助成金の申請書は、読む側の見方を知ると通りやすくなります。
熱意だけでは、採択されません。
審査する人が知りたいことに、答える必要があります。
この記事では、申請書の書き方を解説します。
まず公募の要領を読む
申請書を書く前に、公募の要領を読み込みます。
第一に、対象となる団体の要件です。
法人格、活動の年数、地域などが定められています。
第二に、対象となる事業の内容です。
第三に、対象になる経費とならない経費です。
人件費が対象外という公募も、あります。
第四に、金額の上限と補助の率です。
第五に、締切と提出の方法です。
要件に合わない申請は、中身を見てもらえません。
読み込む時間を、惜しまないでください。
審査する人の立場
審査する側は、多くの申請書を読みます。
一つずつ、丁寧に読み込む時間はありません。
だからこそ、伝わる書き方が要ります。
第一に、最初の数行で全体が分かる形にします。
第二に、専門の用語を避けます。
分野が違う人も、審査に加わります。
第三に、数字を入れます。
第四に、質問に答える形で書きます。
設問と関係のないことを書かないでください。
読み手が知りたいことに、答えるだけです。
| 項目 | 書くこと | 避けること |
|---|---|---|
| 課題 | 誰のどんな困りごとか | 一般論だけを述べる |
| 対象 | 何人に、どの範囲で | 曖昧な人数 |
| 方法 | 具体的に何をするか | 抽象的な理念 |
| 成果 | 何がどう変わるか | 測れない目標 |
| 体制 | 誰が担うか | 人員の裏づけがない |
| 予算 | 費目ごとの積算 | 根拠のない総額 |
課題から書き始める
申請書の中心は、課題です。
誰の、どんな困りごとかを書きます。
一般論では、伝わりません。
地域の高齢化が進んでいる、という書き方です。
そうではなく、具体的に書きます。
一人暮らしの高齢者が、買い物に行けない。
このほうが、はるかに伝わります。
自分たちが見てきた事実を、書きましょう。
数字や、現場の声があれば添えます。
課題が具体的なら、あとの項目も具体的になります。
対象と規模を示す
誰に届けるかを、明確にします。
何人を対象とするかを、数字で書きます。
対象の範囲も、示します。
市内の、特定の地区といった形です。
広げすぎると、実現性を疑われます。
逆に、狭すぎると効果が小さく見えます。
自分たちの体制で、届けられる範囲にします。
延べ人数と実人数を、分けて書くと正確です。
根拠も、あれば添えましょう。
- 対象となる団体の要件を満たすか
- 対象となる事業に当てはまるか
- 対象外の経費が入っていないか
- 金額の上限と補助の率を守っているか
- 設問にすべて答えているか
- 文字数や様式の指定を守っているか
- 添付書類がそろっているか
- 締切と提出の方法を確認したか
- 他の助成との併用が認められるか
- 添付書類の取得に要る日数
方法を具体的に書く
何をするかを、具体的に書きます。
いつ、どこで、誰が、何回行うかです。
講座を開くなら、回数と定員を書きます。
内容も、簡潔に示します。
理念だけを書いても、審査できません。
実施の手順が、想像できる形にしましょう。
過去に実績があれば、あわせて書きます。
初めての事業なら、準備の状況を示します。
実現できると思ってもらうことが、目的です。
成果を測れる形にする
何がどう変わるかを、書きます。
ここが、いちばん難しい部分です。
測れる形にすることが、要点になります。
参加者の数だけでは、成果とはいえません。
参加した人が、どう変わったかを示します。
アンケートで測る方法も、あります。
数字にしにくい成果も、あります。
その場合、どう確かめるかを書きます。
報告のときに、示せる形にしておきましょう。
書いた成果は、実際に報告することになります。
体制を示す
誰が担うかも、審査の対象です。
担当する人と、その役割を書きます。
職員なのか、ボランティアなのかも示します。
人数が足りているかを、見られます。
協力する団体があれば、書きましょう。
専門的な内容なら、その分野の人が関わるかも重要です。
団体の実績も、体制の裏づけになります。
過去の事業と、その結果を簡潔に書きます。
実施できる団体だと、示すことが目的です。
予算を積み上げる
予算は、費目ごとに積み上げます。
総額だけを書いても、根拠が示せません。
謝金なら、単価と回数と人数を書きます。
会場費なら、回数と単価です。
印刷費なら、部数と単価です。
計算の根拠が見える形にしましょう。
対象外の経費が入っていないかも、確認します。
自己資金の額も、示します。
補助の率が定められている場合は、それに合わせます。
数字が合わないと、それだけで印象が悪くなります。
落ちる申請書の特徴
通らない申請書には、傾向があります。
第一が、要件を満たしていない場合です。
第二が、設問に答えていない場合です。
書きたいことを書いて、質問を無視しています。
第三が、課題が一般論の場合です。
第四が、成果が測れない場合です。
第五が、予算の根拠がない場合です。
第六が、体制の裏づけがない場合です。
いずれも、書き直せば直る部分です。
熱意の不足が、原因ではありません。
落ちたあとにやること
落ちても、それで終わりにしないでください。
第一に、理由を聞けるか確認します。
教えてくれる助成の団体も、あります。
第二に、採択された事業を見ます。
公表されていることが、多いものです。
どんな内容が通ったかが、分かります。
第三に、書いた申請書を残します。
次の公募で、使い回せます。
