NPO法人の運営で、会員の声を聞く機会は多くありません。
総会で意見を求めても、なかなか出ないものです。
それでも、聞かなければ離れていきます。
この記事では、声を集める方法を解説します。
なぜ声を集めるか
会員の声を集める理由は、いくつもあります。
第一に、運営の改善につながります。
第二に、退会の理由を知る手がかりになります。
第三に、参加してくれる人を見つけられます。
手伝いたいと思っている人が、意外にいます。
第四に、関わっている実感が生まれます。
聞かれること自体に、意味があります。
第五に、新しい事業の材料になります。
聞かない団体は、内側だけで回り続けます。
総会では出ない
総会で意見を求めても、出にくいものです。
第一に、人前で言いにくいためです。
第二に、時間が限られているためです。
第三に、議事の流れを止めたくないためです。
第四に、何を言えばよいか分からないためです。
意見はありませんか、では出ません。
出ないことを、関心がないと解釈しないでください。
言える形になっていない、というだけです。
別の方法を、用意しましょう。
| 方法 | 得られるもの | 負担 |
|---|---|---|
| 書面のアンケート | 広く浅い意見 | 集計の手間 |
| 総会後の意見交換 | その場の議論 | 時間の確保 |
| 少人数の懇談 | 深い話 | 日程の調整 |
| 退会時の聞き取り | 離れた理由 | 聞きにくさ |
| 活動後の感想 | 現場の実感 | 軽い |
| 個別の会話 | 本音 | 記録に残りにくい |
アンケートを使う
いちばん手軽なのが、アンケートです。
総会の案内に、同封する形が効率的です。
返信の封筒を、あわせて入れます。
電子で答えられる形も、用意しましょう。
設問は、少なくします。
5問から7問が、答えてもらえる上限です。
選択式と、自由記述を混ぜます。
匿名で出せる形にすると、本音が出ます。
名前を書く欄は、任意にしましょう。
何を聞くか
設問の中身も、大切です。
第一に、活動に参加したかを聞きます。
第二に、会報や案内を読んでいるかを聞きます。
第三に、満足している点を聞きます。
第四に、改善してほしい点を聞きます。
第五に、参加したい活動を聞きます。
第六に、手伝えることがあるかを聞きます。
第七に、自由に書ける欄を設けます。
答えを、どう使うかも書いておきましょう。
- 設問は7問以内か
- 選択式と自由記述を混ぜているか
- 匿名で出せるか
- 返信の方法を複数用意したか
- 締切を書いたか
- 答えの使いみちを書いたか
- 集計の担当を決めたか
- 結果を返す時期を決めたか
- 参加のない会員にも送る形になっているか
総会のあとに時間を作る
議事のあとに、意見交換の時間を置きます。
議事とは、別の時間だと伝えましょう。
発言しやすい空気に、変わります。
数人ずつの小さな組に分ける方法も、有効です。
全体では言えないことが、出てきます。
出た意見を、書き留める担当を置きます。
議事録には、参考として記録します。
時間は、30分程度で十分です。
飲み物があると、雰囲気が和らぎます。
少人数の懇談を開く
さらに深い話を聞くなら、少人数の場です。
5人程度で、1時間ほど話します。
地域ごと、活動ごとに分ける方法もあります。
進行役が、話を引き出します。
意見を否定しないことが、条件です。
その場で反論すると、次から出なくなります。
記録を取り、理事会で共有します。
年に一度でも、開く価値があります。
関わりの深い会員から、始めましょう。
退会する人に聞く
いちばん貴重なのが、退会する人の声です。
離れた理由が、分かるためです。
ただし、聞きにくい相手でもあります。
引き止めるためではない、と伝えましょう。
今後の参考にしたい、という聞き方です。
書面で、簡単に答えられる形が答えやすくなります。
答えたくない人には、無理に聞きません。
集めた理由を、理事会で共有します。
同じ理由が続くなら、そこに原因があります。
活動のあとに感想を集める
催しや講座のあとも、機会です。
用紙を配り、その場で書いてもらいます。
持ち帰ってもらうと、返ってきません。
設問は、3問程度で十分です。
満足したか、改善点、次に参加したいかです。
良い声は、報告や広報に使えます。
本人の許可を得たうえで、載せます。
厳しい声は、次の改善に生かします。
毎回続けると、変化が見えるようになります。
結果を必ず返す
いちばん大切なのが、この点です。
集めた結果を、必ず会員に返します。
第一に、何件の回答があったかを伝えます。
第二に、主な意見を紹介します。
第三に、何を変えるかを示します。
第四に、変えられない点は理由を説明します。
返さないと、次から答えてもらえません。
聞くだけ聞いて何もしない、と思われます。
会報や、次の総会で報告しましょう。
返すことまでが、聞く作業です。
厳しい意見の受け止め方
集めれば、厳しい意見も出ます。
感情的に受け取らないでください。
第一に、事実の指摘と、感想を分けます。
第二に、複数から出ているかを見ます。
一人の意見か、傾向かで重みが違います。
第三に、理事会で共有します。
担当者だけで抱えないでください。
第四に、改善できる点から手をつけます。
第五に、返答のときに向き合った旨を示します。
厳しい意見ほど、関心の表れです。
集めすぎない
一方で、頻繁に聞きすぎないことも大切です。
毎回アンケートが来ると、負担になります。
答えるほうも、疲れます。
年に一度の全体調査で、十分です。
