NPO法人の設立認証を申請するには、11種類の書類を所轄庁へ提出します。
数が多いうえ、2年分を用意するものもあります。
ただし、ひとつずつ見れば決して難しい書類ではありません。
この記事では、必要書類の一覧と、それぞれの書き方のポイントを解説します。
- ①設立認証申請書
- ②定款
- ③役員名簿(氏名・住所・報酬の有無)
- ④役員の就任承諾書および誓約書の写し
- ⑤役員の住所または居所を証する書面
- ⑥社員のうち10人以上の氏名と住所の名簿
- ⑦確認書(宗教活動・政治活動を主目的としない旨)
- ⑧設立趣旨書
- ⑨設立総会の議事録の写し
- ⑩事業計画書(設立初年度・翌年度の2年分)
- ⑪活動予算書(設立初年度・翌年度の2年分)
書類は所轄庁の様式を使う
最初に押さえたいのが、書類の様式は所轄庁ごとに違うという点です。
所轄庁は、事務所が1つの都道府県内にあるならその都道府県知事です。
事務所が1つの政令指定都市内にのみあるなら、その市長になります。
各所轄庁のホームページに、様式と記載例が公開されています。
他県の様式をそのまま使うと、受理されないことがあります。
ダウンロードするときは、必ず提出先のページから取得してください。
記載例も同じページにあることが多いので、あわせて確認しましょう。
提出部数も自治体によって異なるため、事前に確認しておくと二度手間になりません。
①設立認証申請書
設立認証申請書は、申請の表紙にあたる書類です。
法人の名称、代表者の氏名、主たる事務所の所在地を記載します。
定款に定めた特定非営利活動の種類も書きます。
記載内容は、定款と一字一句そろえる必要があります。
法人名の前に「特定非営利活動法人」を付けるのを忘れないようにしましょう。
所轄庁によっては、連絡担当者の欄が設けられています。
審査中の連絡がスムーズになるので、必ず記入しておきます。
②定款
定款は、申請書類の中心となる書類です。
目的、名称、活動の種類と事業、事務所の所在地などを定めます。
社員の資格、役員、会議、資産、会計、事業年度も記載します。
解散に関する事項、定款の変更、公告の方法も必要です。
これらは法律で定められた必ず書くべき事項です。
所轄庁のひな形をベースにすると、抜け漏れを防げます。
事業の欄は、何を、誰に対して、どのように行うのかを具体的に書きます。
抽象的な表現だけだと、補正を求められる原因になります。
③役員名簿
役員名簿には、理事と監事の全員を記載します。
氏名、住所または居所、各役員の報酬の有無を書きます。
報酬を受ける役員は、役員総数の3分の1以下でなければなりません。
この人数を超えていないか、名簿を作りながら確認しましょう。
役員の役職も記載するのが一般的です。
親族が役員に含まれる場合は、その関係にも注意が必要です。
役員総数が6人以上のときは、親族の人数に制限がかかります。
④就任承諾書と誓約書
役員全員から、就任を承諾する旨の書面をもらいます。
あわせて、欠格事由に該当しないことを誓約する書面も必要です。
欠格事由には、破産して復権していないことや、一定の刑に処せられて2年を経過していないことなどがあります。
成年被後見人であることは、現在は欠格事由ではありません。
暴力団員であること、暴力団員でなくなってから5年を経過していないことも含まれます。
所轄庁の様式では、就任承諾書と誓約書が1枚にまとまっていることが多くあります。
提出するのは写しですが、原本は法人で保管しておきます。
役員が遠方にいる場合は、早めに依頼して回収しておきましょう。
⑤役員の住所を証する書面
役員全員について、住所または居所を証明する書面を提出します。
通常は、住民票の写しを使います。
マイナンバーが記載されていない住民票を取得してください。
取得から3か月以内など、有効期間を定めている所轄庁もあります。
外国籍の役員の場合は、住民票または在留カードの写しなどで対応します。
