NPO法人の設立は自分でできるか|依頼を検討する判断基準

一般社団法人法
設立を自分でやるか、頼むか。判断の材料を整理します。

NPO法人の設立は、自分たちだけでも進められます

一方、専門家に依頼するという選択もあります。

どちらが正しいということはありません。

この記事では、判断の材料を整理します。

POINT 結論:NPO法人の設立は、時間をかけられるなら自分たちでも進められます。所轄庁の事前相談と手引きが用意されているためです。一方、時期が決まっている場合や、書類を作る時間が取れない場合は依頼を検討してください。

自分たちでできる部分

まず、自分たちでできることを確認します。

設立の趣旨を考えるのは、団体自身の仕事です。

社員10人を集めることも、代わりはできません。

定款の中身を決めるのも、団体が決めることです。

事業計画と活動予算も、同じです。

設立総会を開くのも、団体が行います。

つまり、中身の部分はすべて自前です。

専門家に頼めるのは、形にする部分です。

この境目を、理解しておきましょう。

所轄庁の支援がある

NPO法人の設立には、公的な支援があります。

所轄庁が、手引きを公開しています。

様式も、多くが用意されています。

事前相談を、無料で受け付けています。

複数回にわたって相談する団体も、珍しくありません。

内閣府のウェブサイトにも、情報がまとまっています。

中間支援組織にも、相談できます。

これらを使えば、自分たちで進める道は開けています。

他の法人格より、支援が手厚い分野です。

場面 自分たちで 依頼を検討
時間に余裕がある 向く
開始の時期が決まっている 難しい 向く
書類を作る人がいない 難しい 向く
所轄庁へ通える 向く
遠方で窓口へ行けない 難しい 向く
将来も自分たちで手続きしたい 向く

自分たちで進める利点

自前で進める利点は、いくつもあります。

第一に、費用がかかりません。

NPO法人は、登録免許税もかかりません。

実費だけで設立できます。

第二に、制度を理解できます。

書類を自分で作ると、仕組みが身につきます。

設立後の手続きも、自分たちでできるようになります。

第三に、定款の中身を深く考える機会になります。

第四に、所轄庁の担当者と関係ができます。

設立後の相談も、しやすくなります。

自分たちで進める負担

一方、負担も現実にあります。

第一に、時間がかかります。

書類の作成に、数十時間を要することもあります。

第二に、窓口へ足を運ぶ必要があります。

平日の日中に、時間を取ることになります。

第三に、補正で往復する可能性があります。

慣れていないぶん、指摘は増えます。

第四に、精神的な負担があります。

本業と並行して進めるのは、簡単ではありません。

準備の段階で、疲れてしまう例もあります。

依頼を検討したほうがよい場合

  • 活動の開始時期が決まっている
  • 助成金の公募に間に合わせたい
  • 書類を作る時間が取れない
  • 所轄庁の窓口が遠い
  • 中心になる人が本業で多忙
  • 過去に補正で行き詰まった
  • 定款の内容に迷いが大きい
  • 設立後の手続きも継続して任せたい
  • 定款の点検だけでも見てほしい

