NPO法人と利用者の関係|会員と分けて整理する

一般社団法人法
サービスを受ける人との関係。会員とは、まったく別の相手です。

NPO法人には、会員とは別に利用者がいます。

講座に参加する人、支援を受ける人などです。

この関係を整理していない団体が、多くあります。

この記事では、利用者との関係の作り方を解説します。

POINT 結論:利用者は、会員とは別の相手です。議決権もなく、団体を支える立場でもありません。申込の方法、参加の条件、費用、個人情報の扱いを、書面で示しておいてください。この整理がないと、事故や苦情が起きたときに拠り所がなくなります。

会員と利用者は違う

まず、二つを分けて考えます。

会員は、団体を支える立場です。

会費を納め、正会員なら議決権も持ちます。

利用者は、サービスを受ける立場です。

議決権はなく、会費も納めません。

同じ人が、両方であることもあります。

会員が、講座に参加する場合です。

その場合も、立場は分けて扱います。

混同すると、権利の範囲が曖昧になります。

利用者を会員にしない

利用者を、自動的に会員にする団体があります。

参加すれば会員、という扱いです。

これは、避けたほうが無難です。

本人の意思が、確認されていないためです。

会費が発生するなら、なおさらです。

社員として数えると、総会の招集も必要になります。

定足数の計算にも、影響します。

入会は、申込に基づく形にしましょう。

案内は出しても、自動では入れません。

立場 議決権 費用 主な書面
正会員 あり 会費 入会申込書
賛助会員 なし 会費 入会申込書
利用者 なし 参加費など 申込書・利用の案内
ボランティア なし なし(謝金の場合も) 登録票・守秘の約束
見学者 なし なし 受付の記録

申込の方法を決める

利用者を受け入れる手順を、決めておきます。

第一に、申込の方法です。

電話、電子メール、申込書のどれかです。

第二に、受付の期間と定員です。

第三に、参加の条件です。

年齢や、居住の地域を定める場合があります。

第四に、費用の有無と支払いの方法です。

第五に、キャンセルの扱いです。

決めておかないと、その都度もめます。

利用の案内を書面にする

口頭だけの説明は、必ず食い違います。

案内を、書面で渡しましょう。

第一に、活動の内容と時間です。

第二に、持ち物と服装です。

第三に、費用と支払いの方法です。

第四に、中止の基準と連絡の方法です。

第五に、けがや事故が起きたときの対応です。

第六に、写真の撮影と掲載の可否です。

第七に、個人情報の取扱いです。

A4で1枚あれば、十分です。

利用の案内に書く項目

  • 活動の内容と時間
  • 対象と定員
  • 持ち物と服装
  • 費用と支払いの方法
  • キャンセルの扱い
  • 中止の基準と連絡の方法
  • けがや事故が起きたときの対応
  • 写真の撮影と掲載の可否
  • 個人情報の取扱い
  • 問い合わせ先
  • 申込を受け付けたことの返事
  • 見学や体験の受け入れ

