NPO法人の運営で、理事と事務局の境目は曖昧になりがちです。
同じ人が両方を担っている団体も、多くあります。
それでも、役割の区別は持っておく必要があります。
この記事では、その分け方を解説します。
二つの役割の違い
まず、性質の違いを整理します。
第一に、理事は法人の業務を決定する立場です。
第二に、責任も負います。
第三に、登記される場合もあります。
第四に、事務局は決まったことを実行する立場です。
第五に、日常の作業を担います。
第六に、法律上の位置づけは定款や規程によります。
決める側と、動く側です。
この区別が、判断の速さと安全さを両立させます。
兼ねていても意識する
多くの団体で、同じ人が両方を担います。
理事が、事務も行う形です。
第一に、それ自体は問題ありません。
第二に、ただし場面で立場が変わります。
第三に、決めるときは理事としてです。
第四に、実行するときは事務局としてです。
第五に、記録の書き方も変わります。
理事会の議事録か、業務の記録かです。
第六に、曖昧だと後から検証できません。
同じ人でも、帽子をかぶり分けましょう。
| 場面 | 担う側 | 記録 |
|---|---|---|
| 事業の方針を決める | 理事会 | 理事会の議事録 |
| 予算の枠を決める | 総会・理事会 | 議事録 |
| 日々の支払い | 事務局 | 出納の記録 |
| 行事の当日の判断 | 事務局 | 活動の記録 |
| 契約を結ぶ | 理事会の議決を経る | 議事録と契約書 |
| 問い合わせへの回答 | 事務局 | 対応の記録 |
決めることの範囲
理事会が決めるべきことを、整理します。
第一に、事業の方針です。
第二に、新しい事業を始めるかどうかです。
第三に、大きな支出です。
第四に、契約を結ぶかどうかです。
第五に、規程の制定と改正です。
第六に、総会にかける議案です。
第七に、対外的な立場の表明です。
定款で理事会の権限が定められている場合は、それに従います。
定款を、必ず確認してください。
- 理事会が決めることの一覧
- 事務局が決められることの一覧
- 額による線引き
- 契約を結ぶ手順
- 緊急時に誰が判断するか
- 事務局からの報告の頻度
- 記録の様式(議事録と業務記録を分ける)
- 事務局の担当と連絡先
- 理事が現場に入るときの立場
- 規程に書いて共有したか
事務局に任せる範囲
実行の側も、範囲を決めます。
第一に、日々の支払いです。
一定額までは、事務局の判断とします。
第二に、問い合わせへの回答です。
第三に、行事の当日の運営です。
第四に、記録の作成です。
第五に、書類の提出の準備です。
第六に、外部との日常のやり取りです。
任せる範囲が狭いと、すべてが止まります。
広すぎると、決定を経ずに物事が進みます。
額と内容で、線を引きましょう。
額で線を引く
いちばん分かりやすい基準です。
第一に、一定額までは事務局が判断します。
第二に、それを超えると理事会にかけます。
第三に、緊急の場合の例外も決めます。
第四に、代表理事が判断できる範囲も決めます。
第五に、決めたことは必ず報告します。
第六に、規程に書きます。
額を書いておけば、迷いません。
担当が替わっても、同じ運用になります。
会計の具体的な処理は、専門家に相談してください。
起きやすい混乱
曖昧なまま進むと、何が起きるでしょうか。
第一に、決めていないことが実行されます。
第二に、決めたことが動きません。
第三に、誰の責任か分からなくなります。
第四に、事務局が抱え込みます。
第五に、理事が現場を知らないまま決めます。
第六に、同じ議題が何度も戻ってきます。
どれも、悪意なく起こります。
仕組みがないことが、原因です。
一覧を作るだけで、大きく減ります。
報告の仕組み
分けたら、つなぐ必要があります。
第一に、事務局から理事会へ報告します。
第二に、頻度を決めます。
第三に、様式を作ります。
活動、費用、問い合わせ、課題です。
第四に、判断が要ることは先に伝えます。
第五に、理事会で決まったことを事務局に戻します。
第六に、記録を双方が見られる場所に置きます。
報告がないと、理事は決められません。
決定が戻らないと、事務局は動けません。
往復が、両方を機能させます。
事務局が理事でない場合
職員や、担当の会員が事務局を担う形です。
第一に、権限の範囲を特に明確にします。
第二に、決定に関われない立場です。
第三に、意見を言える場は作りましょう。
現場を知るのは、事務局です。
第四に、理事会に出席してもらう形もあります。
議決権はなくても、説明の役割があります。
第五に、無理な指示を防ぐ仕組みも要ります。
第六に、相談できる理事を決めておきます。
孤立させないことが、いちばん大切です。
理事が現場に入るとき
逆の場面も、あります。
理事が、活動の現場を担う場合です。
第一に、その場では事務局の側です。
第二に、現場の担当の指示に従います。
第三に、理事だからと特別扱いしません。
第四に、気づいたことは後で理事会に持ち帰ります。
第五に、その場で方針を変えないでください。
第六に、現場を知ることには大きな価値があります。
決める人が現場を知らないと、判断がずれます。
年に数回でも、入る機会を持ちましょう。
緊急のときの判断
急ぐ場面の扱いも、決めておきます。
第一に、誰が判断するかを決めます。
第二に、代表理事とする形が一般的です。
第三に、不在のときの順序も決めます。
第四に、判断できる範囲も決めます。
第五に、決めたら速やかに報告します。
