一般社団法人は、設立するだけでなく『やめる(たたむ)』ときにも正式な手続きが必要です。
会社をやめるのと同じく、『解散』と『清算』という2段階の手続きを踏まなければなりません。
この記事では、一般社団法人の解散事由・解散から清算までの流れ・かかる費用を、わかりやすく解説します。
一般社団法人の解散事由
一般社団法人は、次のような事由が生じたときに解散します。
- 社員総会の決議(特別決議)による解散
- 定款で定めた存続期間の満了
- 定款で定めた解散事由の発生
- 社員が欠けた(社員がゼロになった)とき
- 合併・破産手続開始の決定
- 裁判所の解散命令
- 休眠法人のみなし解散(一定期間登記がない場合)
最も多いのは社員総会の特別決議による解散です。
総社員の半数以上が出席し、議決権の3分の2以上の賛成で解散を決議できます。
また、社員が1人もいなくなると自動的に解散事由になる点も、一般社団法人ならではの注意点です。
解散から清算までの流れ
- 社員総会で解散を決議し、清算人を選任する
- 解散と清算人就任の登記を行う(2週間以内)
- 債権者に対する公告・催告を行う(2か月以上)
- 財産を換価し、債権の取立て・債務の弁済を行う
- 残余財産を定款の定めに従って引き渡す
- 決算報告を作成し社員総会で承認を受ける
- 清算結了の登記を行う
ポイントは債権者保護のための公告に2か月以上かかることです。
そのため、解散を決めてから清算結了まで、最低でも2〜3か月程度の期間が必要になります。
残余財産は、非営利型の場合は定款の定めにより国や公益法人などへ引き渡すことになるのが一般的です。
解散・清算にかかる費用
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 解散・清算人選任の登記 | 3万9,000円 |
| 清算結了の登記 | 2,000円 |
| 官報公告 | 約4万円 |
| 合計の目安 | 約8万円〜 |
登記費用と官報公告費を合わせて、約8万円程度が目安です。
専門家に依頼する場合は別途報酬がかかります。
設立より手続きが煩雑なことも多いため、計画的に進めることが大切です。
解散・清算でよくある失敗
一般社団法人の解散・清算では、知識不足による失敗が少なくありません。
よくあるのが『解散すれば終わり』と思い込み、清算手続きを放置してしまうケースです。
解散登記をしただけでは法人格は残り続け、その間も法人住民税の均等割や決算申告の義務が発生します。
気づかないうちに税金の未納が積み上がり、後から慌てるパターンが典型的です。
また、債権者保護のための公告を省略すると、清算結了の登記が受理されません。
2か月以上の公告期間は法律上の必須要件のため、スケジュールに必ず組み込んでおきましょう。
休眠という選択肢もある
「いったん活動を止めたいが、将来再開するかもしれない」という場合は、解散せずに『休眠』させる方法もあります。
休眠中も均等割はかかりますが、自治体に申告すれば均等割が免除される場合もあります。
ただし、登記を12年間放置するとみなし解散の対象になるため、役員の任期(2年)ごとの変更登記は続ける必要があります。
解散すべきか休眠で様子を見るかは、再開の可能性とコストを比べて判断するとよいでしょう。
解散と清算の違いを理解する
一般社団法人をやめるとき、よく混同されるのが『解散』と『清算』という2つの言葉です。
この2つは別の手続きで、順番に行う必要があります。
解散とは、法人が事業活動をやめることを決め、その状態に入ることをいいます。
しかし、解散しただけでは法人は消滅しません。
解散後、財産や債務を整理する手続きが『清算』です。
清算では、残っている財産を換価し、債務を支払い、残った財産を引き渡します。
そして、清算がすべて終わると『清算結了』となり、ここで初めて法人が消滅します。
つまり、『解散→清算→清算結了』という流れを経て、ようやく法人が完全になくなるのです。
解散の主な事由
一般社団法人が解散するきっかけ(解散事由)には、いくつかの種類があります。
最も多いのが、社員総会の特別決議による解散です。
