任意団体の口座開設|自治会・PTA・サークルが団体名義の銀行口座を作る必要書類と流れ(会則の条文例つき)

一般社団法人法
会費や行事のお金を、会計担当の個人の口座で預かっていませんか。団体名義の口座を作りたいけれど、何を持っていけばいいのかわからない。そんな自治会・PTA・サークルの役員の方に向けて、手順を整理しました。

結論から申し上げます。任意団体でも、「人格なき社団」と認められれば、団体名義の口座を作れます。

そのために必要なのは、会則(規約)、総会議事録、活動と収支がわかる資料、代表者の本人確認書類です。会則に「代表者の選び方・総会・お金の管理」が書いてあるかどうかが、いちばんの分かれ目になります。

この記事では、口座を作れる団体の条件、金融機関が確認すること、必要書類、名義と代表者、申込みから開設までの流れを順に説明します。そのまま使える会則の条文例と、代表者が交代したときの手続きもまとめました。

任意団体でも団体名義の口座は作れる?

法人ではない団体、いわゆる任意団体でも、団体名義の口座を作ることはできます。ただし、どんな集まりでも作れるわけではありません。

金融機関が団体名義の口座を受け付けるのは、多くの場合「人格なき社団(権利能力のない社団)」にあたる団体です。

たとえばゆうちょ銀行は、サイト内のページ「団体(人格なき社団)名義の口座を開設されるお客さまへ」で、人格なき社団以外の団体については団体名義の口座の申込みを受け付けないと案内しています(2026年10月30日確認)。

人格なき社団にあたるかどうかは、次の4つの点で判断されます。ゆうちょ銀行や信用金庫の案内も、同じ4つを挙げています。

要件 具体的には 会則で示すところ
団体としての組織がある 会員・役員・総会など、組織の形がある 会員、役員の種類と人数
多数決で決めている 大事なことを総会などの多数決で決める 総会の議決の方法
会員が替わっても続く 入会・退会があっても団体は存続する 入会・退会の手続き
主要な点が決まっている 代表の決め方、総会の運営、財産の管理が定まっている 代表者の選任、総会、会計・財産の条文

この4つは、最高裁の判例が示した「権利能力のない社団」の考え方と同じものです。くわしくは権利能力なき社団とはで説明しています。

POINT 数人の仲間内の集まりで、会則も総会もない場合は、団体名義の口座は作れないことがあります。まず会則を作り、総会で決めるところから始めます。

金融機関が口座開設のときに確認すること

団体名義の口座を作るとき、金融機関は「犯罪による収益の移転防止に関する法律」(犯罪収益移転防止法)にもとづく取引時確認を行います。

この法律の4条5項は、顧客が人格のない社団や財団である場合の確認事項を定めています。読み替えると、確認するのは次の3つです。

一つめは、実際に手続きをする人(代表者など)の氏名・住居・生年月日です。団体そのものには法人のような登記がないため、手続きをする個人を確かめます。

二つめは、取引を行う目的です。会費の管理、行事の収支の管理など、何のために口座を使うのかを聞かれます。

三つめは、団体の事業(活動)の内容です。会則や活動の資料で、実際に活動している団体かどうかを確かめます。

これに加えて、多くの金融機関は独自の審査を行っています。口座の不正利用を防ぐため、法律で求められる確認よりも多くの書類を求めることがあるのです。

確認されること 根拠 示すもの
手続きをする人の本人特定事項 犯罪収益移転防止法4条5項(読替後の4条1項1号) 代表者などの本人確認書類
取引を行う目的 同法4条1項2号 申込書への記入・窓口での質問
団体の事業の内容 同法4条5項(読替後の4条1項3号) 会則・活動資料・議事録
団体の実態(金融機関の審査) 各金融機関の基準 総会議事録・収支報告書など

ある信用金庫(玉島信用金庫・2024年8月の案内)は、もう一つの理由として預金保険法を挙げています。万一のときに預金の払戻しを早く行えるよう、金融機関は口座名義や代表者のデータを日ごろから整えておく必要があるため、団体名義は人格なき社団に限って受け付けている、という説明です。

必要書類 ― 金融機関の案内に出てくるもの

必要な書類は金融機関によって違います。ここでは、ゆうちょ銀行と信用金庫の案内に共通して出てくるものをまとめます。

一つめは、口座に設定する代表者の本人確認書類です。マイナンバーカードや運転免許証など、顔写真付きのものを求められます。代表者以外の人が窓口へ行く場合は、その人の本人確認書類も必要です。

二つめは、団体の規約(会則)です。ゆうちょ銀行は、団体の代表者による証明があるものを求めています。会則の末尾に「この会則は原本と相違ありません」と書き、代表者の氏名を記入する形が考えられます。

