登記は不要です。
A. 登記が必要な場合、変更があった日から2週間以内に行う必要があります。期限を過ぎると過料が科されることがあります。
定款変更のまとめ
定款変更には、社員総会の特別決議が必要です。
総社員の半数以上が出席し、その3分の2以上の賛成で可決されます。
理事だけで勝手に変更することはできません。
目的・名称・事務所の所在地など、登記事項を変更した場合は、登記も必要です。
登記は、変更から2週間以内に行わないと、過料の対象になります。
登記事項でない項目の変更なら、定款変更だけで足ります。
新しい事業を始めるときは、目的の変更が必要かを確認しましょう。
許認可が必要な事業なら、許認可の手続きも忘れずに行います。
手続きに不安があれば、専門家のサポートを受けながら確実に進めましょう。
よくある質問
A. 社員総会の特別決議(議決権の3分の2以上の賛成)が必要です。
A. 登記事項(名称・目的・所在地など)を変えた場合のみ変更登記が必要です。
A. 必要です。目的は定款の記載事項なので、追加には特別決議が必要です。
A. 目的変更などで3万円程度の登録免許税がかかります。


