NPO法人の書類の保存|備え置きの義務と処分の考え方

一般社団法人法
どの書類を、いつまで残すか。決めておかないと事務所が埋まります。

NPO法人には、備え置きが義務の書類があります。

一方、いつまでも全部を残す必要はありません。

保存の期間を決めておけば、整理が進みます。

この記事では、書類の保存と管理を解説します。

POINT 結論:事業報告書等は事務所に備え置き、閲覧の求めに応じる義務があります。定款、議事録、登記関係の書類は、団体が続く限り保管してください。一方、日常の書類は保存の期間を決めて処分しないと、事務所が埋まります。

備え置きの義務がある書類

NPO法人には、備え置きの義務があります。

事務所に置き、閲覧の求めに応じる必要があります。

対象は、事業報告書等です。

事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録が含まれます。

年間役員名簿と、社員のうち10人以上の名簿も対象です。

定款と、認証や登記に関する書類も含まれます。

過去5年間の分を、備え置きます。

請求があれば、正当な理由がある場合を除き閲覧させます。

拒み続けると、問題になります。

ずっと残す書類

期限を設けず、保管し続ける書類もあります。

第一に、定款です。

変更のたびに、新旧の両方を残します。

第二に、総会と理事会の議事録です。

第三に、認証書と登記に関する書類です。

第四に、設立時の書類一式です。

第五に、重要な契約書です。

不動産に関するものは、特に大切です。

これらは、団体が続く限り保管します。

解散するときにも、必要になります。

書類 保存の考え方 備え置きの義務
定款 永年 あり
総会・理事会の議事録 永年 定款や法令による
認証書・登記関係 永年 あり
事業報告書等 5年間は備え置き あり
会計の帳簿と証拠書類 法令に応じた期間
日常の連絡文書 1〜3年程度で処分

会計に関する書類

会計の帳簿や証拠書類にも、保存の期間があります。

領収書、請求書、通帳などです。

期間は、法令によって定められています。

団体の状況によって、扱いが変わる場合があります。

税務に関する部分は、税務署または税理士へご確認ください。

実務としては、年度ごとに箱にまとめます。

箱に、年度と内容を書いておきましょう。

探すときに、時間が大きく変わります。

処分する年を、箱に書いておく方法もあります。

年度ごとにまとめておくもの

  • 総会と理事会の議事録
  • 事業報告書等の控え
  • 所轄庁への提出書類の控え
  • 登記事項証明書
  • 会計の帳簿と証拠書類
  • 契約書と覚書
  • 助成金の申請書と報告書
  • 活動の記録と写真
  • 保存の期間と保管の場所を書いた一覧表

