一般社団法人を運営していくうえで、社会保険の扱いは重要なポイントです。
「非営利だから社会保険は関係ない?」と思われがちですが、そんなことはありません。
この記事では、一般社団法人の社会保険の加入義務と手続きを解説します。
一般社団法人も社会保険は強制加入
一般社団法人を含むすべての法人は、社会保険(健康保険・厚生年金)の強制適用事業所です。
これは営利・非営利を問わず、法人であれば適用されます。
報酬を受ける役員が1人でもいれば、原則として社会保険に加入しなければなりません。
『非営利だから免除される』ということはないので注意が必要です。
加入が必要になるケース
社会保険への加入が必要になるのは、主に次のケースです。
- 報酬を支払う役員(常勤理事など)がいる
- 従業員を雇用している
- 一定の労働時間・日数を満たすパートを雇っている
一方、役員が全員無報酬で、従業員もいない団体は、社会保険の加入対象にならない場合があります。
ボランティアベースで運営している小さな団体では、加入義務が生じないこともあります。
自団体が加入対象かどうかは、年金事務所に確認するのが確実です。
労働保険(労災・雇用保険)も必要
従業員を雇う場合は、社会保険に加えて労働保険(労災保険・雇用保険)の手続きも必要です。
労災保険は、従業員を1人でも雇えば原則加入が必要です。
雇用保険は、一定の労働時間を満たす従業員を雇った場合に加入します。
これらは社会保険とは別の手続きになるため、人を雇うときはまとめて確認しておきましょう。
加入手続きの流れ
社会保険の加入手続きは、年金事務所で行います。
法人設立後、加入対象となったら『新規適用届』などを提出します。
労働保険は労働基準監督署とハローワークで手続きします。
これらの手続きは煩雑なため、社会保険労務士に依頼する団体も多くあります。
加入を怠ると後から遡って保険料を求められることもあるため、対象になったら早めに手続きしましょう。
社会保険とは何か
社会保険とは、病気やけが、老後などに備える公的な保険制度です。
主に、健康保険と厚生年金保険を指します。
従業員や役員の生活を支える、大切な仕組みです。
健康保険は、病気やけがの際の医療費を補助する制度です。
厚生年金保険は、老後や障害の際に年金を給付する制度です。
これらに加入すると、本人と法人が保険料を負担します。
社会保険は、一定の要件を満たすと加入が義務になります。
法人の場合、原則として加入が必要です。
「入りたくないから入らない」ということはできません。
まずは、社会保険がどんな制度かを理解しておきましょう。
そのうえで、自分の法人が加入対象かを確認することが大切です。
加入義務を怠ると、後でトラブルになることがあります。
一般社団法人の加入義務
一般社団法人も、社会保険の加入義務があります。
法人は、従業員の人数にかかわらず、社会保険の強制適用事業所になります。
つまり、原則として加入しなければなりません。
これは、報酬を受け取る役員がいる場合も同様です。
代表理事などが報酬を受けていれば、社会保険の対象になります。
従業員がいなくても、加入が必要になることがあるのです。
一方、報酬を受け取る人が誰もいない場合は、加入対象者がいないことになります。
無報酬の役員だけで、従業員もいない場合などです。
この場合は、実質的に加入手続きが不要になることがあります。
自分の法人に、報酬を受け取る役員や従業員がいるかを確認しましょう。
いる場合は、社会保険への加入が必要です。
判断に迷ったら、年金事務所や専門家に確認しましょう。
健康保険と厚生年金の保険料
社会保険の保険料は、報酬の額に応じて決まります。
報酬が高いほど、保険料も高くなる仕組みです。
保険料は、法人と本人が半分ずつ負担します。
これを、労使折半といいます。
法人は、従業員や役員の保険料の半分を負担することになります。
この負担は、法人の運営コストとして見込んでおく必要があります。
保険料は、毎月納付します。
従業員の給料から本人負担分を差し引き、法人負担分と合わせて納めます。
