認定NPO法人の認定が取り消されるとき|必ず取り消される4つ・取り消せる3つと5年の縛り

一般社団法人法

認定NPO法人になると、寄付をした人が寄付金控除を受けられるようになります。この認定は一度取れば終わりではなく、取り消されることがあります。特定非営利活動促進法(以下「法」)67条は、所轄庁が認定を取り消さなければならない場合と、取り消すことができる場合を分けて定めています。

この記事では、2種類の取消しの中身、取消しに至る前の勧告・命令の段階、取り消されたあとに法人と役員に何が残るのかを、条文に沿って整理します。認定を目指す段階でも、維持する段階でも、どこが地雷なのかを先に知っておくと運営が変わります。

POINT 結論。取消しには必要的取消し(法67条1項の4類型)裁量的取消し(同条2項の3類型)があります。取り消されても法人自体は残り、消えるのは認定です。ただし取消しの日から5年は再び認定を受けられません(法47条2号)。

前提|認証と認定は別のもの

NPO法人には2つの行政処分が関わります。1つ目が設立の認証で、これがなければ法人になれません。2つ目が認定で、寄付者に税制優遇を与えるために、一定の基準を満たした法人だけが受けられます。

認証を取り消されると、法人は解散します。一方、認定を取り消されても法人格は残ります。認定NPO法人から、ふつうのNPO法人に戻るだけです。まずこの違いを押さえてください。ニュースで「NPOの認定取消し」と報じられていても、法人がなくなったのか、税制優遇がなくなっただけなのかは別問題です。

必ず取り消される4つの場合(法67条1項)

所轄庁は、認定NPO法人が次のいずれかに当たるときは、認定を取り消さなければなりません。裁量の余地がない、という意味で必要的取消しと呼ばれます。

内容
1号 法47条各号(2号を除く)の欠格事由のいずれかに該当したとき
2号 偽りその他不正の手段により、認定・有効期間の更新・法63条1項の認定を受けたとき
3号 正当な理由がなく、法65条4項または法66条1項の命令に従わないとき
4号 認定NPO法人から認定の取消しの申請があったとき

4号に注目してください。自分から取消しを申請することもできます。認定を維持するための事務負担が重い、寄付が集まらず優遇の意味が薄い、といった理由で自ら認定を返上する道が用意されているのです。

1号でいう法47条の欠格事由は、認定を受けられない法人を定めた規定です。役員のうちに、拘禁刑以上の刑に処せられて執行が終わった日等から5年を経過しない者や、この法律・暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の違反、刑法204条(傷害)206条・208条・208条の2・222条(脅迫)247条(背任)などの罪、暴力行為等処罰に関する法律の罪、国税・地方税を偽りその他不正の行為により免れた罪などで罰金の刑に処せられて5年を経過しない者がいる場合が含まれます。ほかに、定款や事業計画書の内容が法令等に違反しているもの、国税または地方税の滞納処分が執行されているものや滞納処分の終了から3年を経過しないもの、重加算税や重加算金を課された日から3年を経過しないもの、暴力団やその統制下にあるものも欠格です。

なお1号は47条2号を除くと書かれています。47条2号は「過去に取り消されて5年を経過しないもの」ですから、これを取消事由にすると取消しが二重になってしまうためです。

取り消すことができる3つの場合(法67条2項)

次の場合、所轄庁は認定を取り消すことができます。こちらは裁量的取消しで、直ちに取り消すとは限らず、後述する勧告や命令が先に来るのが通常です。

内容
1号 法45条1項3号、4号イ・ロ、7号の認定基準に適合しなくなったとき
2号 法29条(事業報告書等の提出)、法52条4項、法54条4項を遵守していないとき
3号 前2号のほか、法令または法令に基づく行政庁の処分に違反したとき

2号にある法29条は、毎事業年度1回、事業報告書等を所轄庁に提出する義務です。認定を受けていない普通のNPO法人でも、3年以上提出しないと認証の取消し事由になります(法43条1項)。認定法人では、提出を怠っていること自体が認定の裁量的取消し事由になります。提出忘れは、それだけで足元をすくわれる典型です。

