NPO法人が地域の困りごとを調べる|統計と10人の聞き取り

一般社団法人法
この事業、本当に必要とされていますか。調べてから始めましょう。

NPO法人の事業は、地域の困りごとから生まれます。

ところが、思い込みで始めてしまうこともあります。

誰も来ない事業に、時間と費用がかかります。

この記事では、調べ方を解説します。

POINT 結論:調査は、大がかりなものでなくて構いません。既にある統計を見る、10人に話を聞く、この2つだけで判断は大きく変わります。調べた結果は、助成金の申請でも行政への提案でも、そのまま根拠になります。

なぜ調べるのか

調べる理由は、いくつもあります。

第一に、思い込みを避けるためです。

自分たちの経験は、一部でしかありません。

第二に、対象を絞るためです。

第三に、規模を見積もるためです。

何人来るかが、分かります。

第四に、申請の根拠になります。

助成金でも、行政への提案でも使えます。

第五に、団体の中で共有できます。

数字があると、議論が早く進みます。

既にある数字から始める

まず、自分で集める前にやることがあります。

公表されている数字を、見ることです。

第一に、市区町村の統計です。

人口、年齢の構成、世帯の状況です。

第二に、行政の計画です。

福祉や教育の計画に、課題が書かれています。

第三に、国の調査です。

第四に、他団体の報告書です。

第五に、地域の記事や資料です。

これだけで、多くのことが分かります。

時間も、費用もかかりません。

調べ方 手間 分かること
公表の統計を見る 規模・傾向・地域の特徴
行政の計画を読む 行政が認識している課題
関係者に聞く 現場の実感・見えない課題
当事者に聞く 本当に困っていること
アンケート 広い範囲の傾向
既存の事業の記録 自分たちが持つ情報

自分たちの記録を見る

意外に見落とされるのが、これです。

既に活動しているなら、記録があります。

第一に、寄せられた相談を集計します。

第二に、参加した人の属性を見ます。

第三に、感想の用紙を読み返します。

第四に、断った依頼を数えます。

応えられなかったことに、課題があります。

第五に、問い合わせの内容を見ます。

現場を持つ団体だけが、持てる情報です。

外に探す前に、内側を見ましょう。

10人に話を聞く

次にやるのが、聞き取りです。

大規模な調査は、要りません。

10人に話を聞くだけで、多くが分かります。

第一に、聞く相手を決めます。

当事者、関係者、他団体、行政です。

第二に、聞くことを5つに絞ります。

第三に、1人30分から1時間です。

第四に、記録を残します。

第五に、同じことを言う人が何人いるかを見ます。

3人が同じことを言えば、傾向です。

思い込みは、ここで崩れます。

調べるときの確認

  • 何を知りたいかを一文で書いたか
  • 公表の統計を先に見たか
  • 行政の計画を読んだか
  • 自分たちの記録を集計したか
  • 聞く相手を決めたか
  • 聞くことを5つに絞ったか
  • 記録の様式を用意したか
  • 個人情報の扱いを伝えたか
  • 結果をまとめる担当を決めたか
  • 結果を何に使うかを決めたか

