親睦会とは?職場・地域の親睦会の作り方と会則の例|会費の集め方・給与天引きの条件・お金の管理と解散のルール

一般社団法人法
職場の親睦会や、地域・同期の親睦会の幹事を引き受けたとき、「会則は要るの?」「会費を給料から引いてもいいの?」と迷う場面が出てきます。親睦会の作り方とお金のルールを、条文と判例から整理しましょう。

結論から申し上げます。親睦会とは、会員同士の交流や助け合いを目的に作る、法人格のない団体(任意団体)です。

作るための届出や登記はありません。集まった人の合意があれば、その日から親睦会です。

ただし、会費を集めて長く続ける会なら、会則を作り、お金の管理と報告の方法を決めておくことが欠かせません。

職場の親睦会で会費を給与から天引きする場合は、労働基準法24条1項ただし書の労使協定が必要です。この記事では、作り方から解散までを順に説明します。

親睦会とはどんな団体か

親睦会は、会員の交流や親睦を目的とする団体です。「親交会」「互助会」「共済会」「〇〇会」など、名前はさまざまです。

法律上の決まった定義はありません。多くは法人格を持たない任意団体です。

職場の親睦会は、社員が会費を出し合い、歓送迎会、慶弔見舞金、旅行などに使うのが典型です。

地域の親睦会は、同じ地域の住民や同業者、同期・同窓の仲間で作ります。

会社が運営する福利厚生の制度と、社員が自主的に作る親睦会は、本来は別のものです。誰が運営し、誰のお金なのかをはっきりさせておくことが、後のトラブルを防ぎます。

種類 主な会員 よくある使い道
職場の親睦会 同じ会社・事業所の社員 歓送迎会・慶弔見舞金・旅行・忘年会
地域の親睦会 近隣の住民・商店 懇親会・清掃・季節の行事
同期・同窓の親睦会 同期入社・卒業生 定例の懇親会・記念行事
趣味の親睦会 共通の趣味を持つ人 活動費・大会参加費

親睦会は「権利能力なき社団」になりうる

会則を作り、代表者を決め、総会で物事を決め、会費で財産を持つ親睦会は、法律上「権利能力なき社団」として扱われることがあります。

最高裁昭和39年10月15日判決(民集18巻8号1671頁)は、団体としての組織を備え、多数決の原則が行われ、構成員が変わっても団体が存続し、代表の方法・総会の運営・財産の管理など主要な点が確定していることを要件に挙げました。

この要件を満たすと、会のお金は会員みんなの共有(総有)として扱われます。最高裁昭和32年11月14日判決(民集11巻12号1943頁)は、定めがない限り、構成員に持分の払戻請求権はないとしました。

つまり、会則をきちんと作っておくと、会のお金が幹事個人のお金と区別されやすくなります。会則は、幹事自身を守るものでもあります。

親睦会の作り方 ― 5つのステップ

親睦会を作る流れは、次の5つです。

ステップ やること ポイント
1. 呼びかける 目的・会費の見込み・入会は任意であることを伝える 入会を強制しない
2. 会則案を作る 名称・目的・会員・役員・会費・会計・解散を書く 下の条文例を使う
3. 設立の集まりを開く 会則を承認し、会長・会計・会計監査を選ぶ 議事録を残す
4. 口座を作る 団体名と代表者名の口座を作る 個人口座と分ける
5. 名簿と帳簿を用意する 会員名簿・出納帳・領収書の綴りを作る 入退会の日付を記録
POINT 職場の親睦会でも、入会は本人の自由が原則です。入らない人や辞めたい人がいる前提で、会則に入会・退会の方法を書いておきます。

会則に書くべき項目と条文例

親睦会の会則は、普通の任意団体の会則と同じ作りで足ります。特に大事なのは、会費、慶弔金、退会時の返金、解散時のお金の行き先です。

以下は、職場の親睦会を想定した条文例です。団体の実情に合わせて調整してください。

〇〇親睦会 会則

第1条(名称) 本会は、〇〇親睦会と称する。

第2条(目的) 本会は、会員相互の親睦と福利の向上を目的とする。

第3条(会員) 本会は、〇〇に勤務する者で、入会を申し込んだ者をもって会員とする。

第4条(退会) 会員は、会長に届け出ていつでも退会することができる。

第5条(役員) 本会に、会長1名、会計1名、会計監査1名を置き、総会で選任する。任期は1年とし、再任を妨げない。

第6条(会費) 会費は月額〇〇円とし、額の変更は総会の決議による。

第7条(慶弔) 会員の慶弔に際し、別に定める基準により祝金・見舞金・弔慰金を支給する。

第8条(総会) 定期総会は毎年1回、会長が招集し、会計報告と予算の承認その他重要な事項を決める。

第9条(議決) 総会の議事は、出席した会員の過半数で決する。

第10条(会計) 会計年度は毎年4月1日から翌年3月31日までとする。会計は年度終了後の総会に収支を報告し、承認を受ける。

第11条(返還) 既に納めた会費は、退会その他の理由にかかわらず返還しない。

第12条(解散) 本会は、総会において出席者の3分の2以上の賛成により解散する。解散時の残余財産の処分は、総会の決議による。

附則 この会則は、〇年〇月〇日から施行する。

慶弔金の基準は別表にする

慶弔金は、額と対象を会則とは別の「慶弔規程」や別表にしておくと、変更が楽になります。

対象(本人の結婚、出産、入院、親族の弔事など)、額、申請の方法を書きます。

基準が曖昧だと、「あの人のときは出たのに」という不公平の声が出やすくなります。

区分 対象の例 決めておくこと
祝金 結婚・出産 額・申請の期限
見舞金 入院・災害 入院日数の条件・額
弔慰金 本人・親族の死亡 親族の範囲・額・供花の有無
餞別 退職・転勤 在籍期間の条件・額

