NPO法人の行政への提言と要望|提案の形にする

一般社団法人法
現場で見えた課題を、制度に反映してもらう。その道筋です。

NPO法人は、現場の課題をいちばん近くで見ています。

その声を、行政に届ける場面があります。

ただし、届け方には作法があります。

この記事では、提言と要望の進め方を解説します。

POINT 結論:提言は、批判ではなく提案の形にすると通ります。現場の事実と数字を示し、実行できる案まで書いてください。なお、特定の政治上の主義の推進や、公職の候補者への支持・反対を主たる目的とする活動はできません。

なぜ団体が提言するのか

提言は、団体の役割の一つです。

第一に、現場でしか見えない課題があります。

第二に、制度の隙間に落ちる人がいます。

第三に、個人では声を届けにくい人がいます。

第四に、事業だけでは解決しない問題があります。

一団体が支援できる人数には、限りがあります。

第五に、制度が変われば広く効きます。

目の前の支援と、制度への働きかけは両輪です。

どちらか一方では、届く範囲が狭くなります。

できることとできないこと

ここで、制度上の枠を確認します。

NPO法人には、活動の制限があります。

第一に、宗教の教義を広めることを主たる目的にできません。

第二に、政治上の主義を推進、支持、反対することを主たる目的にできません。

第三に、特定の公職の候補者や政党を、推薦、支持、反対することを目的にできません。

一方、政策への意見を述べること自体は、行えます。

課題を示し、制度の改善を求めることです。

選挙運動や党派の応援とは、性質が違います。

境界に迷う場合は、所轄庁に確認しましょう。

定款の目的との関係も、あわせて見てください。

届け方 相手 向いている場面
担当課への相談 行政の職員 運用の改善・日常の課題
意見の募集への提出 所管の部署 計画や条例の案が出たとき
審議会の委員 行政の会議体 継続的に関わる場合
要望書の提出 首長・担当部長 正式に記録を残したいとき
議会への請願・陳情 議会 議会の判断を求める場合
他団体との共同提案 行政全般 一団体では届きにくいとき

まず担当課に相談する

いきなり大きく動かないでください。

第一に、担当の課に相談します。

第二に、現場で起きていることを伝えます。

第三に、既存の制度で対応できるか聞きます。

知らない制度が、あることもあります。

第四に、担当者の見立てを聞きます。

第五に、記録を残します。

運用の工夫で、解決する場合があります。

その場合、制度を変える必要はありません。

一段ずつ、進めましょう。

意見の募集を使う

行政は、計画や条例の案について意見を募ります。

第一に、募集の情報を見逃さないでください。

サイトや、広報紙に載ります。

第二に、期間が短い場合があります。

第三に、様式に従って提出します。

第四に、該当する箇所を明示します。

第五に、理由と代案を書きます。

第六に、提出したものは記録に残します。

意見は、公表される場合があります。

団体の名前で出す前に、理事会で確認しましょう。

提言の書き方

中身の書き方に、要点があります。

第一に、現場の事実から始めます。

何件の相談があった、といった具体です。

第二に、数字を示します。

第三に、誰が困っているかを明確にします。

第四に、なぜ現行の制度で解決しないかを書きます。

第五に、実行できる案を示します。

第六に、費用の見込みにも触れます。

批判だけでは、動きません。

提案の形にすることが、いちばん効きます。

提言を出す前の確認

  • 現場の事実を数字で示せるか
  • なぜ現行の制度で足りないかを書いたか
  • 実行できる案を示したか
  • 費用の見込みに触れたか
  • 担当課に事前に相談したか
  • 他団体と共同で出せないか
  • 団体の名前で出す了解を得たか
  • 定款の目的との関係を確認したか
  • 個人が特定される記述がないか
  • 提出した記録を残したか

