NPO法人の総会は、進め方の型が決まっています。
順番を守れば、短時間でも中身のある会になります。
逆に、型を知らないと形式の不備が生じます。
この記事では、当日の議事運営を順を追って解説します。
総会には二種類ある
総会には、通常総会と臨時総会があります。
通常総会は、毎年一回必ず開くものです。
事業報告と決算の承認が、主な議題になります。
臨時総会は、必要に応じて開きます。
急ぎの定款変更や、役員の補充で使います。
手続きは、どちらも同じです。
招集の通知を出し、議案を記載します。
定足数と議決の要件も、変わりません。
呼び方が違うだけ、と考えて差し支えありません。
開会までの準備
当日の朝までに、そろえておくものがあります。
第一に、社員名簿です。
当日時点の正確な社員総数が、必要になります。
第二に、回収した書面表決書と委任状です。
第三に、議案の資料です。
第四に、出席者名簿の用紙です。
第五に、議事録の下書きです。
第六に、前年の議事録です。
書き方に迷ったとき、手本になります。
受付の担当を、一人決めておきましょう。
受付で数を確定させる
受付は、単なる案内係ではありません。
出席者の数を、確定させる役割です。
来た人に、名簿へ署名してもらいます。
本人出席の数を、そこで数えます。
委任状を持参した人がいれば、そこで受け取ります。
書面表決の数も、事前の回収分と合算します。
開会の直前に、三つの数を合計します。
本人出席、書面表決、委任状の合計です。
この数が、定足数を満たしているかを判断します。
| 順番 | 進行の内容 | 議事録に書くこと |
|---|---|---|
| 1 | 開会の宣言 | 開会の時刻 |
| 2 | 成立の確認 | 社員総数と出席の内訳 |
| 3 | 議長の選出 | 選出の経過 |
| 4 | 議事録署名人の選任 | 氏名 |
| 5 | 議案の審議と採決 | 議案ごとの賛否の数 |
| 6 | 報告事項 | 報告の概要 |
| 7 | 閉会の宣言 | 閉会の時刻 |
成立の確認
開会したら、まず成立を確認します。
議長または司会が、数を読み上げます。
社員総数は何名、と述べます。
本人出席、書面表決、委任状の内訳も述べます。
合計が定足数を満たしていることを、宣言します。
この宣言が、議事録の根拠になります。
満たしていなければ、決議はできません。
その場合、日を改めることになります。
事前に数を把握しておけば、この事態は避けられます。
議長の選出
議長は、その場で選びます。
定款に定めがあれば、それに従います。
理事長が議長を務めると定めている団体もあります。
定めがなければ、出席者から選びます。
互選でも、指名でもかまいません。
選ばれた人が、その旨を述べて進行を引き継ぎます。
選出の経過を、議事録に書きます。
議長は、議事を整理する役割です。
自分の意見を押し通す場では、ありません。
議事録署名人を決める
議長のほかに、議事録署名人を選びます。
定款で、人数が決まっていることがあります。
出席した社員から、二名とする例が多いものです。
議長と署名人が、議事録に署名または記名押印します。
選任は、議案の審議の前に行います。
あとから頼むと、断られることがあります。
氏名を、議事録に書きます。
登記の添付書類になる場合もあります。
定款の定めを、事前に確認しておきましょう。
- 本人出席の人数(署名で確定)
- 当日持参の委任状
- 事前に回収した委任状の数
- 事前に回収した書面表決の数
- 当日時点の社員総数
- 三つを合計した出席者数
- 定足数を満たしているか
- 議決の要件(特別の多数が要る議案の有無)
- 議事録署名人を頼む相手
- 終了予定の時刻
議案は一つずつ採決する
議案は、まとめて採決しないでください。
一つずつ、審議して採決します。
議長が、議案の内容を説明します。
担当の理事が説明する形でも、かまいません。
質疑の時間を、必ず取ります。
質問がなくても、聞く姿勢を示します。
そのうえで、採決に入ります。
賛成の挙手を求め、数を数えます。
反対と棄権も、確認します。
結果を、議長が宣言します。
賛否の数を記録する
採決の結果は、数で記録します。
賛成何名、反対何名、棄権何名と書きます。
書面表決の賛否も、その中に含めます。
委任状の分は、受任者の意思として数えます。
全員異議なく可決、という書き方も使えます。
実際に反対がなかった場合に限ります。
反対があったのに、この書き方をしてはいけません。
あとで争いになれば、議事録が証拠になります。
正確に書くことが、団体を守ります。
特別の多数を要する議案
議案によって、必要な賛成の数が変わります。
定款の変更、解散、合併がその代表です。
通常の議決より、多い賛成が必要になります。
社員総数の2分の1以上が出席し、その4分の3以上の賛成が原則です。
定款で別に定めている場合は、それによります。
議案を作る段階で、要件を確認しましょう。
通常の議決で通してしまうと、無効になり得ます。
議事録には、要件を満たしたことが分かるように書きます。
数字を、具体的に書いてください。
報告事項の扱い
議題には、決議事項と報告事項があります。
報告事項は、採決しません。
伝えて、質問を受けるだけです。
事業の進み具合や、今後の予定が例になります。
議案書と議事録で、区別を明確にします。
報告事項を決議したことにすると、混乱します。
逆に、決議が必要なものを報告で済ませるのも問題です。
事業報告は、承認が必要な団体が多いものです。
定款を確認して、扱いを決めましょう。
議事録の作り方
議事録は、当日のうちに下書きを作ります。
記憶が新しいうちに、書いておきます。
日時と場所を、正確に書きます。
社員総数と、出席の内訳を書きます。
