NPO法人にとって、会員は要件であり財源であり担い手です。
社員10人以上は、設立の要件でもあります。
それでも、増やし方を考えている団体は多くありません。
この記事では、会員を増やす具体的な方法を解説します。
なぜ会員が要るのか
会員には、三つの意味があります。
第一が、法律の要件です。
社員10人以上でなければ、NPO法人でいられません。
第二が、財源です。
会費は、使いみちの自由度が高いお金です。
助成金や委託と違い、使途が縛られません。
第三が、担い手です。
活動を支える人が、そこから出てきます。
この三つは、それぞれ違う人が担うこともあります。
一つの会員種別で、すべてを満たそうとしないことが大切です。
会員の種類を分ける
会員を、性格ごとに分けましょう。
正会員は、総会で議決権を持つ人です。
運営に関わる意思のある人が対象です。
賛助会員は、資金で応援する人です。
議決権はなく、総会にも出ません。
関わり方が軽いぶん、入りやすくなります。
学生会員や、家族会員を設ける団体もあります。
会費の額を、種類ごとに変えます。
それぞれ何をする人かを、はっきり書きましょう。
曖昧なままだと、どれを選べばよいか分かりません。
| 種類 | 議決権 | 想定する関わり方 |
|---|---|---|
| 正会員 | あり | 総会に出て運営に関わる |
| 賛助会員 | なし | 会費で応援する |
| 学生会員 | 定款による | 低い会費で参加する |
| 団体会員 | 定款による | 法人や団体として応援する |
| ボランティア登録 | なし | 活動に手を貸す |
入口が見えていない
会員が増えない最大の原因は、入口の不在です。
ウェブサイトに、入会のページがない団体があります。
あっても、探さないと見つからない場所にあります。
会費の額が書かれていないことも、多いものです。
関心を持った人が、そこで止まってしまいます。
まず、入会のページを作りましょう。
トップから、一回のクリックで行ける場所に置きます。
各ページの下にも、案内を入れます。
見えない入口は、ないのと同じです。
入会のページに書くこと
入会のページには、必要な情報を全部載せます。
第一に、会員の種類とそれぞれの役割です。
第二に、会費の額と納入の方法です。
第三に、いつまでの分かという期間の考え方です。
第四に、申し込みの手順です。
第五に、入会後に何が届くかです。
会報や案内が届くなら、そう書きます。
第六に、問い合わせ先です。
第七に、個人情報の扱いです。
書ききることで、迷いがなくなります。
- 会員の種類と、それぞれの役割
- 会費の額(種類ごと)
- 会費の期間の考え方(年度か入会から1年か)
- 納入の方法(振込・現金・電子決済)
- 申し込みの手順
- 入会後に届くもの
- 個人情報の取扱い
- 問い合わせ先
- 入会の連絡が来たときの対応の手順
- 会報や案内を送る仕組み
会費の額を決める
会費の額は、悩ましい問題です。
高すぎれば、入りにくくなります。
安すぎれば、事務の手間に見合いません。
年3,000円から5,000円が、よく見られる水準です。
賛助会員は、それより高く設定する団体もあります。
一口いくらとして、複数口を認める方法もあります。
月払いの選択肢があると、心理的な負担が下がります。
額を定款に書いていると、変更に総会が要ります。
別に定めるという書き方にしておきましょう。
納入の方法を増やす
払いにくさは、そのまま機会の損失です。
振込だけだと、手数料と手間がかかります。
電子決済を使えるようにすると、入りやすくなります。
口座振替や、継続の課金も検討しましょう。
毎年の更新を、自動にできます。
更新の案内を出す手間も、減ります。
現金での受け取りも、残しておきます。
対面の場で入ってもらえる機会があるためです。
領収書を、必ず出しましょう。
声をかける相手
新しい会員は、遠くにはいません。
第一が、活動に参加してくれた人です。
催しに来た人に、その場で案内します。
第二が、ボランティアです。
関わっているのに会員でない人が、多くいます。
第三が、寄付をしてくれた人です。
継続的な関わりに、切り替えてもらいます。
第四が、会員の知人です。
紹介の仕組みを作ると、広がります。
第五が、協力してくれた団体や事業者です。
団体会員という枠があると、頼みやすくなります。
その場で入ってもらう
関心が高いのは、活動に触れた直後です。
その場で入会できる形を、用意しましょう。
申込書を、催しの受付に置いておきます。
記入する項目は、最小限にします。
氏名、連絡先、会員の種類だけで足ります。
会費は、その場で受け取るか、あとから振り込んでもらいます。
二次元コードで、申し込みの画面に飛べる形も有効です。
持ち帰ってもらうと、たいてい忘れられます。
熱があるうちに、手続きまで済ませましょう。
続けてもらう工夫
増やすことと同じくらい、続けてもらうことが大切です。
第一に、活動の報告を定期的に届けます。
会報でも、電子メールでもかまいません。
第二に、会費の使いみちを具体的に示します。
何にいくら使われたかが分かると、納得が生まれます。
第三に、総会や催しに招きます。
関わる場があると、関心が続きます。
第四に、更新の案内を丁寧に出します。
期限が過ぎてから連絡するのでは、遅いものです。
第五に、感謝を伝えます。
当たり前と思われていると感じたら、人は離れます。
退会を防ぐより原因を知る
退会の申し出があったら、理由を聞きましょう。