参加費という考え方

利用者から、費用を受け取ることがあります。

参加費や、実費という名目です。

非営利であることと、費用を取ることは矛盾しません。

利益を分配しないことが、非営利の意味だからです。

額は、実施にかかる費用を基準に考えます。

材料費、会場費、資料の費用などです。

領収書は、必ず出しましょう。

減免の仕組みを、設ける団体もあります。

税務上の取扱いは、税務署または税理士へご確認ください。

個人情報を集めすぎない

申込のときに、情報を集めます。

ただし、必要な範囲にとどめましょう。

氏名と連絡先で足りる場面が、多くあります。

緊急の連絡先は、必要に応じて聞きます。

生年月日や、勤務先まで求める必要は稀です。

集めた情報の使いみちを、明示します。

保管の期間も、決めておきましょう。

終わったら消す、という運用が安全です。

名簿を作る場合は、目的を伝えてから作ります。

事故が起きたときの備え

利用者がけがをする可能性は、常にあります。

第一に、保険の加入を確認します。

参加者を対象とする行事保険もあります。

第二に、緊急連絡先を把握しておきます。

第三に、当日の責任者を決めます。

第四に、救急への連絡の判断を、迷わない形にします。

第五に、記録を残します。

第六に、家族への連絡の手順を決めます。

案内に書いておけば、相手も納得しやすくなります。

備えがあること自体が、信用になります。

断ることもある

すべての申込を、受けられるとは限りません。

定員を超えた場合が、その典型です。

対象の条件に合わない場合も、あります。

過去に問題があった場合も、判断が要ります。

断る基準を、あらかじめ決めておきましょう。

その場で判断すると、不公平が生じます。

断る理由は、丁寧に伝えます。

記録も、残しておきましょう。

差別的な扱いにならないよう、注意してください。

継続的な支援の場合

一度きりの参加と、継続的な支援は違います。

福祉や、学習の支援などが後者です。

この場合、関係が長く続きます。

第一に、支援の内容と範囲を決めます。

第二に、担当を決めます。

第三に、記録を残す仕組みを作ります。

第四に、定期的に見直す機会を設けます。

第五に、終わるときの手順も決めておきます。

関係が深いほど、線引きが難しくなります。

個人の判断に任せない形が、双方を守ります。

職員と利用者の距離

支援の現場では、距離の取り方が問題になります。

親身になることと、私的な関係になることは違います。

個人の連絡先を、教えるかどうかが分かれ目です。

団体としての窓口を、使いましょう。

個人の携帯電話に、直接連絡が来る状態は危ういものです。

担当が代わると、関係が切れます。

本人の負担も、際限なく増えます。

団体の方針として、決めておきましょう。

職員やボランティアを、守ることにもなります。

利用者の声を集める

利用者からの声は、貴重な材料です。

終わったあとに、感想を集めましょう。

用紙を配る方法が、いちばん簡単です。

匿名で出せる形にすると、本音が出ます。

良い声は、報告書や広報に使えます。

本人の許可を得たうえで、載せます。

厳しい声は、改善の材料になります。

集めたら、理事会で共有しましょう。

集めるだけで使わないのが、いちばんもったいない状態です。

利用者を会員へつなぐ

自動で会員にはしませんが、案内はできます。

活動に触れた直後は、関心が高い瞬間です。

入会の案内を、その場で渡しましょう。

会員になると何があるかを、書いておきます。

寄付という選択肢も、示せます。

押しつけがましくする必要は、ありません。

興味があれば、という形で足ります。

継続して来てくれる人には、あらためて声をかけます。

利用者から担い手へ、という道筋を作りましょう。

団体を支える人は、そこから育ちます。

記録を残す

利用者に関する記録も、残しておきます。

第一に、参加した人数と日付です。

第二に、実施した内容です。

第三に、気づいたことや困りごとです。

事業報告書を書くときに、必要になります。

助成金の報告にも、使えます。

継続的な支援なら、経過の記録も要ります。

担当が代わっても、引き継げる形にしましょう。

個人情報を含むため、保管には注意します。

不要になった時期に、決めた方法で処分します。

待たせない仕組み

申込への返事が遅いと、それだけで離れます。

受け付けたら、まず届いた旨を返します。

定型の文面で、十分です。

結果を伝える時期も、あわせて示します。

定員に達した場合の連絡も、忘れないでください。

返事がないまま当日を迎える人が、出てしまいます。

担当を決めて、確認する日を作りましょう。

電子メールなら、受信の確認を毎日行います。

小さな不備が、最も多い苦情の原因です。

仕組みで、防いでください。

無理な要求への線引き

利用者から、行き過ぎた要求が来ることもあります。

対応の時間が、際限なく延びる場合です。

職員やボランティアを、守る必要があります。

対応の基準を、あらかじめ決めておきましょう。

第一に、一人で対応させません。

第二に、時間の目安を決めます。

第三に、記録を取ります。

第四に、責任者へ上げる基準を決めます。

危険を感じたら、警察に相談する選択もあります。

我慢させ続けると、人が辞めていきます。

関係を終わらせるとき

利用者との関係が、終わることもあります。

第一に、事業そのものが終わる場合です。

第二に、本人が来なくなる場合です。

第三に、こちらから断る場合です。

いずれも、伝え方が大切になります。

事業が終わるなら、早めに知らせます。

代わりの選択肢を、示せるとよいでしょう。

他団体を、紹介する方法もあります。

記録と個人情報の扱いも、決めておきます。

終わり方が、団体の評判を作ります。

見学と体験を受け入れる

いきなり本格的に参加するのは、ためらわれるものです。

見学や、一回だけの体験を用意しましょう。

入口が低いほど、人は来ます。

見学の受け入れも、手順を決めておきます。

第一に、いつ来られるかを示します。

第二に、当日の対応の担当を決めます。

第三に、記録を残します。

第四に、案内の資料を渡します。

第五に、次につながる声かけをします。

見学だけで終わらせない工夫が、要ります。

利用者との関係のまとめ

利用者は、会員とは別の相手です。

議決権もなく、団体を支える立場でもありません。

参加すれば自動的に会員、という扱いは避けましょう。

申込の方法、条件、費用、キャンセルの扱いを決めます。

利用の案内を、A4で1枚にまとめて渡してください。

個人情報は、必要な範囲にとどめます。

事故への備えを、案内に書いておくと信用になります。

職員と利用者の距離も、団体の方針として決めましょう。

利用者から担い手へという道筋も、意識して作ってください。

申込への返事が遅いことが、最も多い苦情の原因です。

行き過ぎた要求には、一人で対応させない基準を決めます。

関係を終わらせるときの伝え方が、団体の評判を作ります。

見学や一回だけの体験を用意すると、入口が低くなります。

見学だけで終わらせない声かけまで、決めておきましょう。

よくある質問

Q. 利用者は会員に含める?

A. 含めません。会員は団体を支える立場、利用者はサービスを受ける立場です。参加すれば自動的に会員という扱いは、本人の意思が確認されておらず、総会の招集や定足数にも影響するため避けてください。

Q. 参加費を取ってもいい?

A. 取れます。非営利とは利益を分配しないという意味で、費用を受け取ることとは矛盾しません。実施にかかる費用を基準に額を考え、領収書を出してください。

Q. 申込で何を聞けばいい?

A. 必要な範囲にとどめます。氏名と連絡先で足りる場面が多く、緊急連絡先は必要に応じてです。集めた情報の使いみちと保管の期間も決めておきましょう。

Q. 案内には何を書く?

A. 活動の内容と時間、持ち物、費用、キャンセルの扱い、中止の基準、事故時の対応、写真の可否、個人情報の取扱いです。A4で1枚あれば十分です。

Q. 申込を断ってもいい?

A. 定員超過や条件に合わない場合など、断ることはあります。基準をあらかじめ決め、理由を丁寧に伝え、記録を残してください。差別的な扱いにならないよう注意します。

Q. 職員が個人の連絡先を教えてもいい?

A. 団体としての窓口を使ってください。個人の携帯電話に直接連絡が来る状態は、担当が代わると関係が切れ、本人の負担も際限なく増えます。


この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

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