NPO法人の定款の書き方|必ず書く14項目と記載のポイント

一般社団法人法
定款はNPO法人の憲法です。必ず書かなければならない14の項目を、順番に確認しましょう。

NPO法人の定款には、必ず記載しなければならない事項が法律で定められています。

ひとつでも欠けていると、認証を受けられません。

逆に言えば、この項目を順番に埋めていけば定款は完成します。

この記事では、必ず書く事項を14項目に分けて、書き方のポイントとともに解説します。

POINT 結論:必ず書くのは「目的」「名称」「活動の種類と事業の種類」「事務所の所在地」「社員の資格」「役員」「会議」「資産」「会計」「事業年度」「その他の事業」「解散」「定款の変更」「公告の方法」の14項目です。所轄庁のひな形をベースに、事業の欄だけを具体的に書き換えるのが最短ルートです。

定款とは何か

定款は、法人の目的や運営のルールを定めた基本の規則です。

法人の憲法にあたるものだと考えると分かりやすいでしょう。

NPO法人の場合、定款は認証申請の中心的な書類になります。

所轄庁は、この定款をもとに要件を満たしているかを審査します。

認証後も、日々の運営はこの定款にしたがって行われます。

総会の開き方も、役員の選び方も、すべて定款が基準になります。

株式会社と違い、NPO法人の定款は公証人の認証を受ける必要がありません。

そのぶん費用はかかりませんが、所轄庁の審査は丁寧に行われます。

定款に必ず記載する14項目

  • ①目的
  • ②名称
  • ③その行う特定非営利活動の種類および事業の種類
  • ④主たる事務所およびその他の事務所の所在地
  • ⑤社員の資格の得喪に関する事項
  • ⑥役員に関する事項
  • ⑦会議に関する事項
  • ⑧資産に関する事項
  • ⑨会計に関する事項
  • ⑩事業年度
  • ⑪その他の事業を行う場合はその種類などの事項
  • ⑫解散に関する事項
  • ⑬定款の変更に関する事項
  • ⑭公告の方法

