一般財団法人の解散と清算|決議では解散できない・登記5年でみなし解散・残余財産は国庫へ

一般財団法人
一般財団法人は「解散を決議して終わり」にできません。そもそも解散の決議という事由が用意されていないからです。

一般社団法人は社員総会の決議で解散できます(148条3号)。

ところが一般財団法人の解散事由に「決議で解散する」は入っていません(202条1項)。財団は設立者が拠出した財産に人格を与えたものなので、中の人の意思だけでたたむ設計になっていないからです。

この記事では、一般財団法人がどういうときに解散し、そのあと何をするのかを条文で整理します。

POINT 財団の解散は202条1項の6事由+純資産300万円ルール(同2項)+登記5年放置のみなし解散(203条)。解散しても評議員会だけは残り(208条4項)、残余財産は定款→評議員会の決議→最後は国庫へ(239条)。🔴純資産で解散した場合は評議員会の決議で継続できます(204条)。

財団に「解散の決議」という事由はない

解散事由は202条1項に6つ並んでいます。

号 解散事由(202条1項)
1号 定款で定めた存続期間の満了
2号 定款で定めた解散の事由の発生
3号 基本財産の滅失その他の事由による、目的である事業の成功の不能
4号 合併(消滅する側になる場合)
5号 破産手続開始の決定
6号 解散を命ずる裁判(261条1項・268条)

一般社団法人の148条と並べると、違いがはっきりします。

一般社団法人 一般財団法人
総会・評議員会の決議で解散 できる(148条3号) できない(202条1項に該当なし)
構成員が欠けたとき 社員が欠けたら解散(148条4号) 社員という概念がない
財産の額による解散 なし 純資産2期連続300万円未満で解散(202条2項)
みなし解散 登記が最後にあった日から5年(149条) 登記が最後にあった日から5年(203条)
POINT どうしてもたたみたい場合に使われるのが2号(定款で定めた解散の事由)です。ただし解散事由の定款変更は200条の制約を受けます。設立時に「どういうときに終わらせるか」を定款へ書いておくかどうかが、後々の自由度を決めます。

登記を5年放置すると、みなし解散になる

最後の登記から5年を経過した一般財団法人は「休眠一般財団法人」にあたります(203条1項)。

法務大臣が官報で「2か月以内に事業を廃止していない旨の届出をせよ」と公告し、その届出をしないと、2か月の期間の満了の時に解散したものとみなされます。期間内に何らかの登記がされたときは、みなし解散になりません(同項ただし書)。

よくある間違い 「みなし解散は12年」と書かれた解説がありますが、それは株式会社の話です(会社法472条)。一般社団法人・一般財団法人はどちらも5年(149条・203条)。財団は理事の任期が2年、監事・評議員が4年なので、役員変更登記を普通に回していれば5年に届きません。逆に言えば、5年触っていない法人は役員変更登記そのものを落としています。

登記所からは公告があった旨の通知が発せられます(203条2項)が、主たる事務所が実態と違っていると届きません。

純資産で解散したときは「継続」できる

純資産額が2期連続で300万円未満になると、その翌事業年度に関する定時評議員会の終結の時に解散します(202条2項)。

ここで見落とされやすいのが、解散してもまだ引き返せるという規定です。

204条(一般財団法人の継続) 次の場合には、清算が結了するまで、評議員会の決議によって法人を継続できます。

  1. 純資産で解散した後(202条2項・3項)、清算事務年度に係る貸借対照表上の純資産額が300万円以上になった場合
  2. みなし解散(203条1項)で解散した場合。ただし解散したとみなされた後3年以内に限る

清算事務年度は、解散日の翌日から始まる1年ごとの期間です(227条1項)。つまり解散後に寄付や拠出を受けて純資産を300万円以上に戻せれば、清算を止めて法人を続けられます。

継続したときは2週間以内に継続の登記をします(309条)。

清算に入ると理事会は消えるが、評議員会は残る

解散すると清算が始まり、法人は清算の目的の範囲内で、清算が結了するまでなお存続するものとみなされます(207条)。

ここで機関が大きく組み替わります。

208条4項の読み方 理事・理事会・監事などに関する規定は清算法人に適用されなくなりますが、「評議員及び評議員会に係る部分を除く」とされています。
⇒ 清算中の一般財団法人にも、評議員と評議員会は残ります。清算人の選任・解任も、残余財産の帰属も、決算報告の承認も、すべて評議員会が決めます。
機関 清算中の扱い 根拠
清算人 1人以上を必ず置く 208条1項
清算人会・監事 定款の定めがあれば置ける(任意) 208条2項
監事(大規模だった場合) 必置 208条3項
評議員・評議員会 そのまま残る 208条4項の括弧書