聞き方の要点

聞き方にも、要点があります。

第一に、誘導しないでください。

第二に、はいかいいえで終わらない聞き方にします。

どんなときに困りますか、といった形です。

第三に、具体的な場面を聞きます。

一般論では、実態が見えません。

第四に、こちらの案を先に言いません。

賛成されて、終わってしまいます。

第五に、話を遮らないでください。

想定していなかった話に、答えがあります。

当事者に聞くときの配慮

困っている人に聞く場合は、特に慎重にします。

第一に、何のために聞くかを伝えます。

第二に、答えたくないことは断れると伝えます。

第三に、記録の扱いを説明します。

第四に、名前を出さない形にします。

第五に、聞いた後の報告も約束します。

聞かれるだけで、何もないのは失礼です。

第六に、支援と調査を混同しないようにします。

相談に来た人に、調査として聞くのは避けます。

立場の違いに、気を配りましょう。

アンケートを使う場合

広く聞きたい場合は、アンケートです。

第一に、目的を絞ります。

第二に、設問を10問以内にします。

第三に、選択式を中心にします。

第四に、配る先を決めます。

公共施設、催しの会場、他団体経由などです。

第五に、回収の方法を決めます。

第六に、集計の担当を決めます。

集計は、想像より手間がかかります。

使わない設問は、入れないでください。

結果をどうまとめるか

調べたら、まとめます。

第一に、A4で数枚に収めます。

第二に、分かったことを箇条書きにします。

第三に、数字は表か図にします。

第四に、聞き取りの言葉をそのまま載せます。

生の言葉は、強い説得力があります。

第五に、分からなかったことも書きます。

第六に、次に何をするかを書きます。

まとめないと、調べた意味がありません。

団体の中で、必ず共有しましょう。

思っていたのと違ったとき

調べると、想定と違う結果が出ます。

これが、いちばんの収穫です。

第一に、結果を否定しないでください。

第二に、なぜ違ったかを考えます。

第三に、事業の内容を変えます。

第四に、対象を変える場合もあります。

第五に、やらない判断もあります。

調べる前に決めていたなら、調べる意味がありません。

結果で変える前提で、調べましょう。

早い段階で気づくほど、損失は小さくなります。

調べた結果の使い道

まとめた結果は、いくつもの場面で使えます。

第一に、事業の企画の根拠になります。

第二に、助成金の申請書に書けます。

地域の課題を示す部分で、必ず求められます。

第三に、行政への提案の材料になります。

第四に、他団体との連携の話でも使えます。

第五に、会員への説明にも使えます。

第六に、広報でも使えます。

一度の調査が、何年も効きます。

保管して、更新していきましょう。

継続して見る

一度きりで、終わらせない工夫です。

第一に、同じ設問を毎年使います。

第二に、変化が見えるようになります。

第三に、相談の記録を毎年集計します。

第四に、参加者の属性も記録し続けます。

第五に、数年分たまると強い材料になります。

単年の数字より、変化のほうが説得力を持ちます。

地域が良くなったかも、見えてきます。

記録の様式を、変えないことが大切です。

他団体と一緒に調べる

一団体では、範囲が限られます。

第一に、複数の団体で組む方法があります。

第二に、分野の違う団体と組むと視野が広がります。

第三に、中間支援組織が音頭を取る場合もあります。

第四に、費用と手間を分担できます。

第五に、結果を共有します。

第六に、行政への提案も一緒に行えます。

一団体の声より、届きやすくなります。

調べる過程が、連携そのものになります。

大学と組む方法

調査は、大学と組む道もあります。

第一に、地域を対象とする研究があります。

第二に、学生の実習として行える場合もあります。

第三に、方法の助言を受けられます。

第四に、結果の信頼性が高まります。

一方、注意点もあります。

第五に、期間が学年の周期に左右されます。

第六に、団体の目的と研究の目的は違います。

何のための調査かを、先に合意しましょう。

成果の扱いも、決めておきます。

現場に足を運ぶ

数字と聞き取りだけでは、見えない部分があります。

第一に、実際にその場所へ行きます。

第二に、時間帯を変えて行きます。

昼と夜では、まったく違う景色になります。

第三に、曜日も変えます。

第四に、歩いてみます。

車で通ると、見落とします。

第五に、感じたことを記録します。

数字にならないことが、事業の芯になる場合があります。

足で得た情報は、誰にも借りられません。

行政の担当課に聞く

行政も、情報を持っています。

第一に、担当の課に相談します。

第二に、公表していない傾向を知っている場合があります。

第三に、既存の制度の有無も分かります。

同じことを、行政が既にやっている場合があります。

第四に、他団体の動きも聞けます。

第五に、計画の見直しの時期も分かります。

第六に、顔を知ってもらう機会にもなります。

調べる過程が、関係作りにもなります。

一度、足を運んでみましょう。

調べすぎない

一方で、調べすぎる危険もあります。

第一に、調べるだけで年が終わります。

第二に、完璧な情報は集まりません。

第三に、待っている人がいます。

第四に、小さく始めて確かめる方法もあります。

一度だけ、試しに開いてみる形です。

第五に、やってみて分かることが多くあります。

調査は、判断のための道具です。

目的にしないでください。

8割見えたら、動き出しましょう。

費用をかけずに調べる

調査に、大きな費用は要りません。

第一に、統計と計画は無料で見られます。

第二に、聞き取りは時間だけです。

第三に、アンケートは催しの場で配れます。

第四に、電子の様式を使えば集計も自動です。

第五に、中間支援組織に助言を頼めます。

第六に、大学と組めば手法の助けを得られます。

費用がないから調べられない、ということはありません。

かかるのは、時間と足です。

そこは、惜しまないでください。

地域の困りごとを調べるまとめ

調査は、大がかりなものでなくて構いません。

まず、公表されている統計と行政の計画を見てください。

費用も時間もかからず、多くのことが分かります。

自分たちの記録も、外に探す前に集計しましょう。

断った依頼の中に、課題が隠れています。

次に、10人に話を聞きます。3人が同じことを言えば傾向です。

誘導せず、具体的な場面を聞き、こちらの案は先に言わないでください。

当事者に聞くときは、目的を伝え、断れることも伝えます。

結果はA4で数枚にまとめ、団体の中で必ず共有しましょう。

想定と違う結果が出たら、それがいちばんの収穫です。

数字と聞き取りに加えて、時間帯と曜日を変えて現場へ足を運びましょう。

行政の担当課も情報を持っています。既存の制度の有無も分かります。

調べすぎないでください。8割見えたら、動き出しましょう。

同じ設問を毎年使うと、変化が見えるようになります。

よくある質問

Q. 大がかりな調査が必要?

A. 必要ありません。公表されている統計を見る、10人に話を聞く。この2つだけで判断は大きく変わります。

Q. まず何から?

A. 市区町村の統計と、福祉や教育の行政計画です。行政が認識している課題が書かれています。費用も時間もかからず、多くのことが分かります。

Q. 何人に聞けばいい?

A. 10人で十分です。当事者、関係者、他団体、行政から選び、聞くことを5つに絞ります。3人が同じことを言えば、それは傾向です。

Q. 聞くときの注意は?

A. 誘導しない、はい・いいえで終わらない聞き方にする、具体的な場面を聞く、こちらの案を先に言わない、話を遮らない。想定していなかった話に答えがあります。

Q. 当事者に聞いてもいい?

A. 目的を伝え、答えたくないことは断れると伝え、名前を出さない形にしてください。聞いた後の報告も約束します。相談に来た人に調査として聞くのは避けましょう。

Q. 想定と違う結果が出たら?

A. それがいちばんの収穫です。結果を否定せず、事業の内容や対象を変えてください。やらない判断もあります。早く気づくほど損失は小さくなります。

Q. 調べた結果はどう使う?

A. 事業の企画の根拠、助成金の申請書、行政への提案、他団体との連携、会員への説明、広報です。一度の調査が何年も効きます。

Q. 費用がなくても調べられる?

A. 調べられます。統計と行政計画は無料で見られ、聞き取りにかかるのは時間だけです。アンケートは催しの場で配れます。かかるのは、時間と足です。

Q. どこまで調べれば十分?

A. 調べすぎないでください。完璧な情報は集まらず、待っている人がいます。小さく試しに開いてみると分かることも多くあります。8割見えたら動き出しましょう。

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