細則とは?会則・規約・規程・規則との違いと上下関係|任意団体・法人・マンションでの細則の作り方と条文例

一般社団法人法
「細則で定める」「別に細則を設ける」。会則や規約を読んでいると、よく出てくる言葉です。細則とは何か、会則や規程とどう違うのか、どう作ればよいのかを整理しましょう。

結論から申し上げます。細則とは、会則・規約・定款などで決めた大枠を、実際に運用するための細かいルールです。

細則は、上位のルールの下に置かれます。細則が会則や定款に反する内容を定めても、その部分は効力を持ちません。

細則を使う理由は、変えやすさにあります。会則の変更は総会の重い決議が必要なことが多い一方、細則は役員会などで変えられるように作れます。

この記事では、似た言葉との違い、細則に向く事項、作り方と変更の手続、条文例、マンションの使用細則まで順に説明します。

会則・規約・規程・規則・細則の違い

これらの言葉の使い分けを定めた、団体一般に共通する法律はありません。団体ごとの慣習で使い分けられています。

それでも、一般的な位置づけは次のとおりです。

名前 一般的な位置づけ 主に使われる団体
定款 法人の根本規則。法律で作成が義務づけられている 一般社団法人・NPO法人・株式会社
会則・規約 任意団体の根本規則。法律上の違いはない 自治会・PTA・サークル・親睦会
規程 定款や会則の下で、特定の分野をまとめたルール 法人・大きな任意団体
規則 規程とほぼ同じ意味で使われることが多い 団体により異なる
細則 上位のルールを運用するための細目 任意団体・法人・マンション

上下関係の考え方

上下関係は、定款(会則・規約)→ 規程・規則 → 細則の順に置かれるのが一般的です。

上位のルールは、下位のルールに「何を任せるか」を決めます。例えば会則に「会費の額は細則で定める」と書けば、会費の額を細則で決められるようになります。

逆に、上位のルールが任せていない事項を細則で決めると、「その細則は誰の権限で決めたのか」が問題になります。

規程と細則の区別がない団体も多くあります。大切なのは名前ではなく、どのルールがどのルールの下にあり、誰が変えられるのかをはっきりさせることです。

POINT 細則を作るときは、上位のルールに「細則に任せる」根拠があるかを最初に確かめます。根拠がなければ、先に会則を変えて根拠を作ります。

細則に向く事項・向かない事項

細則に向くのは、変わりやすく、細かい、運用の事項です。

反対に、団体の骨格にかかわる事項は、会則や定款で決めるべきです。細則で決めると、役員会だけで団体の性格が変えられてしまうからです。

細則に向く事項 会則・定款で決めるべき事項
会費の額と納め方 団体の名称・目的
慶弔金の基準 会員の資格と除名
行事の運営方法 役員の種類・選び方・任期
備品の貸出ルール 総会の成立と議決の方法
経費の精算方法 会則の変更・解散の手続
会議室・施設の使い方 解散時の財産の行き先

法人の場合 ― 定款に書かないと効力がない事項に注意

一般社団法人やNPO法人では、法律が定款に書くべき事項を決めています。

一般社団法人の定款には、目的、名称、主たる事務所の所在地、設立時社員の氏名又は名称及び住所、社員の資格の得喪に関する規定、公告方法、事業年度を必ず記載します(一般法人法11条1項)。

さらに、法律の規定により定款の定めがなければ効力を生じない事項があります(同法12条)。こうした事項を細則や規程にだけ書いても、効力は生じません。

NPO法人も、定款に記載すべき事項が法律で決まっています(NPO法11条1項)。

法人の細則や規程は、定款の範囲内で運用を決めるものです。「定款に書くべきか、規程・細則でよいか」は、条文を確かめてから決めます。

細則の作り方 ― 4つのステップ

細則を作る流れは、次の4つです。

ステップ やること ポイント
1. 根拠を確かめる 会則・定款に「細則で定める」「役員会が定める」などの定めがあるか確認 なければ先に会則を変える
2. 案を作る 目的・対象・具体的なルール・施行日を書く 上位のルールと矛盾しないか照合
3. 決める 会則で定めた機関(役員会・総会など)で決議する 議事録に決議を残す
4. 周知する 会員に配る・掲示する・会報に載せる 改正の履歴を附則に残す

変更の手続も細則に書いておく

細則を「誰が」「どうやって」変えられるかは、会則で決めておくのが基本です。

例えば会則に「この会則の施行に必要な細則は、役員会の決議を経て会長が定める」と書いておくと、細則の変更は役員会で済みます。

会員の負担にかかわる細則(会費の額など)は、役員会だけで変えると反発を招きやすくなります。そうした事項だけは「総会の承認を要する」と分けておく方法もあります。

変更したら、附則に「令和〇年〇月〇日改正」と施行日を書き足します。改正の履歴が残っていると、過去のある時点でどのルールが有効だったかを確かめられます。

細則の条文例

以下は、任意団体の会則と、その下に置く会費細則の例です。

会則の側(根拠の条文)

