社員総会は、NPO法人の最高意思決定機関です。
毎年少なくとも1回は開かなければなりません。
議決権は、社員1人につき1個が原則です。
この記事では、招集の手続きから議決のしかた、議事録の作り方まで解説します。
社員総会とは何か
社員総会は、社員全員で構成される最高意思決定機関です。
ここでいう社員は、従業員ではなく議決権を持つ正会員のことです。
法人の重要な事項は、すべて総会で決めるのが原則です。
定款の変更、解散、合併は、必ず総会の決議が必要です。
事業計画や予算、決算の承認も総会で行うのが一般的です。
役員の選任も、通常は総会の決議事項とされます。
定款で理事会に委ねた事項は、理事会で決めることができます。
ただし、法律で総会の決議が必要とされている事項は委ねられません。
通常総会と臨時総会
総会には、通常総会と臨時総会があります。
通常総会は、毎年少なくとも1回開かなければなりません。
多くの団体が、決算の承認のために事業年度終了後に開催しています。
所轄庁への提出期限が事業年度開始から3か月以内なので、それに間に合う時期に設定します。
臨時総会は、必要があるときに開く総会です。
理事が必要と認めたときは、いつでも招集できます。
また、総社員の5分の1以上から請求があったときは、招集しなければなりません。
この5分の1という割合は、定款でこれより低い割合に変えることができます。
監事が、監査の結果を報告するために招集することもあります。
招集の手続き
総会を開くには、招集の通知を出す必要があります。
通知は、少なくとも5日前までに発しなければなりません。
定款でこれより長い期間を定めることもできます。
通知には、会議の目的である事項を示します。
つまり、何を決める総会なのかを事前に知らせるということです。
通知に示していない事項は、原則として決議できません。
書面表決を認める場合は、議案の内容も分かるように送ります。
通知の方法は、書面のほか、定款で定めれば電子メールでも構いません。
通知を出した記録は、残しておきましょう。
議決権と定足数
議決権は、社員1人につき1個が原則です。
会費を多く払った人が強くなるということはありません。
この平等性が、NPO法人の民主的な運営を支えています。
定款で別段の定めをすることもできますが、実務ではほとんど使われません。
定足数は、法律では定められておらず、定款で定めます。
社員の過半数の出席を要件とする例が多く見られます。
定足数を高く設定しすぎると、総会が成立しなくなります。
実際に集まる人数を考えて、無理のない定めにしましょう。
議決は、出席した社員の過半数で行うのが一般的です。
書面表決と代理人による表決
総会に出席できない社員も、意思表示をする方法があります。
法律は、書面による表決と、代理人による表決を認めています。
書面表決は、議案ごとに賛否を記入した書面を提出する方法です。
代理人表決は、他の社員に委任状を渡して代わりに議決してもらう方法です。
これらの方法で表決した社員は、出席したものとみなされます。
したがって、定足数の計算にも含めることができます。
遠方の社員が多い団体では、この仕組みが不可欠になります。
定款で定めれば、電磁的方法による表決も可能です。
招集通知に、議決権行使書と委任状の様式を同封するのが実務的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 通常総会 | 毎年少なくとも1回 |
| 臨時総会の招集請求 | 総社員の5分の1以上(定款で引き下げ可) |
| 招集通知 | 少なくとも5日前までに会議の目的を示して発する |
| 議決権 | 社員1人につき1個が原則 |
| 定足数 | 定款で定める(社員の過半数の出席が多い) |
| 欠席者の表決 | 書面表決・代理人表決が可能 |
| 定款変更の議決 | 社員総数の2分の1以上が出席し出席者の4分の3以上(定款で別段の定め可) |
| 解散の議決 | 総社員の4分の3以上(定款で別段の定め可) |
決議に必要な賛成の数
通常の議案は、出席者の過半数で決議するのが一般的です。
ただし、重要な事項には特別な要件があります。
定款の変更は、社員総数の2分の1以上が出席し、出席者の4分の3以上の賛成が必要です。
定款でこれと異なる定めをすることもできます。
解散の決議は、総社員の4分の3以上の賛成が必要です。
こちらは出席者ではなく、社員全体の4分の3である点に注意してください。
合併も、解散と同様に重い要件が定められています。
議案ごとに必要な賛成数が違うので、事前に確認しておきましょう。
オンライン総会は開けるか
オンラインでの総会開催は、実務上広く行われています。
重要なのは、社員が実際に議論に参加できる環境があることです。
双方向で意思疎通ができる状態であれば、出席として扱えると考えられています。
定款に、オンライン開催ができる旨を定めておくと運用が安定します。
議事録には、オンラインで開催した旨と、その方法を記載します。
通信環境の不具合で参加できなかった社員がいないかも確認しましょう。
会場とオンラインを併用するハイブリッド開催も可能です。
書面表決や委任状と組み合わせれば、参加のハードルはさらに下がります。
議事録の作り方
総会を開いたら、議事録を作成します。
記載するのは、開催の日時と場所、社員の総数と出席者数です。
書面表決や委任状による出席者の数も、内訳を分けて書きます。
議事の経過の概要と、その結果を記載します。
議案ごとに、賛成数と反対数を書くと明確になります。
議長と議事録署名人が、署名または記名押印します。
議事録は、法人の事務所に保管します。
定款変更や役員変更の手続きでは、議事録の写しを提出することになります。
