NPO法人が対象を広げるか絞るか|広げるほど届かない

一般社団法人法
もっと多くの人に届けたい。その気持ちが、届く範囲を狭めます。

NPO法人の運営で、誰を対象にするかは繰り返し悩む点です。

広げれば多くに届く気がします。

ところが実際は、逆のことが起こります。

この記事では、対象の決め方を解説します。

POINT 結論:対象は、広げるほど届かなくなります。誰でもどうぞ、は誰にも自分事になりません。絞って深く届けてから、そこを軸に広げる順序が現実的です。

広げると届かなくなる

まず、逆説を確かめます。

第一に、案内の言葉が抽象的になります。

第二に、読む人が自分事と思いません。

第三に、内容も一般的になります。

第四に、来た人の満足度も下がります。

第五に、必要な備えも増えます。

第六に、担い手の負担も広がります。

広げたぶんだけ、一人あたりに届く量が減ります。

多くに届けたい気持ちが、届かない結果を生みます。

ここが、いちばんの落とし穴です。

絞ると具体的になる

逆の効果も、見ておきます。

第一に、案内の言葉が具体的になります。

第二に、当てはまる人が気づきます。

第三に、内容も的確になります。

第四に、必要な備えもはっきりします。

第五に、関わる人も動きやすくなります。

第六に、実績も語りやすくなります。

絞った対象に深く届けば、評判が広がります。

結果として、届く範囲も広がります。

順序が、逆なのです。

絞り方 効果
年代で絞る 子ども・若者・高齢の方 内容と時間帯が決まる
状況で絞る 転入したばかり・介護中 困りごとが具体的になる
地域で絞る 特定の学区・町 会場と告知が決まる
時期で絞る 入学前・退職後 届ける時期が決まる
分野で絞る 学習・食・居場所 協力先が見つけやすい
絞らない 誰でもどうぞ 誰にも届かない

絞り方の軸

何で絞るかを、考えます。

第一に、年代です。

第二に、置かれている状況です。

転入したばかり、介護をしている、などです。

第三に、地域です。

第四に、時期です。

入学の前、退職の後といった区切りです。

第五に、分野です。

第六に、複数を組み合わせる方法もあります。

この地域の、この状況の人という形です。

組み合わせるほど、具体的になります。

対象を決めるときの確認

  • 一人の顔を思い浮かべられるか
  • 絞る軸を決めたか(年代・状況・地域・時期)
  • その人の困りごとを言葉にできるか
  • その人がどこにいるかを把握したか
  • 案内の言葉が具体的か
  • 対象外の人へのつなぎ先
  • 担い手の力量と合っているか
  • 広げる場合の順序を決めたか
  • 実績で語れる形か
  • 定款の事業の範囲内か
  • 届ける経路も一緒に決めたか