第四に、中間支援組織に見てもらいます。
一度書いたものは、必ず資産になります。
採択されたあとの負担
採択されると、報告の義務が生じます。
実施の記録と、経費の証拠書類が必要です。
事業が終わったら、報告書を出します。
様式が、定められています。
精算の結果、返金が生じることもあります。
多くの助成は、後払いです。
実施してから、支払われます。
その間の資金を、用意しておく必要があります。
応募の前に、この負担も見込みましょう。
取れたのに回らない、という事態を避けます。
団体の実績をどう書くか
審査では、実施できる団体かどうかを見られます。
これまでの実績が、その裏づけです。
第一に、いつから活動しているかを書きます。
任意団体の時代も、含めてかまいません。
第二に、主な事業と規模を書きます。
回数と、参加した人数です。
第三に、過去に受けた助成があれば書きます。
報告まで果たした実績は、信用になります。
第四に、協力してきた団体や行政を書きます。
実績が少ない団体は、準備の状況で補いましょう。
文章を短く区切る
読みやすさも、採否に影響します。
一文を、短く区切りましょう。
接続詞でつないだ長い文は、読み飛ばされます。
見出しがある様式なら、それに沿って書きます。
文字数の指定は、必ず守ります。
超えると、そこで切られることもあります。
逆に、極端に少ないのも印象がよくありません。
指定の8割から9割を、目安にしましょう。
図や表が使えるなら、活用します。
書き終えたら、他の人に読んでもらってください。
複数の公募に出す
一つの公募に、賭けないでください。
落ちたときに、計画が止まります。
同じ事業で、複数の公募に出す方法があります。
ただし、重複して受けられない場合もあります。
要領で、他の助成との併用の可否を確認します。
採択されたら、他を辞退することになります。
事業の規模を変えて、出し分ける方法もあります。
大きな公募と、小さな公募の両方に出す形です。
年間の公募の時期を、一覧にしておきましょう。
計画的に出せるようになります。
自己資金をどう見せるか
多くの公募で、自己資金が求められます。
全額を助成でまかなう形は、少ないものです。
会費や寄付が、自己資金になります。
事業収入も、含められる場合があります。
ボランティアの時間を、換算できる公募もあります。
要領で、認められる範囲を確認しましょう。
自己資金がないと、そもそも応募できません。
普段から、使途の自由なお金を作っておく意味はここにもあります。
寄付を集める努力が、助成の応募にも効いてきます。
財源は、つながっています。
助成に頼りすぎない
助成金は、便利な財源です。
一方で、依存すると危うくなります。
第一に、単年度で終わるものが多いためです。
翌年も取れる保証は、ありません。
第二に、使途が縛られるためです。
事務所の家賃や、人件費に使えない場合があります。
第三に、公募の内容に合わせて事業がゆがむためです。
取れそうな事業を、選ぶようになります。
目的から離れていないかを、常に確認しましょう。
会費と寄付という土台を、並行して育ててください。
締切から逆算する
申請書は、締切の直前に書くものではありません。
第一に、要領が出たら読み込みます。
第二に、応募するかを理事会で決めます。
第三に、下書きを作ります。
第四に、他の人に読んでもらいます。
第五に、直して仕上げます。
第六に、添付書類をそろえます。
定款や事業報告書等の写しが、必要になります。
登記事項証明書を求められることも、あります。
取得に時間がかかるため、早めに動きましょう。
助成金の申請書のまとめ
申請書は、課題・対象・方法・成果・体制・予算で組み立てます。
書く前に、公募の要領を読み込んでください。
要件に合わない申請は、中身を見てもらえません。
課題は一般論でなく、見てきた事実を具体的に書きます。
方法は、いつ・どこで・誰が・何回行うかを示します。
成果は、測れる形にすることが要点です。
予算は、費目ごとに単価と数量で積み上げます。
落ちても申請書は残り、次の公募で使えます。
団体の実績は、任意団体の時代も含めて書いてかまいません。
一文を短く区切り、文字数の指定は8割から9割を目安にします。
一つの公募に賭けず、年間の公募の時期を一覧にしておきましょう。
自己資金が要る公募が多いため、会費と寄付の土台が効いてきます。
助成に依存すると、取れそうな事業を選ぶようになります。
締切から逆算し、添付書類の取得まで見込んで動きましょう。
よくある質問
A. 公募の要領を読み込むことです。対象となる団体と事業の要件、対象外の経費、金額の上限、締切を確認します。要件に合わない申請は、中身を見てもらえません。
A. 一般論を避け、見てきた事実を具体的に書きます。地域の高齢化が進んでいる、ではなく、一人暮らしの高齢者が買い物に行けない、という書き方です。
A. 測れる形にすることが要点です。参加者の数だけでは成果とはいえません。参加した人がどう変わったかを、アンケートなどで確かめる方法まで書いてください。
A. 費目ごとに単価と数量で積み上げます。総額だけでは根拠が示せません。対象外の経費が入っていないかも確認し、自己資金の額も示してください。
A. 要件を満たしていない、設問に答えていない、課題が一般論、成果が測れない、予算の根拠がない、体制の裏づけがない、のいずれかです。熱意の不足ではありません。
A. 実施の記録と経費の証拠書類を残し、報告書を出します。多くの助成は後払いのため、実施から支払いまでの資金も用意しておく必要があります。
📖 参考にした公的機関の情報


