一般社団法人の登記事項証明書(履歴事項全部証明書)|4種類の違い・窓口/郵送/オンラインの取り方・手数料600円と490円の差

一般社団法人設立
銀行や助成金の申請で「登記事項証明書を出してください」と言われました。
何をどこで取ればいいのでしょうか。「履歴事項」と「現在事項」の違いも分かりません。

登記事項証明書は、法務局が「この法人はこういう内容で登記されています」と証明する書面です。法人の代表者でなくても、誰でも、全国どこの法務局でも取れます(商業登記法10条)。一般社団法人の証明書も、株式会社と同じ商業登記のルールで交付されます。

迷いやすいのは「4種類のどれを取るか」「窓口・郵送・オンラインのどれが安いか」「登記情報提供サービスで代わりになるか」の3点です。この記事では、条文で決まっている部分をはっきりさせたうえで、一般社団法人の登記簿を読むときの注意点まで整理します。登記される項目そのものは登記事項の記事で扱っています。

登記事項証明書は「誰でも」「どこの法務局でも」取れる

商業登記法10条1項は「何人も、手数料を納付して、登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を請求することができる」と定めています。請求する理由も、法人との関係も問われません。取引先や求職者が、相手の法人の登記を確かめるために取ることもできます。

同条2項は、法務省令で定める場合を除き「他の登記所の登記官に対してもすることができる」としています。法人の主たる事務所を管轄する法務局に行く必要はなく、最寄りの法務局で足ります。登記の申請(設立や役員変更)は管轄の法務局ですが、証明書の交付だけなら全国どこでも同じです。

登記の申請 登記事項証明書の交付
できる人 法人の代表者(または代理人) 誰でも(10条1項)
場所 主たる事務所を管轄する法務局 全国どこの法務局でも(10条2項)
本人確認 申請人の資格を証する 不要
POINT 請求のときに法人の実印も、代表者の身分証も要りません。必要なのは「法人の名称と主たる事務所の所在地」(または会社法人等番号)と手数料だけです。

4種類の違い ― 商業登記規則30条で決まっている

登記事項証明書の記載事項は商業登記規則30条1項が4つに分けています。「全部証明書」「一部証明書」という言葉は、この4種類のそれぞれについて、登記記録の全部を載せるか、一部の区(役員区など)だけを載せるかの違いです。

種類 載るもの(規則30条1項) 向いている場面
現在事項証明書 現に効力を有する登記事項と、法人成立の年月日、役員の就任年月日、名称・主たる事務所の直前の変更 「今の状態」だけ示せばよいとき。過去の役員交代は載らない
履歴事項証明書 現在事項に加え、請求日の3年前の日の属する年の1月1日(基準日)から請求日までに抹消された事項・効力を失った事項 提出先が指定しないときの基本形。銀行・行政機関はほぼこれ
閉鎖事項証明書 閉鎖した登記記録に記録されている事項 解散・清算結了した法人、主たる事務所を他の管轄へ移した法人の以前の記録
代表者事項証明書 代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するもの 代表者が誰かだけを示すとき。資格証明書として使われる

「履歴事項」に載る過去の記録は、無期限ではありません。基準日は請求日の3年前の日が属する年の1月1日です。たとえば2026年9月に請求すると、基準日は2023年1月1日で、それより前に抹消された事項は履歴事項証明書に出てきません。それより古い経過を示すには、登記記録が閉鎖されていれば閉鎖事項証明書を使います。

もう一つ、登記事項要約書という書面があります(商業登記法11条・規則31条)。現に効力を有する登記事項を要約したもので、登記官の証明文が付かないので、証明書として提出する用途には使えません。自分で内容を確かめるだけなら足ります。

どれを取ればよいか ― 提出先別の目安

提出先・用途 取るもの 理由
銀行口座の開設 履歴事項全部証明書 銀行は役員の変遷まで確認することが多い。現在事項では再提出を求められることがある
補助金・助成金の申請 募集要項の指定に従う(多くは履歴事項全部) 「発行後3か月以内」の指定が付くことが多い
取引先との契約・口座振替の申込 現在事項全部証明書で足りることが多い 相手が今の代表者と所在地を確認したいだけの場面
代表者の資格を示す(訴訟・登記申請など) 代表者事項証明書 代表権の有無だけを証明する書面
解散した法人の記録を示す 閉鎖事項証明書 清算結了後は登記記録が閉鎖されている
自分で確認するだけ 登記事項要約書、または登記情報提供サービス 証明力は不要
POINT 迷ったら履歴事項全部証明書です。現在事項に載ることは履歴事項にも載るので、多い方を取っておけば差し戻されません。手数料はどの種類でも同じです。

