結論から申し上げます。
一般社団法人がWebサイトや名刺を作ること自体は、法律上の義務ではありません。
ただし、法人名には必ず「一般社団法人」の文字を入れます(一般法人法5条1項)。
Webサイトは、毎年の貸借対照表の公告に使うこともできます(同法128条3項・331条1項3号)。
問い合わせフォームで個人情報を集めるなら、利用目的の公表などのルールがかかります(個人情報保護法21条)。
有料の講座や物品をWebで申し込ませるなら、特定商取引法の通信販売の表示が必要になります(同法11条)。
法律で決まっている表示と、自由に決められる表示
Webサイトと名刺の中身は、ほとんどが法人の自由です。
ロゴ、色、キャッチコピー、活動紹介の書き方に法律の決まりはありません。
一方で、特定の場面では表示の内容が法律で決まっています。
どの場面でどの法律がかかるかを、先に一覧で確認します。
| 場面 | 決まっていること | 根拠 |
|---|---|---|
| 法人名を書くとき | 「一般社団法人」の文字を名称に入れる | 一般法人法5条1項 |
| Webサイトで決算公告をするとき | 貸借対照表を5年間掲載し続ける | 一般法人法128条3項・332条1号 |
| 問い合わせフォーム・会員申込みフォームを置くとき | 個人情報の利用目的の公表・明示など | 個人情報保護法21条・32条 |
| 有料の講座・物品をWebで販売するとき | 価格・支払・事業者の名称と住所と電話番号などの表示 | 特定商取引法11条・同法施行規則23条 |
| 代表者以外の名刺に肩書きを付けるとき | 代表権を思わせる名称を付けると法人が責任を負うことがある | 一般法人法82条 |
法人名の表示ルール
一般社団法人は、その名称中に「一般社団法人」という文字を使わなければなりません(一般法人法5条1項)。
Webサイトの法人概要、名刺、契約書、請求書では、登記どおりの正式名称を書きます。
一般社団法人でない者が、一般社団法人と誤認されるおそれのある文字を名称に使うことは禁じられています(6条)。
不正の目的で、他の一般社団法人と誤認されるおそれのある名称を使うことも禁じられています(7条1項)。
そのような名称を使われて利益を侵害されるおそれがある法人は、使用の停止や予防を請求できます(7条2項)。
| 書き方 | 使える場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 一般社団法人〇〇協会(正式名称) | すべての場面 | 登記事項証明書の名称と一字一句そろえる |
| 〇〇協会(法人格を省いた通称) | ロゴ・キャッチコピー・本文中の言及 | 法人概要や契約書では正式名称を併記する |
| (一社)〇〇協会(略称) | 名刺の補助的な表記など | 略称の使い方を定めた条文はない。正式名称もどこかに入れる |
| 英語表記 | 海外向けの名刺やWebページ | 英語表記は登記されない。日本語の正式名称と対応させる |
名称を他人の事業に使わせる場合にも注意が必要です。
自分の名称を使って事業を行うことを他人に許した法人は、法人の事業だと誤認して取引した相手に、その他人と連帯して責任を負います(8条)。
「〇〇協会認定」「〇〇協会公式」といった表示を外部に許すときは、この点を踏まえて範囲を決めます。
名称の付け方は一般社団法人の名称のルール、英語での書き方は一般社団法人の英語表記で説明しています。
Webサイトの法人概要に載せる項目

法人概要のページに何を載せるかは、法人が決められます。
ただ、取引先や会員が法人の実在を確かめるときは、登記事項証明書と照らし合わせます。
そのため、登記されている情報と食い違わない書き方にしておくのが基本です。
登記事項には、名称、主たる事務所と従たる事務所の所在場所、代表理事の氏名などがあります(一般法人法301条2項)。
一般社団法人には、設立の登記をすると法人番号が指定されます(番号法39条1項)。
国税庁は、法人番号の指定を受けた法人の名称・所在地・法人番号を公表しています(同条4項)。
| 項目 | 書き方の目安 | 照らし合わせる資料 |
|---|---|---|
| 名称 | 一般社団法人を含む正式名称 | 登記事項証明書 |
| 主たる事務所の所在地 | 登記どおりの所在地 | 登記事項証明書(301条2項3号) |
| 代表者 | 代表理事の氏名(呼び名を併記してもよい) | 登記事項証明書(301条2項6号) |
| 法人番号 | 13桁の番号 | 国税庁 法人番号公表サイト |