職場の親睦会で会費を給与から天引きする条件

職場の親睦会でよく問題になるのが、会費の給与天引きです。

労働基準法24条1項は、賃金はその全額を支払わなければならないと定めています(賃金全額払いの原則)。

例外として同項ただし書は、法令に別段の定めがある場合のほか、労働者の過半数で組織する労働組合、それがない場合は労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合に、賃金の一部を控除できるとしています。

つまり、親睦会の会費を給与から天引きするには、この労使協定(いわゆる24協定)に「親睦会費」を控除の対象として書いておくことが必要です。

協定があっても、会員でない人の給与から親睦会費を引く理由はありません。入会していない人や退会した人の天引きは止めます。

給与天引きを始める前の確認

  • 賃金控除の労使協定(24協定)に「親睦会費」が入っている
  • 天引きするのは、入会を申し込んだ会員だけになっている
  • 退会の届出があったら、翌月から天引きを止める手順がある
  • 天引きした会費が、会社の口座でなく親睦会の口座に移されている
  • 給与明細に「親睦会費」の項目で表示されている

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 社会保険・労働保険の加入手続きは、社会保険労務士が取り扱う業務です。

お金の管理と会計報告

親睦会のお金のトラブルは、ほとんどが「誰のお金か」「何に使ったか」が曖昧なことから起きます。

口座は、「〇〇親睦会 会計 山田花子」のように団体名の入った名義で作ります。幹事の個人口座で管理すると、個人のお金と混ざってしまいます。

支出には必ず領収書を残し、出納帳に日付順で記帳します。

年度末には、前年度繰越金・収入・支出・次年度繰越金を並べた会計報告を作り、会計監査の確認を受けてから総会で報告します。

会計報告の作り方とひな形は、別の記事で詳しく説明しています。

会社のお金と親睦会のお金を混ぜない

会社が親睦会の行事に補助金を出すことがあります。その場合も、会社のお金と親睦会のお金は分けて記録します。

補助を受けたら、親睦会の会計では「補助金」として収入に計上し、会社から受け取った日と額を残します。

会社の経費で払うべきものを親睦会の会費で払ったり、その逆をしたりすると、後で説明がつかなくなります。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

幹事一人に任せきりにしない工夫

親睦会は、同じ人が何年も会長と会計を兼ねてしまいがちです。

お金を扱う人と、それを確かめる人を分けるのが基本です。会計と会計監査は別の人にするだけで、使い込みや記帳の誤りはかなり防げます。

通帳と届出印を別の役員が保管する方法もあります。払い出しのたびに二人が関わるので、一人の判断でお金が動くことがなくなります。

役員の任期を1年や2年と決め、交代のときは承認された会計報告を区切りに、通帳・印鑑・現金・帳簿を一式で引き継ぎます。受け取った側が残高を確かめて、受領の署名をしておくと安心です。

異動や退職で会員が変わるとき

職場の親睦会では、異動・退職・入社で会員が毎年入れ替わります。

会員名簿に入会日と退会日を残し、天引きを止める手続と連動させておきます。

退職者への餞別や、異動者の送別会の費用をどこまで会費で出すかも、慶弔の基準と同じく別表で決めておくと、毎回の相談が不要になります。

退会・解散のときのルール

退会した人から「払った会費を返してほしい」と言われることがあります。

親睦会が権利能力なき社団にあたる場合、会のお金は会員全体の総有で、定めがない限り持分の払戻請求権はないとされています(最判昭和32年11月14日)。

それでも、会則に「既に納めた会費は返還しない」と書いておくのが確実です。

解散するときは、総会で解散を決め、残ったお金の行き先も決めます。会員への等分、寄付、最後の懇親会の費用に充てるなど、どれでも構いません。

決めた内容は議事録に残し、最後の会計報告で残高が0円になったことを確かめて、口座を解約します。

親睦会についてよくある質問

Q. 親睦会を作るのに届出は必要ですか?

A. 届出や登記は不要です。会員の合意があれば作れます。会費を集めて続ける会なら、会則を作り、役員とお金の管理方法を決めておきます。

Q. 職場の親睦会への加入は強制できますか?

A. 親睦会は任意の団体なので、入会は本人の自由が原則です。会則に入会・退会の方法を書き、入らない人がいる前提で運営します。

Q. 会費を給与から天引きしてもよいですか?

A. 労働基準法24条1項ただし書の労使協定(24協定)に親睦会費を控除の対象として定めていれば、会員の給与から控除できます。会員でない人の給与からは引けません。

Q. 退会した人に会費を返す必要はありますか?

A. 会のお金は会員全体の総有とされ、定めがない限り持分の払戻請求権はありません(最判昭和32年11月14日)。会則に「既納の会費は返還しない」と書いておくと確実です。

Q. 親睦会の口座は作れますか?

A. 多くの金融機関で、団体名と代表者名の口座を作れます。会則と、代表者を決めた議事録の提出を求められるのが一般的です。

Q. 親睦会を解散するときは、残ったお金をどうしますか?

A. 総会で解散を決め、残余財産の処分も決議します。会員への等分、寄付、最後の行事の費用など、会則や総会で決めた方法で処分します。

Q. 親睦会の会計報告はどう作ればよいですか?

A. 前年度繰越金・収入・支出・次年度繰越金を並べ、次年度繰越金が通帳残高と手元現金の合計に一致することを確かめます。会計監査の確認を受けてから総会で報告します。

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