取得費用は1通300円程度で、役員の人数分が必要です。
設立登記でも証明書類が必要になるので、まとめて取得すると効率的です。
⑥社員10人以上の名簿
社員のうち10人以上の氏名と住所を記載した名簿を提出します。
ここでいう社員は、従業員ではなく総会で議決権を持つ正会員です。
10人ちょうどでも構いませんが、余裕をもって集めるのが実務的です。
設立後に社員が欠けると、解散事由に該当することがあります。
名簿に載せる人には、あらかじめ趣旨を説明して同意を得ておきましょう。
個人情報を扱うので、管理方法も決めておく必要があります。
この名簿は、毎年の事業報告書等でも提出することになります。
⑦確認書
確認書は、法律上の要件に該当しないことを申し出る書面です。
宗教の教義を広めることを主たる目的としないことを確認します。
政治上の主義を推進、支持、反対することを主たる目的としないことも確認します。
特定の公職の候補者や政党を推薦、支持、反対しないことも含まれます。
暴力団やその構成員の統制下にないことも申し出ます。
様式が決まっているので、所轄庁のものをそのまま使います。
代表者が記名押印して提出します。
⑧設立趣旨書
設立趣旨書は、なぜこの法人を作るのかを述べる文書です。
審査でよく読まれる書類のひとつなので、丁寧に作りましょう。
構成は、趣旨と、申請に至るまでの経過の2つに分けるのが一般的です。
趣旨には、地域や社会にどんな課題があるのかを書きます。
その課題に対して、自分たちが何をしようとしているのかを続けます。
なぜ任意団体ではなく法人格が必要なのかも述べると説得力が増します。
経過には、これまでの活動歴や、設立の準備をどう進めてきたかを書きます。
A4で1枚から2枚程度にまとめるのが目安です。
⑨設立総会の議事録
設立総会を開いて、定款や事業計画などを決議します。
その議事録の写しを提出します。
議事録には、開催の日時と場所、社員の総数と出席者数を記載します。
議事の経過の概要と、その結果も書きます。
議長と議事録署名人が署名または記名押印します。
決議する内容は、定款の承認、事業計画と活動予算の承認、役員の選任などです。
設立当初の財産の額を決議する所轄庁もあります。
議事録の日付と、事業計画書の対象年度が矛盾しないよう注意してください。
⑩事業計画書(2年分)
事業計画書は、設立初年度と翌年度の2年分を作成します。
設立初年度は、認証と登記の時期を見込んだ期間で組み立てます。
特定非営利活動に係る事業と、その他の事業を分けて記載します。
各事業について、事業名、内容、実施予定日時、場所、対象者を書きます。
定款に定めた事業と、名称や範囲がずれていないか確認しましょう。
実施の見込みがない事業を並べると、かえって指摘を受けます。
初年度は準備期間があるため、控えめな計画で構いません。
2年目に事業が広がっていく形にすると、自然な計画になります。
⑪活動予算書(2年分)
活動予算書は、事業計画に対応する収支の見込みを示す書類です。
こちらも設立初年度と翌年度の2年分が必要です。
収入は、会費、寄付金、助成金、事業収入などに分けて記載します。
支出は、事業費と管理費に分けるのが基本の形です。
事業計画書に書いた事業が、予算に現れていないと必ず指摘されます。
逆に、予算にあって計画にない支出も不整合になります。
収入の裏づけが乏しいと、実現可能性を疑われることがあります。
会費なら人数と単価、助成金なら応募予定の制度名まで説明できるようにしておきましょう。
| 書類 | 部数・期間 | つまずきやすい点 |
|---|---|---|
| 設立認証申請書 | 1通 | 定款と表記がずれる |
| 定款 | 1通 | 事業の書き方が抽象的 |
| 役員名簿 | 1通 | 報酬を受ける役員が3分の1超 |
| 就任承諾書・誓約書の写し | 役員全員分 | 回収に時間がかかる |
| 住所を証する書面 | 役員全員分 | マイナンバー記載を消し忘れる |