①目的と②名称

目的の条文は、この法人が何のために存在するのかを述べる部分です。

誰に対して、どのような活動を行い、何に寄与するのかを1文でまとめます。

不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与するという趣旨を、必ず盛り込みます。

名称には、特定非営利活動法人という文字を用いなければなりません。

NPO法人という表記だけでは足りない点に注意してください。

他の法人と紛らわしい名称や、誤解を招く名称は避けます。

株式会社や社団法人といった、別の法人格を示す語も使えません。

名称は登記事項なので、変更には登記が必要になります。

③活動の種類と事業の種類

ここが定款のなかで最も重要な条文です。

まず、法定20分野のうち該当するものを列挙します。

表現は、法律の別表にある言い回しをそのまま使います。

次に、実際に行う事業を具体的に書きます。

事業の欄が抽象的だと、補正を求められる最大の原因になります。

何を、誰に対して、どのように行うのかが分かる表現にしましょう。

将来行う可能性のある事業も、あらかじめ入れておくと変更の手間が減ります。

ただし、実施の見込みがない事業を並べるのは逆効果です。

事業計画書との整合が取れなくなり、指摘を受けます。

④事務所の所在地

主たる事務所の所在地を記載します。

定款では市区町村までの記載にとどめるのが実務上の工夫です。

番地まで書くと、同じ市内で引っ越しただけでも定款変更が必要になります。

市区町村までにしておけば、その範囲内の移転なら定款はそのままで済みます。

従たる事務所を置く場合は、その所在地も記載します。

事務所は自宅でも構いませんが、賃貸なら契約上の可否を確認してください。

所轄庁がどこになるかは、主たる事務所の場所で決まります。

⑤社員の資格の得喪

社員になれる人の条件と、入会と退会の手続きを定めます。

ここで気をつけたいのが、不当な条件を付けてはならないという要件です。

特定の思想を持つ人だけを社員にするような定めは認められません。

入会に理事会の全員一致を要するといった規定も、制限とみなされることがあります。

高額な入会金や会費も、加入を妨げる要因と判断される場合があります。

一方で、活動の趣旨に賛同することを要件にするのは通常問題ありません。

会員の種別を正会員と賛助会員に分けるのも一般的です。

ただし議決権を持つのは正会員だけ、という整理を明確にしておきましょう。

⑥役員に関する事項

理事と監事の定数、選任の方法、職務、任期を定めます。

理事は3人以上、監事は1人以上が法律上の最低ラインです。

定数には幅を持たせて、何人以上何人以内と書くのが一般的です。

任期は2年以内で定め、再任できる旨を書き添えます。

報酬については、役員総数の3分の1以下という制限に触れておきます。

理事のうち1人を理事長とし、法人を代表する旨を定めます。

解任の手続きも定めておくと、いざというときに困りません。

欠員が生じた場合の補充についても書いておくと安心です。

⑦会議に関する事項

総会と理事会の運営ルールを定めます。

総会の種類として、通常総会と臨時総会を分けるのが一般的です。

通常総会は、毎事業年度に1回開催すると定めます。

招集の手続き、議決権、定足数、議決の方法も書きます。

議決権は、社員1人につき1個とするのが原則です。

定足数は、社員の過半数の出席とする例が多く見られます。

書面表決や委任状による表決を認めるかどうかも定めておきます。

遠方の社員がいる団体では、この規定が実務を大きく左右します。

オンライン開催を想定するなら、その旨も明記しておくと運用しやすくなります。

⑧資産と⑨会計と⑩事業年度

資産に関する事項では、資産の構成と管理の方法を定めます。

会計に関する事項では、会計の原則と会計区分を書きます。

正規の簿記の原則にしたがって処理する旨を定めるのが一般的です。

その他の事業を行う場合は、会計を区分する旨も記載します。

事業年度は、4月1日から翌年3月31日までとする団体が多く見られます。

助成金の年度に合わせると、事務がそろって管理しやすくなります。

事業年度は、毎年の報告書の提出期限にも直結します。

事業年度の開始から3か月以内が、所轄庁への提出期限です。

⑪その他の事業

その他の事業とは、本来の活動の資金を得るために行う事業です。

行う場合は、定款にその種類と、会計を区分する旨を定めます。

定款に定めがなければ、その他の事業を行うことはできません。

その他の事業で利益が出たら、特定非営利活動に係る事業へ繰り入れます。

その他の事業のほうが規模で上回る状態は、原則として認められません。

設立時に予定がないなら、無理に入れる必要はありません。

後から必要になったときは、定款変更で追加できます。

⑫解散と⑬定款の変更と⑭公告

解散に関する事項では、解散事由と残余財産の帰属先を定めます。

残余財産の帰属先は、法律で認められた範囲から選ばなければなりません。

他のNPO法人、国、地方公共団体、公益社団法人や学校法人などが対象です。

個人や株式会社を帰属先にすることはできません。

定款の変更に関する事項では、総会の議決要件を定めます。

出席者の4分の3以上の多数による議決とするのが一般的です。

公告の方法は、官報や事務所の掲示場、ホームページなどから選びます。

ホームページを選ぶ場合は、その運用を続けられるか考えておきましょう。

定款を作るときのコツ

最も確実なのは、所轄庁が公開しているひな形を使うことです。

ひな形は、その所轄庁の審査基準に沿って作られています。

全体をゼロから書くより、はるかに早く、安全に仕上がります。

書き換えるのは、目的、活動の種類、事業、事務所、事業年度あたりです。

会議や役員の条文は、ひな形のままでも問題ないことが多くあります。

書き上げたら、事業計画書と活動予算書との整合を必ず確認します。

定款の事業に書いていないものを計画に入れると、不整合になります。

最後に、所轄庁の事前相談で見てもらうのが確実です。

認証後に定款を変えるとき

定款を変更するには、まず社員総会の議決が必要です。

議決要件は、定款で定めた割合にしたがいます。

そのうえで、変更する内容によって手続きが分かれます。

目的や名称、事業の種類など重要な事項は、所轄庁の認証が必要です。

認証が必要な変更は、申請から結果が出るまで時間がかかります。

一方、軽微な事項の変更は、届出だけで済みます。

登記事項にあたる変更は、あわせて法務局への登記も必要です。

手間がかかるので、設立時にある程度の幅をもたせておくのが実務的です。

ひな形をそのまま使うときの注意点

ひな形は便利ですが、そのまま使うと不都合が出る条文もあります。

たとえば役員の定数は、団体の規模に合わせて調整すべき部分です。

定数を多く設定しすぎると、欠員が出たときに補充義務が生じます。

総会の定足数も、実際に集まる人数を考えて決めましょう。

過半数の出席を要件にしたのに、毎回集まらないと決議ができません。

書面表決や委任状の規定を入れておくと、この問題を回避できます。

会費の額を定款に書き込むと、変更のたびに定款変更が必要になります。

会費は別に定める規程に委ねる形にしておくのが実務的です。

公告の方法をホームページにするなら、その運用を続けられるか考えてください。

ひな形は出発点であって、完成品ではないと考えるのが適切です。

定款とあわせて作っておきたい規程

定款にすべてを書き込むと、変更のたびに総会と手続きが必要になります。

細かいルールは、別の規程に分けておくのが実務的です。

よく作られるのは、会費規程、役員報酬規程、給与規程、旅費規程です。

慶弔見舞金や、事務局の運営に関する規程を置く団体もあります。

規程は理事会の決議で変更できるように定款で委ねておくと、機動的に運用できます。

認定NPO法人を目指すなら、役員報酬規程は申請の添付書類になります。

早い段階で整えておくと、後で慌てずに済みます。

規程どうしで内容が矛盾しないよう、定期的に見直しましょう。

定款の書き方のまとめ

NPO法人の定款には、14の項目を必ず記載します。

名称には、特定非営利活動法人という文字を用います。

最も重要なのは、活動の種類と事業の欄です。

20分野は法律の表現をそのまま使い、事業は具体的に書きます。

事務所の所在地は、市区町村までにとどめると移転時に楽になります。

所轄庁のひな形をベースにし、事前相談で確認するのが最短ルートです。

よくある質問

Q. 定款に公証人の認証は必要?

A. 必要ありません。株式会社や一般社団法人と違い、NPO法人の定款は公証人の認証が不要です。そのため定款認証の手数料もかかりません。

Q. 名称にNPO法人と書いてもいい?

A. 通称として使うのは構いませんが、定款や登記上の名称には「特定非営利活動法人」の文字を用いる必要があります。

Q. 事務所の住所は番地まで書く?

A. 市区町村までの記載にとどめるのが実務的です。番地まで書くと、同じ市内で移転しただけでも定款変更の手続きが必要になります。

Q. 事業年度はいつにすればいい?

A. 自由に決められますが、4月1日から翌年3月31日までとする団体が多く見られます。助成金の年度と合わせると、事務の管理がしやすくなります。

Q. あとから事業を追加できる?

A. できます。社員総会の議決を経て定款変更の手続きをとります。事業の種類の変更は所轄庁の認証が必要なため、設立時にある程度の幅をもたせておくと楽です。

Q. 残余財産は会員に分けられる?

A. できません。定款で定めた他のNPO法人や国、地方公共団体など、法律で認められた範囲へ帰属します。個人や株式会社を帰属先にすることはできません。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。