活動ごとの感想は、簡単な形にします。
聞いたことを使いきれないなら、聞かないでください。
集計だけで終わる調査は、双方の時間の無駄です。
使う前提で、設問を作りましょう。
何を知りたいかを、先に決めることです。
参加していない会員に届ける
声を集めるとき、偏りが生じます。
答えるのは、熱心な会員だからです。
本当に知りたいのは、離れかけている人の声です。
第一に、名簿で参加の状況を見ます。
第二に、参加のない会員にも必ず送ります。
第三に、答えやすい形を用意します。
選択肢に丸を付けるだけ、という形です。
第四に、返信の手段を複数にします。
第五に、締切の前に一度声をかけます。
回答が少ない層こそ、注意して見ましょう。
電子の様式を使う
電子の入力の様式も、便利な手段です。
無料で使える道具が、いくつもあります。
第一に、集計が自動で済みます。
第二に、印刷と郵送の費用が不要です。
第三に、締切の直前でも答えられます。
一方、使えない会員もいます。
紙と、必ず併用しましょう。
電子だけにすると、答える人が偏ります。
入力の場所は、短い形にして案内します。
会報に、印刷して載せる形も使えます。
匿名と記名を使い分ける
匿名にするか、記名にするかは目的で決めます。
本音を知りたいなら、匿名です。
厳しい意見が、出やすくなります。
一方、追加で聞くことはできません。
協力してくれる人を探すなら、記名が要ります。
両方を、一枚で満たす方法があります。
本文は匿名で、名前の欄を任意にする形です。
手伝いたい人だけが、書いてくれます。
記入した人の情報は、慎重に扱いましょう。
目的以外に使わない旨を、書いておきます。
声を記録として残す
集めた声は、記録として残します。
第一に、原本を保管します。
第二に、集計の結果を一覧にします。
第三に、自由記述は分類して整理します。
運営、事業、広報、費用といった区分です。
第四に、年ごとに比べられる形にします。
同じ設問を続けると、変化が見えます。
第五に、個人情報を含むため保管に注意します。
数年分たまると、団体の歩みが見えてきます。
事業を提案するときの、根拠にもなります。
理事会での扱い方
集めた声は、理事会で共有します。
担当者だけが読む状態を、避けるためです。
第一に、集計の結果を資料として配ります。
第二に、主な意見をそのまま紹介します。
要約すると、角が取れてしまいます。
第三に、対応するものを選びます。
全部には、応えられません。
第四に、担当と期限を決めます。
第五に、次の理事会で進み具合を確認します。
決めたことが動いて、はじめて意味が出ます。
手伝いたい人を見つける
アンケートには、思わぬ効果があります。
手伝えることがあるかを聞くと、返事が来ます。
声をかけられるのを、待っていた人がいます。
第一に、書いてくれた人には必ず連絡します。
放置すると、二度と手を挙げてくれません。
第二に、小さな役割から頼みます。
当日の受付や、会場の準備などです。
第三に、頼んだあとは礼を伝えます。
第四に、続けられるかを本人と確認します。
第五に、無理のない範囲を守ります。
担い手は、こうして少しずつ増えていきます。
会員の声を集めるまとめ
会員の声は、待っていても集まりません。
総会で意見を求めても、出にくいものです。
アンケートは設問を7問以内にし、匿名で出せる形にします。
総会のあとに、議事とは別の意見交換の時間を置きましょう。
少人数の懇談では、深い話が出てきます。
退会する人の声が、いちばん貴重な材料です。
集めたら必ず結果を返し、何を変えたかを伝えてください。
答えるのは熱心な会員に偏るため、参加のない会員にも必ず送りましょう。
電子の様式は集計が楽ですが、使えない会員がいるので紙と併用します。
本文は匿名にし、名前の欄を任意にすると、両方の目的を満たせます。
集めた声は理事会で共有し、担当と期限を決めてください。
手伝えることがあると書いた人には、必ず連絡しましょう。
使いきれないなら、聞かないほうが誠実です。
よくある質問
A. 人前で言いにくい、時間が限られている、議事を止めたくない、何を言えばよいか分からないためです。関心がないと解釈しないでください。
A. 5問から7問が、答えてもらえる上限です。選択式と自由記述を混ぜ、匿名で出せる形にすると本音が出ます。
A. 参加の有無、会報を読んでいるか、満足している点、改善してほしい点、参加したい活動、手伝えること、自由記述です。
A. いちばん貴重な材料です。引き止めるためではなく今後の参考にしたい、という聞き方で、書面で簡単に答えられる形にしてください。
A. 必ず結果を返します。回答数、主な意見、何を変えるか、変えられない点の理由です。返さないと、次から答えてもらえません。
A. 事実の指摘と感想を分け、複数から出ているかを見ます。理事会で共有し、改善できる点から手をつけてください。厳しい意見ほど関心の表れです。
A. 目的で決めます。本音を知りたいなら匿名、協力してくれる人を探すなら記名です。本文は匿名にし、名前の欄を任意にすると両方を満たせます。書いてくれた人の情報は、目的以外に使わない旨を添えましょう。
A. 避けられない偏りです。名簿で参加の状況を確かめ、参加のない会員にも必ず送ってください。選択肢に丸を付けるだけの形にし、返信の手段を複数用意すると答えてもらいやすくなります。
A. 全体の調査は年に一度で十分です。頻繁だと答えるほうが疲れます。活動ごとの感想は3問程度の簡単な形にし、使う前提のない調査は行わないでください。
📖 参考にした公的機関の情報


