一般社団法人を設立するには、決められた手順を踏む必要があります。
大きく分けると①基本事項の決定 ②定款作成 ③定款認証 ④設立登記 ⑤設立後の届出の5ステップです。
この記事では、それぞれのステップで何をするのかを、初めての方にもわかるように解説します。
ステップ1:基本事項を決める
まず、法人の土台となる基本事項を決めます。
具体的には、名称・主たる事務所の所在地・事業の目的・社員・役員などです。
名称には『一般社団法人』の文字を必ず入れます。
目的は、将来の事業も見据えて幅広く設定しておくのがコツです。
社員は2名以上、理事は1名以上を決めておきます。
ここで決めた内容が次の定款の中身になるため、慎重に検討しましょう。
ステップ2:定款を作成する
基本事項が決まったら、それをもとに定款を作成します。
定款は法人の運営ルールを定めた最重要書類で、絶対的記載事項(目的・名称・所在地など)を漏れなく記載します。
非営利型を目指す場合は、残余財産の帰属に関する定めも忘れずに入れます。
定款のひな形は法務省や公証役場のサイトで入手できますが、目的の書き方など専門的な判断が必要な場面もあります。
ステップ3:定款の認証を受ける
作成した定款は、公証役場で公証人の認証を受けます。
事前に定款案をチェックしてもらい、認証日を予約するのが一般的です。
認証には公証人手数料(約3〜5万円)がかかります。
なお、収入印紙代4万円がかかるのは株式会社の定款の場合で、一般社団法人の定款は紙でも電子でも印紙税が非課税のため、もともと収入印紙代はかかりません。
ステップ4:設立登記を申請する
認証された定款をもとに、法務局へ設立登記を申請します。
設立登記申請書、就任承諾書、印鑑証明書などを揃えて提出します。
登録免許税は6万円です。
登記が完了すると、法人として正式に成立します。
申請から完了まで1〜2週間程度かかります。
ステップ5:設立後の届出を行う
登記が完了したら、設立後の各種届出を行います。
税務署・都道府県・市町村への法人設立届出、必要に応じて社会保険の手続き、銀行口座の開設などです。
これらを済ませて、ようやく法人としての活動をスムーズに始められます。
なお、理事の任期は2年なので、2年ごとの役員変更登記も忘れないようにしましょう。
設立準備でまず決めるべき5つの基本事項
一般社団法人の設立をスムーズに進めるには、まず基本事項を固めることが大切です。
次の5つを最初に決めておきましょう。
1:法人の名称
名称には必ず『一般社団法人』の文字を入れます。前でも後ろでも構いません。
活動内容が伝わり、覚えやすい名称にすると、後々のブランディングにも役立ちます。
2:主たる事務所の所在地
自宅でも事務所でも設定できます。
住所は登記で公開される点に注意し、安定して使える場所を選びましょう。
3:事業の目的
将来の事業も見据えて、幅広く設定しておくのがコツです。
目的に書いていない事業は行えないため、関連事業もまとめて記載します。
4:社員と役員
社員は2名以上、理事は1名以上が必要です。
理事会を設置するなら理事3名+監事1名が必要になります。
5:事業年度
決算月を自由に決められます。
繁忙期を避け、設立月から長く取れるように設定すると、最初の決算に余裕ができます。
各ステップでつまずきやすいポイント
設立手続きで初心者がつまずきやすいポイントを、ステップごとに解説します。
定款作成でのつまずき
最も多いのが、目的の書き方です。
狭く書きすぎると将来の事業に対応できず、実態とかけ離れた目的を並べると口座開設などで不審に思われます。
また、非営利型を目指すのに残余財産の帰属の定めを入れ忘れると、税制優遇が受けられません。
定款認証でのつまずき
公証役場の予約を取らずに行くと、その日に認証できません。
事前に定款案を送ってチェックを受け、認証日を予約しておくことが必須です。
設立登記でのつまずき
登記申請書類に不備があると、法務局から補正(修正)を求められ、完了が遅れます。
就任承諾書や印鑑証明書など、必要書類を漏れなく正確に揃えることが大切です。