三つめは、総会議事録です。できたばかりの団体は、設立総会の議事録を出します。

四つめは、活動実績がわかる資料です。総会の案内、事業計画書、会報などが当たります。総会議事録で活動の内容がわかれば不要とする金融機関もあります。

五つめは、収支がわかる資料です。収支報告書が基本で、最初の決算がまだの団体は設立総会で承認した予算書を出す例もあります。

このほか、団体の届出印にする印章を用意します。行政の許可や届出が必要な活動をしている場合は、その許可証などを求められることもあります。

任意団体の口座開設で求められる書類の例
書類は一例です。申込み前に、使う金融機関の窓口やサイトで確かめてください
書類 ゆうちょ銀行の案内 玉島信用金庫の案内(2024年8月)
代表者の本人確認書類 顔写真付き(来店者が違えば来店者の分も) 顔写真付き(原則として代表者本人が手続き)
規約・会則 代表者の証明があるもの 規約または会則
総会議事録 必要 必要(設立間もない場合は設立総会)
活動実績の資料 議事録で確認できれば不要 総会招集通知・会合の案内・事業計画書など
収支の資料 議事録などで確認できれば不要 収支報告書(初年度は予算書)
審査の期間 平均1か月程度 1週間程度かかる場合がある

表は2026年10月30日に各社の案内を確認した内容です。書類は原本を見せ、コピーを取られるのが一般的です。書類がそろわないと申込みを受け付けない、と明記している金融機関もあります。

口座の名義と代表者はどう決まる?

口座の名義は、会則に書いてある団体の名前に合わせるのが基本です。玉島信用金庫は、口座名義を規約または会則に記載の名義とすると案内しています。

そのため、会則の名前と、ふだん使っている呼び名が違う場合は注意が必要です。たとえば会則が「〇〇町第二町内会」なのに「二町会」の名前で口座を作りたい、という希望は通らないことがあります。

口座の代表者は、会則や総会議事録に書かれた団体の代表者になります。会長が代表者なら会長、会則で別の役職を代表と決めていればその人です。

会計担当の人の名前で口座を作りたい場合でも、代表者は会則上の代表者になるのが原則です。会計担当が通帳を管理するのは、団体の内部の役割分担として決めます。

POINT 会則に「本会の代表者は会長とする」のように、代表者がだれかを一文で書いておくと、窓口での確認がスムーズです。

申込みから開設までの流れ

団体名義の口座ができるまでは、おおむね6つのステップです。

まず、会則を整えます。名前、目的、会員、役員と代表者、総会、会計と財産の管理の条文がそろっているかを確かめます。

次に、総会(または会則で決めた機関)で、口座を作ることと、口座の代表者を決めます。決めたことは議事録に残します。

そのうえで書類をそろえ、金融機関の窓口で申し込みます。窓口では取引の目的や活動内容を聞かれるので、答えられるようにしておきます。

申込みのあとは審査です。ゆうちょ銀行は平均1か月程度、連休や年末年始、申込みが集中する時期はそれ以上かかることがあると案内しています。年度替わりの総会の直後は混みやすいので、日程に余裕を持って申し込みます。

審査が通れば口座が開設されます。通帳と届出印の保管のしかたを、役員会で決めておきます。

団体名義の口座ができるまでの流れ
会則と総会の決定が、窓口での審査の土台になります
窓口へ行く前に確かめること

  • 会則に代表者の決め方・総会・財産の管理の条文がある
  • 会則の団体名と、申し込む口座名義が同じ
  • 総会議事録に、代表者の選任と口座を作ることが書いてある
  • 代表者の顔写真付き本人確認書類(住所が今の住所になっている)
  • 活動の資料(総会の案内・事業計画書・会報など)
  • 収支報告書(初年度は予算書)
  • 届出印にする団体の印章
  • 窓口へ行く人が代表者でない場合は、その人の本人確認書類

会則に入れておきたい条文の例

口座の審査で見られるのは、代表者の決め方、総会の運営、財産の管理が会則に書いてあるかどうかです。会則が短く、この3つが抜けている団体は、口座を作る前に総会で会則を改めておきます。

次の例文は、会則の一部です。〇〇の部分を書き換えて使ってください。条文の番号は、団体の会則に合わせて振り直します。

会則の条文例(代表者・総会・財産の管理)

(名称)第1条 本会は、〇〇町内会(以下「本会」という。)と称する。

(役員)第〇条 本会に、会長1名、副会長〇名、会計1名、会計監査〇名を置く。

(代表者)第〇条 会長は、本会を代表し、会務を総括する。

(役員の選任)第〇条 役員は、総会において会員の中から選任する。

(総会の議決)第〇条 総会の議事は、出席した会員の過半数で決し、可否同数のときは議長の決するところによる。

(財産の管理)第〇条 本会の財産は、会長が管理し、その方法は役員会で定める。

(預金口座)第〇条 本会の金銭は、本会名義の預金口座で管理する。通帳と届出印は、それぞれ別の役員が保管する。

(会計年度)第〇条 本会の会計年度は、毎年4月1日に始まり、翌年3月31日に終わる。

(会計報告)第〇条 会長は、毎会計年度終了後、収支報告書を作成し、会計監査の監査を受けて総会の承認を得る。

会則全体の作り方は会則とは?任意団体の会則の作り方、総会での決め方は総会議事録の書き方と例文で説明しています。

代表者や会計担当が交代したとき

役員改選で代表者が替わったら、金融機関に代表者の変更を届け出ます。届け出ないままだと、窓口での手続きのたびに確認に時間がかかります。

変更の手続きでは、新しい代表者の本人確認書類と、交代を決めた総会や役員会の議事録などを求められることがあります。必要なものは金融機関ごとに違うので、事前に窓口で確かめます。