取り方① 法務局の窓口で取る

手順 内容
1 最寄りの法務局(登記所)へ行く。管轄でなくてよい(商業登記法10条2項)
2 「登記事項証明書交付申請書」に、法人の名称・主たる事務所・請求する種類・通数を書く。会社法人等番号(12桁)が分かれば書く
3 手数料分の収入印紙(1通600円)を申請書に貼る。法務局内の売場で買える
4 窓口に出して、番号札で待つ。混んでいなければ10分前後で受け取れる

手数料は登記手数料令2条1項で「一通につき六百円」と定められています。1通の枚数が50枚を超える場合は、50枚ごとに100円が加算されますが、一般社団法人の登記簿でそこまで厚くなることはまずありません。

窓口には証明書発行請求機が置かれている法務局もあり、画面で名称と種類を選んで収入印紙を貼るだけで請求できます。申請書の書き方に迷うなら、請求機の方が早いことが多いです。

取り方② 郵送で取る

同封するもの 内容
交付申請書 窓口と同じ様式。法務局のサイトから印刷できる
収入印紙 1通600円分。申請書の所定欄に貼る(消印しない)
返信用封筒 宛先を書き、返信用の切手を貼る。複数通なら重さに注意

郵送でも手数料は窓口と同じ600円です。到着してから返送されるまで数日かかるので、期限のある提出には余裕を持って請求します。急ぐなら、次のオンライン請求で「窓口受取」を選ぶと、手数料も安く、受け取りも早くなります。

取り方③ オンラインで請求する ― 490円・520円で最も安い

法務省の「登記・供託オンライン申請システム」のかんたん証明書請求を使うと、自宅のパソコンから請求できます。申請者情報の登録(無料)が要りますが、法人の電子証明書は不要です。

受取方法 手数料(登記手数料令3条1項) 流れ
窓口で受け取る 1通490円 オンラインで請求し、指定した法務局の窓口で受け取る
郵送で受け取る 1通520円 オンラインで請求し、自宅や事務所に送付してもらう(普通郵便)

登記手数料令3条1項は、登記所と請求人の電子計算機を電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使って請求する場合の手数料を、一通につき四百九十円(送付を求める場合にあっては五百二十円)としています。書面請求の600円より安く、郵送で受け取っても520円です。

手数料の納付は、インターネットバンキングやATMの電子納付(Pay-easy)で行います。収入印紙は使いません。請求できる時間は平日の8時30分から21時までで、土日祝日は請求できません。

POINT 毎年の助成金申請や口座開設で何通も使う法人なら、オンライン請求に切り替えるだけで1通あたり80〜110円下がります。受け取りが郵送でよければ、法務局へ行く時間もなくなります。

登記情報提供サービスは「閲覧」であって証明書ではない

「登記情報提供サービス」は、電気通信回線による登記情報の提供に関する法律にもとづき、法務大臣が指定した法人が登記情報をインターネットで送信するサービスです(同法3条・4条)。登記の内容をPDFですぐに見られます。

ただし、送信されるのは「登記情報」であって、登記官の証明文が付いた登記事項証明書ではありません。銀行や行政機関に「登記事項証明書」を求められたときに、このPDFを印刷して出しても受け付けられません。

登記事項証明書 登記情報提供サービス
性質 登記官が証明した書面 登記情報の閲覧
証明力 あり なし
入手 法務局窓口・郵送・オンライン請求 インターネットで即時
向く用途 提出書類 取引先の確認・自法人の登記内容の点検

使い分けは単純です。提出するなら証明書、確かめるだけなら登記情報提供サービスです。役員変更登記のあとに「ちゃんと反映されたか」を見るだけなら、証明書を取る必要はありません。

手数料の一覧

書面・請求方法 手数料 根拠
登記事項証明書(窓口・郵送の書面請求) 1通 600円 登記手数料令2条1項
登記事項証明書(オンライン請求・窓口受取) 1通 490円 登記手数料令3条1項
登記事項証明書(オンライン請求・郵送受取) 1通 520円 登記手数料令3条1項
登記事項要約書(証明文なし) 1登記記録 500円 登記手数料令2条2項
50枚を超える場合の加算 50枚ごとに100円(要約書は50円) 登記手数料令2条1項・2項

