NPO法人の作り方|設立の流れを8ステップで解説【認証まで約3か月】

一般社団法人法
NPO法人を作りたいけれど、何から始めればいいか分からない方へ。設立の流れを最初から順番に解説します。

NPO法人(特定非営利活動法人)は、所轄庁の認証を受けて設立する法人です。

株式会社や一般社団法人のように、登記だけで作ることはできません。

その代わり、法定費用がほとんどかからないという大きな利点があります。

この記事では、NPO法人の作り方を8つのステップに分けて、順番どおりに解説します。

POINT 結論:NPO法人は「①発起人を集める → ②定款を作る → ③設立総会 → ④所轄庁へ認証申請 → ⑤縦覧1か月 → ⑥認証 → ⑦登記 → ⑧設立後の届出」という流れで作ります。申請から認証まで標準で約3か月、登記まで含めると4か月程度をみておくと安心です。

NPO法人とはどんな法人か

NPO法人は、特定非営利活動促進法という法律にもとづいて設立される法人です。

正式な名称を特定非営利活動法人といい、NPO法人はその通称として広く使われています。

ここでいう非営利とは、もうけを出してはいけないという意味ではありません。

事業で得た利益を、社員(正会員)や役員に配当として分配しないという意味です。

利益は、次の年の活動費や人件費として、団体の目的のために使います。

したがって、職員に給与を払うことも、有償で事業を行うことも問題ありません。

一方で、活動できる分野が法律で20種類に限定されている点が、株式会社などとの大きな違いです。

この20分野に当てはまらない活動を主たる目的にすると、認証を受けられません。

まず自分たちの活動が20分野のどれに当たるのかを、最初に確認しておきましょう。

作り方の全体像は8ステップ

NPO法人の作り方は、大きく8つのステップに分けて考えると迷いません。

第1に、設立の発起人と、社員となる10人以上のメンバーを集めます。

第2に、法人の憲法にあたる定款を作成します。

第3に、設立総会を開いて、定款や事業計画をメンバー全員で決議します。

第4に、所轄庁へ設立認証の申請書類を提出します。

第5に、提出された書類が1か月間、一般に公開されます。これを縦覧といいます。

第6に、所轄庁の審査を経て、認証または不認証の決定が通知されます。

第7に、認証書が届いたら2週間以内に、法務局で設立の登記をします。

第8に、登記完了後、所轄庁と税務署などへ設立の届出を行います。

この8つのうち、時間がかかるのは第5と第6のステップです。

ステップ やること 目安期間
①発起人・社員集め 10人以上の社員を確保する 1か月〜
②定款の作成 目的・事業・機関を決める 2週間〜1か月
③設立総会 定款と事業計画を決議する 1日
④認証申請 所轄庁へ書類を提出する 1日
⑤縦覧 書類が1か月間公開される 1か月
⑥認証の決定 所轄庁が審査し通知する 2か月以内
⑦設立登記 法務局で登記する 認証後2週間以内
⑧設立後の届出 所轄庁・税務署などへ提出 登記後すみやかに

