NPO法人にとって、寄付は最も自由に使えるお金です。
助成金や委託と違い、使途が縛られません。
一方、集めるには継続した働きかけが要ります。
この記事では、寄付を集める仕組みの作り方を解説します。
寄付というお金の性格
団体に入るお金には、いくつも種類があります。
会費、寄付、助成金、委託費、事業収入です。
このうち、寄付は最も自由に使えます。
使途を指定しない一般寄付なら、なおさらです。
事務所の家賃や、人件費にも充てられます。
助成金は、対象になる経費が決まっています。
委託費は、仕様どおりの事業にしか使えません。
だからこそ、寄付は団体の土台になります。
割合を増やすことが、経営の安定につながります。
会費と寄付を区別する
実務でいちばん重要なのが、この区別です。
会費は、会員という地位に対して納めるものです。
寄付は、見返りを求めない任意の支援です。
同じ人が、両方を出すこともあります。
受け取るときに、どちらかをはっきりさせましょう。
振込の名目を、分けてもらう方法もあります。
口座を分ける団体も、あります。
区別があいまいだと、記録が使えなくなります。
将来の認定を目指すなら、致命的です。
| お金の種類 | 使途の自由度 | 見返り |
|---|---|---|
| 一般寄付 | 高い | なし |
| 使途指定寄付 | 指定の範囲 | なし |
| 会費 | 高い | 会員としての地位 |
| 助成金 | 対象経費に限る | なし(報告義務あり) |
| 委託費 | 仕様の範囲 | 事業の実施 |
| 事業収入 | 高い | 商品やサービス |
記録を残す仕組み
寄付を受けたら、必ず記録します。
氏名、金額、日付の三つが基本です。
住所と連絡先も、可能なら残します。
表計算のファイルで、十分に管理できます。
この記録がないと、あとから証明できません。
認定を目指すなら、この記録が要件に直結します。
年3,000円以上の寄付者が、年平均100人という基準があるためです。
初年度から作っておけば、無駄がありません。
匿名の寄付も、金額と日付は残しましょう。
領収書を出す
寄付を受けたら、領収書を出します。
日付、金額、寄付である旨を書きます。
団体の名称と、代表者名も入れます。
受け取った側が保管できる形にします。
税制上の取扱いは、団体の状況によって異なります。
この点は、税務署または税理士へご確認ください。
領収書の様式を、あらかじめ作っておきましょう。
毎回考えていると、手間になります。
発行の記録も、あわせて残します。
- 会費と寄付を区別する受け取り方
- 寄付者の記録(氏名・金額・日付)
- 領収書の様式
- お礼の連絡の手順
- 寄付を募るページ
- 使いみちの説明
- 個人情報の取扱いの方針
- 報告を届ける方法
- 使途を指定された寄付の管理の方法
- 受け入れない寄付の基準
募るページを作る
寄付を集めるには、まず募る場所が要ります。
ウェブサイトに、専用のページを作りましょう。
第一に、何のために使うかを書きます。
第二に、いくらで何ができるかを示します。
月1,000円で何ができるか、といった書き方です。
第三に、寄付の方法を書きます。
第四に、領収書の発行について書きます。
第五に、これまでの実績を示します。
第六に、問い合わせ先を書きます。
入会のページと同じく、見つけやすい場所に置きます。
使いみちを具体的に示す
寄付が集まらない団体には、共通点があります。
使いみちが、抽象的なことです。
活動のために使いますでは、判断できません。
月1,000円で、子ども一人分の教材が用意できます。
このように、具体的に書きます。
数字があると、想像しやすくなります。
大きな目標より、身近な単位が効きます。
実際に使ったあとは、その報告も出します。
約束したことが果たされたと分かれば、次につながります。
継続寄付という形
一度きりの寄付より、継続が有効です。
月々の少額を、定期的に受ける形です。
団体にとっては、収入の見通しが立ちます。
寄付する側も、負担が軽くなります。
月250円でも、年3,000円に届きます。
認定の絶対値基準にも、そのまま効きます。
口座振替や、電子決済の継続課金を使います。
手数料はかかりますが、事務の手間は減ります。
解約の方法も、分かりやすく示しておきましょう。
お礼と報告を欠かさない
寄付を受けたら、まずお礼を伝えます。
できるだけ早く、連絡しましょう。
定型の文面でも、ないよりはるかに良いものです。
手書きの一言を添える団体も、あります。
次に、活動の報告を届けます。
会報や、電子メールで送ります。
寄付が何に使われたかを、具体的に書きます。
報告がないと、次の寄付にはつながりません。
集めることより、続けてもらうことが難しいのです。
クラウドファンディングという方法
特定の事業のために、公募で集める方法もあります。
期間と目標額を決めて、広く呼びかけます。
新しい支援者に、届きやすいのが利点です。
一方、手数料がかかります。
準備にも、相応の手間が必要です。
写真や文章を、しっかり用意することになります。
目標に届かない場合の扱いも、事前に確認します。
成功しても、そこで終わらせないことが大切です。
支援してくれた人を、継続寄付につなげましょう。
物品や遺贈という形
寄付は、お金だけではありません。
物品の寄付を受けることも、あります。
その場合、受け入れる基準を決めておきましょう。
使わないものが集まると、保管の負担になります。