1号の認定基準は、いわゆる8つの基準のうち、運営組織および経理が適切であること、事業活動の内容が適正であること、情報公開を適切に行っていることなど、日々の運営そのものに関わる部分です。パブリック・サポート・テスト(PST)の基準は、この2項1号には挙げられていません。PSTは有効期間の更新のときに改めて審査される仕組みになっています。

特例認定でも同じ(法67条3項)

特例認定NPO法人にも、法67条1項・2項の規定が準用されます(同条3項)。読み替えの結果、偽りその他不正の手段により特例認定または法63条2項の認定を受けたときが取消事由になります。特例認定は設立から5年以内の法人が一度だけ受けられる制度で、有効期間は3年です。取り消されれば、その一度きりの機会を失うことになります。

いきなり取り消されるわけではない|勧告・公表・命令

裁量的取消しの事由に当たる疑いがある場合、所轄庁はまず勧告をすることができます(法65条1項)。期限を定めて、改善のために必要な措置を採るべき旨を求めるものです。勧告をしたときは、インターネットの利用その他の適切な方法により公表されます(同条3項)。

勧告に従わないときは、所轄庁は命令を出すことができます(同条4項)。この命令に正当な理由がなく従わないと、法67条1項3号の必要的取消し事由に変わります。つまり、裁量の段階から取り消さなければならない段階へ進んでしまうということです。

もう一つ、その他の事業を行う認定NPO法人が、その他の事業から生じた利益を特定非営利活動に係る事業以外の目的に使ったと認められるときは、所轄庁はその他の事業の停止を命ずることができます(法66条1項)。この命令に従わない場合も、法67条1項3号に当たります。

取消しの手続|聴聞と公示

法67条4項は、認定の取消しについて法43条3項・4項、法49条1項から3項まで、法65条7項を準用しています。

法43条3項は、取消しに係る聴聞の期日における審理は、法人から請求があったときは公開により行うよう努めなければならない、という規定です。4項は、その請求があった場合に所轄庁がとるべき取扱いを定めています。弁明の機会が形式だけにならないよう、公開を求める道が開かれているのです。

法49条は通知と公示の規定です。所轄庁は、処分をしたときはその旨を書面で法人に通知し、インターネットの利用その他の適切な方法により公示します。認定を受けたときに名称や有効期間が公示されるのと同じように、取消しも公にされます。寄付をしようとする人が、その法人が今も認定を受けているかを確認できるのはこの公示があるからです。

取り消されるとどうなるか|法人・寄付者・役員

まず法人です。認定を失っても法人格は残り、ふつうのNPO法人として活動を続けられます。解散する必要はありません。ただし、名称に「認定」を付けて名乗ることはできなくなり、パンフレットやウェブサイト、寄付の募集ページの表記を直す必要があります。

次に寄付者です。寄付金控除や税額控除は、認定を受けている法人への寄付であることが前提です。取消し後の寄付は優遇の対象になりません。控除を受けられるかどうかは寄付をした時点で判断されますので、寄付を集める側は、取消しの事実を速やかに支援者へ知らせることが求められます。

そして法人の再挑戦です。法47条2号により、認定または特例認定を取り消され、取消しの日から5年を経過しないものは欠格です。運営を立て直しても、5年間は認定を受け直せません。

最後に役員個人です。法47条1号イは、認定を取り消された法人において、取消しの原因となった事実があった日以前1年内に業務を行う理事であった者で、取消しの日から5年を経過しない者を、役員の欠格事由としています。その人が別のNPO法人の役員になっている場合、その法人は認定を受けられなくなります。取消しの影響は、法人の中だけで完結しないということです。

