認定NPO法人を目指す道筋|PSTの選び方と初年度からの準備

一般社団法人法
認定NPO法人になりたい。何から手をつければいいのかを、順番に整理します。

認定NPO法人になるには、パブリック・サポート・テストを含む要件を満たす必要があります。

設立してすぐに申請できるものではありません。

実績を積みながら、記録を残していく準備が要ります。

この記事では、認定を目指す道筋を手順で解説します。

POINT 結論:認定には実績判定期間の運営実績が必要で、最短でも2事業年度を終えてからの申請になります。最大の関門はパブリック・サポート・テストです。日ごろから寄付者の名簿と受入の記録を残しておくことが、そのまま準備になります。

認定NPO法人とは何か

認定NPO法人は、一定の要件を満たすと認められたNPO法人です。

所轄庁が審査し、認定します。

すべてのNPO法人が名乗れるものではありません。

認定を受けると、寄付をした人に税制上の優遇が生じます。

そのため、寄付を集めやすくなる効果があります。

社会的な信用が高まる面も、無視できません。

助成金の申請で、有利に働く場合もあります。

一方で、報告と情報公開の義務は重くなります。

取るかどうかは、団体の方針で決めることになります。

認定に必要な8つの基準

認定の要件は、大きく8つに分かれます。

第一が、パブリック・サポート・テストです。

第二が、事業活動における共益的な活動の割合が一定以下であることです。

第三が、運営組織と経理が適正であることです。

第四が、事業活動の内容が適正であることです。

第五が、情報公開を適切に行っていることです。

第六が、事業報告書等を所轄庁に提出していることです。

第七が、法令違反や不正の行為がないことです。

第八が、設立の日から1年を超える期間が経過していることです。

このうち、多くの団体がつまずくのが第一の基準です。

パブリック・サポート・テストとは

パブリック・サポート・テストは、広く支持されているかを測る基準です。

略して、PSTと呼ばれます。

特定の人だけが支えている団体を、除くための仕組みです。

判定の方法は、3つのうちどれかを選べます。

第一が、相対値基準です。

収入に占める寄付金等の割合が、5分の1以上であることを求めます。

第二が、絶対値基準です。

年3,000円以上の寄付者が、年平均100人以上いることを求めます。

第三が、条例個別指定です。

自治体の条例で個別に指定を受ける方法です。

自分たちに合う基準を選べる点が、重要になります。

判定の方法 内容 向いている団体
相対値基準 収入に占める寄付金等の割合が5分の1以上 事業収入が小さく寄付中心の団体
絶対値基準 年3,000円以上の寄付者が年平均100人以上 小口の支援者が多い団体
条例個別指定 自治体の条例で個別に指定を受ける 地域に根ざした団体
特例認定 PSTを免除(設立から5年以内・1回限り) 設立まもない団体

絶対値基準を狙う場合

小さな団体では、絶対値基準が現実的なことが多いものです。

年3,000円以上の寄付者を、年平均100人集めるという基準です。

月250円の継続寄付でも、年3,000円に届きます。

会費とは別に、寄付として受ける形を整えましょう。

同一世帯は1人と数えるなど、数え方に決まりがあります。

寄付者ごとに、氏名と金額と日付を記録します。

この記録がないと、あとから証明できません。

表計算のファイルでも構わないので、初年度から作りましょう。

100人という数字は、日々の積み重ねでしか届きません。

特例認定という入口

設立まもない団体には、特例認定という制度があります。

PSTの基準が免除される、期限つきの認定です。

設立の日から5年以内であることが条件です。

受けられるのは、1回限りです。

有効期間は、3年間です。

この3年の間に、本認定の要件を整えることになります。

入口として使いやすい一方、期限があります。

取ったあとに何もしなければ、期間の満了で終わります。

本認定への移行を前提に、計画を立てましょう。

実績判定期間という考え方

認定の審査は、直前の事業年度をさかのぼって行われます。

この期間を、実績判定期間といいます。

原則として、直前の5事業年度です。

設立からの年数が短い場合は、2事業年度になります。

つまり、最短でも2年分の実績が必要です。

思い立ってすぐに申請できるものではありません。

逆に言えば、設立の時点から準備を始められます。

初年度から記録を整えておけば、無駄がありません。

認定を視野に入れるなら、早い段階で決めておきましょう。

運営組織と経理の適正

運営組織が適正であることも、要件のひとつです。

役員に占める親族の割合に、制限があります。

特定の法人の関係者が、役員の3分の1を超えないことも求められます。

経理については、帳簿と証拠書類の保存が必要です。

支出の根拠が分かる形で、領収書等を残します。

現金の管理を、一人に任せきりにしないことも大切です。

通帳と帳簿を、監事が実際に確認する体制を作りましょう。

取引の記録が整っていることが、審査の前提になります。

会計の具体的な処理は、専門家に相談してください。

認定を目指すなら初年度からやること

  • 寄付者の氏名・金額・日付を記録する仕組みを作る
  • 会費と寄付を、はっきり区別して受け取る
  • 領収書と証拠書類を年度ごとに保存する
  • 事業報告書等を毎年きちんと提出する
  • ウェブサイトで活動と決算を公開する
  • 役員の親族の割合を確認しておく
  • 監事による確認の記録を残す
  • 議事録を毎回きちんと作る

