NPO法人と暴力団排除|認証の基準(NPO法12条1項3号)・役員の欠格事由(20条4号)・設立時に出す確認書と、認定の欠格事由まで

NPO法人
NPO法人をつくるとき、申請書類の一覧に「暴力団に該当しないことを確認したことを示す書面」という見慣れない書類があります。何のための書類で、どの条文から来ているのかを確かめていきましょう。

結論から申し上げます。NPO法人の設立の認証では、その団体が暴力団や、暴力団の構成員等の統制の下にある団体でないことが、認証の基準の一つになっています(特定非営利活動促進法〈以下「NPO法」〉12条1項3号)。だから設立の申請では、この基準に該当することを確認したことを示す書面を添えます(10条1項4号)。

役員についても定めがあります。暴力団の構成員等は、NPO法人の役員になることができません(20条4号)。「構成員等」には、暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない人も含まれます(12条1項3号ロ)。

この記事では、暴力団の定義、認証の基準、設立時に出す確認書、役員の欠格事由、認定NPO法人での扱い、認証が取り消される場面、そして定款や契約書に暴力団排除の条項を置くときの考え方までを、条文の順に整理します。

「暴力団」「暴力団の構成員等」とは ― 定義はNPO法の外にある

NPO法12条1項3号イは、暴力団を「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成3年法律第77号)第2条第2号に規定する暴力団」と定義しています。定義そのものは暴力団対策法にあり、NPO法はそれを引いています。

同号ロは、暴力団または「その構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む。)若しくは暴力団の構成員でなくなった日から五年を経過しない者」を「暴力団の構成員等」と呼び、その統制の下にある団体を基準から外しています。

ここで押さえておきたいのは、抜けてから5年を経過していない人も「構成員等」に含まれることです。現に構成員であるかどうかだけで判断する条文ではありません。

また、3号は「暴力団」そのものだけでなく、「統制の下にある団体」も対象にしています。形のうえで別の団体になっていても、実質的に統制されていれば認証の基準に適合しません。

POINT 条文が見ているのは①暴力団そのもの②暴力団の構成員等の統制の下にある団体の2つ。「構成員等」にはやめてから5年以内の人も入ります(NPO法12条1項3号)。

認証の基準の中での位置づけ

NPO法12条1項は、所轄庁が設立を認証する基準を4つ挙げています。1号が設立の手続・申請書・定款の内容が法令に適合していること、2号が2条2項に規定する団体に該当すること、3号が暴力団等に該当しないこと、4号が10人以上の社員を有することです。

基準に適合すると認めるときは、所轄庁は「その設立を認証しなければならない」と定められています。裁量で判断するのではなく、基準に当てはめる仕組みです。

認証または不認証の決定は、正当な理由がない限り、縦覧期間を経過した日から2か月(都道府県・指定都市の条例でこれより短い期間を定めたときはその期間)以内に行われます(12条2項)。不認証のときは、その旨と理由が書面で通知されます(12条3項)。

基準 内容
1号 手続・書類 設立の手続、申請書と定款の内容が法令に適合している
2号 団体の性質 NPO法2条2項の団体に該当する(非営利性・活動の制限)
3号 暴力団排除 暴力団、または暴力団の構成員等の統制の下にある団体でない
4号 社員の数 10人以上の社員を有する

設立の申請で出す「確認したことを示す書面」(10条1項4号)

NPO法10条1項は、設立の認証の申請に添付する書類を並べています。1号が定款、2号が役員に係る書類(役員名簿、各役員が20条各号に該当せず21条に違反しないことを誓約し就任を承諾する書面の謄本、住所等を証する書面)、3号が社員のうち10人以上の氏名・住所を記載した書面です。

そして4号が「第二条第二項第二号及び第十二条第一項第三号に該当することを確認したことを示す書面」です。宗教・政治に関する活動の制限(2条2項2号)と、暴力団等に該当しないこと(12条1項3号)の二つをまとめて確認する書面という位置づけです。

