定款とは?法人の根本規則をわかりやすく解説|絶対的記載事項・認証が要る法人・変更の決議を条文で整理

一般社団法人法
定款を作れと言われたのですが、
そもそも定款とは何でしょうか?

定款は、その法人がどういう団体なのかを文章で決めた根本規則です。目的・名称・事務所の場所・誰がどうやって物事を決めるか、といった法人の骨組みがここに書かれます。

会社でいえば「憲法」にあたるもので、定款に反する決議や行為は効力を否定されることがあります。設立のときに作り、その後は決められた手続きでしか変えられません。

この記事では、定款とは何か、何を書くのか、認証が要る法人と要らない法人、変えるときの手続きを、法人の種類ごとに条文にあたって整理します。

定款とは ― 法人の根本規則

定款とは、法人の組織や運営について定めた根本規則です。読み方は「ていかん」です。

法人は人の集まりや財産のかたまりに法律上の人格を与えたものですから、その中身を決める文書がなければ動きません。誰が何を決められるのか、何のために活動するのかを、あらかじめ文章で固定しておくのが定款の役割です。

一般社団法人であれば、一般法人法10条1項が設立時社員が共同して定款を作成し、その全員が署名または記名押印しなければならないと定めています。株式会社なら会社法26条1項が同じことを発起人について定めています。

POINT 定款は設立のときに作るものです。できてから作るのではなく、定款があってはじめて法人を作る手続きに入れます。

定款・規約・規程はどう違うのか

位置づけ 変えるときの手続き
定款 法人の根本規則。法律が内容を要求している 総会などの決議(法人の種類により特別多数・認証が要る)
規約 任意団体で定款にあたるもの。法人には通常使わない 総会の決議など(団体の取り決めしだい)
規程・規則 定款の下で作る内部ルール(経理規程・慶弔規程など) 理事会の決議など(定款で定めた手続き)
細則 規程よりさらに細かい運用ルール 担当部門の決裁など

実務では、定款には変えにくいことだけを書き、細かい運用は規程に落とすという設計をします。定款に書きすぎると、運用を変えるたびに総会の決議が必要になってしまうためです。

記載事項は3種類に分かれる

種類 意味 書かなかったら
絶対的記載事項 法律が「必ず書け」と定めている事項 定款そのものが無効になる
相対的記載事項 書かなくても定款は有効だが、書かないとその制度を使えない事項 その定めの効力が生じない
任意的記載事項 法律に定めがなく、書いても書かなくてもよい事項 何も起きない(定款外で定めればよい)

相対的記載事項の例が、一般社団法人の基金です。定款に基金についての定めを置かなければ、基金の制度を使えません。理事会や監事を置く場合の定めも、ここに入ります。

任意的記載事項の例は、会費の額や事業年度中の会員区分などです。あとで変えそうなことは、あえて定款に書かないのが実務の定石です。

一般社団法人の絶対的記載事項は7つ(一般法人法11条1項)

必ず書く7項目

  • 目的(1号)
  • 名称(2号)
  • 主たる事務所の所在地(3号)
  • 設立時社員の氏名または名称および住所(4号)
  • 社員の資格の得喪に関する規定(5号)
  • 公告方法(6号)
  • 事業年度(7号)

5号の社員の資格の得喪は、誰がどうやって社員になり、どうやって抜けるのかというルールです。入会に理事会の承認を要するのか、会費を滞納したらどうなるのかは、ここで決まります。

逆に言えば、理事の人数も、理事会の有無も、会費の額も、絶対的記載事項ではありません。書けば定款の内容になりますが、書かなくても定款は有効です。

一般財団法人は10項目(一般法人法153条1項)

一般財団法人の定款には、目的・名称・主たる事務所の所在地に加えて、設立者の氏名または名称および住所設立者が拠出する財産およびその価額設立時評議員・設立時理事・設立時監事の選任に関する事項、会計監査人を置くならその選任に関する事項、評議員の選任および解任の方法、公告方法、事業年度を書きます。

153条2項は、拠出する財産の価額の合計額は300万円を下回ってはならないと定めています。一般社団法人にはない、財団だけの条件です。

153条3項は、理事または理事会が評議員を選任し、または解任するという定めを無効としています。評議員が理事を選ぶ立場である以上、逆向きの支配を認めないという趣旨です。

NPO法人は14項目(NPO法11条1項)

