一般社団法人の社員総会の招集通知|書き方と出す時期を解説

一般社団法人法
招集通知は「いつまでに」「何を書いて」「どうやって」出すかが法律で決まっています。期限を1日誤ると決議の取消しを争われることもあります。条文に沿って確認します。

結論から申し上げます。

社員総会の招集通知は、社員総会の日の1週間前までに、理事が社員へ発します(一般法人法39条1項)。

書面や電子での議決権行使を認めるときは、2週間前までに早まります(同項ただし書)。

通知には、日時・場所・議題など、招集のときに決めた事項を書きます(39条4項・38条1項)。

理事会設置法人では、通知は書面で出すのが原則で、社員の承諾があればメールでも出せます(39条2項・3項)。

理事会を置かない法人は、定款で1週間より短い期間を定めることができます。

POINT 期限は「総会の日の1週間前までに発する」。書面投票・電子投票・電子提供なら2週間前。理事会設置法人は理事会で招集事項を決めてから出します(38条2項)。

招集通知の基本|誰が・誰に・いつまでに

社員総会は、原則として理事が招集します(36条3項)。

理事会を置く法人では、日時・場所・議題などを理事会の決議で決めなければなりません(38条2項)。

通知の相手は、議決権を持つ社員全員です。賛助会員など社員でない会員は、法律上の通知の相手ではありません。

定時社員総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集します(36条1項)。

臨時社員総会は、必要があればいつでも招集できます(36条2項)。

場面 通知の期限 通知の方法 根拠
理事会なし・書面投票なし 1週間前(定款で短縮可) 方法の定めなし 39条1項
理事会あり・書面投票なし 1週間前(短縮不可) 書面(承諾があれば電子) 39条1項・2項2号・3項
書面・電子による議決権行使を認める 2週間前 書面(承諾があれば電子) 39条1項ただし書・2項1号
電子提供措置をとる 2週間前 書面(承諾があれば電子) 47条の4第1項

理事会を置かず書面投票も認めない法人では、通知の方法に法律上の決まりがありません。

それでも、後で「聞いていない」と言われないよう、記録が残る方法を選ぶのが安全です。

通知を出す時期と日数の数え方

39条は、総会の日の1週間前までに通知を「発しなければならない」と定めています。

基準は社員に届いた日ではなく、発送した日です。

期間は、発送した日と総会の日を含めずに数えるのが安全です。間に7日を空ける数え方で、いわゆる「中7日」です。

行政の指導でも、期間を「中14日」のように、間の日数で数えて示しています(山梨県の指摘事項)。

定款で1週間より長い期間(たとえば2週間前)を定めている法人は、定款の期間に従います。

理事会を置かない法人は、定款で「3日前」のように短くすることもできます(39条1項かっこ書き)。

6月26日に定時社員総会を開く場合の発送期限(例)

書面投票を認めない場合:6月18日までに発送(19日〜25日の7日間を空ける)

書面投票・電子投票を認める場合:6月11日までに発送(12日〜25日の14日間を空ける)

電子提供措置をとる場合:通知は6月11日まで。電子提供は6月5日(3週間前の日)か通知を発した日の早いほうから

理事会設置法人の計算書類の備置き:6月12日(2週間前の日)から

郵便は配達に日数がかかります。発送の記録(発送日・宛先)を残しておくと、期限を守ったことを示せます。

電子提供の開始日は47条の3、計算書類の備置きは129条1項が定めています。

招集通知に書く事項

招集通知に書く事項
図:招集通知に書く事項

招集通知には、理事(理事会)が招集のときに決めた事項を書きます(39条4項)。

決めるべき事項は、38条1項と施行規則4条に並んでいます。

記載事項 書く場面 根拠
社員総会の日時と場所 いつも 38条1項1号
社員総会の目的である事項(議題) 議題があるとき 38条1項2号
書面で議決権を行使できる旨 書面投票を認めるとき 38条1項3号
電磁的方法で議決権を行使できる旨 電子投票を認めるとき 38条1項4号
書面・電子投票の期限(特定の時を定めるとき) 書面・電子投票を認めるとき 規則4条1号ロ・ハ
代理人による行使の方法(証明の方法・代理人の数など) 定款にない事項を定めるとき 規則4条2号
議案の概要 役員等の選任・報酬等・事業の全部の譲渡・定款変更・合併が議題のとき 規則4条3号

