NPO法人の活動分野20種類の一覧|具体例と当てはまらないときの対処法

一般社団法人法
NPO法人が行える活動は20分野に限られています。自分たちの活動がどれに当たるかを確認しましょう。

NPO法人が行う特定非営利活動は、法律で20の分野に限定されています。

この20分野のどれにも当てはまらない活動を主たる目的にすると、認証を受けられません。

逆に言えば、どれかに整理できれば設立の道が開けます。

この記事では、20分野を一覧で示し、それぞれの具体例と判断のコツを解説します。

POINT 結論:20分野はかなり広く、多くの市民活動はどこかに当てはまります。大切なのは、活動の内容そのものより「不特定かつ多数の人の利益に向いているか」という設計です。会員だけが利益を受ける活動は、そのままでは該当しません。

20分野は法律で決められている

特定非営利活動促進法は、NPO法人が行える活動を別表で列挙しています。

この別表に挙げられているのが、いわゆる20分野です。

制度が始まった当初は12分野でしたが、法改正を経て20分野に拡大されました。

観光の振興や、農山漁村・中山間地域の振興は、後から追加された分野です。

20番目は、都道府県または指定都市の条例で定める活動とされています。

つまり、自治体が独自に分野を追加できる余地が残されています。

定款には、該当する分野を法律の表現にそって記載します。

複数の分野にまたがる場合は、主たるものから順に列挙するのが一般的です。

特定非営利活動の20分野

  • ①保健、医療または福祉の増進を図る活動
  • ②社会教育の推進を図る活動
  • ③まちづくりの推進を図る活動
  • ④観光の振興を図る活動
  • ⑤農山漁村または中山間地域の振興を図る活動
  • ⑥学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動
  • ⑦環境の保全を図る活動
  • ⑧災害救援活動
  • ⑨地域安全活動
  • ⑩人権の擁護または平和の推進を図る活動
  • ⑪国際協力の活動
  • ⑫男女共同参画社会の形成の促進を図る活動
  • ⑬子どもの健全育成を図る活動
  • ⑭情報化社会の発展を図る活動
  • ⑮科学技術の振興を図る活動
  • ⑯経済活動の活性化を図る活動
  • ⑰職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動
  • ⑱消費者の保護を図る活動
  • ⑲上記の活動を行う団体の運営または活動に関する連絡、助言または援助の活動
  • ⑳都道府県または指定都市の条例で定める活動