納付を怠ると、督促や延滞金が発生します。
保険料の負担は、決して小さくありません。
人を雇う際は、給料だけでなく社会保険料も考慮しましょう。
資金計画に、保険料の負担を組み込んでおくことが大切です。
加入を怠るとどうなるか
社会保険の加入を怠ると、さまざまな不利益があります。
まず、年金事務所から加入を指導されることがあります。
それでも加入しないと、強制的に加入させられることがあります。
過去にさかのぼって、保険料を請求されることもあります。
未加入の期間分の保険料を、まとめて納めることになる場合があるのです。
これは、大きな負担になります。
また、従業員からの信頼を失うおそれもあります。
社会保険がない職場は、人材の確保にも不利です。
加入義務を果たすことは、法人の責務です。
加入を怠るメリットはありません。
義務がある場合は、きちんと加入しましょう。
適切な対応が、法人と従業員の双方を守ります。
社会保険料の負担を見込んだ運営
社会保険料は、法人にとって大きなコストです。
人を雇う際は、給料に加えて、社会保険料の負担を見込む必要があります。
給料の額面だけで考えると、資金計画が狂うことがあります。
目安として、給料のおよそ15%前後が、法人負担の社会保険料になります。
正確な割合は、保険料率によって変わります。
人件費を考えるときは、この負担を含めて計算しましょう。
役員に報酬を支払う場合も、同様に社会保険料がかかります。
報酬額を決める際は、保険料の負担も考慮することが大切です。
無理のない範囲で、報酬や給料を設定しましょう。
社会保険料を含めた資金計画を立てることが、安定した運営につながります。
コストを正しく見込んで、計画的に運営しましょう。
不安があれば、専門家に相談すると安心です。
労災保険と雇用保険の役割
従業員を雇うと、労働保険への加入が必要になります。
労働保険は、労災保険と雇用保険の二つから成ります。
それぞれ、役割が異なります。
労災保険は、仕事中や通勤中のけが・病気に備える保険です。
従業員を一人でも雇ったら、原則として加入が必要です。
保険料は、全額を法人が負担します。
雇用保険は、失業した際の給付などを行う保険です。
週の労働時間など、一定の要件を満たす従業員が対象です。
保険料は、法人と本人で分担します。
どちらも、従業員の生活を守る大切な制度です。
従業員を雇う場合は、これらの保険への加入を忘れないようにしましょう。
未加入だと、従業員に不利益が生じることがあります。
社会保険の手続きはどこで行うか
社会保険の加入手続きは、年金事務所で行います。
法人を設立したら、速やかに新規適用の届出をします。
提出が遅れないよう、設立後すぐに準備しましょう。
労働保険の手続きは、別の窓口で行います。
労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークが窓口です。
それぞれで、必要な届出を行う必要があります。
手続きには、登記事項証明書などの書類が必要です。
従業員や役員の情報も、あわせて準備します。
必要な書類を、事前に確認しておきましょう。
これらの手続きは、社会保険労務士に依頼できます。
専門家に任せれば、確実に手続きを進められます。
手続きに不安がある場合は、相談を検討しましょう。
役員報酬と社会保険の関係
役員に報酬を支払う場合、社会保険が関わってきます。
報酬を受け取る役員は、原則として社会保険の対象になります。
代表理事などが報酬を受けていれば、加入が必要です。
役員報酬の額に応じて、社会保険料が決まります。
報酬が高いほど、保険料も高くなります。
報酬額を決める際は、保険料の負担も考慮しましょう。
一方、無報酬の役員は、社会保険の対象になりません。
報酬を受け取っていなければ、加入対象者にならないのです。
役員が全員無報酬で、従業員もいなければ、対象者がいないことになります。
役員報酬の設定は、社会保険にも影響します。
報酬と保険料のバランスを考えて、決めることが大切です。
判断に迷ったら、専門家に相談しましょう。