書面投票を認めない総会で、役員の選任や定款変更を議題にするときは、議案の概要まで通知に書く必要があります(規則4条3号)。

「理事選任の件」だけでなく、候補者の氏名などを示すということです。

議案が確定していないときは、その旨を書きます(同号かっこ書き)。

議題の書き方が大切な理由

理事会設置法人の社員総会は、招集通知に書いた議題以外は決議できません(49条3項)。

当日に「ついでに」別の件を決めることはできないということです。

理事会を置かない法人ではこの制限がありませんが、欠席した社員との間で争いになりやすい点は同じです。

議題は「第1号議案 令和〇年度計算書類承認の件」のように、決める内容がわかる形で書きます。

報告事項(事業報告の内容など)と決議事項は分けて書くと、当日の進行がわかりやすくなります。

議題で漏れやすいもの

  • 定時社員総会の計算書類の承認(126条2項)
  • 任期が満了する理事・監事の選任(再任も含む)
  • 定款に額を定めていない理事・監事の報酬
  • 事業報告の内容の報告(決議ではなく報告事項。126条3項)
  • 定款変更をする場合の変更案の内容

招集通知の記載例

理事会設置法人で、書面投票を認めない定時社員総会の通知例です。

法人の定款や総会の内容に合わせて調整してください。

定時社員総会招集ご通知(例)

令和〇年〇月〇日 社員各位 一般社団法人〇〇協会 代表理事 〇〇〇〇

第〇回定時社員総会招集ご通知

拝啓 当法人の第〇回定時社員総会を下記のとおり開催いたしますので、ご出席くださいますようご通知申し上げます。

1 日時 令和〇年6月26日 午後2時から

2 場所 〇〇市〇〇町〇丁目〇番〇号 〇〇会館 第1会議室

3 目的事項 報告事項:第〇期(令和〇年4月1日から令和〇年3月31日まで)事業報告の内容報告の件

 決議事項:第1号議案 第〇期計算書類承認の件/第2号議案 理事3名選任の件(候補者:〇〇〇〇、〇〇〇〇、〇〇〇〇)/第3号議案 監事1名選任の件(候補者:〇〇〇〇)

4 代理人による出席 ご欠席の場合は、当法人の社員を代理人として、同封の委任状をご提出ください。

添付書類 計算書類・事業報告・監査報告 各1部

代理人を社員に限るかどうかは定款によります。定款に定めがない事項を決めたときは、その内容を通知に書きます(施行規則4条2号)。

委任状の書き方は社員総会の委任状で詳しく説明しています。

書面で出すか、メールで出せるか

次の場合、招集通知は書面で出さなければなりません(39条2項)。

1つは書面投票や電子投票を認める場合、もう1つは理事会設置法人の場合です。

ただし、社員の承諾を得れば、書面の代わりにメールなどの電磁的方法で通知できます(39条3項)。

この場合、書面で通知したものとみなされます。

承諾は社員ごとに取ります。承諾していない社員には書面で送ります。

承諾を得た記録(承諾書やメール)を残しておくと、後で確認できます。

メールで招集通知を送る前の確認

  • 送る相手の社員から、電磁的方法による通知の承諾を得ているか
  • 承諾していない社員に、書面で送る段取りがあるか
  • 添付する計算書類などのファイルも同時に送っているか
  • 送信日時の記録を保存しているか
  • 宛先のメールアドレスが最新か(名簿と照合したか)

通知と一緒に送る書類

理事会設置法人の定時社員総会では、招集通知に際して理事会の承認を受けた計算書類・事業報告・監査報告を社員に提供します(125条)。

書面投票を認めるときは、社員総会参考書類と議決権行使書面を交付します(41条1項)。

電子投票を認めるときは、社員総会参考書類を交付します(42条1項)。

社員総会参考書類には、議案と、理事が出す議案の提案の理由などを書きます(規則5条1項)。

議決権行使書面には、議案ごとの賛否の欄、行使の期限、社員の氏名を書きます(規則7条)。

書面投票の期限は、特に定めなければ総会の直前の業務時間の終了時です(規則8条)。

同封するもの 必要になる場面 根拠
計算書類・事業報告・監査報告 理事会設置法人の定時社員総会 125条
社員総会参考書類 書面投票・電子投票を認めるとき 41条1項・42条1項
議決権行使書面 書面投票を認めるとき 41条1項
委任状の用紙 法律上の義務ではない(出席の確保のため) 50条1項