福祉・医療・子どもに関する分野

最も多くの団体が選ぶのが、保健、医療または福祉の増進を図る活動です。

高齢者のサロン運営、障害者の就労支援、介護予防の教室などが該当します。

子ども食堂は、子どもの健全育成と福祉の両方にまたがることが多い活動です。

学習支援や居場所づくりも、子どもの健全育成として整理できます。

不登校やひきこもりの支援は、福祉と社会教育の両面から説明できます。

医療的な行為を行う場合は、別に医療法などの規制がかかる点に注意が必要です。

介護保険サービスを提供するなら、指定事業者の申請も別途必要になります。

NPO法人の認証と、事業の許認可は別の手続きだと理解しておきましょう。

まちづくり・観光・地域に関する分野

まちづくりの推進を図る活動は、非常に幅の広い分野です。

商店街の活性化、空き家の活用、地域イベントの運営などが含まれます。

観光の振興を図る活動は、観光協会やDMOの法人化で使われます。

農山漁村または中山間地域の振興は、農業体験や移住支援などが該当します。

地域安全活動は、防犯パトロールや見守り活動が典型例です。

災害救援活動は、被災地支援や防災訓練の実施などが含まれます。

これらの分野は重なり合うことが多いため、複数を定款に記載する団体が目立ちます。

主たる活動がどれかを、事業計画書で明確に示すことが大切です。

文化・スポーツ・学術に関する分野

学術、文化、芸術またはスポーツの振興を図る活動も、よく使われる分野です。

地域のスポーツクラブ、吹奏楽団、劇団などの法人化に用いられます。

学会や研究会の運営も、学術の振興として整理できます。

伝統芸能の保存や、美術展の開催も文化・芸術の振興に当たります。

ここで注意したいのが、会員だけの活動になっていないかという点です。

会員だけで演奏を楽しむ団体は、不特定多数の利益に向いていません。

地域向けの公演や、子ども向けの教室を柱に据えると認められやすくなります。

誰に向けた活動なのかを、設計の段階で明確にしておきましょう。

環境・国際・人権に関する分野

環境の保全を図る活動は、里山の保全、リサイクル、自然観察会などが該当します。

国際協力の活動は、開発途上国の支援や、在日外国人の生活支援を含みます。

多文化共生の取り組みは、国際協力と人権の擁護の両面で説明できます。

人権の擁護または平和の推進を図る活動は、相談窓口の運営などが典型です。

男女共同参画社会の形成の促進は、働き方や育児に関する啓発活動が含まれます。

これらの分野は、政治活動と混同されないよう表現に注意が必要です。

特定の政党や候補者を支持する形になると、認証を受けられません。

政策提言そのものは禁止されていませんが、主たる目的にはできません。

仕事・経済・情報に関する分野

職業能力の開発または雇用機会の拡充を支援する活動は、就労支援団体が使います。

職業訓練、就職相談、若者の就労体験などが該当します。

経済活動の活性化を図る活動は、創業支援や中小企業支援が含まれます。

情報化社会の発展を図る活動は、デジタル格差の解消などが典型です。

高齢者向けのスマートフォン教室も、この分野で説明できます。

科学技術の振興を図る活動は、子ども向けの科学教室などが該当します。

消費者の保護を図る活動は、悪質商法の啓発や相談対応が含まれます。

19番目の連絡、助言または援助の活動は、中間支援組織が使う分野です。

分野に当てはまらない場合

20分野のどれにも当てはまらないなら、NPO法人は選べません。

たとえば、会員だけの親睦を目的とする団体は該当しにくくなります。

営利を主たる目的とする事業も、当然ながら対象外です。

宗教の教義を広める活動、政治上の主義を推進する活動も認められません。

この場合の選択肢が、一般社団法人です。

一般社団法人には活動分野の制限がなく、目的を自由に定められます。

設立も登記だけででき、2週間から4週間程度で成立します。

同じ活動でも、対象を広げれば20分野に整理できることもあります。

まずは活動の設計を見直し、それでも難しければ一般社団法人を検討しましょう。

よくある活動 該当しやすい分野
子ども食堂 子どもの健全育成/福祉の増進
スポーツクラブ 学術、文化、芸術またはスポーツの振興
商店街の活性化 まちづくりの推進/経済活動の活性化
里山の保全 環境の保全
外国人の生活支援 国際協力/人権の擁護
就労支援 職業能力の開発または雇用機会の拡充
高齢者のスマホ教室 情報化社会の発展/社会教育の推進
防犯パトロール 地域安全活動
会員だけの趣味の会 該当しにくい(一般社団法人を検討)

