NPO法人の事務の引き継ぎ|平時に作る5つの一覧

一般社団法人法
担当が辞めたら、何も分からなくなった。よくある事故です。

NPO法人では、事務が一人に集中しがちです。

その人が辞めると、団体が動かなくなります。

書類の場所も、期限も、誰も知りません。

この記事では、事務の引き継ぎを解説します。

POINT 結論:引き継ぎは、辞めると決まってから始めるのでは遅すぎます。平時から、手順を書いた紙と、書類の置き場所の一覧を作っておいてください。口座・鍵・電子の入り口の3つは、特に確実に引き渡す必要があります。

引き継げない状態が生まれる理由

なぜ、引き継げない状態になるのでしょうか。

第一に、一人で長く担ってきたためです。

第二に、手順が頭の中にしかないためです。

第三に、書類の置き場所が本人しか分からないためです。

第四に、期限を本人が覚えているためです。

第五に、外部との関係も本人が持っているためです。

どれも、悪意ではありません。

慣れた人がやるほうが、その場は早いためです。

その積み重ねが、辞めた瞬間に効いてきます。

平時から作っておくもの

引き継ぎの準備は、平時に行います。

第一に、年間の手順を書いた紙です。

何月に何をするかを、並べます。

第二に、書類の置き場所の一覧です。

第三に、外部の連絡先の一覧です。

第四に、口座と鍵の管理の記録です。

第五に、電子の入り口の一覧です。

この5つがあれば、引き継ぎは半分終わっています。

辞めると決まってから作るのは、間に合いません。

引き継ぐもの 中身 注意する点
年間の手順 何月に何をするか 期限を必ず書く
書類 定款・議事録・報告書・名簿 置き場所の一覧を作る
口座 通帳・印鑑・記帳 名義の変更に時間がかかる
事務所・書庫・郵便受け 本数と所在を記録する
電子の入り口 サイト・電子メール・保存先 個人の端末から出す
外部の関係 行政・他団体・専門家 顔つなぎを一度は行う

年間の手順を書き出す

いちばん役に立つのが、年間の手順です。

第一に、月ごとに並べます。

第二に、期限のあるものに印を付けます。

事業報告書の提出、総会、役員の任期などです。

第三に、誰に出すかを書きます。

第四に、必要な書類を書きます。

第五に、前年の実物を添えます。

前年のものを見れば、大半は再現できます。

A4で数枚あれば、十分です。

完璧を目指さず、まず作ることです。

引き継ぎで渡すもの

  • 年間の手順を書いた紙
  • 書類の置き場所の一覧
  • 過去の提出書類の控え
  • 通帳・印鑑・口座の情報
  • 鍵(本数と所在の記録つき)
  • 電子の入り口の一覧
  • 外部の連絡先の一覧
  • 進行中の案件の一覧
  • 未処理のものの一覧
  • 引き継ぎの日付を書いた記録