計算書類の提供がなかった点は、県の立入検査でも指摘事項として挙げられています(山梨県)。

書面投票の段取りは定足数不足のときの対処法でも触れています。

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定時社員総会までの逆算スケジュール
図:定時社員総会までの逆算スケジュール

定時社員総会の招集は、決算の手続と一体で進みます。

理事会設置法人では、計算書類は監事の監査のあと理事会の承認を受けます(124条3項)。

承認を受けた計算書類は、定時社員総会の日の2週間前の日から主たる事務所に備え置きます(129条1項)。

このため、決算を承認する理事会は総会の2週間以上前に開く必要があります。

同じ理事会で、総会の日時・場所・議題も決めておくと効率的です(38条2項)。

1
計算書類・事業報告を作る
事業年度の終了後。監事の監査を受ける
▼
2
理事会で計算書類を承認し、総会の招集事項を決める
総会の2週間以上前(124条3項・38条2項・129条1項)
▼
3
計算書類等を備え置く
総会の日の2週間前の日から(129条1項)
▼
4
招集通知を発送する
1週間前まで。書面投票を認めるなら2週間前まで(39条1項)
▼
5
定時社員総会を開く
計算書類の承認と事業報告の報告(126条2項・3項)

決算全体の流れは一般社団法人の決算で説明しています。

社員の側から招集や議題を求めるとき

総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員は、議題と理由を示して、理事に社員総会の招集を請求できます(37条1項)。

請求しても遅滞なく手続がされないときなどは、裁判所の許可を得て社員自ら招集できます(37条2項)。

社員は、一定の事項を総会の議題にするよう理事に請求できます(43条1項)。

理事会設置法人では、議決権の30分の1以上を持つ社員に限られます(43条2項)。

社員が出したい議案の要領を招集通知に載せるよう求める請求は、総会の日の6週間前までに行います(45条1項)。

社員の権利 要件 根拠
招集の請求 議決権の10分の1以上(定款で引下げ可) 37条1項
自ら招集 請求後に手続がされない等+裁判所の許可 37条2項
議題の追加の請求 理事会なし:各社員/理事会あり:30分の1以上 43条1項・2項
議案の要領の通知の請求 総会の6週間前まで(定款で短縮可) 45条1項

招集手続を省略できる場合

社員の全員が同意すれば、招集の手続を経ずに社員総会を開けます(40条)。

ただし、書面投票や電子投票を認める場合は省略できません(同条ただし書)。

全員の同意は、後で確認できるよう同意書などで残しておくのが安全です。

総会そのものを開かずに決める方法として、決議の省略もあります(58条1項)。

これは、議案に社員全員が書面や電子で同意したとき、可決の決議があったものとみなす制度です。

方法 必要な同意 総会の開催
招集手続の省略 社員全員の同意(40条) 開く(通知を省くだけ)
決議の省略 議案への社員全員の書面・電子の同意(58条1項) 開かない

決議の省略の手順は書面決議(決議の省略)とはで説明しています。

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電子提供措置を定款で定めている場合

定款で定めれば、計算書類や参考書類をWebサイトに載せる電子提供措置を使えます(47条の2)。

この場合、総会の日の3週間前の日か通知を発した日の早いほうから、総会後3か月まで掲載を続けます(47条の3)。

招集通知自体は総会の日の2週間前までに発します(47条の4第1項)。

通知には、電子提供措置をとっている旨などを書きます(47条の4第2項)。

書面での交付を請求した社員には、電子提供する事項を書いた書面を交付します(47条の5)。

詳しくは社員総会資料の電子提供をご覧ください。

電子提供措置をとる旨の定款の定めは登記事項です(301条2項4号の2)。定款に加えたときは変更の登記も必要です。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