定款認証の具体的な進め方
設立手続きの中でも、初めての人がとまどいやすいのが定款認証です。
定款認証とは、作成した定款を公証役場の公証人に正式なものと認めてもらう手続きです。
まず、作成した定款の案を、設立予定地を管轄する公証役場にメールやFAXで送り、内容をチェックしてもらいます。
公証人から修正の指示があれば、それに従って定款を直します。
内容が確定したら、認証を受ける日時を予約します。
認証当日は、設立時社員(発起人)本人または委任を受けた代理人が公証役場へ出向きます。
本人確認書類や印鑑証明書を提示し、公証人手数料(約3〜5万円)を支払って認証を受けます。
一般社団法人の定款は紙・電子を問わず印紙税が非課税なので、株式会社のような収入印紙代4万円はもともとかかりません。
認証が完了すると、認証済みの定款を受け取れます。
これが次の設立登記で必要になるため、大切に保管しておきましょう。
設立登記の申請方法と必要書類
定款認証が終わったら、いよいよ法務局への設立登記です。
設立登記は、主たる事務所の所在地を管轄する法務局に申請します。
主な必要書類は、設立登記申請書、認証済みの定款、設立時理事の就任承諾書、設立時理事の印鑑証明書、法人の印鑑届書などです。
理事会を設置する場合は、設立時代表理事の選定に関する書類も必要になります。
登録免許税は6万円で、収入印紙を貼るかオンライン納付で支払います。
書類を揃えて法務局に提出すると、審査を経て登記が完了します。
申請から完了まで、通常1〜2週間程度かかります。
登記が完了した日が、法人の成立日(設立日)になります。
なお、書類に不備があると補正を求められ、完了が遅れるため、提出前にしっかり確認することが大切です。
自分で手続きするのが不安な場合は、登記の専門家(司法書士)に依頼する方法もあります。
設立を専門家に依頼する場合の費用と流れ
一般社団法人の設立は自分でもできますが、手間や正確さを考えて専門家に依頼する人も多くいます。
設立を依頼できる専門家は、主に行政書士と司法書士です。
行政書士は定款の作成や認証のサポートを、司法書士は設立登記の代理を行えます。
依頼した場合の報酬の相場は、依頼範囲にもよりますが、おおむね5万円〜15万円程度です。
『定款作成だけ頼む』『設立まで丸ごと任せる』など、依頼の範囲によって費用は変わります。
専門家に依頼する最大のメリットは、書類の不備による手戻りを防げることと、自分の時間を節約できることです。
特に、非営利型の要件を満たす定款づくりは専門的な判断が必要なため、税制優遇を確実に受けたい場合は専門家のサポートが有効です。
一方、費用を抑えたい、自分で勉強しながら進めたいという場合は、自力での設立も十分可能です。
自分の状況に合わせて、依頼するかどうかを判断するとよいでしょう。
設立でよくある失敗とその回避法
最後に、一般社団法人の設立でよくある失敗と、その回避法を紹介します。
よくある失敗の一つ目は、定款の目的を狭く書きすぎて、後から定款変更が必要になることです。
これは、設立時に将来の事業も見据えて目的を幅広く記載することで回避できます。
二つ目は、非営利型を目指していたのに、定款に残余財産の帰属の定めを入れ忘れ、税制優遇を受けられなくなることです。
非営利型の要件は設立時に必ず確認し、定款に盛り込んでおきましょう。
三つ目は、設立後の維持費を考えずに設立し、均等割や登記費用の負担に後から気づくことです。
設立前に年間の維持費を見積もり、それを賄える資金計画を立てておくことが大切です。
これらの失敗は、いずれも設立前の準備で防げるものばかりです。
急がず、しっかり準備してから設立に臨むことが、結果的に成功への近道になります。
設立後すぐに始められる活動と次のステップ
設立登記が完了し、各種届出と銀行口座開設が済めば、法人として本格的に活動を始められます。
まず取りかかりたいのが、会員の募集です。
会員制で運営する団体なら、入会案内や会費の仕組みを整え、会員を集めることが活動の土台になります。
次に、対外的な信用を高めるためのWebサイトの開設です。