事例の扱いに注意する

提言では、事例が説得力を持ちます。

ただし、扱いに注意が要ります。

第一に、本人の同意を得ます。

第二に、個人が特定できない形にします。

年齢や地域を、幅で書く形です。

第三に、複数の事例をまとめる方法もあります。

第四に、相談で知ったことは特に慎重に扱います。

第五に、公表される可能性を前提にします。

同意を得た範囲を、超えないでください。

当事者を守ることが、優先されます。

共同で出す

一団体の声は、届きにくいものです。

第一に、同じ分野の団体と組みます。

第二に、分野の違う団体と組む方法もあります。

第三に、中間支援組織に相談します。

第四に、連名で提出します。

第五に、内容の合意に時間をかけます。

急いでまとめると、後で食い違います。

第六に、窓口となる団体を決めます。

複数の団体が同じことを言えば、重みが違います。

数は、それ自体が根拠になります。

審議会や会議体に入る

継続的に関わる道も、あります。

第一に、行政の審議会に委員として入る形です。

第二に、公募される場合があります。

第三に、団体として推薦される場合もあります。

第四に、任期があり、会議の回数も決まっています。

第五に、時間の負担を見込んでおきます。

第六に、発言の内容は記録に残ります。

中から関わると、制度の作られ方が分かります。

一方、団体の立場を離れないよう注意します。

誰の声を代弁しているかを、忘れないことです。

議会への請願と陳情

議会に対して、意見を出す道もあります。

第一に、請願と陳情という制度があります。

第二に、手続きは自治体ごとに違います。

第三に、請願には紹介する議員が必要な場合があります。

第四に、提出の様式と期限を確認します。

第五に、委員会で審査されます。

第六に、結果が通知されます。

事前に、議会の事務局に確認しましょう。

なお、特定の政党や候補者を支持、反対する目的では行えません。

課題そのものを、伝える形にします。

通らなかったとき

提言が、すぐに通ることは多くありません。

第一に、一度で諦めないでください。

第二に、なぜ通らなかったかを聞きます。

第三に、時期が合わなかっただけの場合もあります。

計画の見直しの周期が、あります。

第四に、根拠を足して再度出します。

第五に、記録として残しておきます。

数年後に、状況が変わることがあります。

第六に、他の届け方も試します。

積み重ねが、いつか形になります。

関係を壊さない

提言は、対立ではありません。

第一に、担当者を責めないでください。

制度を作ったのは、その人ではありません。

第二に、事実だけを伝えます。

第三に、感情的な表現を避けます。

第四に、協力できる部分は協力します。

第五に、日頃の関係を大切にします。

委託や協働の相手でも、あるためです。

言うべきことは言い、関係は保つ。

この両立が、いちばん難しく、いちばん効きます。

会員への説明

提言を出すときは、団体の中も整えます。

第一に、理事会で内容を確認します。

第二に、団体の名前で出す了解を取ります。

第三に、会員にも知らせます。

第四に、意見が割れる場合もあります。

第五に、その場合は出す範囲を狭めます。

第六に、経過を記録に残します。

一部の人の判断で出すと、後で問題になります。

団体の意思として、出す形にしましょう。

現場の記録が根拠になる

提言に最も効くのは、自分たちの記録です。

第一に、相談を受けた件数です。

第二に、断らざるを得なかった件数です。

応えられなかった数が、制度の隙間を示します。

第三に、待ってもらった期間です。

第四に、他へつないだ件数と、その先です。

第五に、同じ理由が繰り返される点です。

日頃の記録が、そのまま材料になります。

提言のために、記録を始めるのでは遅くなります。

普段から、集計できる形で残しましょう。

伝える相手を選ぶ

同じ内容でも、相手によって効き方が違います。

第一に、運用の話なら担当課です。

第二に、制度の話なら所管の部署です。

第三に、予算が絡むなら時期を考えます。

予算の編成の時期に、間に合わせます。