NPO法人(特定非営利活動法人)の定款は、書く項目がいちばん多く14項目あります。目的/名称/行う特定非営利活動の種類と事業の種類/主たる事務所とその他の事務所の所在地/社員の資格の得喪/役員/会議/資産/会計/事業年度/その他の事業を行う場合はその種類等/解散/定款の変更/公告の方法です。

同条2項により、設立当初の役員は定款で定めなければなりません。また3項は、残余財産の帰属先を定款に置く場合、国・地方公共団体・公益社団法人・公益財団法人・学校法人・社会福祉法人・更生保護法人などから選ぶよう求めています。

POINT NPO法人の定款は所轄庁の審査を通る必要があります。書き方が自由な一般社団法人とは、この点で作り方の感覚が違います。

書いても無効になる定めがある

定款は自由に書けますが、法律が無効と定めている内容があります。代表的なものがもうけの分配です。

一般法人法11条2項は、社員に剰余金または残余財産の分配を受ける権利を与える旨の定款の定めは、その効力を有しないと定めています。定款に書いても効きません。

同法35条4項も、この法律で社員総会の決議が必要とされる事項について、理事や理事会が決められるとする定款の定めを無効としています。社員総会から権限を奪う設計はできないということです。

公証人の認証が要る法人・要らない法人

法人の種類 公証人の認証 根拠
一般社団法人 必要 一般法人法13条
一般財団法人 必要 一般法人法155条
株式会社 必要 会社法30条1項
NPO法人 不要(所轄庁の認証を受ける) NPO法10条・12条
合同会社 不要 会社法575条以下(認証の規定なし)

一般法人法13条は、定款は公証人の認証を受けなければ、その効力を生じないとはっきり書いています。認証を受けていない定款で登記を申請しても通りません。

紛らわしいのがNPO法人です。NPO法人にも「認証」という言葉が出てきますが、これは公証人ではなく所轄庁が設立そのものを認証する手続きで、別のものです。NPO法人の定款に公証人の認証は要りません。

なお、収入印紙による印紙税がかかるのは株式会社などの会社の定款だけです。一般社団法人・一般財団法人・NPO法人の定款は、紙で作っても印紙税法の課税文書には当たりません。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

定款は備え置いて、見せなければならない

一般法人法14条1項は、一般社団法人は定款を主たる事務所および従たる事務所に備え置かなければならないと定めています。

同条2項により、社員および債権者は、業務時間内であればいつでも定款の閲覧や、謄本・抄本の交付を請求できます。謄本や抄本の交付には、法人が定めた費用を支払ってもらうことができます。

誰でも見られるわけではない点が、NPO法人との違いです。NPO法人は所轄庁でも定款等が公開され、利害関係人でなくても行政の窓口で内容を確認できます

定款を変えるときの手続き ― 法人ごとに違う

法人 決議 必要な多数 外部の手続き
一般社団法人 社員総会(146条) 総社員の半数以上かつ総社員の議決権の3分の2以上(49条2項4号) なし
一般財団法人 評議員会(200条1項) 評議員会の特別決議 目的・評議員の選解任の方法は原則として変更できない(200条1項ただし書)
NPO法人 社員総会(NPO法25条1項) 社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上(同条2項) 一定の事項は所轄庁の認証が必要(同条3項)

一般社団法人でいちばん間違えやすいのが多数決の要件です。定款変更は普通決議ではなく特別決議で、一般法人法49条2項4号が146条の社員総会をその対象に挙げています。

一般財団法人は、200条1項ただし書により目的評議員の選任および解任の方法を原則として変えられません。設立者が定款であらかじめ変更できると定めていた場合(2項)や、設立当時予見できなかった特別の事情があって裁判所の許可を得た場合(3項)だけが例外です。

NPO法人は、目的・名称・活動の種類・社員の資格の得喪などを変えるときに所轄庁の認証が要ります(NPO法25条3項)。役員の定数だけの変更など、認証が要らないものは届出で済みます(同条6項)。

「原始定款」と「現行定款」を混同しない

原始定款は、設立のときに作って公証人の認証を受けた定款そのものです。現行定款は、その後の変更をすべて反映した、いま効力を持っている定款です。

銀行口座の開設や補助金の申請で「定款の写し」を求められたときは、ほとんどの場合現行定款を指します。設立から一度でも変更していれば、原始定款を出すと差し替えになります。