清算人になるのは、①理事 ②定款で定める者 ③評議員会の決議で選任された者、の順です(209条1項)。なる人がいなければ裁判所が選任します(同2項)。代表理事を定めていたときは、その人が代表清算人になります(214条4項)。

解散の日から2週間以内に、清算人・代表清算人の氏名などを登記します(310条1項)。

ここでも「いつでも解任」は使えない 清算一般社団法人の清算人は社員総会の決議でいつでも解任できます(210条1項)。
一方、清算一般財団法人の清算人は、①職務上の義務違反・職務懈怠 ②心身の故障のいずれかに当たるときに限り、評議員会の決議で解任できます(210条2項)。理事・監事の解任(176条1項)と同じ構造です。

清算人がやること ― 債権者への公告は2か月以上

清算人の職務は3つです(212条)。

  1. 現務の結了
  2. 債権の取立て及び債務の弁済
  3. 残余財産の引渡し

清算が始まったら遅滞なく、債権者に対して一定期間内に債権を申し出るよう官報に公告し、知れている債権者には個別に催告します(233条1項)。この期間は2か月を下回れません。公告には「期間内に申し出ないと清算から除斥される」旨を付記します(同2項)。

この期間中は、原則として債務の弁済ができません(234条1項)。少額債権などは裁判所の許可を得て弁済できますが、清算人が2人以上いるときは全員の同意で申し立てます(同2項)。

財産が債務の完済に足りないことが明らかになったときは、清算人は直ちに破産手続開始の申立てをしなければなりません(215条1項)。

清算中も、各清算事務年度について貸借対照表・事務報告とその附属明細書を作ります(227条1項)。これらは清算結了の登記の時まで保存します(同3項)。

残余財産は、最後は国庫に帰属する

債務を返し終えて残った財産の行き先は、次の順で決まります(239条)。

順番 決まり方
① 定款で定めるところによる(239条1項)
② 定款で定まらないときは評議員会の決議(同2項)
③ それでも定まらないときは国庫に帰属(同3項)

注意したいのは、設立者に残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めは、効力を持たないことです(153条3項2号)。「出した人に返す」という設計は、財団では最初から封じられています。

清算事務が終わったら決算報告を作り(240条1項)、清算人会を置いているならその承認を受けたうえで、評議員会に提出して承認を受けます(同3項)。承認があると、清算人の任務懈怠による損害賠償責任は免除されたものとみなされます(同4項。ただし職務執行に不正があった場合を除く)。

承認の日から2週間以内に清算結了の登記をします(311条)。帳簿と重要資料は、清算結了の登記の時から10年間保存します(241条1項)。

よくある質問

Q. 評議員会の決議で解散できませんか。
できません。202条1項に「評議員会の決議」という事由がないためです。定款で解散事由を定めておくか(2号)、合併で消滅する(4号)、あるいは目的である事業の成功が不能になった(3号)という形をとることになります。

Q. 解散の登記はいつしますか。
202条1項1号〜3号、2項、3項による解散の場合は、2週間以内に解散の登記をします(308条1項)。登記には解散の旨・事由・年月日を記載します(同2項)。

Q. 解散した財団を存続法人にする合併はできますか。
できません。解散した一般財団法人は、合併後存続する側になる合併ができません(205条)。消滅する側になることは可能です。

Q. 純資産300万円割れで解散した後、寄付を集めれば戻せますか。
戻せます。清算事務年度の貸借対照表で純資産が300万円以上になれば、清算結了までの間、評議員会の決議で継続できます(204条1号)。

Q. みなし解散されてしまいました。もう戻せませんか。
解散したとみなされた後3年以内であれば、評議員会の決議で継続できます(204条2号)。3年を過ぎると清算するしかありません。

あわせて読みたい

あわせて読みたい

解散の仕組みを含め、一般財団法人という法人の全体像を先に確認したい方はこちらです。

あわせて読みたい

維持費だけで純資産が2期連続300万円未満になり解散に至る例と、その防ぎ方はこちらで解説しています。

あわせて読みたい

純資産300万円で解散する規定や、みなし解散が5年(株式会社は12年)である点は、株式会社との比較記事で扱っています。

あわせて読みたい

任意団体は解散時の財産の行き先が不明確になりがちです。法人との違いはこちらで解説しています。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。