第四に、計画に関わるなら見直しの周期を見ます。

第五に、議会の判断が要るなら請願や陳情です。

第六に、迷ったら担当課に聞きます。

誰に言えばよいかを、教えてもらえます。

相手を間違えると、時間だけが過ぎます。

言葉の選び方

文面の言葉にも、注意します。

第一に、断定を避けます。

確認していないことは、書きません。

第二に、感情的な表現を使いません。

第三に、相手を非難する言い回しを避けます。

第四に、専門の言葉を使いすぎません。

第五に、結論を先に書きます。

第六に、量を絞ります。

A4で2枚から3枚が、読まれる限界です。

長いほど熱意が伝わる、ということはありません。

行政への提言と要望のまとめ

提言は、批判ではなく提案の形にすると通ります。

現場の事実と数字を示し、実行できる案まで書いてください。

なぜ現行の制度で足りないかも、あわせて書きます。

いきなり大きく動かず、まず担当課に相談しましょう。

運用の工夫で解決する場合もあります。

計画や条例の案が出たら、意見の募集を使ってください。

事例を使うときは本人の同意を得て、特定できない形にします。

複数の団体が同じことを言えば、重みが違います。

通らなくても、理由を聞いて根拠を足し、再度出しましょう。

担当者を責めず、事実だけを伝え、日頃の関係を保ちます。

日頃の記録、特に断らざるを得なかった件数が、制度の隙間を示します。

運用の話は担当課、制度の話は所管の部署へ。相手を間違えると時間だけが過ぎます。

予算が絡むなら編成の時期、計画に関わるなら見直しの周期に合わせます。

文面はA4で2枚から3枚に絞ります。長いほど伝わる、ということはありません。

なお、政治上の主義の推進や候補者への支持・反対を主たる目的とすることはできません。

よくある質問

Q. NPO法人が行政に意見を言っていい?

A. 政策への意見を述べること自体は行えます。ただし、宗教の教義を広めること、政治上の主義を推進・支持・反対すること、特定の公職の候補者や政党を推薦・支持・反対することを目的とすることはできません。境界に迷う場合は所轄庁に確認してください。

Q. まず何をする?

A. 担当の課に相談してください。現場で起きていることを伝え、既存の制度で対応できるか聞きます。知らない制度があることもあり、運用の工夫で解決する場合もあります。

Q. 提言には何を書く?

A. 現場の事実、数字、誰が困っているか、なぜ現行の制度で解決しないか、実行できる案、費用の見込みです。批判だけでは動きません。提案の形にしてください。

Q. 事例を使ってもいい?

A. 本人の同意を得て、個人が特定できない形にしてください。年齢や地域は幅で書きます。相談で知ったことは特に慎重に扱い、同意を得た範囲を超えないでください。

Q. 一団体では届かない

A. 同じ分野、あるいは分野の違う団体と組んで連名で出す方法があります。中間支援組織に相談してください。複数の団体が同じことを言えば、数はそれ自体が根拠になります。

Q. 通らなかったら?

A. 一度で諦めないでください。理由を聞き、根拠を足して再度出します。計画の見直しの周期があるため、時期が合わなかっただけの場合もあります。

Q. 団体の名前で出していい?

A. 理事会で内容を確認し、団体の名前で出す了解を取ってください。会員にも知らせます。一部の人の判断で出すと、後で問題になります。

Q. 根拠はどこから持ってくる?

A. 日頃の記録です。相談を受けた件数、断らざるを得なかった件数、待ってもらった期間、他へつないだ先。特に応えられなかった数が、制度の隙間を示します。

Q. 誰に出せばいい?

A. 運用の話なら担当課、制度の話なら所管の部署です。予算が絡むなら編成の時期、計画に関わるなら見直しの周期に合わせます。迷ったら担当課に聞いてください。

Q. どれくらいの分量で書く?

A. A4で2枚から3枚が読まれる限界です。結論を先に書き、断定を避け、確認していないことは書きません。長いほど熱意が伝わる、ということはありません。

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