NPO法人の理事会は、業務の執行を決める場です。
ところが、報告を聞くだけの会になりがちです。
それでは、理事が責任を果たせません。
この記事では、理事会を機能させる方法を解説します。
理事会の位置づけ
理事会は、業務の執行を決める機関です。
NPO法では、設置は必須ではありません。
それでも、多くの団体が定款で置いています。
総会は年に一回しか開かないためです。
日常の判断を、機動的に行う場が必要になります。
権限の範囲は、定款で決まります。
定款に書いていないことは、決められません。
まず、自分たちの定款を確認しましょう。
何を理事会で決めてよいかが、そこに書かれています。
形骸化する理由
理事会が形だけになる理由は、はっきりしています。
第一に、議題が報告ばかりの場合です。
決めることがなければ、聞くだけの会になります。
第二に、資料が当日に配られる場合です。
その場で読んでも、判断はできません。
第三に、事前に結論が決まっている場合です。
議論しても変わらないと分かれば、発言は減ります。
第四に、決めたことが実行されない場合です。
第五に、出席しなくても支障がない状態です。
いずれも、運営の仕方で直せます。
開く回数を決める
理事会の回数は、定款で定めます。
年に2回から4回とする団体が、多く見られます。
最低でも、総会の前には必ず開きます。
総会に出す議案を、決めるためです。
事業年度の始めにも、開いておきましょう。
計画の確認と、担当の割り振りができます。
年度の途中に一回入れると、修正が利きます。
日程は、年度の初めにまとめて決めます。
その都度調整すると、集まりにくくなります。
| 時期 | 主な議題 | 目的 |
|---|---|---|
| 年度の始め | 事業計画の確認、担当の割り振り | 一年の段取り |
| 年度の途中 | 進み具合の確認、修正 | 軌道の修正 |
| 決算後 | 事業報告と決算の承認 | 総会の議案を決める |
| 総会の直後 | 理事長の互選、役割分担 | 新体制の始動 |
| 随時 | 急ぎの契約や事業の判断 | 機動的な決定 |
議案書を事前に配る
いちばん効果が大きいのが、この一点です。
議案書を、開催の一週間前までに配ります。
電子メールで送るだけで、十分です。
読んできてもらう前提で、当日は議論から始めます。
説明の時間が減り、議論の時間が増えます。
判断に必要な資料も、あわせて添えます。
数字は、表にまとめておきましょう。
当日に配ると、その場で読む時間が要ります。
結果として、承認するだけの会になります。
決議事項と報告事項を分ける
議案書の中で、二つを分けて書きます。
決議事項は、賛否を諮って決めるものです。
報告事項は、伝えるだけのものです。
この区別があるだけで、集中する場所が変わります。
決議事項を先に、報告事項を後に置きます。
時間が足りなくなったとき、報告は書面で済ませられます。
決議事項は、必ずその日に決めます。
先送りが続く理事会は、機能していません。
議事録でも、二つを分けて書きましょう。
- 開催の日時と場所
- 決議事項の一覧
- 報告事項の一覧
- 議案ごとの背景と提案の理由
- 判断に必要な数字や資料
- 前回の決定事項の進み具合
- 所要時間の目安
- 出席の可否の回答先
- 他の選択肢と、決めなかった場合の見込み
決めたら担当と期限を書く
決議のあとが、いちばん抜けやすい部分です。
誰が、いつまでに行うかを決めます。
議事録に、その二つを必ず書きます。
決めただけで動かない団体は、ここが抜けています。
次の理事会で、進み具合を確認します。
確認する項目を、議案書の冒頭に置きましょう。
できていない場合は、理由と次の期限を決めます。
責める場にする必要は、ありません。
止まっている原因を、一緒に外すためです。
定足数を満たす
理事会にも、定足数があります。
定款で、理事の過半数の出席とする例が多いものです。
議決は、出席した理事の過半数で行います。
理事が3人しかいない団体は、注意が必要です。
一人欠席すると、成立しないことがあります。
書面表決や委任状は、原則として使えません。
理事は、議論に参加することが職務だからです。
欠席が続くなら、日程の決め方を見直しましょう。
成立しない理事会が続くのは、危険な状態です。
監事の出席
監事は、理事会に出席できます。
定款で、出席を求めている団体もあります。
監事は、議決には加わりません。
意見を述べることは、できます。
業務の執行を見る立場だからです。
出席していれば、監査の材料が集まります。
決算の時期だけ現れる監事より、はるかに機能します。
案内を、必ず送りましょう。
出席の有無も、議事録に書きます。
議事録を必ず作る
理事会の議事録も、備え置きの対象です。
毎回、必ず作りましょう。
日時、場所、出席した理事の氏名を書きます。
議案ごとに、議論の概要と結果を書きます。
反対意見が出た場合は、その旨も書きます。
理事の責任を説明する材料になるためです。
担当と期限も、忘れずに書きます。
署名または記名押印の方法は、定款によります。
登記の添付書類になる場合もあります。
時間の使い方
理事会は、2時間以内が現実的です。
それを超えると、集中力が落ちます。
議案ごとに、所要時間の目安を書いておきましょう。
議長が、時間を見ながら進めます。
議論が長引く議案は、次回に回す判断もあります。
ただし、先送りが常態化しないよう注意します。
開始と終了の時刻を、守りましょう。
時間を守る会には、人が集まりやすくなります。
延びるのが当たり前だと、欠席が増えます。
オンラインの活用
集まりにくい団体では、接続での開催も有効です。
移動の時間がなくなり、出席率が上がります。
