NPO法人の苦情対応|最初の受け止めと記録の残し方

一般社団法人法
苦情が来た。最初の対応で、その後がまったく変わります。

NPO法人にも、苦情や問い合わせが寄せられます。

利用者、会員、地域の方など、相手はさまざまです。

対応を誤ると、団体の信用を大きく損ないます。

この記事では、苦情への向き合い方を解説します。

POINT 結論:苦情対応でいちばん大切なのは、最初に受け止めることです。反論から入ると、相手はさらに強く主張します。窓口を一本化し、対応の記録を残す仕組みを、平時に作っておいてください。

苦情は起きるもの

どの団体にも、苦情は寄せられます。

活動が広がるほど、その数は増えます。

関わる人が増えれば、行き違いも生じるためです。

苦情がないことが、良い団体の証ではありません。

言える窓口がないだけ、という場合もあります。

起きる前提で、備えておきましょう。

備えがあれば、慌てずに済みます。

備えがないと、担当者が一人で抱え込みます。

それが、いちばん危険な状態です。

最初に受け止める

最初の対応が、その後を決めます。

まず、相手の話を最後まで聞きます。

途中で反論すると、対立が深まります。

事実の誤りがあっても、その場では正しません。

不快な思いをさせたことへの謝罪は、先に伝えられます。

責任を認めることとは、別だからです。

そのうえで、事実を確認する時間をもらいます。

その場で結論を出そうとしないでください。

正確な回答のほうが、相手にとっても有益です。

段階 やること 避けること
受付 最後まで聞く、記録する 途中で反論する
確認 事実関係を調べる 推測で答える
報告 責任者へ上げる 担当者が抱え込む
回答 確認できた事実を伝える 曖昧にごまかす
再発防止 仕組みを直す 個人を責めて終わる
記録 経過を残す 口頭だけで済ませる

窓口を一本化する

複数の人が別々に答えると、内容が食い違います。

相手は、都合の良い回答を根拠にします。

窓口を、一本化しましょう。

誰が対応するかを、あらかじめ決めます。

他の人に連絡が来たら、その人へつなぎます。

その場で答えないことを、内部で徹底します。

調べてご連絡します、で足ります。

連絡先と、いつまでに返すかを伝えます。

約束した期限は、必ず守ってください。

記録の残し方

苦情は、必ず記録します。

第一に、受けた日時です。

第二に、相手の氏名と連絡先です。

名乗らない場合も、その旨を書きます。

第三に、内容です。

相手の言葉を、できるだけそのまま書きます。

第四に、こちらの対応です。

第五に、その後の経過です。

様式を作っておくと、抜けが減ります。

記録は、団体を守る材料になります。

苦情の記録に書く項目

  • 受けた日時と方法(電話・来訪・電子メール)
  • 相手の氏名と連絡先
  • 苦情の内容(相手の言葉のまま)
  • 対応した人
  • その場で伝えたこと
  • 確認した事実
  • 最終的な回答と伝えた日
  • 再発を防ぐために決めたこと
  • 理事会へ報告したかどうか
  • 振り返りで決めたこと