この書面の様式は、所轄庁である都道府県または指定都市が定めています。実務では「確認書」と呼ばれる1枚の書面で、代表者が確認した旨を記載して提出する形が一般的です。自分の法人の所轄庁が公開している様式に従ってください。

5号以下は設立趣旨書、設立の意思の決定を証する議事録の謄本、設立当初と翌事業年度の事業計画書・活動予算書です。確認書はこれらと並ぶ法定の添付書類で、任意の書類ではありません。

役員の欠格事由(20条)― 暴力団の構成員等はなれない

NPO法20条は、役員になることができない人を6つ挙げています。1号が破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者、2号が拘禁刑以上の刑に処せられ執行を終わった日等から2年を経過しない者、3号がNPO法・暴力団対策法違反や刑法204条(傷害)などの罪で罰金の刑に処せられ2年を経過しない者、4号が暴力団の構成員等、5号が43条により設立の認証を取り消された法人の解散当時の役員で取消しの日から2年を経過しない者、6号が心身の故障のため職務を適正に執行することができない者として内閣府令で定めるものです。

4号の「暴力団の構成員等」は、12条1項3号ロの定義がそのまま使われます。抜けてから5年を経過していない人も含みます。

設立のときは、各役員が20条各号に該当しないことを誓約する書面を出します(10条1項2号ロ)。役員が交代したときも、新たに就任した役員について同じ書類を所轄庁に提出します(23条2項。任期満了と同時に再任された場合を除く)。

2号の「拘禁刑」は、2025年6月1日に懲役と禁錮が一本化された現行の刑名です。古い解説にある「禁錮以上の刑」は、いまの条文では拘禁刑以上の刑と読みます。

欠格事由 期間
1号 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者 復権まで
2号 拘禁刑以上の刑に処せられた者 執行終了等から2年
3号 NPO法・暴力団対策法違反、傷害罪等で罰金刑 執行終了等から2年
4号 暴力団の構成員等 構成員でなくなった日から5年
5号 認証を取り消された法人の解散当時の役員 取消しの日から2年
6号 心身の故障のため職務を適正に執行できない者(内閣府令)

認定NPO法人では欠格事由として定められている(47条)

認定NPO法人・特例認定NPO法人には、45条の認定基準とは別に、47条の欠格事由があります。ここにも暴力団に関する定めが二か所あります。

一つめは役員についてです。役員のうちに「暴力団の構成員等」がある法人は認定を受けられません(47条1号ニ)。同じ1号のロは拘禁刑以上の刑で5年、ハはNPO法・暴力団対策法違反等の罰金刑で5年と定めており、設立時の役員欠格(20条の2年)より期間が長い点が違います。

二つめは法人そのものについてです。暴力団、または暴力団や暴力団の構成員等の統制の下にあるものは、認定を受けられません(47条6号)。

つまり、設立の場面では「認証の基準」として、認定の場面では「欠格事由」として、同じ趣旨の定めが置かれている、という構造です。

あとから分かったときはどうなるか

所轄庁は、法令に違反した場合などに、改善命令を経て、または経ずに、設立の認証を取り消すことができます(43条1項・2項)。3年以上にわたって事業報告書等の提出を行わない場合も取消しの対象です。

取消しに係る聴聞の期日における審理は、法人から請求があったときは、公開により行うよう努めるものとされています(43条3項)。公開しないときは、その理由を記載した書面が交付されます(43条4項)。

設立の認証を取り消された法人の解散当時の役員は、取消しの日から2年間、ほかのNPO法人の役員になることができません(20条5号)。取消しの効果は法人だけで終わらないということです。