所轄庁や法務局に出すことを前提に、正確に作成しましょう。
総会でよくある失敗
第一に、招集通知の期間が足りないケースです。
5日前という期限は最低ラインなので、余裕をもって出しましょう。
第二に、通知に示していない事項を決議してしまうケースです。
当日に議題を追加すると、決議が無効になる恐れがあります。
第三に、定足数を満たしていないのに議事を進めてしまうケースです。
書面表決や委任状を集めておけば、多くの場合は回避できます。
第四に、議事録の記載が不十分なケースです。
出席者数や賛否の数がないと、後で手続きに使えません。
第五に、そもそも総会を開いていないケースです。
通常総会は毎年開く義務があるので、忘れないでください。
社員が集まらないときの工夫
総会に人が集まらないという悩みは、多くの団体が抱えています。
第一の対策は、書面表決と委任状の様式を必ず同封することです。
これだけで、定足数の問題はかなり解消できます。
第二に、開催日時を早めに知らせて予定を押さえてもらうことです。
第三に、オンライン参加の選択肢を用意することです。
第四に、定款の定足数を実態に合った水準に見直すことです。
ただし、定足数を下げすぎると意思決定の正統性が弱まります。
第五に、総会を活動の報告会と兼ねて、参加する意味を作ることです。
事務的な議事だけでは、足を運ぶ動機になりにくいものです。
総会で決めることと理事会で決めること
何を総会で決め、何を理事会に委ねるかは、定款で整理します。
定款の変更、解散、合併は、必ず総会の決議が必要です。
事業計画と予算、事業報告と決算も、総会の承認とするのが一般的です。
役員の選任と解任も、総会の決議事項とする例が多く見られます。
一方、日常の業務執行や規程の制定は、理事会に委ねます。
職員の採用や、少額の支出の決定も理事会の範囲です。
この線引きが曖昧だと、意思決定のたびに迷うことになります。
定款に加えて、決裁の基準を規程で定めておくと運用が安定します。
金額の基準を決めておけば、事務局も動きやすくなります。
総会の準備と当日の流れ
総会の準備は、開催日の1か月前から始めるのが目安です。
まず理事会で、議案と開催日時を決めます。
決算を扱う総会なら、監事の監査を先に済ませておきます。
次に、招集通知と資料を作成して発送します。
議決権行使書と委任状の様式も同封します。
当日は、まず出席者数と書面表決の数を確認して定足数を報告します。
議長を選任し、議案ごとに説明と質疑を行います。
採決を行い、賛否の数を確認して結果を宣言します。
終了後は、速やかに議事録を作成して署名を集めます。
所轄庁への提出が必要な書類があれば、あわせて準備します。
社員の入会と退会
総会の運営を考えるうえで、社員の管理は避けて通れません。
入会と退会の手続きは、定款で定めます。
入会は、申込みを受けて理事会が承認する形が一般的です。
承認を要件にすること自体は問題ありませんが、不当な制限になってはいけません。
退会は、届出によっていつでもできるようにするのが通例です。
会費を長期間滞納した会員の扱いも、定款や規程で決めておきましょう。
除名については、総会の決議など慎重な手続きを定めるのが一般的です。
社員名簿は常に最新の状態に保ち、総数を把握しておきます。
社員が10人を下回ると、解散事由に該当する恐れがあります。
総会のたびに人数を確認する習慣をつけておくと安心です。
総会と一般社団法人との違い
一般社団法人にも社員総会があり、最高意思決定機関である点は同じです。
ただし、細かいルールにはいくつか違いがあります。
一般社団法人の招集通知は、原則として1週間前までに出します。
NPO法人は5日前までなので、こちらのほうが短く設定されています。
一般社団法人は、社員2人以上で設立でき、設立後は1人でも存続できます。
NPO法人は社員10人以上が必要で、総会の運営規模も大きくなります。
一般社団法人には、所轄庁への事業報告書等の提出義務がありません。
そのため、総会で決算を承認したあとの手続きが軽くなります。
運営の手間だけを見れば、一般社団法人のほうが負担は小さいと言えます。
その代わり、寄付者への税制優遇や社会的な信用の面ではNPO法人が有利です。
社員総会のまとめ
社員総会は、NPO法人の最高意思決定機関です。
通常総会は、毎年少なくとも1回開かなければなりません。
招集通知は、少なくとも5日前までに会議の目的を示して出します。
議決権は社員1人につき1個が原則です。
出席できない社員は、書面または代理人によって表決できます。
定款変更は出席者の4分の3以上、解散は総社員の4分の3以上が必要です。
議事録は、後の手続きで使うことを前提に正確に作成しましょう。
よくある質問
A. 通常総会を毎年少なくとも1回開く必要があります。必要に応じて臨時総会を開くこともできます。
A. 少なくとも5日前までに、会議の目的である事項を示して発します。定款でこれより長い期間を定めることもできます。
A. 書面による表決か、代理人による表決ができます。これらの方法で表決した社員は出席したものとみなされ、定足数にも含められます。
A. 変わりません。社員1人につき1個が原則です。多く寄付した人の議決権が増えるということはありません。
A. できます。双方向で意思疎通ができる環境であれば出席として扱えます。定款にオンライン開催の定めを置き、議事録にもその旨を記載しましょう。
A. 通常総会は法律上の義務です。開かないと決算の承認ができず、所轄庁への事業報告書等の提出にも支障が出ます。
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