総社員の半数以上が出席し、議決権の3分の2以上が賛成すれば、解散を決議できます。
また、定款で定めた存続期間が満了したときや、定款で定めた解散事由が発生したときも解散します。
さらに、社員が1人もいなくなった(社員が欠けた)ときも解散事由になります。
これは、一般社団法人が人の集まりを基礎とする法人だからです。
このほか、合併、破産手続開始の決定、裁判所の解散命令などでも解散します。
また、長期間登記がない法人は、みなし解散として職権で解散させられることもあります。
清算人とは
解散すると、それまでの理事に代わって『清算人』が清算手続きを行います。
清算人は、解散時の理事がそのまま就任するのが一般的ですが、社員総会で別の人を選ぶこともできます。
清算人の主な役割は、現務の結了、債権の取立てと債務の弁済、残余財産の引き渡しです。
つまり、法人を整理して終わらせるための実務を担う人です。
清算人を選んだら、解散の登記とあわせて清算人就任の登記を行います。
この登記は、解散後2週間以内に行う必要があります。
清算人は、清算が結了するまで法人の整理を進める責任を負います。
清算中の法人は『清算法人』と呼ばれ、清算の目的の範囲内でのみ存続します。
解散から清算結了までの流れ
解散から清算結了までは、決められた手順で進みます。
まず社員総会で解散を決議し、清算人を選任します。
次に、解散と清算人就任の登記を行います。
そして、債権者に対して『債権を申し出てください』という公告を行い、知れている債権者には個別に催告します。
この債権者保護の公告期間は、2か月以上設けなければなりません。
その間に、財産を換価し、債権を取り立て、債務を弁済します。
残った財産(残余財産)は、定款の定めに従って引き渡します。
最後に、決算報告を作成して社員総会の承認を受け、清算結了の登記を行って手続きが完了します。
解散・清算にかかる費用と期間
解散・清算には、費用と時間がかかります。
費用面では、解散および清算人選任の登記に3万9,000円、清算結了の登記に2,000円の登録免許税がかかります。
さらに、債権者保護のための官報公告に約4万円かかります。
これらを合わせると、登記と公告だけで約8万円程度が目安です。
期間については、債権者保護の公告に2か月以上かかるため、解散を決めてから清算結了まで最低でも2〜3か月程度を要します。
専門家に依頼する場合は、別途報酬がかかります。
設立より手続きが煩雑なことも多いため、計画的に進めることが大切です。
なお、清算が結了するまでは法人格が残るため、その間も均等割などの税金や申告義務が続く点に注意が必要です。
残余財産の引き渡し先
清算手続きで残った財産(残余財産)は、勝手に処分できるわけではありません。
残余財産の引き渡し先は、定款の定めに従って決まります。
特に、非営利型の一般社団法人では、解散時の残余財産を国・地方公共団体や公益法人などに帰属させる定めを置いているのが一般的です。
これは、非営利型の要件の一つだからです。
定款に残余財産の帰属先の定めがない場合は、社員総会の決議で定めるか、最終的には国庫に帰属することになります。
つまり、非営利型の団体では、残った財産を社員で分け合うことはできません。
これは、利益の分配を禁止する非営利法人の性格を、解散時にも貫くためのルールです。
解散を考える際は、残余財産がどこへ行くのかも確認しておきましょう。
解散せず休眠させる選択肢
活動を一時的に止めたいだけで、将来再開する可能性がある場合は、解散せずに『休眠』させる方法もあります。
休眠とは、法人を残したまま活動を停止する状態のことです。
ただし、休眠中も法人住民税の均等割はかかります。
自治体に休眠の届出をすれば、均等割が免除される場合もあるため、相談してみるとよいでしょう。
注意したいのは、休眠中も登記の管理は必要だという点です。
理事の任期は2年なので、休眠中でも役員変更登記を続けないと、12年でみなし解散の対象になります。
再開の見込みがあるなら休眠、見込みがないなら解散・清算、というのが基本的な判断です。
どちらが適しているかは、再開の可能性と維持コストを比べて決めましょう。
解散・清算を専門家に依頼する場合