依頼できる範囲

専門家に依頼できる範囲も、確認しておきましょう。

設立の認証申請に関する書類の作成は、行政書士が扱う業務です。

設立登記の申請の手続きは、司法書士が扱う業務です。

税務に関する手続きは、税理士が扱う業務です。

社会保険や労働保険の手続きは、社会保険労務士が扱う業務です。

それぞれ、法律で業務の範囲が決まっています。

一人がすべてを扱えるわけではありません。

複数の専門家が関わる場面も、あります。

誰に何を頼むかを、整理しておきましょう。

費用の考え方

依頼する場合、費用が生じます。

金額は、依頼する範囲によって変わります。

書類の作成だけか、相談から含めるかで違います。

事前に、見積もりを取りましょう。

何が含まれ、何が別料金かを確認します。

補正が生じた場合の扱いも、聞いておきます。

実費が別に必要かも、確認します。

複数から見積もりを取る方法も、あります。

金額だけでなく、説明の分かりやすさも見ましょう。

依頼先の選び方

依頼先を選ぶ基準を、いくつか挙げます。

第一に、NPO法人の設立に慣れているかです。

会社の設立とは、手続きがまったく違います。

第二に、所轄庁とのやり取りに慣れているかです。

運用は、所轄庁ごとに違うためです。

第三に、説明が分かりやすいかです。

第四に、何を自分たちでやるかを示してくれるかです。

丸投げを勧める相手より、役割を分ける相手が信頼できます。

第五に、設立後の相談にも応じてくれるかです。

丸投げしない

依頼する場合も、丸投げは避けましょう。

定款の中身は、団体が理解している必要があります。

読まずに提出すると、運営で必ず困ります。

会費の額や、役員の人数がその例です。

設立総会も、団体が主体となって開きます。

専門家は、形にする部分を担います。

中身を決めるのは、あくまで団体です。

説明を受けて、納得したうえで進めましょう。

分からない条文は、その場で聞いてください。

設立後を見据える

設立は、出発点にすぎません。

毎年の事業報告書等の提出があります。

役員の改選と、登記もあります。

資産の総額の変更登記は、毎年必要です。

これらを、自分たちでできるかを考えましょう。

設立を依頼した場合も、その後は自前という選択があります。

一度手順を教われば、次からできることも多いものです。

継続して依頼するなら、その費用も見込みます。

長い目で、体制を設計してください。

部分的に頼むという選択

全部か自前かの二択では、ありません。

部分的に頼む方法も、あります。

第一に、定款だけ見てもらう形です。

第二に、書類の点検だけを頼む形です。

第三に、相談だけを受ける形です。

作成は自分たちで行い、確認を受けます。

費用は、全部を頼むより抑えられます。

制度の理解も、ある程度は残ります。

こうした受け方に応じるかは、相手によります。

相談のときに、確認してみましょう。

時間を金額に換算する

判断に迷うときは、時間で考えてみましょう。

書類の作成に、何十時間かかるかを見積もります。

窓口へ通う往復の時間も、加えます。

補正で戻る可能性も、見込みます。

その時間を、他のことに使えたらどうなるかを考えます。

会員を集める、寄付を募る、事業の準備をする。

どちらが団体にとって価値が高いかを、比べます。

時間に余裕があるなら、自前が有利です。

人手が足りないなら、依頼の価値が上がります。

費用だけで判断しないでください。

相談だけしてみる

決めきれないなら、まず相談してみる方法があります。

多くの専門家が、初回の相談を受け付けています。

無料か有料かは、事前に確認しましょう。

話してみると、作業量の見当がつきます。

自分たちでできそうかも、判断しやすくなります。

所轄庁の事前相談も、あわせて受けてください。

中間支援組織にも、同じ相談ができます。

複数から話を聞くと、判断の材料が増えます。

一つの意見だけで、決めないほうが安全です。

引き受けてもらえない場合

依頼したくても、断られることがあります。

NPO法人の設立を扱っていない事務所も、あるためです。

会社の設立とは、手続きも所轄も違います。

慣れていない場合、引き受けないという判断もあります。

断られても、否定されたわけではありません。

扱っている事務所を、紹介してもらえることもあります。

中間支援組織に、心当たりを聞く方法もあります。

所轄庁は、特定の事務所を紹介しません。

公平性を保つ立場だからです。

複数に当たることを、前提にしておきましょう。

やり取りの記録を残す

依頼した場合も、記録は自分たちで残します。

打ち合わせの内容を、書き留めておきましょう。

何をいつまでに、どちらが行うかを確認します。

口頭のやり取りだけだと、認識がずれます。

電子メールでやり取りすれば、記録が残ります。

提出した書類の控えも、必ず保管します。

所轄庁からの通知も、原本を保管します。

担当者が代わっても、経過を追えるようにします。

設立後の手続きで、必ず参照することになります。

設立以外の場面

専門家に頼む場面は、設立だけではありません。

定款変更の認証申請も、書類の作成が必要です。

役員変更の登記も、手続きが生じます。

毎年の資産の総額の変更登記も、同じです。

職員を雇うときの手続きも、あります。

毎年の書類の提出も、負担になります。

どの場面で頼むかを、あらかじめ考えておきましょう。

設立だけ頼んで、あとは自前という選択もあります。

逆に、設立は自前で、登記だけ頼む形もあります。

団体の体制に合わせて、組み立ててください。

専門家に頼むかのまとめ

NPO法人の設立は、時間をかけられるなら自分たちでも進められます。

所轄庁の手引きと事前相談、中間支援組織の支援があるためです。

一方、開始の時期が決まっている場合は依頼を検討してください。

書類を作る時間が取れない場合も、同じです。

依頼できる範囲は、法律で専門家ごとに決まっています。

誰に何を頼むかを、先に整理しましょう。

依頼する場合も、定款の中身は必ず理解してください。

設立後の手続きを誰が担うかまで、見据えて決めましょう。

全部か自前かの二択ではなく、点検だけを頼む方法もあります。

判断に迷うときは、費用ではなく時間で比べてみてください。

その時間を会員集めや事業の準備に使えるか、という比較です。

断られることもあるため、複数に当たる前提で動きましょう。

依頼した場合も、やり取りの記録は自分たちで残してください。

頼む場面は設立だけでなく、定款変更や毎年の登記もあります。

どの場面で頼むかを、団体の体制に合わせて組み立てましょう。

よくある質問

Q. 設立は自分たちだけでできる?

A. できます。所轄庁が手引きと様式を公開し、事前相談も無料で受け付けています。中間支援組織にも相談できるため、時間をかけられるなら自前で進められます。他の法人格より、支援が手厚い分野です。

Q. 依頼したほうがいいのはどんな場合?

A. 活動の開始時期が決まっている、助成金の公募に間に合わせたい、書類を作る時間が取れない、窓口が遠いといった場合です。

Q. 誰に頼めばいい?

A. 業務の範囲が法律で決まっています。認証申請の書類の作成は行政書士、設立登記の申請は司法書士、税務は税理士、社会保険や労働保険は社会保険労務士が扱います。

Q. 費用はどれくらい?

A. 依頼する範囲によって変わります。書類の作成だけか相談から含めるかで違うため、何が含まれ何が別料金かを確認して見積もりを取ってください。補正が生じた場合の扱いも聞いておきましょう。

Q. 丸投げしてもいい?

A. 避けてください。定款の中身は団体が理解している必要があります。読まずに提出すると、会費の額や役員の人数などで運営中に必ず困ります。分からない条文は、その場で聞いてください。

Q. 設立後も依頼が必要?

A. 選べます。一度手順を教われば、次から自分たちでできることも多いものです。継続して依頼するなら、その費用も見込んで体制を設計してください。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
  • 社会保険・労働保険の加入手続きは、社会保険労務士が取り扱う業務です。

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