一般財団法人の登記事項|評議員も登記する・変更は2週間以内・怠ると100万円以下の過料

一般財団法人
評議員を入れ替えたのに登記していない――財団でいちばん多い登記漏れです。

一般財団法人の登記事項は、一般社団法人とよく似ています。

ただし財団だけは「評議員の氏名」まで登記します(302条2項5号)。社団の登記簿に評議員は出てきません。

この記事では、一般財団法人が何を登記し、何が変わったら2週間以内に動かなければならないのかを条文で整理します。

POINT 財団の登記事項には評議員・理事・監事の氏名が入ります(302条2項5号)。変更が生じたら2週間以内に変更登記(303条)。怠ると🔴100万円以下の過料(342条1号)で、その対象者には評議員も含まれます

一般財団法人の登記事項(302条2項)

設立の登記で登記する事項は、次のとおりです。

登記事項
1〜3号 目的/名称/主たる事務所及び従たる事務所の所在場所
4号 存続期間・解散の事由についての定款の定めがあるときは、その定め
5号 評議員、理事及び監事の氏名
6号 代表理事の氏名及び住所(代表理事だけ住所まで)
7号 会計監査人設置一般財団法人であるときは、その旨及び会計監査人の氏名または名称
8号 一時会計監査人の職務を行うべき者を置いたときは、その氏名または名称
9〜10号 役員等の責任免除の定款の定め/非業務執行理事等の責任限定契約の定款の定め
11号 貸借対照表を電磁的方法で継続開示する措置をとるときは、その必要事項
12〜13号 公告方法/それが電子公告であるときの必要事項

設立の登記は、161条1項の調査が終了した日と設立者が定めた日のいずれか遅い日から2週間以内です(302条1項)。

社団との決定的な違いは「評議員が登記される」こと

一般社団法人の登記事項(301条2項)と並べると、違いが3つ出てきます。

項目 一般社団法人 一般財団法人
評議員の氏名 評議員という機関がない 登記する(302条2項5号)
監事の氏名 監事設置法人である旨+氏名(301条2項8号) 氏名のみ(5号。必置なので「設置である旨」は登記しない)
理事会設置である旨 登記する(301条2項7号) 登記事項にない(必置のため)
ここが登記漏れの温床 評議員の任期は4年(174条)と長く、理事の2年(66条)に比べて改選の周期が体感しにくくなります。
「理事の任期が来たので役員変更登記をした」ときに評議員の任期満了を一緒に見落とす――これが財団でもっとも多いパターンです。評議員も登記事項なので、変わっていれば登記が必要です。

職務執行停止の仮処分などがあった場合も、理事・監事・代表理事と並んで評議員について登記します(305条)。条文上、評議員は登記の世界の住人です。

変更が生じたら2週間以内

302条2項各号の事項に変更が生じたときは、2週間以内に主たる事務所の所在地で変更登記をします(303条)。

実務でよく発生するものを並べます。

起きたこと 登記
評議員の任期満了・辞任・就任 必要(5号)
理事・監事の改選 必要(5号)※再任でも「重任」の登記
代表理事の交代・引っ越し 必要(6号。住所も登記事項)
目的・名称の変更、事務所の移転 必要(1〜3号)
公告方法の変更 必要(12号)
評議員の住所の変更 不要(氏名のみが登記事項)

主たる事務所を他の登記所の管轄区域内へ移したときは、旧所在地で移転の登記、新所在地では302条2項各号の事項をあらためて登記します(304条1項2号)。新所在地の登記には、成立年月日と移転した旨・年月日も加えます(同2項)。

定款変更そのものは登記事項ではありませんが、変更した中身が302条2項各号に触れていれば登記が必要になります。手続きは一般財団法人の定款変更の手続き|評議員会の3分の2・認証不要・2週間以内の登記を参照してください。

怠ると100万円以下の過料 ― 評議員も対象者

342条は「登記をすることを怠ったとき」に100万円以下の過料を定めています(同条1号)。

342条の対象者に並んでいる人

設立者/設立時理事・設立時監事・設立時評議員/理事/監事/評議員/会計監査人/清算人/職務代行者/一時役員の職務を行うべき者 ほか

評議員も過料の名宛人になり得ます。「登記は事務局の仕事」では済みません。

過料は法人ではなく個人に科されます。金額は懈怠の期間や事情で決まるのが実務です。

公告や通知を怠ったとき、開示を怠ったときも同じ条文の対象です(342条2号・3号)。決算公告を出していない財団は、ここに触れます。公告の義務は一般財団法人の決算|計算書類は評議員会の承認・貸借対照表は公告・純資産300万円で解散にまとめています。

5年放置すると、みなし解散になる

登記を放置し続けたときの終着点が、みなし解散です。

最後の登記から5年を経過した財団は「休眠一般財団法人」となり、法務大臣の官報公告から2か月以内に「事業を廃止していない旨の届出」をしないと、その期間の満了時に解散したものとみなされます(203条1項)。

POINT 「みなし解散は12年」は株式会社の話です(会社法472条)。一般社団法人・一般財団法人はどちらも5年(149条・203条)。
ただし財団は理事2年・監事4年・評議員4年で改選が回るため、登記を普通にしていれば5年に届きません。5年空いている法人は、役員変更登記そのものを落としています。

みなし解散されても、解散したとみなされた後3年以内であれば評議員会の決議で継続できます(204条2号)。詳しくは一般財団法人の解散と清算|決議では解散できない・登記5年でみなし解散・残余財産は国庫へで解説しています。

解散したあとの登記

清算に入ってからも登記は続きます。

場面 期限と内容 根拠
解散 2週間以内に解散の登記(解散の旨・事由・年月日) 308条
清算人 解散の日から2週間以内に、清算人・代表清算人の氏名等を登記 310条
継続 2週間以内に継続の登記 309条
清算結了 決算報告の承認の日から2週間以内 311条

清算法人が監事を置くときは、その旨も登記します(310条1項4号)。手続の全体像は商業登記法の準用によります(330条)。

よくある質問

Q. 評議員を交代したら、必ず登記が必要ですか。
必要です。評議員の氏名は登記事項なので(302条2項5号)、就任・退任・氏名の変更があれば2週間以内に変更登記をします(303条)。

Q. 評議員の住所も登記しますか。
しません。住所まで登記するのは代表理事だけです(302条2項6号)。評議員・理事・監事は氏名のみです。

Q. 同じ人が再任された場合も登記しますか。
します。任期が満了して再び選任された場合は「重任」として登記します。何も申請しないままだと登記簿上は前の任期のままになり、放置期間が積み上がります。

Q. 2週間を過ぎてしまいました。もう申請できませんか。
期限を過ぎても申請自体はできます。ただし342条1号の過料の対象になり得るため、気づいた時点で速やかに申請します。

Q. 理事会設置である旨は登記しなくていいのですか。
財団では理事会も監事も必置なので(170条1項)、「設置している旨」を登記する制度がありません。302条2項に該当する号がないためです。

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