| 設立年月日 | 法人が成立した日 | 登記事項証明書 |
| 目的・事業内容 | 定款の目的と一致させる | 定款 |
| 問い合わせ先 | メールアドレスやフォーム | ― |
名称:一般社団法人〇〇協会(英語表記:〇〇 Association)
所在地:〒000-0000 〇〇県〇〇市〇〇町1-2-3(主たる事務所)
代表者:代表理事 〇〇〇〇(理事長)
設立:20〇〇年〇月〇日
法人番号:0000000000000
事業内容:(1)〇〇に関する講習会の開催 (2)〇〇に関する調査研究 (3)その他当法人の目的を達成するために必要な事業
公告:当法人の公告は、電子公告により当ホームページに掲載して行います。
事業内容は定款の目的に合わせて書きます。公告の欄は、定款の公告方法に合わせます。
法人番号公表サイトでは、法人の英語表記を登録して公表することもできます。
Webサイトで決算公告をする方法
一般社団法人は、定時社員総会の終結後遅滞なく、貸借対照表を公告しなければなりません(一般法人法128条1項)。
Webサイトを持つ法人は、この公告をWebサイトで行う方法を選べます。
方法は大きく2つあります。
1つ目は、定款の公告方法を電子公告にする方法です(331条1項3号)。
2つ目は、公告方法は官報などのままにして、貸借対照表の内容をWebサイトで5年間提供する措置をとる方法です(128条3項)。
どちらも、定時社員総会の終結の日後5年を経過する日まで、継続して掲載します(128条3項・332条1号)。
| 方法 | 定款・登記 | 掲載期間 | 根拠 |
|---|---|---|---|
| 公告方法を電子公告にする | 定款に電子公告と定め、掲載するWebページのURLなどを登記する | 総会の終結の日後5年を経過する日まで | 331条1項3号・2項・301条2項14号15号・332条1号 |
| 官報公告のまま、Webで貸借対照表を提供する | 措置をとることと、URLなどを登記する | 総会の終結の日後5年を経過する日まで | 128条3項・301条2項13号 |
| 官報に掲載する | 公告方法を官報とする | 掲載は1回 | 331条1項1号・128条2項(要旨で足りる) |
電子公告の場合、決算公告(128条1項の公告)は電子公告調査機関の調査を受けなくてよいとされています(333条で会社法941条を準用)。
公告をしなかったときは、理事などが100万円以下の過料の対象になります(342条2号)。
Webサイトを公告に使うなら、5年分の掲載を続けられるサーバーとページ構成にしておきます。
- 定款の公告方法(官報・電子公告など)を確認した
- 公告用ページのURLを決め、5年間変えない運用にした
- 電子公告や128条3項の措置をとる場合、URLなどの登記をした(301条2項13号〜15号)
- 毎年、定時社員総会の後に遅滞なく掲載する手順を決めた
- サーバーの契約更新とドメインの更新の担当者を決めた
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
公告の方法の比較は一般社団法人の公告とは、決算公告の義務は一般社団法人に決算公告は必要?で説明しています。
問い合わせフォーム・会員申込みと個人情報
Webサイトに問い合わせフォームや入会申込みフォームを置くと、氏名や連絡先を集めることになります。
個人情報を検索できるように整理した名簿などを事業に使っている法人は、個人情報取扱事業者に当たります(個人情報保護法16条2項)。
法人の規模や営利・非営利による除外はなく、除かれるのは国の機関や地方公共団体などです(同項ただし書)。
個人情報を取得したら、あらかじめ利用目的を公表している場合を除き、速やかに本人に通知するか公表します(21条1項)。
申込みフォームのように本人から直接書面(電磁的記録を含む)で取得するときは、あらかじめ利用目的を明示します(21条2項)。
保有個人データについては、法人の名称・住所・代表者の氏名や利用目的などを本人が知り得る状態にしておきます(32条1項)。
- フォームの近くに表示する利用目的(例:問い合わせへの回答、会報の送付)
- 法人の名称・住所・代表者の氏名を載せた個人情報の取扱いのページ
- 開示などの求めを受け付ける窓口と手続
- 届いた情報を見られる人の範囲と、保存する場所
会員名簿を含む取扱いの全体は、一般社団法人・NPO法人の個人情報の取扱いで説明しています。