遺贈という形も、あります。
亡くなったあとに、財産を寄付する仕組みです。
手続きが複雑なため、専門家の関与が必要です。
受け入れる体制が整ってから、案内しましょう。
相談を受けたら、慎重に対応してください。
誰に寄付を頼むか
寄付は、知らない人からは集まりません。
第一に、会員です。
会費とは別に、寄付を呼びかけます。
第二に、活動に参加した人です。
中身を知っている人ほど、応じてくれます。
第三に、ボランティアです。
第四に、過去に寄付をしてくれた人です。
一度出した人が、いちばん近い相手になります。
第五に、地域の事業者です。
関係のある人から順に、声をかけましょう。
頼み方の基本
寄付の依頼には、型があります。
第一に、何に困っているかを具体的に伝えます。
第二に、いくら必要かを示します。
第三に、いくらでどうなるかを説明します。
第四に、いつまでかを伝えます。
期限があると、判断が先送りされません。
第五に、結果を報告することを約束します。
曖昧な呼びかけは、行動につながりません。
お願いしますだけでは、動く理由がないためです。
断られても、関係が壊れるわけではありません。
使途を指定された寄付
使いみちを指定して、寄付を受けることもあります。
この場合、指定された用途にしか使えません。
受け取るときに、条件を確認しましょう。
実施できない事業への指定は、断る判断も必要です。
残額が出た場合の扱いも、決めておきます。
寄付者に確認して、他の用途に充てる形が一般的です。
勝手に流用すると、信用を失います。
記録を分けて管理しましょう。
会計の具体的な処理は、専門家に相談してください。
断るべき寄付もある
すべての寄付を受けるべき、とは限りません。
第一に、団体の目的に反する条件が付く場合です。
第二に、活動の中立性が損なわれる場合です。
第三に、出所に問題がある場合です。
第四に、見返りを求められる場合です。
寄付は、対価のない支援だからです。
第五に、受け入れると管理の負担が過大になる場合です。
断る基準を、あらかじめ決めておきましょう。
理事会で判断する体制にしておくと、断りやすくなります。
寄付を集める前の心構え
寄付集めは、頼み込む作業ではありません。
活動に参加する機会を、差し出す行為です。
この見方を持てるかどうかで、頼み方が変わります。
申し訳なさそうに頼むと、相手も判断しにくくなります。
堂々と、必要性を説明しましょう。
断られることも、当然にあります。
それは、活動を否定されたわけではありません。
時期や事情が合わなかっただけです。
一度断られた相手に、次の機会に声をかけてもかまいません。
関係を切らないことが、いちばん大切です。
寄付を受ける口座と窓口
受け取る手段も、あらかじめ整えておきます。
団体名義の口座があることが、前提です。
代表者の個人口座で受けるのは、避けましょう。
会計の区別がつかず、疑いを招きます。
振込の手数料を、どちらが負担するかも決めます。
電子決済を使えば、少額の寄付が受けやすくなります。
手数料はかかりますが、機会は広がります。
現金で受け取る場合は、その場で領収書を出します。
受け取った人と、記録する人を分けましょう。
一人で完結させない仕組みが、担当者を守ります。
寄付の集め方のまとめ
寄付は、使途の自由度が最も高いお金です。
まず、会費と寄付をはっきり区別してください。
氏名・金額・日付の記録を、初年度から残しましょう。
この記録は、認定を目指すときにそのまま必要になります。
募るページを作り、使いみちを具体的に示します。
月々いくらで何ができるか、という書き方が効きます。
継続寄付の仕組みを作ると、収入の見通しが立ちます。
お礼と報告を欠かさないことが、次につながります。
税制上の取扱いは、税務署または税理士へご確認ください。
頼むときは、いくら必要でいくらでどうなるかを具体的に示します。
期限を伝えると、判断が先送りされにくくなります。
使途を指定された寄付は、指定の範囲でしか使えません。
目的に反する条件が付く寄付は、断る判断も必要です。
断る基準を決め、理事会で判断する体制にしておきましょう。
受け取る口座は団体名義とし、代表者の個人口座は使わないでください。
受け取る人と記録する人を分けることが、担当者を守ります。
よくある質問
A. 会費は会員という地位に対して納めるもの、寄付は見返りを求めない任意の支援です。受け取るときにどちらかをはっきりさせないと、記録が使えなくなります。
A. 寄付者の氏名・金額・日付を記録する仕組みです。あとから作ることはできません。あわせて、領収書の様式も用意しておきましょう。
A. 具体的に書きます。活動のために使いますでは判断できません。月1,000円で子ども一人分の教材が用意できます、といった身近な単位が効きます。
A. 有効です。団体は収入の見通しが立ち、寄付する側も負担が軽くなります。月250円でも年3,000円に届き、認定の絶対値基準にもそのまま効きます。
A. 新しい支援者に届きやすい一方、手数料と準備の手間がかかります。成功で終わらせず、支援してくれた人を継続寄付につなげてください。
A. 出しましょう。日付、金額、寄付である旨、団体名と代表者名を書きます。税制上の取扱いは団体の状況で異なるため、税務署または税理士へご確認ください。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。
📖 参考にした公的機関の情報