第六に、次の理事会で追認します。
第七に、記録に残します。
緊急のたびに集まるのは、現実的ではありません。
仕組みで、備えておきましょう。
規程に書く
決めたことは、文書にします。
第一に、理事会が決めることの一覧です。
第二に、事務局が決められることの一覧です。
第三に、額の線引きです。
第四に、報告の頻度と様式です。
第五に、緊急のときの手順です。
第六に、定款との整合を確かめます。
定款に定めがある場合は、そちらが優先します。
規程は、理事会で決める形が一般的です。
定款の定めを、確認してください。
小さな団体での運用
人数の少ない団体では、どうするかです。
第一に、厳密に分ける必要はありません。
第二に、それでも一覧は作ります。
第三に、A4で1枚あれば足ります。
第四に、決めた場面は議事録に残します。
第五に、実行した記録も別に残します。
第六に、人が増えたときに効いてきます。
最初から仕組みがあると、任せやすくなります。
後から作るほうが、難しいものです。
小さいうちに、形だけ作っておきましょう。
監事から見た分担
監事の立場からも、この区別は重要です。
第一に、監事は業務と財産の状況を監査します。
第二に、決定の手続きが正しいかを見ます。
第三に、理事会にかけるべきことが、かかっているかです。
第四に、記録が残っているかも見ます。
第五に、事務局の作業だけを見るのでは足りません。
第六に、監事は理事を兼ねられません。
分担が曖昧だと、監査もできません。
何をどこで決めたかが、たどれる形にしましょう。
記録の分け方が、そのまま監査のしやすさになります。
引き継ぎのときに効く
役割の整理は、交代の場面で効きます。
第一に、理事が替わっても事務は続きます。
第二に、事務局が替わっても方針は残ります。
第三に、両方が同時に替わる事態を避けられます。
第四に、任期の時期をずらす方法もあります。
第五に、一覧があれば引き継ぎが早くなります。
第六に、何を任されたかが明確になります。
受ける人が、怖がらずに引き受けられます。
曖昧なままだと、全部を背負うように見えます。
分担を書くことが、次の担い手を呼びます。
会員から見えるようにする
会員にも、この分担を伝えます。
第一に、誰に何を言えばよいかが分かります。
第二に、事務局への要望と、方針への意見を分けられます。
第三に、総会で説明します。
第四に、会報にも載せます。
第五に、名簿や案内に担当を書きます。
第六に、窓口も明示します。
見えないと、代表に全部が集まります。
代表の負担が、そこから始まります。
分けて見せることが、負担も分散させます。
理事と事務局の役割分担のまとめ
理事は決める側、事務局は動く側です。
同じ人が兼ねていても、場面でどちらの立場かを意識してください。
決めるときは理事として、実行するときは事務局としてです。
記録も、理事会の議事録と業務の記録に分けます。
理事会が決めることと、事務局が決められることを一覧にしましょう。
額で線を引くのが、いちばん分かりやすい基準です。
曖昧なままだと、決めていないことが実行され、決めたことが動きません。
事務局から理事会への報告と、決定の戻しの往復が要ります。
事務局が理事でない場合は、権限の範囲を特に明確にし、孤立させないでください。
理事が現場に入るときは、その場では事務局の側です。
分担が曖昧だと、監事も監査できません。何をどこで決めたかをたどれる形に。
役割の整理は交代の場面で効きます。分担を書くことが、次の担い手を呼びます。
会員にも分担を見せましょう。見えないと、代表に全部が集まります。
緊急時に誰が判断するかを決め、次の理事会で追認しましょう。
よくある質問
A. 理事は法人の業務を決定する立場で、責任も負います。事務局は決まったことを実行し、日常の作業を担います。決める側と動く側という区別です。
A. 問題ありません。ただし場面で立場が変わります。決めるときは理事として、実行するときは事務局としてです。記録も議事録と業務の記録に分けてください。
A. 事業の方針、新しい事業、大きな支出、契約、規程の制定と改正、総会にかける議案、対外的な立場の表明です。定款に理事会の権限の定めがあれば、それに従います。
A. 額がいちばん分かりやすい基準です。一定額までは事務局、それを超えると理事会。緊急時の例外と、代表理事が判断できる範囲も決めて規程に書きましょう。
A. 決めていないことが実行され、決めたことが動きません。誰の責任か分からなくなり、事務局が抱え込み、同じ議題が何度も戻ってきます。
A. 権限の範囲を特に明確にします。決定に関われない立場ですが、意見を言える場は作ってください。理事会に説明役として出席してもらう形もあります。孤立させないことです。
A. その場では事務局の側です。現場の担当の指示に従い、その場で方針を変えないでください。気づいたことは、後で理事会に持ち帰ります。
A. 監事は決定の手続きが正しいかも見ます。理事会にかけるべきことがかかっているか、記録が残っているかです。分担が曖昧だと、監査そのものができません。
A. 効きます。一覧があれば引き継ぎが早く、何を任されたかも明確になります。曖昧なままだと全部を背負うように見え、受ける人が引き受けられません。
A. 伝えてください。誰に何を言えばよいかが分かり、事務局への要望と方針への意見を分けられます。見えないと、代表に全部が集まります。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
📖 参考にした公的機関の情報


