会則とは?任意団体の会則の作り方と書くべき12項目|定款・規約との違い、権利能力なき社団と認められるための条文例つき

一般社団法人法
サークルや同窓会、自治会を立ち上げるとき、最初に作るのが「会則」です。何を書けばよいのか、書かないと何が困るのか。判例と条文から逆算して整理しましょう。

結論から申し上げます。会則とは、法人格のない団体(任意団体)が自分たちで定める基本ルールです。

会則の作り方を定めた法律はありません。形式も自由です。

それでも、何を書くかで団体の法的な扱いが変わります。代表の方法、総会、財産の管理が書かれていれば、団体は「権利能力なき社団」として扱われやすくなります。

この記事では、書くべき項目、条文例、定款・規約との違い、変更の手続、法人化のときの注意までを順に説明します。

会則・規約・定款は何が違うのか

「会則」と「規約」は、どちらも任意団体の基本ルールを指す言葉として使われます。法律上の区別はありません。

自治会では「規約」、同窓会や学会では「会則」と呼ぶことが多い、という程度の違いです。

これに対して「定款」は、法律で作成が義務づけられた法人の根本規則です。一般社団法人では、目的・名称・主たる事務所の所在地などの記載がなければ定款そのものが無効になる事項が定められています(一般法人法11条1項)。

定款は公証人の認証を受けなければ効力を生じません(同法13条)。会則には、こうした決まりは一切ありません。

なお、法人になった後に定款の下に置く細かいルールも「規約」「規程」と呼ばれます。任意団体の会則とは位置づけが違うので注意してください。

会則・規約(任意団体) 定款(法人)
作成の根拠 なし(任意) 法律で義務(一般法人法10条など)
必ず書く事項 法律上はなし 法律で決まっている(11条1項)
認証・届出 不要 公証人の認証など
変更の手続 会則の定めによる 法定の決議(特別決議など)
外部から見られるか 原則見られない 登記事項は誰でも確認できる

会則で何が決まるのか ― 権利能力なき社団の4要件

最高裁昭和39年10月15日判決(民集18巻8号1671頁)は、権利能力のない社団といえるための要件を示しました。

団体としての組織をそなえ、多数決の原則が行われ、構成員が変わっても団体が存続し、代表の方法、総会の運営、財産の管理その他団体としての主要な点が確定していることです。

この「確定している」ことを示す最もわかりやすい証拠が、会則です。

社団と認められれば、財産は構成員全員の総有になり、構成員は団体の債務について個人の責任を負わないとされます。代表者の定めがあれば、団体の名で裁判の当事者にもなれます(民事訴訟法29条)。

つまり会則は、団体の中の約束ごとであると同時に、外から団体として扱ってもらうための土台でもあるのです。

POINT 会則に「代表の方法・総会の運営・財産の管理」の3つが書かれているかを、まず確認してください。判例の4要件のうち、文書で示せるのはこの部分です。

会則に書くべき12項目

法律上の必須事項はありませんが、判例の4要件と、実際の運営で揉めやすい点から逆算すると、次の12項目を押さえておくと安心です。

①〜④は団体の骨格、⑤〜⑨は運営のルール、⑩〜⑫は財産と終わり方のルールです。

自治会が市町村長の認可を受けて認可地縁団体になる場合は、規約に目的、名称、区域、主たる事務所の所在地、構成員の資格に関する事項、代表者に関する事項、会議に関する事項、資産に関する事項を定める必要があります(地方自治法260条の2第3項)。この列挙も、会則に書くべき項目の目安になります。

# 項目 書く内容の例 関係する要件
1 名称 「〇〇会」 団体の同一性
2 目的 会員相互の親睦、〇〇の普及など —
3 事務所 代表者の住所、会の拠点など —
4 会員 入会の資格・入会の方法・退会・除名 構成員の変更にかかわらず存続
5 役員 会長・副会長・会計・監査の人数と役割 団体としての組織
6 役員の選任と任期 総会で選任・任期1年・再任可など 代表の方法
7 代表 会長が会を代表する 代表の方法
8 総会 年1回の定期総会・臨時総会の招集 総会の運営
9 議決の方法 出席者の過半数・定足数 多数決の原則
10 会費と会計 会費の額の決め方・会計年度・会計報告 財産の管理
11 財産の帰属と払戻し 退会しても会費は返還しない 財産の管理
12 会則の変更と解散 総会の3分の2以上で変更・解散時の残余財産 団体の存続

条文例 ― そのまま使える書き方の型

以下は、一般的な任意団体を想定した条文の例です。団体の実情に合わせて数字や役職を調整してください。

条文は短く、主語と数字をはっきり書くのがコツです。「適宜」「必要に応じて」といった言葉は、後で解釈が割れる原因になります。

〇〇会 会則

第1条(名称) 本会は、〇〇会と称する。

第2条(目的) 本会は、〇〇を目的とする。

第3条(事務所) 本会の事務所は、会長の定める場所に置く。

第4条(会員) 本会の目的に賛同し、所定の申込みをした者で、役員会の承認を得たものを会員とする。

第5条(退会) 会員は、会長に届け出て任意に退会することができる。

第6条(役員) 本会に、会長1名、副会長1名、会計1名、会計監査1名を置く。

第7条(選任・任期) 役員は総会で選任し、任期は1年とする。ただし再任を妨げない。

第8条(代表) 会長は本会を代表し、会務を総理する。

第9条(総会) 定期総会は毎年1回、会長が招集する。会員の5分の1以上の請求があったときは、会長は臨時総会を招集しなければならない。

第10条(議決) 総会は会員の過半数の出席で成立し、議事は出席者の過半数で決する。

第11条(会計) 本会の経費は、会費その他の収入をもって充てる。会計年度は毎年4月1日に始まり翌年3月31日に終わる。会計は、年度終了後の定期総会に収支を報告し、承認を受ける。