口座の引き継ぎ

お金に関わる部分は、特に慎重に行います。

第一に、通帳と印鑑を引き渡します。

第二に、複数人で立ち会います。

第三に、引き渡した日付と内容を記録します。

第四に、名義や届出の変更を確認します。

手続きに、時間がかかる場合があります。

第五に、残高を双方で確認します。

記録がないと、後で疑いが生じます。

疑われないための手続きでもあります。

金融機関での手続きは、事前に確認しておきましょう。

鍵と物の引き継ぎ

鍵も、忘れやすい項目です。

第一に、何の鍵が何本あるかを数えます。

第二に、誰が持っているかを記録します。

第三に、返却された本数を確認します。

第四に、返らない鍵があれば対応を決めます。

第五に、備品の所在も確認します。

会員の自宅に置いたままの物が、あります。

一覧がないと、そのまま行方不明になります。

引き継ぎの機会に、棚卸しをしましょう。

電子の入り口を渡す

近年、いちばん問題になる部分です。

第一に、ウェブサイトの管理の入り口です。

第二に、団体の電子メールです。

第三に、書類の保存先です。

第四に、交流の場の管理です。

第五に、各種の登録の窓口です。

個人の名前で登録していると、渡せません。

団体の電子メールで登録し直しましょう。

引き継ぎの前に、これを済ませておきます。

辞めた後に頼むのは、避けたい状況です。

外部との関係をつなぐ

人の関係も、引き継ぎの対象です。

第一に、行政の担当課です。

第二に、中間支援組織です。

第三に、連携する他団体です。

第四に、専門家です。

第五に、日常的に関わる取引先です。

一覧を渡すだけでは、足りません。

一度は、一緒に会いに行きましょう。

顔を合わせておくと、その後が違います。

相手にとっても、安心の材料になります。

進行中の案件を洗い出す

引き継ぎで抜けやすいのが、途中のものです。

第一に、申請中の案件です。

第二に、返事を待っている案件です。

第三に、支払いの予定です。

第四に、約束した提出物です。

第五に、返事をしていない問い合わせです。

一覧にして、状況を書き添えます。

いつまでに何をするかも、書きましょう。

完了したものより、途中のものが危険です。

見えないまま止まり、期限を過ぎます。

重ねる期間を作る

引き継ぎには、重なる期間が要ります。

第一に、1か月から3か月が目安です。

第二に、一度は一緒に作業をします。

説明を聞くだけでは、身につきません。

第三に、年に一度の作業は特に注意します。

重なる期間に、その月が来ないためです。

第四に、そういう作業は書面を厚くします。

第五に、辞めた後も一度は聞ける形にします。

完全に切れると、詰まったときに止まります。

無理のない範囲で、関係を残しましょう。

理事長が交代する場合

理事長の交代は、手続きも伴います。

第一に、総会または理事会での選任です。

定款の定めに、従います。

第二に、登記が必要になります。

代表権のある理事は、登記事項です。

第三に、所轄庁への届出も生じます。

第四に、口座の名義の変更が必要です。

第五に、各種の契約の名義も確認します。

登記の手続きは、司法書士が取り扱う業務です。

期限があるため、早めに動きましょう。

引き継ぎの記録を残す

引き継ぎ自体も、記録します。

第一に、日付を書きます。

第二に、渡した人と受けた人を書きます。

第三に、渡したものを一覧にします。

第四に、双方が署名します。

第五に、控えを団体で保管します。

形式ばって見えるかもしれません。

しかし、後で必ず役に立ちます。

何を受け取ったかが、はっきりするためです。

お互いを守る記録になります。

急に辞める場合

準備なく辞める事態も、起こります。

体調や、家庭の事情です。

第一に、責めないでください。

第二に、分かる範囲で聞き取ります。

第三に、書類の場所を最優先で確認します。

第四に、口座と鍵を確保します。

第五に、外部への連絡先を切り替えます。

完全な引き継ぎは、諦めます。

止まらないことを、優先しましょう。

この経験を、次の備えに変えることです。

一人に集中させない

根本の対策は、集中させないことです。

第一に、担当を複数にします。

第二に、副担当を置きます。

第三に、作業を分けます。

記録、お金、対外の窓口を分ける形です。

第四に、定期的に交代します。

第五に、手順を共有の場所に置きます。

効率は、少し落ちます。

しかし、続く組織になります。

一人に頼る運営は、その人が去った日に終わります。

