NPO法人には、物品の寄付の申し出が寄せられます。
机、パソコン、衣類、食品などさまざまです。
ありがたい一方、困る場合もあります。
この記事では、物品の寄付の受け方を解説します。
物品の寄付という形
寄付は、お金だけではありません。
物での寄付も、多く寄せられます。
第一に、事務の備品です。
机、椅子、書棚、パソコンなどです。
第二に、活動で使う物です。
食材、衣類、文具、玩具などです。
第三に、車両や、大型の機器です。
第四に、不動産という場合もあります。
いずれも、団体にとっては大きな助けになります。
一方、扱いを誤ると負担にもなります。
受入の基準を先に決める
いちばん大切なのが、この点です。
基準を、先に決めておきましょう。
申し出が来てから考えると、断れません。
第一に、受け入れる品目を決めます。
第二に、状態の条件を決めます。
使用に耐えるもの、という基準です。
第三に、置き場所があるかを条件にします。
第四に、運搬の負担を誰が持つかを決めます。
第五に、判断する人を決めておきます。
基準があれば、断ることが失礼になりません。
| 品目 | 受けやすさ | 確認する点 |
|---|---|---|
| 事務の備品 | 高い | 置き場所・状態 |
| パソコン・機器 | 中 | 動作・古さ・情報の消去 |
| 食品 | 条件つき | 期限・保管・衛生の法令 |
| 衣類 | 条件つき | 洗ってあるか・量 |
| 車両 | 低い | 維持の費用・保険・名義 |
| 不動産 | 低い | 維持の費用・処分のしにくさ |
断ることも必要
申し出を、すべて受ける必要はありません。
断るべき場合が、あります。
第一に、使う見込みがない物です。
第二に、置き場所がない場合です。
第三に、修理や処分に費用がかかる物です。
第四に、維持に費用が続く物です。
第五に、法令上の扱いが要る物です。
断るときは、理由を丁寧に伝えます。
団体の事情であって、気持ちを否定するものではないと示します。
別の団体を、紹介できる場合もあります。
- 受入の基準に合っているか
- 置き場所が確保できるか
- 運搬は誰が行うか
- 状態を実物で確認したか
- 使う事業が決まっているか
- 維持に費用がかかるか
- 処分するときの費用と方法
- 目録に記録したか
- 礼状を出したか
- 寄付者の名前を出してよいか
受けたら記録する
受け入れた物品は、記録します。
第一に、受け入れた日付です。
第二に、品目と数量です。
第三に、寄付してくれた人の名前です。
第四に、どの事業で使うかです。
第五に、置き場所です。
一覧の表を、作っておきましょう。
備品として管理する物は、番号を付けます。
記録がないと、後で所在が分からなくなります。
会計上の取扱いは、専門家に確認してください。
礼を伝える
受けたら、必ず礼を伝えます。
その場での口頭に加え、書面でも出しましょう。
第一に、何をいただいたかを書きます。
第二に、どう使うかを書きます。
第三に、使ったあとの報告も送ります。
写真があると、伝わり方が違います。
第四に、会報でも紹介します。
ただし、名前を出す許可を得てからです。
匿名を希望する人も、います。
丁寧な対応が、次の支援につながります。
食品を受けるとき
食品の寄付には、特に注意が要ります。
第一に、期限を必ず確認します。
第二に、保管の温度が守れるかを見ます。
第三に、開封されていない物に限ります。
第四に、手作りの物は原則として受けません。
第五に、記録を細かく残します。
いつ受けて、いつ誰に渡したかです。
食品を扱う事業には、法令上の要件がある場合があります。
保健所に、事前に確認しましょう。
安全が、何より優先されます。
パソコンや機器を受けるとき
機器の寄付も、よく申し出があります。
第一に、動作するかを確認します。
第二に、古すぎないかを見ます。
第三に、情報が消去されているかを確認します。
前の持ち主の情報が、残っている場合があります。
第四に、使うための費用を見込みます。
第五に、処分の方法を調べておきます。
機器は、処分に費用がかかる場合があります。
受けるときに、そこまで考えましょう。
数が増えすぎないよう、上限も決めておきます。
車両を受けるとき
車両の申し出は、慎重に判断します。
無償でもらえても、費用は続きます。
第一に、保険の費用がかかります。
第二に、維持と点検の費用がかかります。
第三に、置く場所が要ります。
第四に、税や登録の手続きが生じます。
第五に、誰が運転するかの問題があります。
事故が起きたときの、責任の所在も決めます。
年間の費用を試算してから、判断しましょう。
借りる方法のほうが、安く済む場合もあります。
置き場所の問題
物品を受けると、置き場所が要ります。
これが、いちばん現実的な制約です。
第一に、事務所の空きを確かめます。
第二に、活動の場所に置けるかを聞きます。
第三に、会員の自宅に分散する方法もあります。
ただし、一覧を作って所在を管理します。
第四に、貸倉庫を借りる方法もあります。
費用がかかる点を、忘れないでください。
置き場所がないなら、受けないという判断が正しいこともあります。
事務所が物置になっている団体は、少なくありません。
使わなくなったとき
受けた物を、使わなくなる日が来ます。
処分の考え方も、決めておきましょう。
第一に、他団体に譲る道を探します。
第二に、会員に譲る場合は基準を決めます。
第三に、売却する場合は手続きを決めます。
第四に、廃棄する場合は費用を見込みます。
第五に、記録に処分の日と方法を残します。
寄付してくれた人への配慮も、必要です。