第〇条(会費) 会員は、細則で定める会費を納めなければならない。

第〇条(細則) この会則の施行に必要な細則は、役員会の決議を経て会長が定める。ただし、会費の額を変更する細則は、総会の承認を受けなければならない。

〇〇会 会費細則

第1条(目的) この細則は、会則第〇条に基づき、会費の額及び納入方法を定める。

第2条(額) 会費は、年額3,000円とする。

第3条(納入期限) 会費は、毎年5月31日までに納める。年度の途中で入会した者は、入会の月から1か月以内に納める。

第4条(納入方法) 会費は、本会の預金口座への振込み又は会計への現金払いにより納める。

第5条(減免) 役員会は、特別の事情がある会員について、会費を減額し又は免除することができる。

第6条(返還) 既に納めた会費は返還しない。

附則 この細則は、令和〇年〇月〇日から施行する。

条文例のポイント

会則の側に「細則で定める」と書き、細則の第1条で「会則第〇条に基づき」と根拠を示しています。上下の関係が、条文の上でつながっている形です。

会費の額だけは総会の承認を要するとし、会員の負担にかかわる部分に歯止めをかけています。

減免の条文を置いておくと、事情のある会員への対応を毎回の総会で議論せずに済みます。

任意団体でよく作られる細則

細則の名前と中身は団体によってさまざまです。よく作られるのは、次のようなものです。

細則の名前 主な中身 変更の頻度
会費細則 会費の額・納入期限・納入方法・減免 数年に一度
慶弔細則 祝金・見舞金・弔慰金の対象と額 数年に一度
経理細則 支出の承認・領収書の扱い・予備費の使い方 ときどき
旅費細則 交通費・宿泊費の精算基準 物価に応じて
備品管理細則 備品の貸出・保管場所・廃棄の手続 ときどき
選挙細則 役員の立候補・投票の方法 役員改選の前

細則をめぐるよくあるトラブル

一つめは、根拠のない細則です。会則に細則への委任がないのに、役員会だけで会費の額を変えたケースでは、「総会を通していない」と会員から異議が出やすくなります。

二つめは、上位のルールとの食い違いです。会則で「会費は年額3,000円」と額まで書いたまま、細則で「年額4,000円」と定めると、どちらが正しいのかが争いになります。会則には「細則で定める」とだけ書き、額は細則に一本化しておくと、食い違いが起きません。

三つめは、古い細則の放置です。役員が交代するうちに、誰も知らない細則が残っていることがあります。細則の一覧表を作り、名前・施行日・最終改正日・決議した機関を並べて管理しておくと、この問題を防げます。

一覧表は、毎年の総会資料に付けておくと、会員もどんなルールがあるのかを確かめられます。役員の引き継ぎの資料にも入れておくと、新しい役員が最初に読むべきルールがすぐにわかります。

マンションの「使用細則」との関係

「細則」という言葉は、マンションでもよく使われます。ペットの飼育、駐車場、ごみ出しなどを定める「使用細則」です。

区分所有法30条1項は、建物又はその敷地若しくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有者相互間の事項は、この法律に定めるもののほか、規約で定めることができるとしています。

マンションでは、この規約(管理規約)が上位のルールで、使用細則はその下に置かれます。使用細則をどの機関の決議で決め、どう変えるかは、各マンションの管理規約の定めに従います。

国土交通省は、管理規約を作るときの参考として「マンション標準管理規約」を公表しています。自分のマンションの細則の作り方は、まず管理規約の該当条文を確かめます。

区分所有法は近年改正されており、集会の決議の要件などが見直されています。規約や細則の変更を検討するときは、最新の条文と国土交通省の情報を確かめてください。

法人化するとき、細則はどうなるか

任意団体が一般社団法人やNPO法人になるとき、会則は定款に作り替えます。細則はそのまま使えるとは限りません。

まず、細則の中に定款に書かないと効力がない事項が紛れていないかを確かめます。該当するものは定款に移します。

残りの運用ルールは、法人の「規程」として理事会などで決め直すのが一般的です。任意団体の役員会で決めた細則は、法人の機関が決めたものではないためです。

会費細則のように会員の負担にかかわるものは、法人の会員規約として社員総会の承認を受けておくと、後の異議を防げます。

細則を作る・変える前の最終チェック

  • 会則・定款・管理規約に、細則に任せる根拠の条文がある
  • 細則の内容が、上位のルールと矛盾していない
  • 法人の場合、定款に書かないと効力がない事項を細則に回していない
  • 会則で決めた機関(役員会・総会など)で決議し、議事録に残した
  • 施行日と改正の履歴を附則に書いた
  • 会員への周知(配布・掲示・会報)をした

細則についてよくある質問

Q. 細則とは何ですか?

A. 会則・規約・定款などで決めた大枠を、実際に運用するための細かいルールです。上位のルールの下に置かれ、上位のルールに反する部分は効力を持ちません。

Q. 細則と規約の違いは?

A. 規約は任意団体の根本規則で、会則とほぼ同じ意味です。細則は、規約の下で運用の細目を決めるルールです。

Q. 細則と規程・規則の違いは?

A. 使い分けを定めた一般的な法律はありません。多くの団体では「定款・会則→規程・規則→細則」の順に置きますが、規程と細則を区別しない団体もあります。

Q. 細則は誰が作れますか?

A. 会則や定款で定めた機関です。会則に「細則は役員会の決議を経て会長が定める」などの根拠を置いておくのが基本です。

Q. 細則に何を書いてもよいですか?

A. 上位のルールの範囲内で、運用の事項を書きます。団体の目的、会員の資格、役員、総会の議決、解散などの骨格は、会則や定款で決めるべきです。

Q. 法人の細則で決めたことは有効ですか?

A. 定款の範囲内の運用ルールなら有効です。ただし、一般法人法12条のように定款の定めがなければ効力を生じない事項は、細則に書いても効力がありません。

Q. マンションの使用細則はどう変えますか?

A. 区分所有法30条1項の規約(管理規約)の下に置かれるルールです。変更の方法は各マンションの管理規約の定めに従います。まず管理規約の該当条文を確かめてください。

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