会計担当だけが替わる場合は、口座の名義や代表者は変わりません。団体の中で、通帳・届出印・キャッシュカードの引継ぎを記録に残すことが大切です。

引継ぎのときは、通帳の残高と現金出納帳の残高が合っているかを、前任と後任がいっしょに確かめます。確かめた日付と残高を、引継ぎの書面に書いて両方が署名しておくと安心です。

役員の決め方は役員改選のやり方、帳簿のつけ方は現金出納帳の書き方(無料エクセル)をご覧ください。

個人名義の口座で団体のお金を預かるリスク

団体名義の口座がないため、会計担当や会長の個人名義の口座で会費を預かっている団体もあります。しかし、個人名義の口座は、金融機関からはその個人の口座として扱われるのが原則です。

そのため、名義人の個人のお金と団体のお金が混ざり、どこまでが団体のお金なのかがわかりにくくなります。名義人が亡くなったり、連絡が取れなくなったりすると、引き出しに手間がかかることもあります。

会計担当が交代するたびに口座を作り直すことになり、過去の入出金の記録が団体の手元に残りにくい、という問題もあります。

人格なき社団の財産は、会員全員のもの(総有)と考えられています。団体のお金は団体名義の口座で管理することが、会員の信頼を守ることにつながります。

通帳と印鑑の管理 ― 不正やトラブルを防ぐ決めごと

団体名義の口座ができたら、管理のしかたを役員会で決めておきます。おすすめは、通帳と届出印を別の人が持つことです。一人だけで引き出しができない形にしておくと、間違いや不正を防げます。

引き出しのときは、会計担当が出金の理由を書いた伝票を作り、会長が確認する、といった手順を決めます。領収書は日付順に整理し、現金出納帳と照らし合わせます。

年度末には、監査担当が通帳の残高と収支報告書を照らし合わせます。結果を総会で報告し、承認を受けます。

インターネットバンキングを使う場合も、だれがログインできるのか、だれが承認するのかを決めておきます。

決めておくこと 例
通帳の保管 会計担当が保管する
届出印の保管 会長が保管する(通帳とは別の人)
引き出しの手順 伝票を作り、会長の確認を受けてから引き出す
現金の上限 手元に置く現金は〇万円までとし、残りは口座へ
点検 月1回、通帳と出納帳の残高を照合。年度末に監査
引継ぎ 交代時に残高を確認し、引継書に双方が署名

口座を作ったあとに気をつけること

金融機関は、口座を作ったあとも、取引の目的や団体の情報を定期的に確認することがあります。玉島信用金庫の案内にも、定期的な確認への協力のお願いが書かれています。案内が届いたら、期限までに答えます。

長いあいだ使わない口座は、手数料がかかったり、手続きが必要になったりすることがあります。使わなくなった口座は、総会で決めたうえで解約します。

ゆうちょ銀行の場合、人格なき社団名義の貯金にも預入限度額があります。通常貯金と定期性貯金はそれぞれ1,300万円までで、振替口座には限度額がありません(同行の案内)。同じ団体名義なら、本部と支部の区別なく一つの団体として数えられます。

団体が大きくなり、不動産を持ったり職員を雇ったりするようになったら、法人化を考える時期です。法人になれば、法人の名前で口座を作り、財産を持てます。比べ方は任意団体を一般社団法人にするには、自治会なら認可地縁団体とはで説明しています。

任意団体の口座開設についてよくある質問

Q. 任意団体でも銀行口座は作れますか?

A. 人格なき社団(権利能力のない社団)にあたる団体なら、団体名義の口座を作れます。組織があること、多数決で決めていること、会員が替わっても団体が続くこと、代表の決め方・総会・財産の管理が決まっていることの4つが目安です。

Q. 必要な書類は何ですか?

A. 代表者の顔写真付き本人確認書類、会則(規約)、総会議事録、活動実績がわかる資料、収支報告書(初年度は予算書)、団体の印章が、金融機関の案内によく出てきます。必要なものは金融機関ごとに違うので、申込み前に確かめてください。

Q. 口座の名義はどうなりますか?

A. 会則に書かれた団体の名前に合わせるのが基本です。口座の代表者は、会則や総会議事録に書かれた団体の代表者になります。

Q. 口座ができるまでどのくらいかかりますか?

A. 金融機関の審査があります。ゆうちょ銀行は平均1か月程度、信用金庫では1週間程度とする案内もあります。時期によってはさらにかかります。

Q. 会計担当の名前で口座を作れますか?

A. 団体名義の口座の代表者は、会則上の代表者になるのが原則です。会計担当が通帳を管理することは、団体の中の役割分担として決めます。

Q. 代表者が替わったらどうすればいいですか?

A. 金融機関に代表者の変更を届け出ます。新しい代表者の本人確認書類と、交代を決めた総会などの議事録を求められることがあるので、必要なものを窓口で確かめてください。

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