一人の顔を思い浮かべる

実務での、いちばん有効な方法です。

第一に、対象を一人の人として想像します。

第二に、年齢と状況を具体的に決めます。

第三に、その人の一日を思い描きます。

第四に、どこで情報を得ているかを考えます。

第五に、何に困っているかを言葉にします。

第六に、いつなら来られるかも考えます。

その人に届く形を作れば、似た人にも届きます。

層としてではなく、一人として考えてください。

既に関わっている人を、思い浮かべても構いません。

対象外の人が来たら

絞ると、必ず起きる場面です。

第一に、まず話を聞きます。

第二に、対象外だからと突き放さないでください。

第三に、つなぎ先を示します。

第四に、連絡先を書いて渡します。

第五に、可能なら一言連絡します。

第六に、また来てよいと伝えます。

絞ることと、断ることは別です。

対象を決めるのは、設計のためです。

目の前の人への対応は、別に考えましょう。

広げるときの順序

広げてはいけない、という話ではありません。

第一に、まず絞って始めます。

第二に、そこで実績を作ります。

第三に、記録と数字を残します。

第四に、その形を隣の対象に広げます。

同じ地域の別の年代、といった形です。

第五に、一度に大きく広げないでください。

第六に、広げるたびに体制を確かめます。

第七に、担い手が足りるかを見ます。

実績のある形を横に広げるほうが、確実です。

最初から広く始めるのとは、違います。

広げる合図

いつ広げるかの判断です。

第一に、定員が毎回埋まるときです。

第二に、対象外の相談が続くときです。

第三に、担い手に余裕があるときです。

第四に、記録から需要が見えたときです。

第五に、他団体から要望が来たときです。

第六に、財源の見通しが立つときです。

いずれも、実績が先にあります。

足りないから広げる、では失敗します。

溢れているから広げる、が正しい順序です。

数字で、判断しましょう。

絞りすぎる場合

逆の問題も、あります。

第一に、対象が少なすぎると人が集まりません。

第二に、地域を狭めすぎた場合です。

第三に、条件を重ねすぎた場合もあります。

第四に、その場合は一つ条件を外します。

第五に、どれを外すかは記録から判断します。

第六に、来た人の属性を見ます。

第七に、狙いとずれていれば、そこを直します。

絞りすぎと、広げすぎの間を探します。

一度で決まることは、ありません。

試しながら、調整しましょう。

複数の対象を持つ

事業ごとに、対象を変える形です。

第一に、団体全体で一つに絞る必要はありません。

第二に、事業ごとに対象を決めます。

第三に、それぞれの案内も分けます。

第四に、同じ紙に複数の対象を書かないでください。

第五に、担い手も分ける形が現実的です。

第六に、団体としての目的は一つに保ちます。

第七に、定款の事業との対応も確認します。

事業ごとに絞れば、全体としては広がります。

一つの事業で全部を受けようとしないことです。

そこが、設計の分かれ目です。

対象を伝える書き方

案内での表し方です。

第一に、いちばん上に書きます。

第二に、具体的に書きます。

小学生のお子さんがいる方へ、といった形です。

第三に、状況も添えます。

第四に、当てはまらない人にも分かる形にします。

第五に、誰でも歓迎、を併記しないでください。

絞った意味が、なくなります。

第六に、対象外の相談先も小さく添えます。

第七に、迷う人のために、問い合わせ先も書きます。

一行で、届くかどうかが決まります。

団体の目的との関係

対象は、目的から導かれます。

第一に、定款の目的を読み直します。

第二に、誰のための団体かを確かめます。

第三に、対象がそこから外れていないかを見ます。

第四に、外れていれば、事業を見直します。

第五に、あるいは定款の変更を検討します。

第六に、目的から離れた事業は、続きません。

第七に、関わる人の理解も得られません。

対象を決めることは、目的を確かめることでもあります。

迷ったら、定款に戻りましょう。

そこに、答えが書いてあります。

記録から見直す

決めたら、確かめます。

第一に、来た人の属性を記録します。

第二に、狙いと合っているかを見ます。

第三に、ずれていれば原因を探します。

第四に、案内の言葉が原因の場合もあります。

第五に、届ける経路が原因の場合もあります。

第六に、時間帯や場所の場合もあります。

第七に、年に一度は見直します。

決めた対象と、来ている人は違うことがあります。

その差が、いちばんの情報です。

数字で、確かめましょう。

対象と経路は組で考える

誰に届けるかと、どう届けるかは一体です。

第一に、対象を決めたら経路も決めます。

第二に、その人が普段行く場所を考えます。

第三に、そこに情報を置きます。

第四に、対象が変われば、経路も変わります。

第五に、同じ経路で違う層には届きません。

第六に、届かないときは経路を疑います。

第七に、対象の設定が悪いとは限りません。

経路が合っていないだけの場合が、多くあります。

二つを、組で見直しましょう。

片方だけ変えても、結果は変わりません。

担い手の力量と合わせる

見落とされやすい視点です。

第一に、対象によって必要な備えが違います。

第二に、子どもなら安全の備えが要ります。

第三に、高齢の方なら段差やトイレです。

第四に、事情を抱える人なら守秘の体制です。

第五に、担い手の経験も関わります。

第六に、無理な対象を選ぶと、質が保てません。

第七に、力量に合う範囲から始めます。

広げたい気持ちと、担える範囲は別です。

受け止められない対象を掲げないでください。

来た人に、迷惑がかかります。

対象を広げるか絞るかのまとめ

対象は、広げるほど届かなくなります。

誰でもどうぞ、は誰にも自分事になりません。

絞ると案内の言葉が具体的になり、当てはまる人が気づきます。

年代・状況・地域・時期・分野で絞り、組み合わせるほど具体的になります。

対象を一人の人として想像してください。層としてではありません。

対象外の人が来たら、話を聞いてつなぎ先を示します。絞ることと断ることは別です。

広げるのは、絞って実績を作ってからです。実績のある形を横に広げます。

足りないから広げる、では失敗します。溢れているから広げるが正しい順序です。

事業ごとに対象を決めれば、団体全体としては広がります。

案内では対象をいちばん上に書き、誰でも歓迎を併記しないでください。

対象と届ける経路は組です。届かないときは、まず経路を疑ってください。

担える範囲と合う対象を選びます。受け止められない対象を掲げないことです。

来た人の属性を記録し、狙いとの差を年に一度は確かめましょう。

よくある質問

Q. 広げたほうが多くに届く?

A. 逆です。広げると案内の言葉が抽象的になり、読む人が自分事と思いません。内容も一般的になり、満足度も下がります。広げたぶん、一人あたりに届く量が減ります。

Q. 何で絞る?

A. 年代、置かれている状況、地域、時期、分野です。組み合わせるほど具体的になります。この地域の、この状況の人、という形です。

Q. 絞り方が分からない

A. 対象を一人の人として想像してください。年齢と状況を決め、一日を思い描き、どこで情報を得ているか、何に困っているかを言葉にします。既に関わっている人でも構いません。

Q. 対象外の人が来たら?

A. 話を聞き、つなぎ先を連絡先つきで示し、また来てよいと伝えます。絞ることと断ることは別です。対象を決めるのは設計のためで、目の前の人への対応は別に考えます。

Q. いつ広げる?

A. 定員が毎回埋まる、対象外の相談が続く、担い手に余裕がある、記録から需要が見えたときです。足りないから広げるのではなく、溢れているから広げるのが正しい順序です。

Q. 絞りすぎたかもしれない

A. 条件を重ねすぎた可能性があります。一つ外してください。どれを外すかは、来た人の属性の記録から判断します。一度で決まることはありません。

Q. 団体全体で一つに絞る?

A. その必要はありません。事業ごとに対象を決め、案内も分けてください。事業ごとに絞れば、団体全体としては広がります。目的は一つに保ちます。

Q. 対象を変えるときは?

A. 案内の言葉、届ける経路、時間帯、場所も一緒に変えてください。対象だけ変えても、届く相手は変わりません。

Q. 絞ったのに来ない

A. 対象の設定ではなく、届ける経路が合っていない場合が多くあります。その人が普段行く場所に情報を置いているか。対象と経路は組で見直してください。

Q. どこまで受け止められる?

A. 対象によって必要な備えが違います。子どもなら安全、高齢の方なら段差とトイレ、事情を抱える人なら守秘の体制です。受け止められない対象を掲げると、来た人に迷惑がかかります。

Q. 目的とずれてきた気がする

A. 定款の目的を読み直してください。誰のための団体かを確かめ、対象がそこから外れていないかを見ます。対象を決めることは、目的を確かめることでもあります。

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