解散・清算の手続きは、自分で行うこともできますが、専門家に依頼する選択肢もあります。
登記手続きは司法書士、税務面は税理士が専門家です。
特に、債権・債務が複雑な場合や、財産が多い場合は、専門家に任せたほうが確実です。
清算結了までには複数の登記や公告、税務申告が必要になるため、慣れていないと手間取ることがあります。
一方、債権・債務がほとんどなく、財産もシンプルな小規模団体なら、自分で手続きを進めることも可能です。
費用を抑えたいなら自分で、確実性を重視するなら専門家に、と状況に応じて判断しましょう。
いずれにせよ、清算が終わるまで税金や申告義務が続くため、早めに清算を結了させることが重要です。
だらだらと清算を引き延ばすと、その間の維持コストがかさんでしまいます。
解散を決める前に検討すべきこと
解散は法人を消滅させる重大な決断です。
決める前に、いくつか検討しておきたいことがあります。
まず、本当に解散が最善かどうかです。
一時的に活動を止めたいだけなら、休眠という選択肢もあります。
次に、解散・清算にかかる費用と手間を、休眠を続けた場合の維持コストと比べることです。
短期間で再開する見込みがあるなら休眠、見込みがないなら解散が合理的です。
また、残余財産がどこへ行くのか、債務がきちんと清算できるのかも確認しておきましょう。
これらを総合的に検討したうえで、解散するかどうかを判断することが大切です。
清算結了後にやるべきこと
清算結了の登記が完了すると、法人は法的に消滅します。
しかし、それで完全に手続きが終わるわけではありません。
清算結了後にも、いくつかやるべきことがあります。
まず、税務署や都道府県・市町村に対して、法人がなくなったことを届け出る必要があります。
これにより、法人住民税の均等割などの課税が止まります。
また、清算確定申告という最後の税務申告も必要になります。
清算中に生じた所得があれば、これを申告して納税します。
これらの後始末まで終えて、ようやく法人に関するすべての手続きが完了します。
清算結了の登記をして満足してしまい、税務署への届出を忘れるケースがあるため注意しましょう。
解散・清算に関するまとめ
一般社団法人をやめるには、解散と清算という2段階の手続きが必要です。
解散しただけでは法人は消えず、清算を経て清算結了の登記をして初めて消滅します。
債権者保護の公告に2か月以上かかるため、全体で2〜3か月、費用は約8万円が目安です。
非営利型では、残った財産を社員で分けることはできず、国や公益法人などに引き渡します。
清算が終わるまで税金や申告義務が続くため、計画的に、できるだけ早く清算を結了させることが大切です。
一時的に活動を止めるだけなら、休眠という選択肢もあります。
解散か休眠かは、再開の可能性と維持コストを比べて判断しましょう。
手続きが複雑な場合は、司法書士や税理士などの専門家に相談すると安心です。
よくある質問
A. 清算結了までは法人格が残るため、その間も均等割などの税金や申告義務が続きます。早めに清算を結了させることが大切です。
A. 社員が『欠けた(ゼロになった)』ときが解散事由です。1人でも社員がいれば解散事由にはなりませんが、設立時は2名以上が必要です。
A. 活動を止めて休眠状態にすることは可能ですが、均等割は毎年かかります。また長期間登記がないとみなし解散になることがあります。
そのほかのよくある質問
A. 消えません。解散後に清算を行い、清算結了の登記をして初めて法人が消滅します。
A. 登記費用と官報公告費を合わせて約8万円が目安です。専門家に頼む場合は別途報酬がかかります。
A. 債権者保護の公告に2か月以上かかるため、全体で2〜3か月程度が目安です。
A. 非営利型では分けられません。定款の定めに従い、国や公益法人などに帰属させるのが一般的です。
まとめ
一般社団法人をやめるには『解散』と『清算』の2段階の手続きが必要です。
解散しただけでは法人は消えず、清算結了の登記まで終えて初めて消滅します。
債権者保護の公告に2か月以上かかるため、全体で2〜3か月、費用は約8万円が目安です。
清算が終わるまで税金や申告義務は続くので、計画的に進めましょう。