事実を確認する

受け止めたら、事実を調べます。

関わった職員やボランティアに、話を聞きます。

責める姿勢では、正確な話は出ません。

記録や写真があれば、確認します。

複数の人から聞くと、見え方の違いが分かります。

苦情の内容と、こちらの認識がずれることもあります。

どちらが正しいかを決める前に、事実を並べます。

分からない部分は、分からないと整理します。

推測で埋めないでください。

理事会へ報告する

一定の苦情は、理事会へ報告します。

報告の基準を、あらかじめ決めておきましょう。

けがや、金銭に関わるものは必ず報告します。

繰り返し寄せられているものも、対象です。

担当者が抱え込むと、対応が遅れます。

報告した人が責められない空気も、必要です。

叱られると分かっていれば、誰も報告しません。

理事会では、仕組みの問題として扱います。

議事録にも、経過を残します。

回答の仕方

確認が終わったら、回答します。

約束した期限までに、必ず連絡します。

確認できた事実を、そのまま伝えます。

団体に非があれば、認めて謝罪します。

曖昧にごまかすと、より大きな不信を招きます。

一方、事実と違う点は、丁寧に説明します。

相手の主張をすべて認める必要は、ありません。

再発を防ぐために決めたことも、あわせて伝えます。

文書で回答するかは、内容によって判断します。

納得してもらえないとき

すべての苦情が、円満に終わるわけではありません。

納得してもらえないことも、あります。

その場合も、対応を打ち切らないでください。

ただし、際限なく応じる必要もありません。

同じ内容の繰り返しには、同じ回答を返します。

対応の時間や回数に、内部の目安を設けます。

担当者が疲弊するのを、防ぐためです。

一人で対応させず、複数で当たりましょう。

記録を残しておけば、経過を説明できます。

行き過ぎた要求への対応

中には、行き過ぎた要求もあります。

長時間の拘束や、暴言を伴う場合です。

職員やボランティアを、守る必要があります。

対応を中断する基準を、決めておきましょう。

複数で対応し、記録を取ります。

危険を感じたら、警察に相談する選択もあります。

判断が難しい場合は、専門家に相談してください。

我慢させ続けると、人が辞めていきます。

団体として、線を引くことも必要です。

仕組みを直す

苦情は、改善の材料になります。

個人を責めて終わらせないでください。

同じことが起きない仕組みを、考えます。

説明が足りなかったなら、案内を作ります。

人手が足りなかったなら、配置を見直します。

手順が曖昧だったなら、文書にします。

決めたことを、記録に残します。

次に同じ苦情が来たら、仕組みが機能していない証拠です。

繰り返す苦情ほど、重く受け止めましょう。

苦情を言いやすくする

苦情が来ないことを、良い状態と思わないでください。

言える窓口がないだけ、かもしれません。

不満を抱えたまま、静かに離れていきます。

意見を伝える方法を、明示しましょう。

ウェブサイトに、問い合わせ先を書きます。

催しのあとに、感想を集める方法もあります。

匿名で出せる形にすると、本音が出ます。

小さな不満のうちに聞ければ、対応も軽く済みます。

苦情は、関心の裏返しでもあります。

よくある苦情の種類

寄せられる苦情には、いくつかの型があります。

第一が、対応の態度に関するものです。

説明が不十分だった、冷たかったといった内容です。

第二が、活動の内容に関するものです。

期待と違った、という不満です。

第三が、金銭に関するものです。

会費や参加費の扱いについてです。

第四が、施設や場所に関するものです。

騒音や駐車といった、周辺からの苦情です。

第五が、個人情報に関するものです。

型が分かれば、備えも作りやすくなります。

地域からの苦情

活動の場所に関する苦情も、少なくありません。

騒音、駐車、人の出入りなどです。

この種の苦情は、放置すると活動そのものが続けられません。

まず、現地を確認します。

実際にどの程度かを、自分たちの目で見ます。

改善できる部分は、すぐ直します。

時間帯を変える、案内を出すといった対応です。

難しい部分は、正直に説明します。

事前に周辺へ挨拶しておくと、関係が変わります。

苦情になる前に、顔が見える関係を作りましょう。

会員からの苦情

会員から寄せられる苦情も、あります。

運営の進め方や、決定の仕方への不満です。

この場合、外部からの苦情とは扱いが違います。

会員は、団体の構成員だからです。

意見として、正面から受け止めましょう。

総会や理事会で、議題にできることもあります。

個別に処理して終わらせないでください。

同じ不満を、他の会員も持っている場合があります。

意見を言える場を、定期的に設けましょう。

苦情という形になる前に、拾えるのが理想です。

職員やボランティアからの声

内部からの声も、苦情と同じ扱いが要ります。

労働の環境や、指示の仕方への不満です。

言いにくい立場にあることを、理解しましょう。

相談の窓口を、決めておきます。

直属の上司以外に、言える先があると安心です。

監事や、特定の理事が担う形もあります。

相談したことで不利益が生じない、と明示します。

放置すると、人が黙って辞めていきます。

雇用に関する判断は、社会保険労務士に相談してください。

内部の声こそ、早く拾うべきものです。

公表するかどうか

苦情の内容を、外に出すかも判断が要ります。

原則として、個別の内容は公表しません。

相手の個人情報を含むためです。

一方、多くの人に影響する事案は別です。

事故や、サービスの中断などが該当します。

その場合、事実と対応を公表します。

関係者への連絡を、公表より先に行います。

窓口を一本化し、説明の内容をそろえます。

推測を混ぜないでください。

訂正が必要になると、信用がさらに下がります。

対応を振り返る

苦情が片づいたら、必ず振り返ります。

理事会の議題に、あげましょう。

第一に、何が起きたかを整理します。

第二に、なぜ起きたかを考えます。

第三に、対応は適切だったかを見ます。

早さ、内容、記録の三つで見ると分かりやすくなります。

第四に、仕組みを直すことを決めます。

第五に、決めたことを記録に残します。

振り返らない団体は、同じ苦情を繰り返します。

一件ごとの積み重ねが、対応の力になります。

苦情対応のまとめ

苦情は、どの団体にも寄せられます。

最初に受け止めることが、いちばん大切です。

途中で反論すると、対立が深まります。

窓口を一本化し、その場で結論を出さないでください。

受けた日時、内容、対応を必ず記録します。

一定の苦情は、理事会へ報告する基準を決めましょう。

個人を責めず、仕組みを直すことに焦点を当てます。

行き過ぎた要求には、対応を中断する基準も必要です。

会員からの苦情は意見として受け止め、総会や理事会の議題にもできます。

職員やボランティアからの声は、言いにくい立場だと理解しましょう。

直属の上司以外に相談できる先を、決めておいてください。

地域からの苦情は放置すると、活動そのものが続けられなくなります。

個別の内容は原則として公表せず、多くの人に影響する事案だけ公表します。

片づいたら理事会で振り返り、仕組みを直すことまで決めてください。

振り返らない団体は、同じ苦情を繰り返します。

よくある質問

Q. 苦情が来たらまず何を?

A. 最後まで聞くことです。途中で反論すると対立が深まります。事実の誤りがあっても、その場では正しません。不快な思いをさせたことへの謝罪は、責任を認めることとは別に先に伝えられます。

Q. その場で答えるべき?

A. 避けてください。事実を確認する時間をもらい、いつまでに返すかを伝えます。約束した期限は必ず守ってください。正確な回答のほうが相手にとっても有益です。

Q. 誰が対応する?

A. 窓口を一本化してください。複数の人が別々に答えると内容が食い違い、相手は都合の良い回答を根拠にします。他の人に連絡が来たら、つなぐ形にします。

Q. 理事会に報告する基準は?

A. けがや金銭に関わるもの、繰り返し寄せられているものは必ず報告します。報告した人が責められない空気も必要です。

Q. 納得してもらえない場合は?

A. 対応を打ち切らない一方、際限なく応じる必要もありません。同じ内容の繰り返しには同じ回答を返し、対応の時間や回数に内部の目安を設けてください。

Q. 苦情が来ないのは良いこと?

A. 限りません。言える窓口がないだけで、不満を抱えたまま静かに離れている場合があります。意見を伝える方法を明示し、匿名で出せる形も用意しましょう。小さな不満のうちに聞ければ、対応も軽く済みます。

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