NPO法人の定款変更の手続き|認証が必要な変更と届出で済む変更

一般社団法人法
定款は変えられますが、内容によって手続きが違います。認証が必要なものと届出で済むものを整理します。

NPO法人の定款変更は、内容によって認証が必要なものと届出で済むものに分かれます。

どちらも、まず社員総会の議決が必要です。

登記事項にあたる変更は、法務局への登記も加わります。

この記事では、手続きの分かれ方と流れを解説します。

POINT 結論:定款変更はまず社員総会で議決します。目的、名称、事業の種類など重要な事項は所轄庁の認証が必要で、軽微な事項は届出で済みます。登記されている事項を変えた場合は、法務局への登記も必要です。

定款変更が必要になる場面

定款は、一度作ったら終わりというものではありません。

活動が広がれば、事業の種類を追加したくなります。

事務所を市外へ移転すれば、所在地の記載を変える必要があります。

役員の定数が実態に合わなくなることもあります。

会員の区分を見直したいという場面も出てきます。

名称を変更する団体もあります。

いずれも、定款変更の手続きを踏まなければ効力が生じません。

実務を先に変えてしまい、後から定款が追いつかない状態は避けましょう。

定款と実態がずれていると、所轄庁から指摘を受けます。

まず社員総会の議決

どの変更でも、出発点は社員総会の議決です。

議決要件は、定款の定めに従います。

一般的には、社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成です。

定款で、これと異なる割合を定めることもできます。

総会を開く前に、必ず自分たちの定款を確認してください。

招集通知には、定款変更を議題として明示します。

変更後の条文案も、あわせて示すのが親切です。

議事録には、変更前後の内容が分かるように記載します。

この議事録の写しが、その後の手続きで使われます。

認証が必要な変更

重要な事項の変更には、所轄庁の認証が必要です。

目的の変更が、その代表例です。

名称の変更も、認証を要します。

特定非営利活動の種類と、その事業の種類の変更も対象です。

その他の事業に関する事項も、認証が必要になります。

事務所の所在地について、所轄庁が変わる移転も対象です。

これらは、団体の基本的な姿を変えるものだからです。

認証の申請には、設立のときと似た書類を提出します。

審査には一定の期間がかかるので、余裕を持って進めましょう。

変更する内容 手続き
目的 所轄庁の認証が必要
名称 所轄庁の認証が必要+登記
特定非営利活動の種類・事業の種類 所轄庁の認証が必要
その他の事業に関する事項 所轄庁の認証が必要
所轄庁が変わる事務所の移転 所轄庁の認証が必要+登記
同一所轄庁内の事務所の移転 届出+登記(定款の記載による)
役員の定数 届出
会議・資産・会計に関する事項 届出
事業年度 届出
解散・定款変更・公告の方法 届出

届出で済む変更

認証が必要とされていない事項は、届出で足ります。

役員の定数の変更が、その例です。

会議に関する事項や、資産に関する事項も届出で済みます。

事業年度の変更も、通常は届出です。

公告の方法の変更も、届出の対象になります。

届出の場合も、社員総会の議決は必要です。

議決を経ずに変えることはできません。

届出は、変更後すみやかに行います。

変更後の定款と、議事録の写しを添えるのが一般的です。

登記が必要になる場合

定款の変更が、登記事項に関わることもあります。

名称、主たる事務所の所在地、目的、代表権を持つ理事などが登記事項です。

これらを変更したときは、法務局での登記が必要になります。

登記は、変更から2週間以内に行うこととされています。

認証が必要な変更の場合は、認証を受けてから登記します。

登記が完了したら、所轄庁へ登記完了の届出をします。

つまり、手続きが三段階になることもあるということです。

総会の議決、所轄庁の認証、法務局の登記という流れです。

各段階で必要な書類を、あらかじめ整理しておきましょう。

定款変更の手続きの流れ

  • ①変更したい条文の案を作る
  • ②理事会で議案を確定させる
  • ③社員総会の招集通知に議題と条文案を記載
  • ④社員総会で議決(定款所定の要件を満たす)
  • ⑤議事録を作成し、署名を集める
  • ⑥認証が必要なら所轄庁へ申請/不要なら届出
  • ⑦登記事項なら法務局で登記(変更から2週間以内)
  • ⑧登記完了届出書を所轄庁へ提出

