NPO法人は、定款に書いた事業しか行えません。
新しいことを始めるとき、まずここを確認します。
追加するには、定款変更の認証が必要です。
この記事では、事業を追加する手順と判断を解説します。
定款の事業の条文を読む
まず、自分たちの定款を開きましょう。
事業の条文に、何が書かれているかを確認します。
特定非営利活動に係る事業と、その他の事業に分かれています。
号ごとに、事業が並んでいるはずです。
最後に、包括的な項が置かれていることもあります。
その他この法人の目的を達成するために必要な事業、といった書き方です。
この項があると、読める範囲が広がります。
ただし、何でも入るわけではありません。
目的との関係が、説明できることが前提です。
追加が必要かの判断
新しい事業が、既存の号に読めるかを考えます。
読めるなら、定款変更は不要です。
読めないなら、追加が必要になります。
この判断は、団体だけで決めないほうが安全です。
所轄庁に相談すれば、見解を教えてもらえます。
始めてから指摘されると、対応が難しくなります。
事業報告書に書いた時点で、目に触れるためです。
定款にない事業を実施していると、指摘の対象になります。
始める前に、確認しておきましょう。
| 場面 | 必要な手続き | 期間の目安 |
|---|---|---|
| 既存の号に読める | 不要 | — |
| 事業を追加する | 総会の議決+所轄庁の認証 | 数か月 |
| 事業を削除する | 総会の議決+所轄庁の認証 | 数か月 |
| その他の事業を始める | 総会の議決+認証 | 数か月 |
| 事業の名称だけ変える | 内容によるため要相談 | — |
追加の手続き
追加が必要なら、定款変更の手続きに入ります。
第一に、理事会で議案を確認します。
第二に、総会の招集通知に議案を記載します。
第三に、総会で議決します。
定款変更は、特別の多数が必要です。
第四に、所轄庁へ認証を申請します。
第五に、縦覧と審査を経て、認証されます。
数か月かかることを、見込んでおきましょう。
登記事項ではないため、この点の登記は不要です。
所轄庁への届出は、認証後に行います。
20分野への該当を確認する
追加する事業も、法定の20分野に該当する必要があります。
特定非営利活動に係る事業として書く場合です。
該当しない場合は、その他の事業として扱います。
その他の事業は、収益を特定非営利活動に充てるためのものです。
経理を区分する必要も、生じます。
どちらに位置づけるかで、扱いが変わります。
判断に迷う場合は、所轄庁に相談してください。
会計の具体的な処理は、専門家に相談しましょう。
位置づけを誤ると、あとで整理が必要になります。
- 定款の事業の条文に読めるか
- 所轄庁に見解を確認したか
- 法定の20分野に該当するか
- 許認可が必要な事業ではないか
- 実施する人員と資金があるか
- 既存の事業に支障が出ないか
- 理事会で議論したか
- 事業計画書と活動予算書に反映したか
- 収入が入るまでの期間を見込んだか
- 続かなかった場合の出口を考えたか
許認可が必要な事業
事業によっては、別の許認可が要ります。
介護保険や、障害福祉のサービスが代表例です。
保育や、放課後の事業も同じです。
飲食を提供するなら、営業の許可が必要です。
定款に書いただけでは、始められません。
許認可の要件は、事業ごとに大きく違います。
人員、設備、資金の基準が定められています。
準備に、半年以上かかることもあります。
定款変更と並行して、進めることになります。
事業計画書に反映する
新しい事業は、事業計画書にも書きます。
毎年の総会で承認する書類です。
定款にある事業でも、計画になければ整合が取れません。
活動予算書にも、収支の見込みを入れます。
事業報告書と、対応する形にします。
計画と報告がずれていると、指摘の対象になります。
年度の途中で始める場合は、その旨を書きます。
補正の予算を組む団体も、あります。
書類の間の整合を、必ず確認しましょう。
増やしすぎない
事業を増やすことが、良いとは限りません。
担う人と資金には、限りがあります。
新しい事業を始めれば、既存の事業に手が回りません。
結果として、どれも中途半端になります。
始める前に、やめる事業を決める方法もあります。
一つ増やすなら、一つ減らすという考え方です。
定款には残したまま、休止する形も取れます。
実施しなかった旨を、事業報告書に書きます。
数より、続けられるかどうかで判断しましょう。
やめるときの手順
事業をやめる場合も、手順があります。
定款から削除するなら、認証が必要です。
ただし、削除しないという選択もあります。
将来また行う可能性があるなら、残しておきます。
実施しない年は、事業報告書にその旨を書きます。
利用者がいる事業なら、周知の期間が要ります。
委託や補助を受けているなら、行政と協議します。
職員を雇っているなら、雇用の問題も生じます。
雇用に関する判断は、社会保険労務士に相談してください。
新しい事業の始め方
手続きとは別に、進め方にも順番があります。
第一に、なぜやるかを言葉にします。
目的に照らして、説明できるかを確かめます。
第二に、小さく試します。
いきなり大きく始めると、引き返せません。
第三に、実施の記録を残します。
第四に、振り返って続けるかを決めます。
第五に、続けるなら定款と計画を整えます。
試行の段階でも、定款の範囲は守ってください。
順番を守ることが、結果として早道になります。
その他の事業という枠