更新を忘れて失効した場合との違い

認定の有効期間は認定の日から5年です(法51条1項)。引き続き認定NPO法人として活動しようとする法人は、有効期間の更新を受けなければなりません(同条2項)。更新の申請は、有効期間の満了の日の6か月前から3か月前までの間に行います(同条3項)。災害その他やむを得ない事由により申請できないときは、この限りではありません。

申請をしたのに満了の日までに処分がされないときは、従前の認定は処分がされるまでの間なお効力を有します(同条4項)。審査が長引いても、その間に優遇が切れることはありません。

一方、更新申請の期間を逃せば、有効期間の満了とともに認定は失効します。失効は取消しとは別で、法47条2号の5年の欠格には当たりません。あらためて認定の申請をすればよい、という整理になります。同じ「認定がなくなる」でも、その後の道が違うのです。

取消し 更新しないことによる失効
根拠 法67条 法51条1項
原因 欠格事由・不正・命令違反・申請など 有効期間の満了
公示 される 有効期間の満了として扱われる
再申請 取消しの日から5年は不可(法47条2号) あらためて申請できる
役員への影響 取消原因日以前1年内の業務執行理事は5年欠格(法47条1号イ) なし

取り消されないための実務

第一に、毎年の提出物を落とさないことです。事業報告書等の提出(法29条)は、認定法人では裁量的取消し事由に直結します。決算から総会、提出、登記までの流れを年間の予定表にして、担当者が変わっても回る形にしておきます。

第二に、役員の欠格事由を毎年確認することです。就任時に確認していても、その後に事情が変わることがあります。役員改選のたびに、欠格事由に当たらない旨の誓約書を取り直す運用が確実です。

第三に、税金の滞納をつくらないことです。国税・地方税の滞納処分が執行されていること自体が欠格事由で、滞納処分が終了しても3年は認定を受けられません。資金繰りが苦しいときほど、税の納付は優先順位を上げてください。

第四に、その他の事業の利益の使い道を記録に残すことです。その他の事業から生じた利益は特定非営利活動に係る事業に充てなければならず、違反すると事業の停止命令、さらに命令違反として必要的取消しへ進みます。

第五に、勧告や命令を受けたら期限内に対応することです。勧告の段階であれば裁量的な処分にとどまりますが、命令に従わなければ取消しは必要的になります。対応が難しい事情があるなら、放置せず所轄庁に相談してください。

よくある質問

Q. 認定を取り消されたら法人は解散しますか。

A. いいえ。解散するのは設立の認証を取り消された場合です。認定の取消しでは法人格は残り、ふつうのNPO法人として活動を続けられます。

Q. 自分から認定を返上できますか。

A. できます。認定NPO法人から取消しの申請があったときは、所轄庁は認定を取り消さなければなりません(法67条1項4号)。

Q. 取り消されたあと、いつから再び認定を受けられますか。

A. 取消しの日から5年を経過するまでは欠格です(法47条2号)。

Q. 事業報告書を出し忘れただけでも取り消されますか。

A. 法29条の不遵守は裁量的取消し事由です(法67条2項2号)。直ちに取消しとは限りませんが、勧告・命令に従わなければ必要的取消しに進みます。

Q. 更新を忘れた場合も5年間認定を受けられませんか。

A. いいえ。更新しなかったことによる失効は取消しではないため、5年の欠格には当たりません。あらためて認定の申請ができます。

まとめ

認定の取消しには、必ず取り消される4つの場合(法67条1項)と、取り消すことができる3つの場合(同条2項)があります。裁量的な事由でも、勧告と命令を経て命令に従わなければ必要的取消しに変わります。取消しがあっても法人は残りますが、寄付者の税制優遇は失われ、法人は5年間、再認定を受けられません(法47条2号)。取消しの原因となった事実の日以前1年内に業務を行っていた理事は、5年間、他の法人の認定の妨げにもなります。

毎年の提出物、役員の欠格事由、税の納付、その他の事業の利益の使い道。この4つを外さない運用が、いちばん確実な予防策です。個別の判断は所轄庁の窓口と専門家にご確認ください。

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