閲覧を求められたら

備え置きの書類は、閲覧の対象です。

会員だけでなく、一般からの請求もあり得ます。

正当な理由がある場合を除き、応じる必要があります。

対応の手順を、決めておきましょう。

第一に、誰に連絡するかを決めます。

第二に、閲覧の場所と時間を決めます。

第三に、写しを渡すかを決めます。

第四に、記録を残します。

個人情報を含む部分の扱いも、確認しておきます。

判断に迷う場合は、所轄庁に相談してください。

電子で保存する

紙だけでなく、電子でも保存できます。

場所を取らず、検索もできる利点があります。

議事録や報告書は、作成の時点で電子です。

そのまま、共有の場所に保存しましょう。

紙の書類も、写しを取っておくと安心です。

ただし、原本が必要な書類もあります。

契約書や、押印のある書類です。

電子と紙の両方を、残す形が現実的です。

バックアップも、忘れないでください。

保存の場所を決める

書類が散らばる団体は、多くあります。

担当者の自宅にある、という状態です。

その人が抜けると、行方が分からなくなります。

保存の場所を、決めておきましょう。

事務所に、書棚を一つ確保します。

備え置きの義務がある書類は、事務所に置く必要があります。

電子のファイルも、共有の場所に集めます。

個人の端末だけに置かない、と決めます。

どこに何があるかの一覧も、作っておきましょう。

個人情報を含む書類

名簿など、個人情報を含む書類は特に注意します。

保管の場所を、限定しましょう。

鍵のかかる場所が、望ましいところです。

持ち出しの制限も、決めておきます。

電子の場合は、共有の範囲を絞ります。

退任した人のアクセス権は、消します。

不要になった情報は、決めた時期に消します。

処分するときは、そのまま捨てないでください。

溶解処理か、細断してから処分します。

処分の手順を決める

保存の期間が過ぎた書類は、処分します。

まず、処分してよいかを確認します。

判断に迷うものは、残しておきましょう。

処分の記録を、残す方法もあります。

いつ、何を処分したかを書いておきます。

個人情報を含むものは、溶解や細断で処分します。

一般の書類も、団体の内部の情報を含みます。

そのまま資源回収に出すのは、避けましょう。

年に一度、処分の日を決めると習慣になります。

事務所を移るときと解散するとき

書類が失われやすい場面が、二つあります。

第一が、事務所の移転です。

荷物を減らそうとして、捨ててしまう例があります。

移転の前に、残すものを確認しましょう。

第二が、解散のときです。

解散しても、書類の保管は必要です。

清算人が、一定期間保管することになります。

期間や方法は、法令の定めによります。

誰が引き継ぐかを、決めておきましょう。

探せる形にする

残っていても、探せなければ意味がありません。

年度ごとに、まとめるのが基本です。

箱やファイルに、年度と内容を書きます。

一覧表を作っておくと、さらに確実です。

電子のファイルも、名前の付け方を決めます。

年度と内容が分かる形にしましょう。

担当が代わっても、探せる状態にします。

引き継ぎのときに、この一覧を渡します。

探す時間は、積み重なると大きな負担になります。

日常の書類をどう扱うか

義務のある書類のほかにも、書類は増えます。

案内の文書、打ち合わせのメモ、参加者の名簿などです。

これらは、期間を決めて処分します。

1年から3年で、十分なものが多いものです。

事業ごとに、まとめておきましょう。

助成金を受けた事業は、報告の期間まで残します。

要件で、保存の期間が定められている場合もあります。

公募の要領を、確認しておきましょう。

判断に迷うものは、残しておきます。

捨てて困ることは、ときどきあります。

担当を決めて年に一度見直す

書類の管理は、担当を決めましょう。

事務局の誰か一人で、かまいません。

複数人で見ると、かえって漏れます。

年に一度、見直しの日を決めます。

決算の作業が終わったあとが、適しています。

その年度の書類を、まとめて整理します。

保存の期間が過ぎたものを、処分します。

一覧表も、そのときに更新します。

一度習慣にすれば、負担は小さくなります。

ためると、手が付けられなくなります。

備え置きと情報公開の違い

二つの言葉が、混同されがちです。

備え置きは、事務所に置いて閲覧に応じることです。

情報公開は、より広く知らせることを指します。

所轄庁も、提出された書類を公開しています。

団体が自らウェブサイトに載せる形も、あります。

法律上の義務は、備え置きと所轄庁への提出です。

ウェブサイトへの掲載は、義務ではありません。

ただし、載せておくと信用につながります。

問い合わせに応じる手間も、減ります。

義務と、自発的な公開を分けて考えましょう。

引き継ぐときに渡すもの

担当が代わるとき、何を渡すかを決めておきます。

第一に、書類の一覧表です。

第二に、保管の場所の説明です。

第三に、電子ファイルの置き場所と入り方です。

第四に、年間の予定表です。

第五に、処分の期間の考え方です。

これらを一度にそろえるのは、大変です。

日ごろから、更新しておきましょう。

引き継ぐ日が来てから作ると、必ず抜けます。

一覧表さえあれば、あとは追えます。

保存の期間を一覧にする

書類ごとの保存の期間を、一覧にしておきましょう。

一枚の表で、十分です。

書類の名前、保存の期間、保管の場所を並べます。

備え置きの義務があるかも、印を付けます。

この表があれば、迷わずに処分できます。

新しい担当者にも、そのまま渡せます。

所轄庁の手引きに、参考になる記載があります。

会計に関する部分は、専門家に確認しましょう。

一度作れば、毎年使えます。

年に一度、内容を見直してください。

書類がないと困る場面

保存の意味は、必要になったときに分かります。

第一が、助成金の申請です。

過去の実績や決算を、求められます。

第二が、行政との協働の相談です。

第三が、金融機関での手続きです。

第四が、役員が代わったときです。

経緯が分からないと、判断できません。

第五が、争いが起きたときです。

議事録と契約書が、唯一の証拠になります。

そのときに探して見つからない、では遅すぎます。

保管の場所を分散させない

複数の場所に分かれている状態は、危険です。

事務所、代表者の自宅、事務局員の自宅と散らばります。

誰が何を持っているかが、分からなくなります。

一か所にまとめるのが、原則です。

備え置きの義務がある書類は、事務所に置きます。

控えを別の場所に置くのは、有効です。

火災や水害への備えになります。

電子のバックアップも、同じ考え方です。

原本と控えの区別を、はっきりさせておきましょう。

どちらが原本か分からない状態を、避けてください。

書類の保存のまとめ

事業報告書等は、事務所に備え置く義務があります。

過去5年間の分が、対象です。

定款、議事録、認証や登記の書類は、永年で保管します。

会計の帳簿と証拠書類は、法令に応じた期間を保存します。

日常の書類は、期間を決めて処分しましょう。

個人情報を含むものは、溶解や細断で処分します。

保存の場所を決め、個人の自宅に置かないでください。

事務所の移転と解散のときが、いちばん失われやすい場面です。

備え置きと情報公開は別の概念で、義務があるのは前者と所轄庁への提出です。

書類ごとの保存の期間を、一枚の表にまとめておきましょう。

担当が代わるときは、一覧表と保管の場所を渡します。

引き継ぐ日が来てから作ると、必ず抜けます。

よくある質問

Q. 何を備え置く義務がある?

A. 事業報告書、活動計算書、貸借対照表、財産目録、年間役員名簿、社員のうち10人以上の名簿、定款、認証や登記に関する書類です。過去5年間の分が対象です。

Q. 閲覧を求められたら断れる?

A. 正当な理由がある場合を除き、応じる必要があります。対応の手順を決め、記録を残してください。判断に迷う場合は所轄庁に相談しましょう。

Q. ずっと残す書類は?

A. 定款、総会と理事会の議事録、認証書と登記関係の書類、設立時の書類一式、重要な契約書です。解散するときにも必要になります。

Q. 電子だけで保存していい?

A. 議事録や報告書は電子でかまいませんが、契約書や押印のある書類は原本が必要です。電子と紙の両方を残す形が現実的で、バックアップも取ってください。

Q. 処分するときの注意は?

A. 個人情報を含むものは、そのまま捨てず溶解処理か細断で処分します。一般の書類も内部の情報を含むため、資源回収にそのまま出すのは避けてください。

Q. 書類が失われやすいのは?

A. 事務所の移転と解散のときです。荷物を減らそうとして捨ててしまう例があります。移転の前に残すものを確認し、解散時は誰が引き継ぐかを決めておきましょう。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

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