NPO法人の名称を変更するには、定款変更の認証が必要です。
総会の議決を経て、所轄庁の認証を受けます。
そのあとに、登記と各所への届出が続きます。
この記事では、名称変更の手順と後始末を解説します。
名称変更は認証が必要
定款変更には、届出で足りるものと認証が必要なものがあります。
名称の変更は、認証が必要な側です。
事務所の所在地の変更などは、届出で足ります。
この違いを、最初に押さえておきましょう。
認証が必要ということは、審査を受けるということです。
数か月の時間がかかります。
思い立ってすぐ変えられるものではありません。
記念の年に合わせたいなら、逆算して動きます。
半年程度の余裕を、みておきましょう。
新しい名称を決める
名称には、いくつかのルールがあります。
第一に、特定非営利活動法人という文字を含めます。
前に付けるか、後ろに付けるかは自由です。
第二に、他の法人と紛らわしい名称は避けます。
同一の所在地に同一の名称は、登記できません。
第三に、法令で使えない文字があります。
使える符号は、限られています。
第四に、実態と合っているかを考えます。
活動の内容とかけ離れた名称は、説明が難しくなります。
検索したときに、他団体と混ざらないかも見ておきましょう。
| 段階 | やること | 期限・目安 |
|---|---|---|
| 1 | 理事会で議案を確認 | 総会の前 |
| 2 | 社員総会で定款変更を議決 | 定款の特別の多数 |
| 3 | 所轄庁へ定款変更の認証申請 | 議決後すみやかに |
| 4 | 縦覧と審査 | 数か月 |
| 5 | 認証書の交付 | — |
| 6 | 変更登記 | 認証書の到達から2週間以内 |
| 7 | 所轄庁へ登記完了の届出 | 登記後すみやかに |
総会の議決
定款変更は、社員総会の議決によります。
通常の議決より、多数の賛成が必要です。
社員総数の2分の1以上が出席し、その4分の3以上の賛成が原則です。
定款で別に定めている場合は、それによります。
議案は、招集の通知にあらかじめ記載します。
当日に動議で出すことは、できません。
新旧の対照表を作ると、議論がしやすくなります。
議事録には、賛否の数を正確に書きます。
認証申請の添付書類になるためです。
認証の申請
議決したら、所轄庁へ認証を申請します。
定款変更認証申請書に、書類を添えます。
総会の議事録の謄本が、中心になります。
変更後の定款も、提出します。
所轄庁によって、様式や部数が違います。
事前に相談しておくと、補正が減ります。
申請が受理されると、縦覧の手続きに入ります。
設立のときと同じく、書類が公開されます。
審査を経て、認証されるかどうかが決まります。
認証前に公表しない
よくある失敗が、認証の前に新名称を公表することです。
認証されなければ、名称は変わりません。
先に印刷物を作ってしまうと、無駄になります。
ウェブサイトを書き換えるのも、認証後にします。
会員には、変更を予定している旨を伝える程度にとどめます。
認証書を受け取ってから、周知を始めましょう。
登記が完了して、はじめて対外的に確定します。
取引先への通知も、その順番です。
慌てると、二度手間になります。
- 新しい名称の候補を複数用意する
- 同一の所在地に同名の法人がないか調べる
- 理事会で議案を確認する
- 総会の招集通知に議案を記載する
- 総会で定款変更を議決する
- 所轄庁へ認証を申請する
- 認証書の到達から2週間以内に登記する
- 所轄庁へ登記完了の届出を出す
- 金融機関の名義を変更する
- 印鑑を作り直す
- 契約先と許認可の名義を一覧にして順に変更する
- ウェブサイト・名刺・封筒・看板の表記を直す
- 旧名称からの案内をウェブサイトに残す
登記と届出
認証書を受け取ったら、登記に進みます。
期限は、認証書の到達の日から2週間以内です。
短い期限なので、書類は先に準備しておきます。
登記が完了したら、所轄庁へ届出を出します。
登記事項証明書を、添えて提出します。
登記を怠ると、代表者個人に過料が科されることがあります。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
自分たちで行うか依頼するかを、早めに決めましょう。
認証を待つ間に、段取りを整えておきます。
印鑑と口座の変更
名称が変われば、印鑑も作り直します。
法人実印、銀行印、角印のすべてが対象です。
登記の申請には、新しい印鑑が必要になります。
早めに発注しておきましょう。
金融機関の口座も、名義を変更します。
登記事項証明書と、新しい印鑑が要ります。
振込先を案内している場合は、周知が必要です。
旧名称あての振込が、しばらく続きます。
金融機関に、扱いを確認しておきましょう。
契約と許認可の名義
名称は、多くの契約に書かれています。
事務所の賃貸借契約が、その代表です。
委託や補助を受けているなら、行政の担当課に連絡します。
保険の契約者名義も、変更が必要です。
許認可を受けている事業があれば、その手続きもあります。
通信、公共料金、リースの契約も、確認します。
一覧を作って、順に消していきましょう。
見落とすと、後日の手続きで困ることになります。
登記事項証明書は、複数枚取っておくと効率的です。
広報物とウェブサイト
名称は、外に見える場所すべてに書かれています。
第一に、ウェブサイトです。
トップだけでなく、各ページの表記も直します。
第二に、パンフレットや名刺です。
在庫を、どう扱うかも決めます。
第三に、封筒とゴム印です。
第四に、看板と表札です。