ステップ1 発起人と社員10人を集める

最初の関門が、社員を10人以上集めることです。

ここでいう社員とは、従業員のことではなく、総会で議決権を持つ正会員のことをいいます。

特定非営利活動促進法は、社員が10人以上いることを設立の要件としています。

一般社団法人が2人で設立できるのと比べると、かなりハードルが高い部分です。

社員は、活動に賛同してくれる知人や関係者に、趣旨を説明して加わってもらいます。

なお、社員の資格について不当な条件を付けることは認められていません。

入会金や年会費が極端に高いといった、実質的に加入を制限する定めも避けるべきです。

同時に、役員となる理事3人以上と監事1人以上も決めておきます。

理事と監事を兼ねることはできないため、最低でも4人の役員が必要になります。

社員10人のなかから役員を選ぶことは可能なので、合計で10人いれば形は整います。

ステップ2 定款を作成する

定款は、法人の目的や運営のルールを定める、いわば法人の憲法です。

名称、目的、特定非営利活動の種類、事業、事務所の所在地などを記載します。

会員の種別と入退会、役員の定数と任期、総会と理事会の運営方法も定めます。

事業年度、解散したときの残余財産の帰属先も、必ず書いておく必要があります。

残余財産の帰属先は、他のNPO法人や国、地方公共団体など、法律で決められた範囲から選びます。

個人や株式会社を帰属先にすることはできません。

所轄庁のホームページには、定款の記載例やひな形が公開されています。

まずはひな形をベースにして、自分たちの活動に合わせて書き換えるのが確実です。

書き上げたら、申請前に所轄庁の窓口で事前相談を受けることを強くおすすめします。

事前相談で指摘を受けて直しておけば、申請後の補正の手間を大きく減らせます。

ステップ3 設立総会を開く

定款の案ができたら、設立総会を開催します。

設立総会では、定款、事業計画、活動予算、役員の選任などを決議します。

この総会の議事録は、認証申請の添付書類として提出するため、必ず作成します。

議事録には、開催日時と場所、出席者数、議事の経過と結果を記載します。

議長と議事録署名人が署名または記名押印します。

設立総会の日付は、事業計画書の対象年度とつじつまが合うように設定します。

総会後に定款を修正すると、議事録との整合が取れなくなるため注意が必要です。

オンライン会議で開催する場合も、その旨を議事録に明記しておきます。

ステップ4 所轄庁へ認証を申請する

所轄庁は、事務所が1つの都道府県内にあるなら、その都道府県知事です。

事務所が1つの政令指定都市内にのみある場合は、その市長が所轄庁になります。

提出する書類は、設立認証申請書、定款、役員名簿、社員のうち10人以上の名簿などです。

さらに、確認書、設立趣旨書、設立総会の議事録の写しも添付します。

事業計画書と活動予算書は、設立初年度と翌年度の2年分が必要です。

役員については、就任承諾書と誓約書、住所を証する書面をそろえます。

書類の様式は所轄庁ごとに細かく異なるため、必ず提出先の様式を使ってください。

窓口に持参するほか、自治体によっては郵送や電子申請にも対応しています。

書類に不備があると受理されないため、事前相談で確認しておくと安心です。

認証申請でそろえる主な書類

  • 設立認証申請書
  • 定款
  • 役員名簿(住所・氏名・報酬の有無)
  • 役員の就任承諾書と誓約書の写し
  • 役員の住所または居所を証する書面
  • 社員のうち10人以上の氏名と住所の名簿
  • 確認書(宗教活動や政治活動を主目的としない旨)
  • 設立趣旨書
  • 設立総会の議事録の写し
  • 事業計画書(初年度・翌年度)
  • 活動予算書(初年度・翌年度)