情報公開の水準が上がる

認定NPO法人になると、情報公開の義務が広がります。

事業報告書等に加えて、役員報酬の規程なども対象になります。

寄付者名簿の備え置きも必要です。

ただし、寄付者名簿は閲覧の対象から除かれています。

個人情報の扱いには、引き続き注意が必要です。

公開する書類が増えるということは、手間も増えます。

ウェブサイトに載せておけば、問い合わせに応じやすくなります。

公開を前提に、日ごろから書類を整えておきましょう。

慌てて作った書類は、内容が薄くなりがちです。

申請の手続き

申請先は、所轄庁です。

認証と同じ窓口になります。

申請書に加えて、要件を満たすことを示す書類を添えます。

寄付者名簿や、PSTの計算に関する書類が中心です。

事業報告書等の写しも必要になります。

申請の前に、事前相談を受け付けている所轄庁が多くあります。

書類の量が多いため、相談したほうが確実です。

審査には、数か月かかることを見込んでおきましょう。

不足があれば、追加の提出を求められます。

認定の有効期間と更新

認定の有効期間は、5年間です。

期限が来れば、自動的に更新されるわけではありません。

有効期間の満了前に、更新の申請が必要です。

更新の際も、要件を満たしているかが審査されます。

PSTを満たせなくなれば、更新できません。

つまり、取ったあとも続ける努力が要ります。

寄付者が減っていないかを、毎年確認しましょう。

特例認定の場合は、有効期間が3年で更新もありません。

期限を、年間の予定表に必ず書き込んでください。

認定を取らない選択もある

認定は、すべての団体に必要なものではありません。

事業収入が中心の団体では、PSTを満たしにくいものです。

無理に寄付を集めようとすると、活動がゆがみます。

報告と公開の手間も、小さな団体には負担になります。

寄付を主な財源にする方針かどうかが、判断の分かれ目です。

助成金と委託が中心なら、認定なしでも運営できます。

取れるかどうかではなく、必要かどうかで考えましょう。

取ると決めたなら、初年度からの記録が近道になります。

迷っているなら、記録だけ整えておくのが無難です。

よくあるつまずき

第一が、寄付者の記録を残していなかった場合です。

あとから思い出して作ることは、できません。

第二が、会費と寄付を区別していなかった場合です。

どちらとして受けたのかが分からないと、判定に使えません。

第三が、事業報告書等の提出を怠っていた場合です。

提出は要件そのものなので、抜けがあると申請できません。

第四が、役員の構成が要件に合っていない場合です。

親族の割合は、就任のときに確認しておきましょう。

第五が、情報公開をしていなかった場合です。

いずれも、日ごろの運営で防げるものばかりです。

寄付を増やす具体的な動き

PSTを満たすには、寄付そのものを増やす必要があります。

第一に、継続寄付の仕組みを作ることです。

月々の少額でも、年間では基準に届きます。

第二に、寄付の使いみちを具体的に示すことです。

何にいくら使われるかが見えると、判断しやすくなります。

第三に、報告を欠かさないことです。

寄付をした人に、結果を伝える習慣が次につながります。

第四に、寄付の窓口を分かりやすくすることです。

ウェブサイトの目立つ場所に、導線を置きましょう。

第五に、会員に寄付の話をすることです。

すでに関わっている人が、いちばん近い支援者になります。

所轄庁の窓口で確認しておくこと

認定の審査は、所轄庁が行います。

認証と同じ窓口ですが、担当が分かれている場合もあります。

手引きを公開している所轄庁が多いので、まず入手しましょう。

様式が指定されていることも、少なくありません。

条例個別指定の制度があるかどうかも、確認が必要です。

自治体によっては、独自の支援制度を持っています。

相談の予約が必要かどうかも、先に調べておきます。

書類の量が多いため、一度で終わらないことが普通です。

早い段階で顔を出しておくと、その後が進みやすくなります。

認定を目指す道筋のまとめ

認定には、8つの基準を満たす必要があります。

最大の関門は、パブリック・サポート・テストです。

相対値、絶対値、条例個別指定の3つから選べます。

小さな団体では、年3,000円以上の寄付者100人という絶対値基準が現実的です。

実績判定期間があるため、最短でも2事業年度を終えてからの申請です。

設立まもないなら、特例認定という入口もあります。

寄付者の記録を初年度から残すことが、そのまま準備になります。

税制上の取扱いは、税務署または税理士へご確認ください。

よくある質問

Q. 設立してすぐ認定を取れる?

A. 取れません。実績判定期間があり、最短でも2事業年度を終えてからの申請になります。ただし設立から5年以内なら、PSTが免除される特例認定という入口があります。

Q. パブリック・サポート・テストとは?

A. 広く支持されているかを測る基準です。収入に占める寄付金等の割合が5分の1以上(相対値基準)、年3,000円以上の寄付者が年平均100人以上(絶対値基準)、条例個別指定の3つから選べます。

Q. 小さな団体はどの基準を狙う?

A. 絶対値基準が現実的なことが多いです。月250円の継続寄付でも年3,000円に届くため、小口の支援者を100人集める形になります。

Q. 認定の有効期間は?

A. 5年間です。自動更新ではなく、満了前に更新の申請が必要で、そのときも要件が審査されます。特例認定は3年間で、更新はありません。

Q. 何から準備すればいい?

A. 寄付者の氏名・金額・日付を記録する仕組みです。あとから作ることはできません。あわせて、会費と寄付をはっきり区別して受け取ってください。

Q. 認定は必ず取るべき?

A. いいえ。事業収入や委託が中心の団体では、PSTを満たしにくく、報告の手間も増えます。寄付を主な財源にする方針かどうかで判断してください。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。