引き継ぎを毎年の作業にする

引き継ぎを、特別な作業にしないことです。

第一に、年に一度、手順の紙を更新します。

第二に、書類の置き場所の一覧も見直します。

第三に、鍵と備品の棚卸しをします。

第四に、電子の入り口の一覧を確かめます。

第五に、外部の連絡先を更新します。

総会の後など、時期を決めましょう。

毎年やっていれば、いつ誰が辞めても困りません。

引き継ぎの準備が、そのまま運営の整理になります。

書類の置き場所を一覧にする

書類は、あることより探せることが大切です。

第一に、何がどこにあるかを一覧にします。

第二に、定款と規程の原本の場所を書きます。

第三に、議事録の綴りの場所を書きます。

第四に、提出書類の控えの場所を書きます。

第五に、契約書と保険の証券の場所を書きます。

棚や箱に、番号を振る方法も有効です。

一覧と現物が、対応する形にします。

電子の書類も、同じ一覧に含めましょう。

紙と電子が分かれていると、片方が忘れられます。

会計の担当が替わる場合

お金を扱う担当の交代は、特に慎重に行います。

第一に、通帳と印鑑を別の人が持つ形にします。

第二に、記帳の方法を書面で残します。

第三に、領収書の綴り方を伝えます。

第四に、支払いの手順と承認の流れを確認します。

第五に、監事にも交代を伝えます。

引き継ぎの時点の残高を、双方で確認しましょう。

会計の具体的な処理や税務の取扱いは、専門家に相談してください。

手続きを踏むことが、双方を守ります。

引き継ぎで起きやすい失敗

よくある失敗も、知っておきましょう。

第一に、口頭だけで済ませることです。

第二に、期限のある作業を伝え忘れることです。

第三に、電子の入り口が個人の名前のままです。

第四に、途中の案件を渡し忘れることです。

第五に、鍵の本数を数えないことです。

第六に、記録を残さないことです。

いずれも、後から取り返すのが大変です。

一覧に沿って、順に確認しましょう。

紙があれば、抜けは大きく減ります。

事務の引き継ぎのまとめ

引き継ぎは、辞めると決まってからでは遅すぎます。

平時から、年間の手順と書類の置き場所の一覧を作りましょう。

口座・鍵・電子の入り口の3つは、特に確実に引き渡します。

電子の登録は、個人の名前ではなく団体の電子メールにしておきます。

外部の関係は、一覧を渡すだけでなく一度は一緒に会いに行きます。

進行中の案件と、未処理のものを必ず洗い出してください。

重なる期間は、1か月から3か月を目安にします。

理事長の交代なら、登記と届出の期限も確認しましょう。

引き継ぎの記録に日付と渡したものを書き、双方が署名します。

書類は、あることより探せることが大切です。一覧と現物を対応させましょう。

お金の担当の交代では、引き継ぎ時点の残高を双方で確認します。

根本の対策は、担当を複数にして一人に集中させないことです。

よくある質問

Q. 引き継ぎはいつから始める?

A. 辞めると決まってからでは遅すぎます。平時から年間の手順を書いた紙と、書類の置き場所の一覧を作っておいてください。

Q. 何を渡せばいい?

A. 年間の手順、書類と置き場所の一覧、口座、鍵、電子の入り口、外部の連絡先、進行中の案件の一覧です。渡した日付と内容を記録し、双方が署名しましょう。

Q. 電子の管理が渡せない

A. 個人の名前で登録していると起こります。団体の電子メールで登録し直しておきましょう。辞めた後に頼むのは避けたい状況です。

Q. 重なる期間はどれくらい?

A. 1か月から3か月が目安です。一度は一緒に作業してください。年に一度しかない作業は重なる期間に来ないため、書面を厚めにしておきます。

Q. 理事長が交代するときは?

A. 定款に従って選任し、代表権のある理事は登記が必要です。所轄庁への届出、口座の名義変更、契約の名義も確認します。登記の手続きは司法書士が取り扱う業務です。

Q. 急に辞められたら?

A. 完全な引き継ぎは諦め、止まらないことを優先します。書類の場所を最優先で確認し、口座と鍵を確保し、外部への連絡先を切り替えてください。

Q. 根本の対策は?

A. 一人に集中させないことです。担当を複数にし、副担当を置き、記録・お金・対外の窓口を分けます。効率は少し落ちますが、続く組織になります。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

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