事務所の移転と定款

事務所の移転は、定款の書き方によって手続きが変わります。

定款に市区町村までしか書いていない場合、その範囲内の移転なら定款変更は不要です。

登記だけを行い、所轄庁へ届け出れば足ります。

定款に番地まで書いていると、同じ市内の移転でも定款変更が必要になります。

この違いは大きいので、設立時の書き方が効いてきます。

市区町村をまたぐ移転なら、定款変更が必要です。

所轄庁が変わる移転は、認証が必要になります。

都道府県をまたぐ場合や、政令指定都市に出入りする場合が該当します。

移転を考えているなら、早めに所轄庁へ相談してください。

変更後の定款の管理

定款を変更したら、最新版を1つに保ちます。

古い定款が残っていると、どれが有効か分からなくなります。

変更の履歴を、末尾に付記しておく方法もあります。

何年何月何日の総会で変更した、と書いておくと経緯が追えます。

事務所に備え置く定款も、最新版に差し替えます。

ウェブサイトに掲載している場合も、同時に更新しましょう。

銀行や取引先から求められたときに、古い定款を渡すと混乱を招きます。

電子データも、ファイル名に日付を入れて管理すると安全です。

変更のたびに、この作業を一式で行う習慣をつけてください。

定款変更でよくある失敗

第一に、総会の議決を経ずに変えてしまうケースです。

第二に、議決要件を満たしていないケースです。

定款の定めを確認せず、通常の過半数で決めてしまう例があります。

第三に、招集通知に議題を書いていないケースです。

通知していない事項は、原則として決議できません。

第四に、認証が必要な変更を届出で済ませてしまうケースです。

第五に、登記を忘れるケースです。

2週間の期限を過ぎると、過料の対象になることがあります。

第六に、変更後の定款を最新版として管理していないケースです。

定款変更にかかる期間

手続きの内容によって、かかる期間は大きく変わります。

届出で済む変更なら、総会の翌週には手続きを終えられます。

認証が必要な変更は、設立のときと同様に時間がかかります。

申請から認証まで、数か月をみておくのが現実的です。

登記も必要な場合は、そこからさらに1週間程度かかります。

銀行や取引先への連絡まで含めると、全体で半年近くになることもあります。

年度をまたぐ場合は、事業報告書等の提出時期との重なりにも注意しましょう。

事業の追加を急ぐなら、逆算して総会の時期を決めてください。

臨時総会を開くという選択肢もあります。

よく行われる定款変更

実務でよく見られる変更を挙げておきます。

第一に、事業の種類の追加です。

活動が広がったときに、いちばん多い変更です。

第二に、事務所の移転にともなう所在地の変更です。

第三に、役員の定数の見直しです。

実際の人数と合わなくなったときに行います。

第四に、会員の区分や会費に関する条項の整理です。

会費を定款に書いてしまった団体が、規程に移すために変更する例もあります。

第五に、オンラインでの総会や理事会に関する定めの追加です。

第六に、公告の方法をホームページに変更する例も増えています。

定款変更の議案の作り方

総会に諮るときは、変更前と変更後を並べた資料を作ります。

新旧対照表と呼ばれる形式です。

左に現行の条文、右に変更後の条文を置きます。

変わる部分に下線を引くと、どこが違うか一目で分かります。

この表があると、会員も判断しやすくなります。

所轄庁へ提出するときにも、同じ資料が使えます。

議事録には、変更の内容が分かるように記載します。

条文をすべて書き写す必要はありませんが、要点は残します。

新旧対照表を議事録に添付する形も、よく使われます。

変更の必要がない場合

実務を変えたからといって、必ず定款変更が要るわけではありません。

会費の額を規程に定めているなら、その改定に定款変更は不要です。

事務所を同じ市区町村内で移すだけなら、定款の記載によっては不要です。

役員が交代しただけなら、定款は変わりません。

事業の進め方を工夫する程度も、定款の範囲内であれば問題ありません。

判断の分かれ目は、定款に書いてある内容が変わるかどうかです。

迷ったら、まず定款を読み返してみてください。

該当する条文がなければ、変更は不要です。

判断がつかない場合は、所轄庁に確認するのが確実です。

所轄庁への相談を挟む

認証が必要な変更は、申請の前に相談しておくと確実です。

条文の書き方に問題があれば、その場で指摘してもらえます。

総会で議決してから直すことになると、決議のやり直しが必要です。

事業の種類を追加する場合は、20分野との対応も確認してもらえます。

新しい事業が、定款の目的から外れていないかも見てもらいましょう。

相談は無料で、多くの所轄庁が受け付けています。

設立のときと同じ担当課が窓口になります。

総会の日程が決まったら、その前に一度足を運んでください。

手戻りを防ぐ、いちばん確実な方法です。

定款変更と会員への周知

定款は、会員全員に関わるルールです。

変更したら、必ず会員へ知らせましょう。

総会で議決しているので、出席した会員は把握しています。

ただし、欠席した会員には情報が届いていません。

会報や案内で、変更の内容を伝えます。

会費や会員の権利に関わる変更なら、特に丁寧な説明が必要です。

最新の定款を、いつでも見られる状態にしておくことも大切です。

ウェブサイトに掲載している団体も増えています。

事務所には備え置く義務があるので、こちらは必ず差し替えてください。

古い定款を渡してしまうと、後で認識の食い違いが起きます。

定款変更のまとめ

定款変更は、まず社員総会の議決から始まります。

議決要件は定款で定められているので、必ず確認してください。

目的、名称、事業の種類などの重要な変更は、所轄庁の認証が必要です。

役員の定数や事業年度などは、届出で済みます。

登記事項を変えた場合は、2週間以内に法務局で登記します。

登記が終わったら、所轄庁へ登記完了の届出をします。

変更後は、最新版の定款を1つに保って管理しましょう。

よくある質問

Q. 定款はどうやって変える?

A. まず社員総会で議決します。議決要件は定款の定めによりますが、社員総数の2分の1以上が出席し出席者の4分の3以上の賛成とする例が一般的です。

Q. 認証が必要なのはどんな変更?

A. 目的、名称、特定非営利活動の種類と事業の種類、その他の事業に関する事項、所轄庁が変わる事務所の移転などです。

Q. 届出だけで済むのは?

A. 役員の定数、会議・資産・会計に関する事項、事業年度、公告の方法などです。ただし届出の場合も社員総会の議決は必要です。

Q. 登記もいる?

A. 名称、主たる事務所の所在地、目的、代表権を持つ理事など登記事項を変更した場合は必要です。変更から2週間以内に法務局で登記します。

Q. 事務所を移転したら?

A. 定款に市区町村までしか書いていなければ、その範囲内の移転に定款変更は不要です。市区町村をまたぐ場合は定款変更が、所轄庁が変わる場合は認証が必要になります。

Q. 総会を開かずに変えられる?

A. できません。どの変更でも社員総会の議決が出発点です。議決を経ずに実務だけ変えると、定款と実態がずれて指摘を受けます。

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