定款や契約書に暴力団排除の条項を置くとき

NPO法は、定款に暴力団排除の条項を置くことを義務づけていません。定款の記載事項は11条1項に列挙されていて、そこに暴排条項はありません。

それでも、社員の資格の得喪に関する事項(11条1項5号)の中で、暴力団の構成員等を社員にしない、該当したときは除名できる、という定め方をしている法人はあります。ただし、社員の資格の得喪に不当な条件を付さないことが2条2項1号イの要件なので、条項の書き方は所轄庁の様式や案内を見ながら決めてください。

取引先との契約書に暴力団排除条項を入れるかどうかは、法人の判断です。都道府県の暴力団排除条例が事業者の努力義務を定めている場合があるので、活動地域の条例を確認しておくと判断しやすくなります。

施設の利用申込みや助成金の申請で、暴力団排除に関する誓約を求められる場面もあります。求められた書面に答えられるよう、役員の就任時に20条各号の誓約を取っておく運用が実務的です。

暴力団排除まわりで確認しておくこと

  • 設立の申請書類に、2条2項2号と12条1項3号の確認書(10条1項4号)を入れたか
  • 各役員から、20条各号に該当しない旨の誓約書(10条1項2号ロ)を取ったか
  • 役員が交代したとき、新任の役員分の誓約書を所轄庁に出したか(23条2項)
  • 「構成員でなくなってから5年」という期間の数え方を役員に説明したか
  • 認定を目指す法人は、47条1号の5年という長い期間を前提に役員を選んでいるか
  • 所轄庁が公開している確認書の様式を、最新のもので確認したか
  • 活動地域の暴力団排除条例に、事業者向けの定めがないかを見たか

よくある誤解を4つ

一つめは「確認書は任意の提出書類」という誤解です。NPO法10条1項4号が挙げる法定の添付書類です。

二つめは「現に暴力団員でなければよい」という誤解です。12条1項3号ロは、構成員でなくなった日から5年を経過しない者も「構成員等」に含めています。

三つめは「団体の名前が違えば別団体として扱われる」という誤解です。3号は「統制の下にある団体」も対象にしています。

四つめは「認定NPO法人でも期間は2年」という誤解です。設立時の役員欠格(20条2号・3号)は2年ですが、認定の欠格事由(47条1号ロ・ハ)は5年です。

NPO法人の暴力団排除についてよくある質問

Q. NPO法人の設立で暴力団に関する書類は何を出しますか?

A. 2条2項2号と12条1項3号に該当することを確認したことを示す書面です(NPO法10条1項4号)。様式は所轄庁である都道府県または指定都市が定めています。

Q. 暴力団の構成員等とは誰のことですか?

A. 暴力団の構成員(暴力団の構成団体の構成員を含む)と、暴力団の構成員でなくなった日から5年を経過しない者です(NPO法12条1項3号ロ)。

Q. 暴力団員だった人は役員になれますか?

A. 暴力団の構成員等はNPO法人の役員になることができません(NPO法20条4号)。構成員でなくなった日から5年を経過していない人も含まれます。

Q. 認証の基準はいくつありますか?

A. 4つです。手続・書類の法令適合(12条1項1号)、2条2項の団体に該当すること(2号)、暴力団等に該当しないこと(3号)、10人以上の社員(4号)です。

Q. 認定NPO法人では期間が違いますか?

A. 違います。設立時の役員欠格は拘禁刑以上の刑などで2年(NPO法20条2号・3号)ですが、認定の欠格事由では5年です(47条1号ロ・ハ)。

Q. 定款に暴力団排除条項は必要ですか?

A. NPO法は定款への記載を義務づけていません(定款の記載事項は11条1項)。社員の資格の得喪に関する事項の中で定める例はありますが、資格の得喪に不当な条件を付さないという2条2項1号イの要件との関係で、書き方は所轄庁に確認してください。

Q. 役員が交代したら書類は要りますか?

A. 新たに就任した役員については、役員変更等の届出に際して10条1項2号ロ・ハの書類を所轄庁に提出します(NPO法23条2項。任期満了と同時に再任された場合を除く)。

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