種類(現在事項・履歴事項・閉鎖事項・代表者事項)による手数料の差はありません。全部証明書でも一部証明書でも同じです。

一般社団法人の登記簿を読むときの見どころ

一般社団法人の登記事項は一般法人法301条2項に列挙されています。株式会社の登記簿に慣れた人が戸惑うところを挙げます。

区・項目 一般社団法人ではこう載る 見るときの注意
名称区 「一般社団法人○○」 「一般財団法人」との誤認防止(5条)
目的区 定款の目的 事業の範囲。契約相手はここを見る
役員区 理事の氏名代表理事の氏名と住所、監事を置く法人は監事の氏名 株式会社の「取締役」「代表取締役」に相当。理事の住所は載らない
理事会設置・監事設置 理事会設置一般社団法人である旨、監事設置一般社団法人である旨 任意設置なので、載っていなければ置いていない
基金 基金を引き受ける者の募集をする定款の定めがあるときは、基金の総額 資本金はない。基金の定めがない法人は空欄
公告方法 官報・日刊新聞紙・電子公告など 電子公告ならURLも登記される
存続期間・解散事由 定款に定めがあるとき 定めがない法人が多い

「資本金」の欄がないことに驚く人がいますが、一般社団法人に資本金はありません。出資の代わりになり得るのは基金で、基金の定款の定めがある法人だけ総額が登記されます。役員の変更が2週間以内に登記されているかどうかは、履歴事項証明書の就任・退任の年月日を見れば分かります。

「発行後3か月以内」と言われる理由と、取る通数の目安

登記事項証明書そのものに有効期限はありません。ただし提出先の多くは「発行後3か月以内のもの」を求めます。登記は変更があってから2週間以内に申請する決まりなので(一般法人法303条)、古い証明書では現状と食い違っている可能性が高くなるからです。

取る前に決めておくこと

  • 提出先が種類を指定しているか(指定がなければ履歴事項全部証明書)
  • 「発行後○か月以内」の指定があるか。あるなら提出日から逆算して請求する
  • 原本提出か写しでよいか。原本を複数に出すなら通数分を請求する
  • 役員変更や事務所移転の登記が完了してから請求しているか(申請中は古い内容で出る)
  • 確認だけなら証明書でなく登記情報提供サービスや登記事項要約書で足りないか

1年のうちに口座開設・助成金・契約で使う見込みがあるなら、同じ時期にまとめて請求しても、3か月を過ぎれば取り直しになります。使う直前に必要な通数だけ取るのが結局いちばん無駄がありません。

登記事項証明書と印鑑証明書は別の書面

「法務局で取る証明書」として一緒に扱われがちですが、印鑑証明書は別物です。法人の印鑑証明書は、登記所に印鑑を提出した者(代表理事など)だけが請求できます(商業登記法12条)。誰でも取れる登記事項証明書と違い、第三者は取れません

登記事項証明書 印鑑証明書
何を証明するか 登記されている事項 登記所に届け出た法人の印鑑
誰が取れるか 誰でも 印鑑を提出した者(印鑑カードが要る)
主な用途 法人の存在・代表者・目的の確認 契約書や登記申請での実印の証明
手数料 600円(オンライン490円・520円) 1件500円(オンライン420円・郵送450円)=登記手数料令10条

銀行口座の開設や不動産取引では両方を求められることが多いので、窓口に行く日にまとめて請求すると二度手間になりません。印鑑証明書はオンライン請求もできますが、印鑑カードの番号が必要です。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

代表者事項証明書だけで足りる場面 ― 理事の名前も目的も見せずに「代表者は誰か」を証明する

4種類のうち代表者事項証明書だけは、証明する範囲が代表者の代表権に関する登記事項で現に効力を有するものに限られています(商業登記規則30条1項4号)。ほかの3種類が登記記録の全部または一部を写すのに対して、これは代表理事が誰で、いつ就任し、住所がどこかという一点だけを切り出した証明書です。

裏を返すと、ほかの理事や監事の氏名、法人の目的、基金の総額、公告方法などは載りません。取引の相手方に「代表権がある人だと確かめたい」とだけ言われている場面で、役員構成や事業内容まで渡さずに済みます。会員名や事業の内訳を知られたくない法人にとっては、この点が実利になります。

請求のしかたも少し違います。交付の申請書には、一部の代表者について請求するときはその代表者の氏名を書かなければなりません(商業登記規則19条5号)。代表理事が複数いる法人で、契約に出る1人分だけを取ることができるということです。

手数料は種類による差がありません。窓口・郵送の書面請求なら600円、オンライン請求なら490円(送付を求めるときは520円)で、履歴事項全部証明書とまったく同じです。