法人名・所在地・事業内容・代表者を明記したサイトがあると、取引先や参加者からの信頼を得やすくなります。
また、事業によっては許認可が必要な場合があるため、活動を始める前に必ず確認しておきましょう。
これらを順に整えていくことで、設立した法人を実際の活動につなげていけます。
設立はゴールではなくスタートです。
計画的に活動を広げ、団体を育てていきましょう。
設立で迷ったときの相談先
一般社団法人の設立で分からないことがあれば、いくつかの相談先があります。
定款や設立全般については行政書士、登記については司法書士、税務については税理士が専門家です。
また、法務局では登記手続きについての一般的な案内を受けられ、公証役場では定款認証について相談できます。
自分で進める場合でも、要所要所でこうした専門機関や専門家に確認することで、ミスを防ぎながら設立を完了できます。
特に、非営利型の要件や税務に関わる部分は判断が難しいため、不安があれば早めに専門家に相談するのがおすすめです。
設立スケジュールの立て方
一般社団法人をいつまでに設立したいか、明確な目標がある場合は、逆算してスケジュールを立てましょう。
たとえば、補助金の申請期限や、取引先との契約開始日に間に合わせたいケースです。
設立には準備から登記完了まで2週間〜1か月かかるため、余裕を持って動き始めることが大切です。
まず基本事項を決めて定款を作成し、公証役場の認証を受け、法務局へ登記申請する、という流れを日程に落とし込みます。
定款認証と登記には予約や審査の待ち時間があるため、その分も見込んでおきましょう。
急ぐ場合は、定款案を早めに固めて公証役場に事前チェックを依頼し、必要書類も並行して準備しておくと、最短ルートで設立できます。
逆に、期限に余裕があるなら、定款の目的や非営利型の要件をじっくり検討してから進めるのがおすすめです。
計画的なスケジュール管理が、スムーズな設立の鍵になります。
▶ 一般社団法人の記事一覧(設立・運営の完全ガイド)
そのほかのよくある質問
A. まず名称・所在地・目的・社員/役員・事業年度の基本事項を決め、定款を作成します。
A. 可能です。定款作成・認証・登記をすべて自分で行えますが、専門的な判断が必要な場面もあります。
A. 準備から登記完了まで2週間〜1か月が目安です。
A. 実費約11万円から。電子定款にすれば印紙代4万円を節約できます。
設立にかかる費用と期間のまとめ
設立にかかる費用と期間を整理しておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 費用(実費) | 約11万円〜(定款認証+登録免許税6万円ほか) |
| 専門家報酬 | 依頼する場合は約5万〜15万円 |
| 期間 | 準備から登記完了まで2週間〜1か月 |
| 必要人数 | 社員2名+理事1名(最小構成) |
費用を抑えたいなら電子定款を使い、自分で手続きする方法があります。
一方、手間や不備のリスクを減らしたいなら専門家への依頼も選択肢です。
急ぐ場合は、定款を事前に固め、公証役場と法務局の予約を早めに取ることで期間を短縮できます。
設立後にやるべき手続き
登記が完了したら、設立後の手続きを忘れずに行いましょう。
税務署・都道府県・市町村への法人設立届出、必要に応じて社会保険の加入手続き、銀行口座の開設などです。
これらを済ませることで、法人としての活動を本格的に始められます。
また、理事の任期は2年なので、2年ごとの役員変更登記も忘れないようにしましょう。
登記を長期間放置すると、みなし解散の対象になるリスクもあるため、設立後の手続き管理も重要です。
よくある質問
A. 準備から登記完了まで2週間〜1か月が目安です。定款認証と登記の審査に時間がかかります。
A. 実費の目安は約11万円です。定款認証手数料と登録免許税6万円が中心です。
A. 可能です。すべて自分で手続きすることもできますが、定款作成など専門的な判断が必要な場面もあります。
A. 主たる事務所の所在地を管轄する法務局で行います。