| 社員10人以上の名簿 | 1通 | 10人を確保できない |
| 確認書 | 1通 | 様式が古い |
| 設立趣旨書 | 1通 | 法人化の必要性が書かれていない |
| 設立総会の議事録の写し | 1通 | 日付が計画と矛盾する |
| 事業計画書 | 2年分 | 定款の事業と対応していない |
| 活動予算書 | 2年分 | 計画と数字が合わない |
提出前にやっておきたい事前相談
書類がそろったら、提出前に所轄庁の窓口で事前相談を受けましょう。
事前相談は無料で、多くの所轄庁が実施しています。
この場で指摘を受けて直しておけば、受理後の補正を大きく減らせます。
相談は予約制のことが多いので、早めに連絡しておきます。
定款と事業計画書、活動予算書の3点は、必ず見てもらう価値があります。
複数回にわたって相談する団体も珍しくありません。
担当者と顔がつながることで、その後の手続きも進めやすくなります。
補正を求められたときの対応
書類に不備があると、所轄庁から補正を求められることがあります。
補正は珍しいことではなく、多くの団体が一度は経験します。
指摘の内容は、定款の表現の修正や、計画と予算の不整合が中心です。
軽微なものであれば、その場で直せることもあります。
定款そのものを直す場合は、社員総会での決議のやり直しが必要になることもあります。
そのため、総会を開く前の事前相談が特に重要になります。
補正の対応期間が長引くと、そのぶん認証の時期も後ろにずれます。
指摘を受けたら、内容を正確に確認して速やかに直しましょう。
分からない点は、遠慮せず担当者に質問して構いません。
書類の保管と設立後の使い回し
提出した書類の控えは、必ず一式を保管しておきます。
設立登記の申請でも、定款や認証書の写しを使います。
銀行口座の開設でも、定款の提示を求められるのが一般的です。
助成金の申請でも、定款と事業計画書の提出を求められます。
電子データでも保管しておくと、そのつど作り直す手間が省けます。
役員名簿と社員名簿は、毎年の事業報告書等でも提出します。
最初から更新しやすい形式で作っておくと、翌年以降が楽になります。
個人情報を含むため、保管の方法とアクセスできる人も決めておきましょう。
📖 あわせて読みたい関連記事
必要書類のまとめ
NPO法人の設立認証には、11種類の書類が必要です。
事業計画書と活動予算書は、2年分を用意します。
様式は所轄庁ごとに異なるため、必ず提出先のものを使います。
定款、申請書、事業計画書、活動予算書の記載は、相互に矛盾がないようそろえます。
役員の就任承諾書と住民票は、回収に時間がかかるので早めに動きましょう。
提出前の事前相談が、結果的にいちばんの近道になります。
よくある質問
A. 基本は11種類です。設立認証申請書、定款、役員名簿、就任承諾書と誓約書の写し、住所を証する書面、社員10人以上の名簿、確認書、設立趣旨書、設立総会の議事録の写し、事業計画書、活動予算書です。
A. 設立初年度は認証と登記の期間が含まれ、活動期間が短くなるためです。翌年度分もあわせて見ることで、団体が継続的に活動できるかを判断しています。
A. マイナンバーが記載されていないものを取得してください。記載されたまま提出すると、返却や再取得を求められることがあります。
A. A4で1枚から2枚程度が目安です。地域の課題、それに対して何をするのか、なぜ法人格が必要なのかの3点を書くと構成がまとまります。
A. 所轄庁のホームページからダウンロードします。都道府県または政令指定都市ごとに様式が異なるため、必ず提出先のページから取得してください。
A. 受理されないか、受理後に補正を求められます。補正に対応する期間の分だけスケジュールが後ろにずれるため、提出前の事前相談で確認しておくのが確実です。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
📖 参考にした公的機関の情報