20分野に当てはまらない事業も、行えます。
その他の事業として、定款に書く方法です。
ただし、条件があります。
第一に、収益を特定非営利活動に充てることです。
第二に、本来の活動に支障が出ないことです。
第三に、経理を区分することです。
物品の販売や、施設の貸出しが例になります。
講座の開催を、この枠で行う団体もあります。
本来の活動より大きくなると、疑問を持たれます。
会計の具体的な処理は、専門家に相談してください。
よくある誤解
事業の追加には、誤解が多くあります。
第一が、届出で足りるという誤解です。
事業の追加は、認証が必要な定款変更です。
第二が、登記が要るという誤解です。
事業は登記事項ではないため、この点の登記は不要です。
第三が、書けば何でもできるという誤解です。
許認可が必要な事業は、それとは別に準備が要ります。
第四が、一度きりなら書かなくてよいという誤解です。
継続性の有無ではなく、定款の範囲かどうかが基準です。
判断に迷ったら、所轄庁に確認しましょう。
他団体との協働で行う場合
新しい事業を、他団体と一緒に行うこともあります。
この場合も、自分たちの定款の範囲を確認します。
相手の定款に書いてあっても、こちらには関係ありません。
役割分担を、文書にしておきましょう。
費用の分担と、収入の帰属も決めます。
契約書を交わす形が、いちばん確実です。
事故が起きたときの責任も、決めておきます。
成果物の権利の扱いも、確認します。
口約束のまま進めると、あとでもめます。
始める前に人と金を確かめる
手続きが整っても、実施できなければ意味がありません。
第一に、担当する人がいるかを確かめます。
既存の担当者に上乗せする形は、危険です。
第二に、初期の費用が出せるかを見ます。
第三に、収入が入るまでの期間を見込みます。
委託や補助なら、後払いになることが普通です。
第四に、続かなかった場合の出口を考えます。
利用者がついてから止めるのは、難しいものです。
第五に、既存の事業への影響を確認します。
どれも中途半端になるのが、いちばん避けたい結果です。
報告書との整合
実施した事業は、事業報告書に書きます。
ここで、定款との整合が問われます。
定款にない事業を書けば、指摘の対象です。
逆に、定款にあって実施しなかった事業も書きます。
実施しなかった旨を、記載する形です。
計画と報告が対応していることも、確認します。
所轄庁は、この整合を見ています。
毎年の提出のたびに、目に触れることになります。
一度ずれると、翌年以降も説明が必要になります。
書類を作る段階で、必ず突き合わせましょう。
事業と目的の関係
事業は、目的を達成するための手段です。
この関係が、逆になっている団体があります。
事業をやること自体が、目的になっている状態です。
助成金が取れるから始める、という判断もその一つです。
始めた事業は、簡単には止められません。
利用者や、関わる人が生まれるためです。
始める前に、目的との関係を言葉にしましょう。
定款の目的の条文に照らして、説明できるかを確かめます。
説明できないなら、やらない判断もあります。
断ることも、団体を守る選択です。
事業の追加のまとめ
NPO法人は、定款に書いた事業しか行えません。
追加するには、総会の議決と所轄庁の認証が必要です。
認証には、数か月かかります。
ただし、既存の号に読める場合は追加が不要なこともあります。
判断に迷ったら、始める前に所轄庁へ相談してください。
20分野に該当するかどうかも、あわせて確認します。
許認可が必要な事業は、それとは別に準備が要ります。
事業計画書と活動予算書への反映も、忘れないでください。
事業は登記事項ではないため、この点の登記は不要です。
20分野に当てはまらないなら、その他の事業という枠があります。
ただし収益を本来の活動に充て、経理を区分する必要があります。
始める前に、担当する人と初期の費用があるかを確かめましょう。
他団体と一緒に行う場合も、自分たちの定款の範囲で判断します。
事業は目的を達成するための手段であり、逆ではありません。
助成金が取れるからという理由だけで始めると、あとで止められません。
定款の目的に照らして説明できないなら、やらない判断もあります。
断ることも、団体を守る選択のひとつです。
よくある質問
A. できません。追加するには、総会の議決と所轄庁の認証が必要です。ただし、既存の号に読める場合は追加せずに実施できることもあります。
A. 総会の議決から所轄庁の認証まで、数か月かかります。縦覧と審査を経るためです。始める時期から逆算して動いてください。
A. 団体だけで決めないほうが安全です。所轄庁に相談すれば見解を教えてもらえます。始めてから指摘されると、対応が難しくなります。
A. 特定非営利活動に係る事業以外で、その収益を本来の活動に充てるための事業です。経理を区分する必要も生じるため、位置づけは慎重に決めてください。
A. 事業によっては、別に許認可が必要です。介護保険や障害福祉のサービス、保育、飲食の提供などが例で、準備に半年以上かかることもあります。
A. 定款から削除するなら認証が必要ですが、削除せず休止する選択もあります。実施しなかった旨を事業報告書に書いてください。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 社会保険・労働保険の加入手続きは、社会保険労務士が取り扱う業務です。
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