長く使わずに捨てると、心証を損ねます。
受けるときに、使う見込みを確かめることが大切です。
募る場合の伝え方
こちらから物品を募る場合もあります。
伝え方に、工夫が要ります。
第一に、必要な品目を具体的に書きます。
何でも歓迎、とは書かないでください。
第二に、状態の条件を明記します。
第三に、数量の上限を示します。
第四に、受付の期間と場所を書きます。
第五に、持ち込みか送付かを示します。
送料の負担も、はっきりさせましょう。
曖昧な募集は、使えない物を大量に呼び込みます。
寄付者との関係
物品の寄付は、関係の入口でもあります。
第一に、地域の方が多く関わります。
第二に、活動を知るきっかけになります。
第三に、後に会員になる場合もあります。
第四に、企業からの申し出もあります。
第五に、継続的な支援に育つこともあります。
受けるか断るかにかかわらず、丁寧に対応しましょう。
断り方が悪いと、その評判が広がります。
基準があると、丁寧に断りやすくなります。
関係は、断ったあとも続きます。
衣類や日用品を受けるとき
衣類の申し出も、よくあります。
善意である一方、扱いが難しい品目です。
第一に、洗ってあるかを確認します。
第二に、季節と、必要な量を伝えます。
第三に、選別の手間を見込みます。
受け取ったあとの仕分けに、人手がかかります。
第四に、使えない物の処分の費用も生じます。
第五に、渡す相手の意向を確かめます。
支援を受ける人にも、選ぶ気持ちがあります。
必要な物を、必要な量だけ受けましょう。
企業からの申し出
企業から、物品の申し出が来ることもあります。
在庫や、備品の入れ替えの機会です。
第一に、数量を必ず確認します。
想定より、はるかに多い場合があります。
第二に、運搬の方法を決めます。
第三に、受け取る日時と場所を調整します。
第四に、広報に使ってよいかを確認します。
企業側にも、事情がある場合があります。
第五に、継続するかを聞いておきます。
一度きりか、毎年かで準備が変わります。
不動産の申し出
まれに、不動産の申し出もあります。
建物や、土地を寄付したいという話です。
判断は、特に慎重に行いましょう。
第一に、維持の費用が続きます。
第二に、修繕の費用が生じます。
第三に、税や登記の手続きが必要になります。
第四に、処分したくてもすぐには売れません。
第五に、使う計画がなければ負担だけが残ります。
登記の手続きは、司法書士が取り扱う業務です。
税の取扱いは、税理士に確認してください。
理事会だけで決めず、総会にかける形が安全です。
受けた物を活かしきる
受けた物は、使ってこそ意味があります。
第一に、受けたらすぐ使う事業に回します。
第二に、余る分は他団体に譲ります。
第三に、貸し出す形も考えられます。
会議用の机や、機器などです。
第四に、使った様子を寄付者に伝えます。
第五に、定期的に在庫を見直します。
年に一度、棚卸しをしましょう。
使っていない物が、必ず出てきます。
見直しの機会がないと、増える一方です。
物品の寄付を受けるまとめ
物品の寄付は、受入の基準を先に決めておきましょう。
基準がないと断りづらく、使わない物が積み上がります。
品目、状態、置き場所、運搬の負担、判断する人を決めておきます。
受けた物は目録に記録し、番号を付けて管理してください。
礼状を出し、どう使ったかまで報告しましょう。
食品は期限と保管を確認し、保健所に事前に相談します。
機器は情報の消去と、処分の費用まで考えてから受けます。
車両と不動産は、維持の費用が続くため慎重に判断してください。
募る場合は、品目と状態と数量を具体的に書きましょう。
衣類は選別と処分の手間がかかるため、必要な量だけ受けてください。
企業からの申し出は、数量と運搬の方法を必ず先に確認します。
不動産は理事会だけで決めず、総会にかける形が安全です。
年に一度は棚卸しをして、使っていない物を見直しましょう。
断るときは理由を丁寧に伝え、別の団体を紹介できるか考えます。
よくある質問
A. 断って構いません。使う見込みがない、置き場所がない、維持や処分に費用がかかる物は断るべきです。理由を丁寧に伝え、団体の事情であって気持ちを否定するものではないと示しましょう。
A. 受け入れる品目、状態の条件、置き場所の有無、運搬の負担、判断する人の5つです。申し出が来てから考えると断れなくなるため、先に決めておきます。
A. 期限、保管の温度、未開封であることを確認します。手作りの物は原則として受けません。食品を扱う事業には法令上の要件がある場合があるため、保健所に事前に相談してください。
A. 動作、古さ、情報が消去されているかを確認してください。前の持ち主の情報が残っている場合があります。処分に費用がかかることもあるため、数の上限も決めておきましょう。
A. 慎重に判断してください。無償でも保険、維持と点検、置き場所、税や登録の手続き、運転する人の問題が続きます。年間の費用を試算し、借りる方法と比べましょう。
A. 受け入れた日付、品目と数量、寄付者の名前、使う事業、置き場所です。備品として管理する物には番号を付けます。会計上の取扱いは、税理士など専門家に確認してください。
A. 許可を得てからにしてください。匿名を希望する人もいます。会報などで紹介する場合は、事前に意向を確認しましょう。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
- 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
📖 参考にした公的機関の情報