議長の選出の経過を書きます。
議事録署名人の氏名を書きます。
議案ごとに、審議の概要と議決の結果を書きます。
報告事項も、概要を書きます。
議長と署名人が、署名または記名押印します。
所轄庁への提出や、登記の添付書類にもなります。
時間の使い方
総会は、長ければよいものではありません。
1時間から1時間半で、終わる団体が多いものです。
議案の説明は、要点に絞ります。
資料を事前に配っていれば、読み上げる必要はありません。
質疑の時間を、確保することが大切です。
議論が長引きそうなときは、議長が整理します。
別の場で検討する、という判断もあります。
終了の時刻を、最初に伝えておきましょう。
見通しがあると、参加者も落ち着きます。
総会を有意義にする工夫
手続きだけの総会は、出る意味が薄くなります。
第一に、活動の報告を丁寧に行います。
写真や数字があると、伝わります。
第二に、参加者が話す時間を作ります。
意見交換の時間を、議事のあとに置きます。
第三に、現場の担当者に話してもらいます。
理事だけが話す会は、単調になります。
第四に、次の一年の方針を共有します。
第五に、感謝を伝えます。
出てよかったと思える会が、次の出席につながります。
よくある不備
第一が、出席者数と社員名簿が合わない場合です。
第二が、招集の通知に議題を書いていない場合です。
第三が、議事録に賛否の数がない場合です。
第四が、議事録署名人を選んでいない場合です。
第五が、特別の多数を要する議案を通常の議決で通した場合です。
第六が、定款にない方法で表決を取った場合です。
いずれも、事前の確認で防げます。
前年の議事録を手本にすると、抜けが減ります。
一度型を作れば、毎年それを使えます。
紛糾したときの進め方
議論が激しくなることも、あります。
議長は、まず発言の機会を公平に配ります。
同じ人が長く話し続ける状態を、放置しないでください。
時間を区切る、発言の回数を決めるといった整理が要ります。
感情的なやり取りになったら、いったん休憩を取ります。
議案の趣旨に戻すことも、議長の役割です。
結論が出ないときは、継続審議とする方法もあります。
ただし、決算の承認など先送りできない議案もあります。
その場合は、採決に進むしかありません。
経過を、議事録に丁寧に残しておきましょう。
欠席が多いときの備え
出席が少ないことが、事前に分かる場合があります。
その時点で、手を打ちます。
第一に、書面表決と委任状の提出を呼びかけます。
第二に、締切を延ばして受け付けます。
第三に、電話で個別に依頼します。
当日になって足りないと分かるのが、いちばん困ります。
数日前に、集計しておきましょう。
定足数に届かない見込みなら、日程の変更も検討します。
招集の通知を出し直す必要があるため、早い判断が要ります。
開催の方法を広げる
会場に集まる形だけが、総会ではありません。
遠方の社員が多い団体では、負担が大きくなります。
定款に定めがあれば、別の方法も取れます。
映像と音声のやり取りで参加する形です。
出席として扱えるかは、定款の定め方によります。
定めがなければ、書面表決や委任状で対応します。
会場と接続を併用する形も、増えています。
この場合、双方の出席を分けて数えます。
接続が切れた人の扱いも、決めておきましょう。
運用の方法は、事前に理事会で確認してください。
司会と議長を分ける
進行の負担を、一人に集めない方法もあります。
司会と議長を、別の人が担う形です。
司会は、開会から議長の選出までを進めます。
議長が決まったら、そこから先を引き継ぎます。
事務局の担当者が、司会を務める例が多いものです。
議長は、社員から選ばれた人が務めます。
役割が分かれると、議長は議事に集中できます。
資料の配布や、時間の管理も司会が担えます。
小さな工夫ですが、進行はかなり楽になります。
総会の議事運営のまとめ
総会は、成立の確認、議長の選出、署名人の選任、議案の審議の順で進みます。
受付で本人出席・書面表決・委任状の三つの数を確定させます。
合計が定足数を満たしていることを、開会後に宣言します。
議案は一つずつ審議し、賛否の数を記録してください。
定款の変更や解散は、特別の多数が必要です。
報告事項は採決せず、議事録でも区別して書きます。
議事録は当日のうちに下書きを作りましょう。
手続きだけで終わらせず、報告と意見交換の時間を確保してください。
議論が紛糾したら、議長が発言を整理し、必要なら休憩を取ります。
出席が足りない見込みなら、数日前に集計して手を打ちましょう。
当日になって足りないと分かるのが、いちばん困る事態です。
会場に集まる形以外の開催も、定款の定め次第で取れます。
よくある質問
A. 開会の宣言のあと、成立の確認です。社員総数と、本人出席・書面表決・委任状の内訳を読み上げ、定足数を満たしていることを宣言します。
A. 定款に定めがあればそれに従います。理事長が務めると定めている団体もあります。定めがなければ出席者から選び、選出の経過を議事録に書いてください。
A. いけません。一つずつ審議して採決します。議案ごとに賛成・反対・棄権の数を記録してください。書面表決の賛否も、その中に含めます。
A. 実際に反対がなかった場合に限ります。反対があったのにこの書き方をすると、あとで争いになったときに議事録が証拠として使えません。
A. 議案の審議の前です。あとから頼むと断られることがあります。定款で人数が決まっていることもあるため、事前に確認してください。
A. 1時間から1時間半で終わる団体が多いです。資料を事前に配れば読み上げは不要です。終了の時刻を最初に伝えておくと、参加者も落ち着きます。
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