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本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 商標の登録出願など特許庁への手続きは、弁理士が取り扱う業務です。
Webサイトと名刺を用意する順番

設立直後に用意する場合の一般的な順番です。
公告の方法と法人名の表記を先に決めておくと、作り直しを防げます。
正式名称・所在地・代表理事・目的・公告方法を確認する
公告に使うなら、5年以上同じURLを使える前提で選ぶ
登記と一致させ、利用目的を表示する(個人情報保護法21条)
電子公告や128条3項の措置をとるなら、URLなどの登記もする
正式名称・肩書き・連絡先・WebサイトのURLを入れる
通信販売に当たる場合は特定商取引法11条の表示を置く
登記や役員が変わったときに更新するもの
登記事項が変わったら、2週間以内に変更の登記をします(一般法人法303条)。
登記をしないと、理事などが100万円以下の過料の対象になります(342条1号)。
登記を変えたのにWebサイトや名刺が古いままだと、取引先が確認したときに食い違いが出ます。
変更の登記とあわせて、対外的な表示もまとめて更新します。
| 変わったこと | 登記 | 更新するもの |
|---|---|---|
| 代表理事の交代 | 必要(2週間以内) | 法人概要の代表者欄、名刺、個人情報の取扱いのページの代表者名、通信販売の表示 |
| 主たる事務所の移転 | 必要(2週間以内) | 法人概要の所在地、名刺、通信販売の表示の住所 |
| 名称の変更 | 必要(2週間以内) | Webサイト全体、名刺、ロゴ、公告ページ |
| 公告方法の変更 | 必要(定款変更と登記) | 公告用ページ、法人概要の公告欄 |
| 理事の呼び名だけ変更 | 不要(登記事項でない) | 名刺、法人概要の役員欄 |
登記事項の一覧は一般社団法人の登記事項で確認できます。
よくある誤解
誤解1:法人はWebサイトを持つ義務がある。
一般社団法人にWebサイトの作成義務はありません。
ただし公告方法を電子公告にした法人は、公告をWebで行います(331条1項3号)。
誤解2:名刺では「一般社団法人」を省いても問題ない。
名称には「一般社団法人」の文字が入っています(5条1項)。
通称を大きく書く場合も、正式名称を併記しておくのが確実です。
誤解3:小さな団体は個人情報保護法の対象外。
個人情報データベース等を事業に使っていれば、規模にかかわらず個人情報取扱事業者です(個人情報保護法16条2項)。
誤解4:法人名を登記したので名称の商標も守られる。
商標権は特許庁での設定の登録で発生します(商標法18条1項)。
登記とは別の制度です。
誤解5:ロゴの代金を払えば著作権も法人のもの。
著作権の譲渡は契約で定めます。
27条・28条の権利は特に書かないと制作者に残ると推定されます(著作権法61条2項)。
一般社団法人のWebサイトと名刺についてよくある質問
A. 法律上の作成義務はありません。ただし公告方法を電子公告にした法人は、貸借対照表の公告をWebで行い、5年間掲載し続けます(一般法人法331条1項3号・332条1号)。
A. 名称には「一般社団法人」の文字を使うことが義務です(一般法人法5条1項)。名刺に法人名を書くときは、正式名称を入れておくのが確実です。
A. 定款の公告方法を電子公告にする方法(331条1項3号)と、官報公告のまま貸借対照表をWebで5年間提供する措置をとる方法(128条3項)があります。どちらもURLなどの登記が必要です(301条2項13号〜15号)。
A. 個人情報の利用目的をあらかじめ明示し(個人情報保護法21条2項)、法人の名称・住所・代表者の氏名や利用目的などを本人が知り得る状態にしておきます(32条1項)。
A. 通信販売に当たる場合、価格・支払時期と方法・提供時期・申込みの撤回や解除などに加え、名称・住所・電話番号、代表者または責任者の氏名を表示します(特定商取引法11条・同法施行規則23条)。
A. 禁止はされていませんが、代表権を思わせる名称を付けると、その理事の行為について法人が善意の第三者に責任を負うことがあります(一般法人法82条)。
A. 守られません。商標権は特許庁での設定の登録によって発生します(商標法18条1項)。ロゴや名称を独占して使いたい場合は商標登録を検討します。
A. 法的には登記の変更が2週間以内に必要です(一般法人法303条)。法人概要、名刺、個人情報の取扱いのページなど、代表者名を載せた表示もあわせて更新します。
📖 参考にした公的機関の情報