遠方の理事も、参加しやすくなります。
定款に定めがあるかを、確認しましょう。
定めがなければ、追加を検討します。
資料の共有も、電子のほうが楽になります。
一方、議論が浅くなりやすい面もあります。
年に一度は、対面で集まる形も残しましょう。
併用が、現実的な落としどころです。
役割を分担する
理事全員が、同じ関わり方をする必要はありません。
事業ごとに、担当を決めましょう。
担当がいると、議案の説明も具体的になります。
自分の担当については、責任を持って判断します。
得意な分野を、生かせる形にもなります。
会計に強い人、広報に強い人がいるはずです。
副理事長を置いて、理事長を支える形もあります。
全員が何も担当していない状態は、避けましょう。
関わりが薄いほど、出席も減っていきます。
新しい理事を迎えるとき
理事が交代したら、最初に材料を渡します。
第一に、定款です。
第二に、規程一式です。
第三に、直近の事業報告書等です。
第四に、年間の予定表です。
第五に、過去数回の理事会の議事録です。
これらがあれば、経緯をつかめます。
何も渡されないと、発言のしようがありません。
最初の理事会で、簡単な説明の時間も取りましょう。
緊急の判断が要るとき
理事会の日を待てない場面も、あります。
契約の期限が迫っている場合などです。
この場合の扱いを、定款や規程で決めておきましょう。
理事長が判断し、次の理事会で承認を求める形が一般的です。
専決処分と呼ばれることもあります。
対象を、金額や種類で限定しておきます。
何でも理事長が決められる形は、危険です。
事後の報告を、必ず行うことも決めます。
議事録に、承認した旨を残します。
例外を、常態にしないでください。
欠席が続く理事への対応
出席しない理事がいる場合、放置しないでください。
まず、理由を聞きます。
日程が合わないだけなら、決め方を変えれば済みます。
関心を失っている場合は、話し合いが必要です。
役割がないことが、原因のこともあります。
担当を持ってもらうと、変わることがあります。
本人が続けられないなら、辞任という選択もあります。
名前だけ残るほうが、本人にとっても危険です。
善良な管理者としての注意義務は、出席しなくても負うためです。
正直に話せる関係を、作っておきましょう。
議長は誰が務めるか
理事会の議長も、定款で決まっていることがあります。
理事長が務めると定めている団体が、多く見られます。
定めがなければ、その場で選びます。
議長は、議事を整理する役割です。
提案する側と、進行する側が同じになる点に注意します。
自分の提案を通すために、議事を運んではいけません。
反対意見にも、時間を配りましょう。
賛否が割れたときは、数で決めます。
可否同数のときの扱いも、定款で確認します。
議長が決するという定めが、置かれていることがあります。
議案の作り方
議案は、事務局か担当の理事が作ります。
書き方に、型を持っておきましょう。
第一に、何を決めてほしいかを一文で書きます。
第二に、そうしたい理由を書きます。
第三に、判断に必要な数字を示します。
第四に、他の選択肢も書きます。
一つしか示さないと、議論になりません。
第五に、決めなかった場合にどうなるかを書きます。
この型があると、議論が具体的になります。
毎回同じ形式にしておけば、読む側も楽です。
理事会と事務局の関係
実務を担う事務局との関係も、整理しておきます。
理事会が決め、事務局が実行するのが基本です。
ところが、逆になっている団体もあります。
事務局が決めたことを、理事会が追認する形です。
現場が動いているぶん、そうなりやすいものです。
しかし、責任を負うのは理事です。
決める場所を、取り違えないでください。
事務局には、判断の材料を出してもらいます。
決裁の基準を規程で決めておけば、線が引けます。
日常のことまで、理事会にかける必要はありません。
理事会の運営のまとめ
理事会は、業務の執行を決める機関です。
形骸化の原因は、議題が報告ばかりである点にあります。
議案書を一週間前までに配るだけで、会は変わります。
決議事項と報告事項を、分けて書きましょう。
決めたことには、担当と期限を必ず書きます。
次の理事会で、進み具合を確認してください。
書面表決や委任状は、理事会では原則として使えません。
議事録は毎回作り、反対意見も残しましょう。
議案は、他の選択肢と決めなかった場合まで書くと議論が具体的になります。
緊急の判断は対象を限定し、事後の承認を必ず取ってください。
欠席が続く理事は放置せず、理由を聞いて役割を見直しましょう。
名前だけ残るほうが、本人にとっても危険です。
よくある質問
A. NPO法では必須ではありません。ただし総会は年に一回しか開かないため、日常の判断を行う場として多くの団体が定款で置いています。
A. 議案書を開催の一週間前までに配ることです。読んできてもらう前提で当日は議論から始めれば、承認するだけの会ではなくなります。
A. 定款の定めによりますが、年2回から4回が一般的です。最低でも総会の前には開き、事業年度の始めにも開くと段取りが整います。
A. 原則として使えません。理事は議論に参加することが職務だからです。定款で書面による意思表示を認める例もありますが、総会と同じようには扱えません。
A. 議事録に担当と期限を書き、次の理事会の冒頭で進み具合を確認してください。責める場ではなく、止まっている原因を一緒に外す時間にします。
A. 出席できます。議決には加わりませんが、意見は述べられます。出席していれば監査の材料が集まるため、案内を必ず送ってください。
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