引き止めるためではありません。
運営への不満なら、貴重な情報になります。
活動に関われなくなった、という理由も多いものです。
その場合は、賛助会員への切り替えを提案できます。
会費が負担なら、額の見直しの材料になります。
何も聞かずに処理すると、原因が分かりません。
同じ理由で、次の人も辞めていきます。
記録に残して、理事会で共有しましょう。
名簿を正しく保つ
会員が増えるほど、名簿の管理が重くなります。
入退会のたびに、直す習慣をつけましょう。
住所や連絡先の変更も、届け出てもらいます。
総会の招集通知が届かないと、決議が争われます。
社員名簿は、備え置きの義務がある書類です。
個人情報を含むため、保管にも注意が要ります。
表計算のファイルでも、十分に管理できます。
ただし、持ち出しの制限は決めておきましょう。
担当が一人だけという状態も、避けたいところです。
会員でいる意味を作る
お金を出すだけの関係は、長く続きません。
会員でいる意味を、意識して作りましょう。
第一に、活動の情報が先に届く形にします。
第二に、会員だけの集まりを開きます。
第三に、意見を言える場を用意します。
総会以外にも、機会があると違います。
第四に、活動に参加する入口を示します。
手伝いたい人が、どこから入ればよいか分かる形です。
第五に、名前を出してよい人は、報告書に載せます。
関わっている実感が、継続につながります。
団体会員という枠
個人だけでなく、法人や団体も会員にできます。
地元の事業者や、他の市民団体が対象です。
会費は、個人より高く設定するのが一般的です。
一口いくらとして、複数口を認める形もあります。
ウェブサイトに、団体名を載せる特典を設ける例もあります。
広告ではなく、支援者としての紹介にとどめます。
議決権を持たせるかどうかは、定款で決めます。
持たせる場合、誰が議決権を行使するかも決めます。
曖昧にすると、総会の運営で困ります。
定款に書いていない種別は、作れません。
会員を増やす前にやること
増やす前に、受け入れる体制を整えましょう。
第一に、名簿の管理の担当を決めます。
第二に、入会の連絡が来たときの手順を決めます。
誰が返信し、誰が名簿に入れるかです。
第三に、会費の入金を確認する方法を決めます。
第四に、領収書の様式を用意します。
第五に、会報や案内を送る仕組みを作ります。
受け入れる準備がないまま増やすと、対応が滞ります。
入会したのに何も届かない状態は、最悪です。
少人数でも回る形を、先に作ってください。
数より関わりの深さ
会員数だけを追うと、運営が苦しくなります。
名前だけの会員が増えても、活動は進みません。
総会の定足数は、社員総数を基準にします。
関心の薄い社員が増えるほど、成立しにくくなります。
議決権を持つ正会員は、意思のある人に限りましょう。
応援したいだけの人は、賛助会員が適しています。
この振り分けができていない団体が、多くあります。
数を目標にするなら、賛助会員で設定してください。
正会員は、質で考えるほうが健全です。
会費の期間をどう数えるか
意外に迷うのが、会費の期間です。
事業年度で区切る方法が、ひとつです。
4月から翌年3月まで、といった形です。
事務は楽ですが、年度末の入会が不利になります。
もうひとつは、入会から1年とする方法です。
公平ですが、更新の時期が人ごとに散らばります。
事務の負担は、こちらのほうが重くなります。
会員数が少ないうちは、どちらでも回ります。
増えることを見込むなら、年度で区切るほうが楽です。
どちらにせよ、入会のページに明記しましょう。
会員を増やす方法のまとめ
会員には、要件・財源・担い手という三つの意味があります。
すべてを一つの種別で満たそうとしないでください。
正会員と賛助会員を分け、役割をはっきり書きます。
増えない最大の原因は、入口が見えないことです。
入会のページを、一回のクリックで行ける場所に作りましょう。
会費の額は、定款に固定せず別に定める形にします。
声をかける相手は、参加者・ボランティア・寄付者です。
関心が高いその場で、手続きまで済ませてもらいましょう。
増やす前に、名簿の管理と会報を送る体制を先に作ってください。
入会したのに何も届かない状態が、いちばん人を離れさせます。
数を目標にするなら、正会員でなく賛助会員で設定しましょう。
議決権を持つ正会員が増えるほど、総会は成立しにくくなります。
よくある質問
A. 多くの場合、入口が見えていないためです。ウェブサイトに入会のページがない、探さないと見つからない、会費の額が書かれていない、といった状態が原因です。関心があっても、そこで止まってしまいます。
A. 年3,000円から5,000円が、よく見られる水準です。賛助会員は高めに設定する団体もあります。額は定款に固定せず、別に定める形にしておきましょう。
A. 正会員は総会で議決権を持ち、運営に関わります。賛助会員は議決権がなく、資金で応援する立場です。関わり方が軽いぶん、入りやすくなります。
A. 活動に参加してくれた人、ボランティア、寄付をしてくれた人です。すでに関わっているのに会員でない人が、意外に多くいます。
A. 申込書を催しの受付に置き、記入項目を氏名・連絡先・種類だけにします。二次元コードで申し込み画面に飛べる形も有効です。持ち帰ってもらうと忘れられます。
A. 止めるより、理由を聞いて記録することが大切です。活動に関われなくなったなら賛助会員への切り替えを提案でき、不満なら運営の改善につながります。
📖 参考にした公的機関の情報