定款変更のたびに現行定款を作り直し、変更を決議した総会の議事録とセットで保管しておくと、あとから経緯を説明できます。

電子定款という選び方

一般法人法10条2項は、定款を電磁的記録で作れると定めています。会社法26条2項も同じです。いわゆる電子定款です。

株式会社では、紙の定款にかかる印紙税4万円が電子定款だと不要になるため、費用の差が大きくなります。一方、一般社団法人・一般財団法人の定款はもともと課税文書ではないため、電子にしても印紙税の面での差は生じません

それでも電子定款には、保管が楽である、公証役場でのやりとりをオンラインで進めやすいといった利点があります。専門家に依頼する場合は、対応の可否を先に確認してください。

定款をなくしたらどうなるか

定款は法務局に提出しますが、法務局は定款を保管しません。登記が済んだあとに登記所へ「定款の写しをください」と言っても出てきません。登記されるのは目的・名称・所在地・役員などの登記事項だけで、定款そのものは対象外です。

手元の定款をなくした場合、たどれる先は次の3つです。

入手先 取れるもの 注意
公証役場 認証を受けた原始定款の謄本 認証した公証役場に限る。保存期間は公証人法施行規則で定められており、古いものは残っていないことがあります
所轄庁(NPO法人のみ) 提出済みの定款の写し NPO法人は所轄庁が定款等を公開しています(NPO法30条)
設立を依頼した専門家 控えのデータや紙の写し 一般社団法人・一般財団法人ではここが現実的な入口になることが多いです

注意したいのは、公証役場から取れるのが原始定款だという点です。設立後に定款を変更していれば、その内容は反映されていません。現行定款は法人が自分で作り直して保管するしかありません。

POINT 定款は変更のたびに現行版を作り直し、議事録とセットで保管する。一般法人法14条1項は事務所への備置きを義務づけていますので、「どこにあるか分からない」状態は義務違反になりえます。

定款についてよくある質問

Q. 定款とは何ですか?

A. 法人の目的・名称・事務所・意思決定の方法などを定めた根本規則です。一般社団法人では設立時社員が共同して作成し、全員が署名または記名押印します(一般法人法10条1項)。定款に反する決議や行為は効力を否定されることがあります。

Q. 定款に必ず書かなければならないことは何ですか?

A. 法人の種類によって違います。一般社団法人は目的・名称・主たる事務所の所在地・設立時社員の氏名等・社員の資格の得喪・公告方法・事業年度の7項目(一般法人法11条1項)、一般財団法人は10項目(153条1項)、NPO法人は14項目(NPO法11条1項)です。これらを欠くと定款そのものが無効になります。

Q. 定款に公証人の認証は必要ですか?

A. 一般社団法人・一般財団法人・株式会社は必要です(一般法人法13条・155条、会社法30条1項)。NPO法人と合同会社は不要です。NPO法人の「認証」は所轄庁が設立を認証する手続きで、公証人の認証とは別のものです。

Q. 定款はあとから変えられますか?

A. 変えられます。一般社団法人は社員総会の特別決議(総社員の半数以上かつ総社員の議決権の3分の2以上・一般法人法49条2項4号、146条)、NPO法人は社員総数の2分の1以上が出席し出席者の4分の3以上の議決(NPO法25条2項)で、一定の事項は所轄庁の認証も必要です。一般財団法人は目的と評議員の選解任の方法を原則として変更できません(200条1項ただし書)。

Q. 定款は誰でも見られますか?

A. 一般社団法人では、社員と債権者が業務時間内にいつでも閲覧・謄本の交付を請求できます(一般法人法14条2項)。誰でも見られるわけではありません。NPO法人は所轄庁でも定款等が公開されます。

Q. 定款に会費の額を書いたほうがよいですか?

A. 一般社団法人では会費は絶対的記載事項ではありません。額まで定款に書くと、値上げのたびに社員総会の特別決議が必要になります。定款には「会費は社員総会の決議で定める」とだけ書き、額は別に定める設計が一般的です。

Q. 定款の写しを求められました。どれを出せばよいですか?

A. 多くの場合、変更をすべて反映した現行定款です。設立時に認証を受けた原始定款をそのまま出すと、内容が古いとして差し替えを求められることがあります。提出先に「現行のものでよいか」を確認してください。

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定款は法人格を得るための出発点です。法人格そのものの意味はこちらをご覧ください。

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