パート・アルバイトの社会保険
パートやアルバイトを雇う場合の社会保険についても知っておきましょう。
短時間労働者でも、一定の要件を満たすと社会保険の対象になります。
労働時間や日数が、判断の基準になります。
目安として、正社員の所定労働時間の4分の3以上働く人は、対象になります。
また、要件を満たせば、それ未満でも対象になる場合があります。
近年、対象となる範囲が広がっています。
雇用保険についても、週の労働時間などの要件があります。
要件を満たすパート・アルバイトは、雇用保険の対象です。
雇う人の働き方に応じて、加入の要否を判断しましょう。
短時間労働者の社会保険は、判断が複雑なこともあります。
迷ったら、年金事務所や社会保険労務士に確認しましょう。
正しい判断で、適切に加入することが大切です。
社会保険を整えるメリット
社会保険をきちんと整えることには、メリットがあります。
まず、従業員が安心して働ける環境になります。
病気やけが、老後への備えがあることは、大きな安心につながります。
また、人材の確保にも有利になります。
社会保険が完備された職場は、求職者にとって魅力的です。
優秀な人材を集めるうえでも、社会保険は重要です。
法令を守っているという、法人の信頼にもつながります。
未加入だと、信頼を損なうおそれがあります。
適切な対応が、団体の評価を高めます。
社会保険料の負担は決して小さくありませんが、その価値があります。
従業員と団体の双方にとって、メリットのある制度です。
義務を果たし、安心して働ける環境を整えましょう。
社会保険料の納付と管理
社会保険料は、毎月納付する必要があります。
従業員の給料から本人負担分を差し引き、法人負担分とあわせて納めます。
納付期限を守ることが大切です。
納付が遅れると、督促や延滞金が発生することがあります。
資金繰りの中で、保険料の納付を確実に行いましょう。
口座振替を利用すると、納め忘れを防げます。
保険料の額は、報酬の変動などに応じて見直されます。
従業員の報酬が変わったときは、手続きが必要なことがあります。
適切な管理で、正しい保険料を納めましょう。
こうした事務は、社会保険労務士に任せることもできます。
事務負担が大きい場合は、専門家の活用を検討しましょう。
確実な納付と管理が、健全な運営につながります。
そのほかのよくある質問
A. 報酬を受け取る役員がいれば加入が必要です。無報酬の役員だけで従業員もいない場合は、対象者がいないため実質的に手続きが不要になることがあります。
A. 報酬額に応じて決まり、法人と本人が折半します。目安として、法人負担分は給料のおよそ15%前後です。人件費を考える際に見込んでおきましょう。
A. 健康保険・厚生年金は年金事務所、労災保険は労働基準監督署、雇用保険はハローワークが窓口です。社会保険労務士に依頼することもできます。
社会保険のまとめ
一般社団法人は、原則として社会保険の強制適用事業所になります。
報酬を受け取る役員や従業員がいれば、健康保険と厚生年金への加入が必要です。
無報酬の役員だけで従業員もいなければ、対象者がいないこともあります。
従業員を雇う場合は、労災保険と雇用保険(労働保険)への加入も必要です。
保険料は、社会保険は労使折半、労災保険は全額法人負担が原則です。
人件費を考えるときは、保険料の負担も見込みましょう。
加入を怠ると、さかのぼっての保険料請求などの不利益があります。
加入義務がある場合は、きちんと手続きを行いましょう。
手続きに不安があれば、社会保険労務士などの専門家に相談するのが確実です。
よくある質問
A. はい。法人は営利・非営利を問わず社会保険の強制適用です。報酬を受ける役員がいれば加入が必要です。
A. 役員が全員無報酬で従業員もいなければ、加入対象にならない場合があります。年金事務所に確認しましょう。
A. 社会保険に加えて労働保険(労災・雇用保険)の手続きも必要になります。
A. 社会保険は年金事務所、労働保険は労働基準監督署とハローワークで行います。