ステップ5 1か月の縦覧期間

申請が受理されると、提出書類の一部が1か月間、一般に公開されます。

これを縦覧といい、市民が広くその団体の設立をチェックできるようにする仕組みです。

所轄庁の窓口やホームページで、定款や事業計画書などが閲覧できる状態になります。

かつては縦覧期間が2か月でしたが、法改正により1か月に短縮されました。

この期間中に住民から意見が出た場合は、所轄庁がその内容も踏まえて審査します。

縦覧期間は法律で決まっているため、急いでも短くすることはできません。

この1か月は待つしかないので、その間に事務所の準備や口座開設の下調べを進めましょう。

ステップ6 認証の決定を待つ

縦覧が終わると、所轄庁が認証するかどうかを審査します。

審査は、申請を受理した日から2か月以内に行うこととされています。

つまり、縦覧1か月と合わせて、申請から最長で3か月ほどかかる計算です。

実務でも、標準的な処理期間として約3か月を見込んでいる自治体が多く見られます。

審査の結果、認証されると認証書が交付されます。

要件を満たさない場合は不認証となり、その理由が通知されます。

不認証の主な理由は、活動が20分野に当たらない、社員が10人に満たないなどです。

書類の軽微な不備であれば、審査の途中で補正を求められることもあります。

補正に対応する期間があると、その分だけ全体のスケジュールは後ろにずれます。

ステップ7 法務局で設立登記をする

NPO法人は、認証を受けただけでは成立しません。

認証書が届いた日から2週間以内に、主たる事務所の所在地を管轄する法務局で登記します。

この登記によって、はじめて法人として成立します。

登記申請書には、定款、認証書の写し、代表者の就任承諾書、印鑑証明書などを添付します。

株式会社と違い、NPO法人の設立登記に登録免許税はかかりません。

法人の実印も、この登記に合わせて作成し、印鑑届書を提出します。

登記が完了したら、登記事項証明書と印鑑証明書を数通取得しておくと後の手続きが楽です。

2週間という期限は短いので、認証書が届く前から登記書類を準備しておきましょう。

ステップ8 設立後の届出を忘れない

登記が終わったら、所轄庁へ設立登記完了届出書を提出します。

登記事項証明書と、設立時の財産目録を添えて提出するのが一般的です。

税務署には法人設立届出書を、都道府県税事務所と市区町村にも同様の届出をします。

収益事業を行わない場合は、住民税の均等割について免除の申請ができる自治体があります。

該当する場合は、期限内に減免申請書を出しておくと、毎年の負担を抑えられます。

職員を雇うのであれば、労働保険と社会保険の手続きも必要です。

法人名義の銀行口座も、登記事項証明書がそろってから開設します。

NPO法人は毎年、事業報告書等を所轄庁へ提出する義務があります。

提出は、毎事業年度の開始から3か月以内が期限です。

この報告を怠ると、改善命令や認証取消しの対象になり得るため、初年度から習慣にしましょう。

作るのにかかる期間の目安

準備期間を含めると、NPO法人の設立には半年程度をみておくと現実的です。

社員10人を集めて定款をまとめるまでに、早くても1か月から2か月かかります。

認証申請から認証まで、標準で約3か月です。

認証後の登記に2週間、設立後の届出に数週間を要します。

活動開始の時期が決まっているなら、そこから逆算して着手時期を決めます。

補助金の申請に間に合わせたい場合などは、特にスケジュール管理が重要です。

どうしても急ぐ事情があるなら、一般社団法人での設立も選択肢に入ります。

一般社団法人と迷ったときの考え方

スピードと自由度を優先するなら、一般社団法人が向いています。

一般社団法人は、社員2人以上で、登記だけで設立でき、数週間で成立します。

活動分野の制限もないため、事業内容を柔軟に決められます。

一方で、定款認証の手数料や登録免許税6万円といった法定費用がかかります。

NPO法人は、法定費用がほぼゼロで、名称そのものに社会的な信用があります。

寄付や助成金を集めたい活動、行政と連携する活動では、NPO法人が有利に働く場面が多くあります。

認定NPO法人になれば、寄付をした人が税制上の優遇を受けられます。

つまり、早さと自由度なら一般社団法人、寄付と信用ならNPO法人という整理になります。

どちらが優れているということではなく、活動の性質に合わせて選ぶのが正解です。

比較項目 NPO法人 一般社団法人
設立の方法 所轄庁の認証+登記 登記のみ
設立までの期間 約3〜4か月 2〜4週間程度
法定費用 ほぼ0円 定款認証手数料+登録免許税6万円
必要な人数 社員10人以上・理事3人以上・監事1人以上 社員2人以上・理事1人以上
活動分野 法定の20分野 制限なし
毎年の報告 所轄庁へ事業報告書等を提出 所轄庁への提出は不要
情報公開 義務あり 原則として任意

作るときによくある失敗

最も多いのが、社員10人を集めきれずに手続きが止まってしまうケースです。

名前を借りるだけの形式的な社員では、後の総会運営で行き詰まります。

活動に本当に関わってくれる人を、時間をかけて集めることが結局は近道です。

次に多いのが、定款の目的や事業の書き方が抽象的すぎて補正を求められるケースです。

何を、誰に対して、どのように行うのかを、具体的に書くと通りやすくなります。

事業計画書と活動予算書の数字が合っていない、というミスも頻繁に起こります。

計画に書いた事業が予算に載っていないと、必ず指摘されます。

認証後2週間以内という登記期限を見落とすケースもあります。

認証書を受け取ってから準備を始めると、間に合わないことがあります。

設立後の事業報告書の提出を忘れる団体も少なくないため、初年度から仕組み化しておきましょう。

自分で作るか専門家に頼むか

NPO法人の設立は、時間をかければ自分たちだけで進めることも十分に可能です。

所轄庁が事前相談に応じてくれるうえ、ひな形や手引きも公開されています。

法定費用がほぼかからないため、自分で行えば実費はごくわずかで済みます。

一方で、書類は10種類以上あり、2年分の計画と予算を作る必要があります。

本業や活動と並行して進めると、想像以上に負担が大きくなることもあります。

専門家に依頼すれば、定款や計画書の作成と窓口対応を任せられます。

報酬の相場は依頼範囲によって幅がありますが、設立一式で10万円台からが一つの目安です。

費用を抑えたい場合は、定款のチェックだけを依頼するという使い方もあります。

大切なのは、認証されることではなく、設立後に無理なく運営を続けられる形にしておくことです。

NPO法人の作り方のまとめ

NPO法人は、社員10人以上を集め、定款を作り、所轄庁の認証を受けて登記することで成立します。

流れは8ステップで、申請から認証まで約3か月、準備を含めると半年ほどが目安です。

法定費用はほぼかからない一方、人数要件と活動分野の制限があります。

早さと自由度を求めるなら、一般社団法人という選択肢も検討する価値があります。

定款と事業計画は、必ず申請前に所轄庁の事前相談で確認してもらいましょう。

設立後は、毎事業年度の開始から3か月以内の報告を忘れないことが大切です。

手続きそのものより、設立後に続けられる体制を作ることを意識して進めてください。

よくある質問

Q. NPO法人は何人から作れる?

A. 社員(正会員)が10人以上必要です。あわせて理事3人以上と監事1人以上を置きます。理事と監事は兼任できないため、役員だけで最低4人になります。

Q. 設立までどのくらいかかる?

A. 認証申請から認証まで、縦覧1か月と審査2か月以内で標準約3か月です。認証後2週間以内の登記まで含めると、申請から4か月程度をみておくと安心です。

Q. 設立にお金はいくらかかる?

A. 定款認証は不要で、設立登記の登録免許税もかかりません。法定費用はほぼ0円です。実費としては、証明書の取得費や印鑑の作成費など数千円から数万円程度です。

Q. どんな活動でもNPO法人にできる?

A. できません。保健・医療・福祉、まちづくり、環境保全、子どもの健全育成など、法律で定められた20分野のいずれかに該当する活動が主たる目的である必要があります。

Q. 認証されないことはある?

A. あります。活動が20分野に当たらない、社員が10人未満、宗教活動や政治活動が主たる目的であるといった場合は不認証になります。不認証の場合は理由が通知されます。

Q. 登記を忘れるとどうなる?

A. 認証の日から2週間以内に登記をしないと、認証が取り消される場合があります。認証書が届く前から登記書類を準備しておきましょう。

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