特定非営利活動事業とその他の事業

NPO法人の事業は、特定非営利活動事業とその他の事業に分かれます。

特定非営利活動事業は、20分野に該当する本来の活動です。

その他の事業は、本来の活動の資金を得るために行う収益的な事業を指します。

その他の事業を行う場合は、定款にその旨を定めておく必要があります。

会計も、特定非営利活動に係る事業と区分して経理しなければなりません。

その他の事業で利益が出た場合は、特定非営利活動事業に繰り入れます。

その他の事業のほうが規模で上回ることは、原則として認められません。

あくまで本来の活動を支えるための事業という位置づけです。

設立時にその他の事業を予定していないなら、無理に定款へ入れる必要はありません。

社会教育の推進と中間支援という使い方

社会教育の推進を図る活動は、意外と守備範囲の広い分野です。

講座、セミナー、講演会の開催は、多くの場合ここで説明できます。

生涯学習、市民向けの学習会、資格取得の支援なども含まれます。

19番目の連絡、助言または援助の活動は、中間支援組織のための分野です。

他のNPO法人の運営を支援したり、助成金の情報を提供したりする団体が該当します。

ボランティアセンターの運営も、この分野で整理できます。

自分たちが直接サービスを提供するのではなく、団体を支える活動という位置づけです。

この分野だけを単独で選ぶ団体は多くありませんが、他の分野と組み合わせて使われます。

定款への書き方のコツ

定款には、法律の別表の表現をそのまま使うのが基本です。

独自の言い回しに変えると、どの分野に当たるのか判断できなくなります。

該当する分野を列挙したうえで、具体的な事業を別の条文で定めます。

事業の欄には、何を、誰に対して、どのように行うのかを具体的に書きます。

抽象的な表現だけだと、補正を求められる原因になります。

将来行う可能性のある事業も、あらかじめ入れておくと変更の手間が減ります。

ただし、実施の見込みがない事業を並べるのは避けましょう。

事業計画書との整合が取れなくなり、かえって指摘を受けます。

不特定かつ多数の利益という考え方

20分野に形式的に当てはまるだけでは、認証を受けられないことがあります。

法律は、不特定かつ多数のものの利益の増進に寄与することを求めています。

ここでいう不特定とは、受益者があらかじめ限定されていないという意味です。

多数とは、人数が多いというより、広がりがあるという趣旨で理解されます。

たとえば、特定の10人だけを支援する活動は、この要件を満たしにくくなります。

同じ支援でも、条件に当てはまる人なら誰でも申し込める形にすれば認められやすくなります。

会員限定のサービスばかりの団体も、共益的だと判断されがちです。

会員向けの事業と、広く公開する事業のバランスを意識して設計しましょう。

この考え方は、認定NPO法人の審査でも共益的活動の割合として問われます。

設立の段階から、開かれた形をつくっておくことが後々の選択肢を広げます。

20分野のまとめ

NPO法人が行える特定非営利活動は、法律で20分野に限定されています。

福祉、まちづくり、環境、子どもの健全育成など、範囲はかなり広く設定されています。

判断の鍵は、活動が不特定かつ多数の人の利益に向いているかどうかです。

会員だけの活動は、そのままでは該当しません。

定款には、別表の表現をそのまま使い、事業は具体的に書きましょう。

どうしても当てはまらない場合は、活動分野の制限がない一般社団法人を検討します。

よくある質問

Q. 活動分野はいくつ選べる?

A. 複数選べます。多くの団体が2つから4つ程度を定款に記載しています。主たるものから順に列挙し、事業計画書で中心となる活動を明確に示しましょう。

Q. 趣味のサークルはNPO法人にできる?

A. 会員だけで楽しむ形のままでは該当しにくいです。地域に開かれた教室や公演など、不特定多数の人に向けた活動を柱に据えれば、文化・芸術・スポーツの振興として整理できます。

Q. 20分野に当てはまらないときは?

A. 一般社団法人という選択肢があります。活動分野の制限がなく、登記だけで2〜4週間で設立できます。ただし法定費用が約9〜11万円かかります。

Q. 政治的な提言はできる?

A. 活動の一環として政策提言を行うこと自体は禁止されていません。ただし政治上の主義を推進することや、特定の政党・候補者を支持することを主たる目的にはできません。

Q. あとから分野を追加できる?

A. できます。定款変更の手続きを行い、所轄庁の認証を受けます。ただし手間がかかるため、設立時にある程度の幅をもたせておくのが実務的です。

Q. 条例で定める活動とは?

A. 都道府県や指定都市が、条例で独自に追加した分野のことです。自治体ごとに内容が異なるため、所轄庁のホームページで確認してください。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。