招集手続に不備があったとき

招集の手続が法令や定款に違反したときは、社員などが決議の日から3か月以内に、決議の取消しの訴えを起こせます(266条1項1号)。

期限に遅れた通知や、一部の社員への通知漏れは、この取消し事由に当たり得ます。

ただし、違反が重大でなく決議に影響しないと認められるときは、裁判所は請求を棄却できます(266条2項)。

決議がそもそも存在しないとみられる場合には、決議の不存在の確認を求める訴えもあります(265条1項)。

不備に気づいたら、総会を開き直すか、全員の同意による方法を検討します。

発送前の最終確認

  • 理事会設置法人なら、理事会で日時・場所・議題を決議したか(38条2項)
  • 発送日から総会の日まで、7日(書面投票等なら14日)以上空いているか
  • 社員名簿の全員に宛てているか(退会・入会の反映)
  • 役員選任などの議題で、議案の概要(候補者)を書いたか
  • 定時総会なら、計算書類・事業報告・監査報告を同封したか(125条)
  • 発送日と宛先の記録を残したか

一般財団法人の評議員会・NPO法人の総会との違い

一般財団法人の評議員会は、理事が評議員会の日の1週間前までに評議員へ通知します(182条1項)。

評議員会は、定款で1週間より短い期間を定めることもできます(同項かっこ書き)。

評議員全員の同意があれば、招集手続を省略できます(183条)。

NPO法人の社員総会は、総会の日より少なくとも5日前に、目的事項を示して定款で定めた方法で通知します(NPO法14条の4)。

法人・会議 通知の期限 根拠
一般社団法人の社員総会 1週間前(書面投票等は2週間前) 一般法人法39条1項
一般財団法人の評議員会 1週間前(定款で短縮可) 一般法人法182条1項
NPO法人の社員総会 少なくとも5日前 NPO法14条の4

よくある誤解

誤解1:通知は総会の1週間前に届けばよい。法律は「発しなければならない」と定めており、発送日が基準です(39条1項)。

誤解2:理事会設置法人でもメールで一斉に送れる。書面が原則で、メールは承諾した社員にだけ使えます(39条2項・3項)。

誤解3:書面投票を認めても1週間前でよい。書面・電子投票を認めるときは2週間前です(39条1項ただし書)。

誤解4:当日、議題を追加して決議できる。理事会設置法人では通知した議題以外は決議できません(49条3項)。

誤解5:社員が少なければ通知は不要。

省略できるのは社員全員が同意したときで、書面投票を認める場合は省略できません(40条)。

一般社団法人の社員総会の招集通知についてよくある質問

Q. 招集通知は何日前までに出せばよいですか?

A. 総会の日の1週間前までに発します。書面・電子による議決権行使を認めるときは2週間前までです(一般法人法39条1項)。理事会を置かない法人は定款で期間を短くできます。

Q. 招集通知はメールで送れますか?

A. 理事会設置法人や書面投票を認める場合は書面が原則ですが、社員の承諾を得ればメールなどで送れます(39条2項・3項)。理事会を置かず書面投票も認めない法人では、方法に法律上の定めはありません。

Q. 招集通知には何を書けばよいですか?

A. 日時・場所、議題、書面・電子による議決権行使を認めるときはその旨などです(38条1項・39条4項)。役員選任や定款変更が議題なら、議案の概要も書きます(施行規則4条3号)。

Q. 定時社員総会の招集通知に計算書類を同封する必要はありますか?

A. 理事会設置法人では、理事会の承認を受けた計算書類・事業報告・監査報告を、招集通知に際して社員に提供します(125条)。

Q. 招集通知を出し忘れた社員がいたらどうなりますか?

A. 招集の手続の法令違反として、決議の日から3か月以内に決議の取消しの訴えを起こされるおそれがあります(266条1項1号)。違反が重大でなく決議に影響しないときは棄却されることがあります(同条2項)。

Q. 社員全員が集まれるなら通知は省略できますか?

A. 社員全員の同意があれば、招集手続を省略して開催できます(40条)。書面・電子による議決権行使を認める場合は省略できません。

Q. 招集通知は誰の名前で出しますか?

A. 招集するのは理事です(36条3項)。代表理事の名前で出すと、誰が招集したかが明確になります。理事会設置法人では、招集事項を理事会で決めてから出します(38条2項)。

Q. 社員が総会の開催を求めることはできますか?

A. 議決権の10分の1以上を持つ社員は、議題と理由を示して理事に招集を請求できます。手続がされないときは、裁判所の許可を得て自ら招集できます(37条)。

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