第12条(財産) 本会の財産は会長が管理する。既に納めた会費は、退会その他の理由にかかわらず返還しない。

第13条(会則の変更) この会則は、総会において出席者の3分の2以上の賛成により変更することができる。

第14条(解散) 本会は、総会において出席者の3分の2以上の賛成により解散する。解散時の残余財産は、総会の議決により、本会と類似の目的を持つ団体に寄付する。

附則 この会則は、〇年〇月〇日から施行する。

見落としやすい3つの条文

一つめは、会費を返さないことの明記です。最高裁昭和32年11月14日判決(民集11巻12号1943頁)は、社団の財産は構成員の総有で、定めがない限り元の構成員に持分の払戻請求権はないとしました。それでも、退会時の返金トラブルを防ぐには、会則に書いておくのが確実です。

二つめは、解散時の残余財産の行き先です。総有の財産は、処分に関する定めがなければ分け方が決まりません。「類似の目的を持つ団体に寄付する」「会員に等分する」など、どちらでもよいので決めておきます。

三つめは、臨時総会を会員から求める手続です。役員と会員の意見が割れたとき、会員の側から総会を開く方法がないと、団体が止まってしまいます。

会則を作る・変える手続

最初の会則は、設立のための集まり(設立総会)で、参加者の賛成により決めるのが一般的です。

会則の変更は、会則自身に定めた方法で行います。多くの団体では、総会で出席者の3分の2以上など、通常の議事より重い要件にしています。

変更したら、議事録に「第〇条を次のとおり改める」と改正内容を残し、附則に施行日を書き足します。改正の履歴を附則に積み上げておくと、どの時点で何が決まっていたかを後から確認できます。

会則の変更に届出は不要です。ただし、認可地縁団体が規約を変更したときは、市町村長の認可を受けなければ効力を生じません(地方自治法260条の3)。

会則を作ったあとに残しておくもの

  • 設立総会の議事録(会則を承認したこと・役員を選んだこと)
  • 会員名簿(入会・退会の日付)
  • 毎年の総会の議事録と会計報告
  • 会則の改正履歴(附則に施行日を追記)
  • 口座・備品・不動産の名義人と保管場所

銀行口座を作るときに会則が求められる

任意団体が銀行口座を開くとき、多くの金融機関は会則(規約)と、代表者を決めた議事録の提出を求めます。団体の実在と、誰が代表者かを確認するためです。

口座名義は「〇〇会 代表 山田太郎」のように、団体名と代表者名を並べる形が一般的です。

会則に代表者の定めがなかったり、議事録が無かったりすると、口座が作れないことがあります。会則を整えることは、口座開設の準備でもあります。

法人化するときは、会則を定款に移し替える

任意団体が一般社団法人やNPO法人になるとき、会則はそのまま使えません。法律が定める事項を備えた定款を新たに作る必要があります。

一般社団法人の定款では、目的、名称、主たる事務所の所在地、設立時社員の氏名又は名称及び住所、社員の資格の得喪に関する規定、公告方法、事業年度が必ず記載すべき事項です(一般法人法11条1項)。

会則の「会員」は、法人では「社員」と「それ以外の会員」に分けて考えるのが実務の定番です。社員は総会で議決権を持つ者で、会則の会員全員を社員にすると、総会の運営が重くなることがあります。

会則の中で、法人になっても使い続けたい細かいルール(会費の額、会員の種類、活動の方法など)は、定款の下に置く「会員規約」や「規程」として残すのが扱いやすい方法です。

会則の項目 法人化後の置き場所
名称・目的・事務所 定款(必ず記載)
会員の資格・入退会 定款(社員の資格の得喪)+会員規約
役員・代表 定款(理事・代表理事・監事)
総会・議決 定款+一般法人法の定め
会費の額 会員規約・総会の決議
解散時の財産 定款(残余財産の帰属)

会則についてよくある質問

Q. 会則とは何ですか?

A. 法人格のない団体(任意団体)が自分たちで定める基本ルールです。作成を義務づける法律はなく、形式も自由です。「規約」と呼ぶ団体もあり、法律上の違いはありません。

Q. 会則と定款の違いは?

A. 定款は法律で作成が義務づけられた法人の根本規則で、必ず書く事項(一般法人法11条1項)や公証人の認証(13条)が定められています。会則にはそうした決まりがありません。

Q. 会則に必ず書かなければならないことは?

A. 法律上の必須事項はありません。ただし判例(最判昭和39年10月15日)の要件から、代表の方法・総会の運営・財産の管理は必ず書いておくべきです。

Q. 会則が無いとどうなりますか?

A. 団体として扱われにくくなり、財産や債務が個人に帰属すると判断される余地が生まれます。銀行口座を作れないこともあります。

Q. 退会した人に会費を返す必要はありますか?

A. 社団の財産は総有とされ、定めがない限り持分の払戻請求権はありません(最判昭和32年11月14日)。会則に「既納の会費は返還しない」と明記しておくと確実です。

Q. 会則を変えるにはどうすればよいですか?

A. 会則に定めた方法で行います。多くは総会の特別な多数(出席者の3分の2以上など)です。届出は不要ですが、認可地縁団体の規約変更は市町村長の認可が必要です(地方自治法260条の3)。

Q. 法人化したら会則はどうなりますか?

A. 法人では法律の定める事項を備えた定款を新たに作ります。会則の細かいルールは、定款の下に置く会員規約や規程として残すのが一般的です。

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