第五に、電子メールの署名です。
第六に、地図サービスや各種の登録情報です。
費用がかかるため、予算に計上しておきましょう。
旧名称からのつながりを保つ
名称が変わると、これまでの認知が途切れます。
検索で見つけてもらえなくなる恐れがあります。
そこで、旧名称との関係を示しておきます。
ウェブサイトに、変更のお知らせを残しましょう。
旧名称でも検索で見つかる状態を、しばらく保ちます。
会員や支援者には、個別に案内を出します。
変更の理由も、簡潔に説明しておきましょう。
説明がないと、別の団体だと思われます。
実績の継続性を、意識して伝えてください。
変更しないという判断
名称の変更には、相応の手間と費用がかかります。
認証に数か月、その後の後始末に数か月です。
印刷物の作り直しや、印鑑の費用も生じます。
これに見合う理由があるかを、考えましょう。
活動の内容が大きく変わった場合は、理由になります。
略称が実態と合っていない場合も、同じです。
一方、単に古く感じるという理由なら、再考の余地があります。
通称やロゴを変えるだけで、印象は変えられます。
定款の名称は残したまま、通称を使う方法もあります。
略称とロゴの扱い
正式な名称と、日ごろ使う呼び名は別にできます。
略称やロゴは、定款に書く必要がありません。
そのため、変更に手続きは要りません。
対外的な印象を変えたいだけなら、こちらで足ります。
名刺やウェブサイトで、略称を前に出す方法もあります。
ただし、契約書には正式な名称を使います。
請求書や領収書も、正式な名称が原則です。
略称だけで通していると、書類の場面で困ります。
併記する形にしておくと、両立できます。
まず略称で試してから、正式な変更を考えてもよいでしょう。
会員への説明
名称の変更は、会員にとっても大きな出来事です。
総会の議案として出す前に、説明の機会を作りましょう。
変更の理由を、具体的に伝えます。
活動の広がりに合わなくなった、といった説明です。
候補を複数示して、意見を聞く方法もあります。
決まってから知らされると、疎外感が生まれます。
長く関わってきた人ほど、思い入れがあります。
費用がかかることも、あわせて説明します。
納得を得たうえで議決するのが、いちばん円滑です。
変更の時期を選ぶ
名称の変更は、時期を選べます。
通常総会に合わせるのが、いちばん効率的です。
臨時総会を開く手間が、省けます。
一方、決算と重なるため事務は集中します。
事業年度の始めに合わせる考え方も、あります。
書類の名義が、年度の途中で変わらずに済みます。
助成事業の途中は、避けたほうが無難です。
報告書の名義と、実態が食い違うためです。
認証に数か月かかることも、計算に入れます。
議決の時期から、逆算して考えましょう。
目的や事業も変えるなら
名称だけを変える団体は、実は多くありません。
活動の広がりに合わせて、目的や事業も見直す場面が普通です。
目的と事業の変更も、認証が必要です。
同じ総会でまとめて議決すれば、認証は一度で済みます。
別々に進めると、認証を二度受けることになります。
数か月が二回分かかるため、まとめるのが得策です。
ただし、議案が増えると説明の時間も要ります。
新旧の対照表を作り、事前に会員へ配りましょう。
事業を追加する場合は、20分野への該当も確認します。
事前相談で、あわせて見てもらってください。
名称変更のまとめ
名称の変更は、認証が必要な定款変更です。
総会の議決、所轄庁の認証、登記の3段階で進みます。
認証に数か月かかるため、半年程度をみておきましょう。
認証の前に、新名称を公表しないでください。
登記は、認証書の到達から2週間以内です。
印鑑の作り直しと、口座や契約の名義変更が続きます。
旧名称からのつながりを、意識して残しましょう。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
目的や事業も見直すなら、同じ総会でまとめて議決しましょう。
認証を二度受ける手間が省け、数か月分の時間を節約できます。
印象を変えたいだけなら、略称やロゴの変更で足りる場合もあります。
略称の変更に手続きは要りませんが、契約書には正式な名称を使います。
よくある質問
A. いいえ。名称の変更は、所轄庁の認証が必要な定款変更です。事務所の所在地の変更などは届出で足りますが、名称は審査を受けることになります。目的や事業も変えるなら、同じ総会でまとめて議決すると認証が一度で済みます。
A. 認証だけで数か月かかります。その後の登記と各所への届出を含めると、半年程度をみておくと現実的です。
A. 特定非営利活動法人という文字を含めます。同一の所在地に同一の名称は登記できず、使える符号も限られています。実態と合っているかも考えてください。
A. 認証を受け、登記が完了してからです。認証の前に公表すると、認証されなかった場合に二度手間になります。印刷物の発注も認証後にしてください。
A. 作り直します。法人実印、銀行印、角印のすべてが対象です。登記の申請に新しい印鑑が必要なので、早めに発注しておきましょう。金融機関の口座も、登記事項証明書と新しい印鑑で名義を変更します。
A. 対策できます。ウェブサイトに変更のお知らせを残し、旧名称でも見つかる状態をしばらく保ちましょう。会員や支援者には個別に案内を出し、実績が続いていることを伝えてください。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
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