代表者事項証明書に 載るもの/載らないもの
載る 法人の名称・主たる事務所/代表理事の氏名・住所・就任年月日/代表権に関する定めがあるときはその定め/会社法人等番号
載らない 代表理事以外の理事・監事・評議員の氏名/目的・事業/基金の総額/公告方法/過去に抹消された登記事項
使いどころ 訴訟や登記申請で代表者の資格を示す/入札・契約で相手方に代表権を確認してもらう/ほかの法人の設立時社員や役員になるとき
向かないとき 法人の目的や役員構成まで示す必要があるとき(現在事項全部証明書か履歴事項全部証明書を取る)

なお、法務局へ何かを請求するときに「代表者の資格を証する書面」を求められても、申請書に会社法人等番号を書けば添付を省略できる場合があります(商業登記規則21条3項1号)。証明書を1通取る前に、その手続で番号の記載が使えないかを確かめておくと無駄が出ません。

一般社団法人・NPO法人でも代表者事項証明書は取れる ― 根拠は準用の条文にある

代表者事項証明書を定めているのは商業登記規則で、条文の文言は「会社の代表者」です。そのため一般社団法人やNPO法人では取れないと思われがちですが、どちらも取れます。準用の条文をたどると確認できます。

一般社団法人・一般財団法人は、一般社団法人等登記規則3条が商業登記規則の19条(4号を除く)と27条から31条の2までを準用しています。代表者事項証明書を定めた30条も、請求のしかたを定めた19条5号も、この範囲に入っています

NPO法人(特定非営利活動法人)は、登記の取扱いが各種法人等登記規則によります。その5条が同じく商業登記規則の13条から22条まで・27条から31条の2までを準用しているため、NPO法人でも代表者事項証明書を請求できます。窓口では「代表者事項証明書」と伝えれば通じます。

ついでに整理しておくと、一般社団法人・一般財団法人の登記に商業登記法が準用されるのは一般法人法330条、NPO法人など各種法人の登記に準用されるのは組合等登記令25条です。根拠の置き場所が法人の種類によって違うだけで、窓口で取れる証明書の種類は変わりません。

法人の種類 代表者事項証明書 根拠(準用の条文)
株式会社 取れる 商業登記規則30条1項4号
一般社団法人・一般財団法人 取れる 一般社団法人等登記規則3条(商業登記規則19条・27条〜31条の2を準用)/一般法人法330条
NPO法人(特定非営利活動法人) 取れる 各種法人等登記規則5条(商業登記規則13条〜22条・27条〜31条の2を準用)/組合等登記令25条
公益社団法人・公益財団法人 取れる 一般法人として登記されているため上と同じ

よくある質問

Q. 一般社団法人の登記事項証明書は誰でも取れますか?

A. 取れます。商業登記法10条1項は「何人も」手数料を納付して交付を請求できると定めています。法人との関係や理由は問われず、本人確認もありません。

Q. 主たる事務所の管轄の法務局に行かないと取れませんか?

A. 全国どこの法務局でも取れます(商業登記法10条2項)。登記の申請は管轄の法務局ですが、証明書の交付は最寄りの法務局で足ります。

Q. 現在事項証明書と履歴事項証明書はどちらを取ればよいですか?

A. 提出先の指定がなければ履歴事項全部証明書が無難です。現在事項に載る内容はすべて履歴事項にも載り、加えて請求日の3年前の日が属する年の1月1日以降に抹消された事項も載ります(商業登記規則30条1項)。手数料は同じです。

Q. 手数料はいくらですか?

A. 窓口・郵送の書面請求は1通600円(登記手数料令2条1項)、オンライン請求は窓口受取490円・郵送受取520円(同3条1項)です。登記事項要約書は1登記記録500円(同2条2項)です。

Q. 登記情報提供サービスのPDFを印刷して提出できますか?

A. できません。登記情報提供サービスは登記情報の閲覧で、登記官の証明文が付いた登記事項証明書ではありません。提出先が「登記事項証明書」を求めている場合は法務局が交付する証明書が必要です。

Q. 登記事項証明書に有効期限はありますか?

A. 書面自体に期限はありませんが、提出先の多くは発行後3か月以内のものを求めます。登記は変更から2週間以内に申請するため(一般法人法303条)、古い証明書は現状と食い違うおそれがあるからです。

Q. 役員変更登記を申請した直後に取ると、新しい役員が載りますか?

A. 登記が完了するまでは載りません。申請から完了までは法務局の処理期間があるので、完了を確認してから請求します。確認だけなら登記情報提供サービスで足ります。

Q. 印鑑証明書も同じように誰でも取れますか?

A. 取れません。法人の印鑑証明書は、登記所に印鑑を提出した者だけが請求でき(商業登記法12条)、印鑑カードが必要です。登記事項証明書とは別の書面です。

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