NPO法人には、理事3人以上・監事1人以上という要件があります。
この人数を下回った状態は、放置できません。
登記や届出にも、支障が生じます。
この記事では、定数と欠員の実務を解説します。
法律が求める人数
NPO法人には、役員の人数の要件があります。
理事は、3人以上です。
監事は、1人以上です。
これは、法律で決まっています。
定款で、これより少なくすることはできません。
多くすることは、できます。
設立のときも、この人数がそろっていることが要件です。
設立後も、維持しなければなりません。
一時的にでも下回れば、補充が必要になります。
定款の定数の書き方
定款には、役員の定数を書きます。
書き方には、二つの方式があります。
第一が、確定数で書く方法です。
理事5人、監事1人といった書き方です。
第二が、幅を持たせて書く方法です。
理事3人以上10人以内、といった書き方です。
実務では、幅を持たせるほうが扱いやすくなります。
確定数だと、一人辞めただけで定款違反の状態になります。
幅があれば、範囲内にとどまる限り問題ありません。
設立のときに、この点を考えておきましょう。
| 書き方 | 例 | 一人退任したとき |
|---|---|---|
| 確定数 | 理事5人 | 直ちに欠員となる |
| 幅を持たせる | 理事3人以上10人以内 | 3人を下回らなければ問題なし |
| 下限のみ | 理事3人以上 | 3人を下回らなければ問題なし |
| 法定の下限 | 理事3人・監事1人 | 法律上の最低ライン |
欠員が生じる場面
欠員は、いくつかの場面で生じます。
第一が、辞任です。
第二が、死亡です。
第三が、任期の満了です。
改選を忘れていると、全員が欠員になり得ます。
第四が、解任です。
第五が、欠格事由に該当した場合です。
第六が、親族の制限に触れた場合です。
婚姻などで、あとから該当することもあります。
いずれも、気づいた時点で対応が必要です。
遅滞なく補充する
欠員が生じたら、遅滞なく補充します。
法律にも、その旨の定めがあります。
放置すると、法人の意思決定に支障が出ます。
理事会が成立しない状態にも、なり得ます。
補充の方法は、定款の定めによります。
総会で選任する団体が、多くを占めます。
臨時総会を開くことになる場合も、あります。
通常総会まで待てるかは、状況によります。
定数を大きく割っているなら、急ぐべきです。
- 定款の定数を確認する
- 現在の人数を数える
- 法定の下限を満たしているか確かめる
- 後任の候補を探す
- 定款の定めに従って選任する
- 就任承諾書を取る
- 代表権のある理事なら2週間以内に登記する
- 所轄庁へ役員変更届を出す
- 役員名簿を直し、任期の起算日を記録する
- 親族の制限に触れていないか確認する
- 報酬を受ける役員が3分の1を超えていないか確かめる
任期満了を見落とさない
いちばん多い欠員の原因が、任期の満了です。
任期は、2年以内で定款に定めます。
改選を忘れると、役員が不在の状態になります。
何年も気づかない団体も、実際にあります。
登記が古いまま、という形で発覚します。
重任の登記も、期限内に必要です。
再任でも、手続きは同じです。
任期の満了日を、年間の予定表に書き込みましょう。
2年に一度の作業なので、忘れやすいものです。
後任が決まるまでの権限
任期が満了しても、後任が決まらない場合があります。
この場合、前任者が引き続き職務を行うことがあります。
定款に、その旨の定めを置く団体があります。
後任が就任するまで、なお職務を行うという定めです。
この定めがあれば、空白を避けられます。
ただし、いつまでも放置してよいわけではありません。
早く後任を決めることが、前提です。
定めがなければ、より急ぐ必要があります。
自分たちの定款を、確認しておきましょう。
監事の欠員に注意
監事は1人以上なので、一人辞めれば直ちに欠員です。
理事より、影響が早く出ます。
監査ができない状態になるためです。
決算の承認にも、支障が生じます。
事業報告書等の提出にも、関わります。
監事は、理事や職員を兼ねられません。
そのため、候補が見つかりにくい面もあります。
会計や実務の経験がある人が、望ましいものです。
平時から、候補を考えておきましょう。
親族の制限
役員には、親族の制限があります。
役員のうち、報酬を受ける者は3分の1以下です。
また、役員に配偶者や三親等以内の親族が含まれる場合、制限があります。
役員総数が6人以上の場合に、1人まで認められます。
5人以下の場合は、親族を入れられません。
設立のときに確認しても、あとで状況が変わります。
婚姻によって、親族関係が生じることもあります。
役員を選ぶたびに、確認しましょう。
要件を欠けば、認証にも関わる問題になります。
定数を見直すという選択
欠員が繰り返し生じるなら、定数の見直しも検討します。
確定数で書いているなら、幅を持たせる形に変えます。
定款変更が必要ですが、以後の手間は減ります。
上限を高く設定しておく方法も、あります。
人が増えたときに、定款変更をせずに済みます。
一方、下限は法定の3人と1人が最低です。
これを下回る定めは、置けません。
通常総会の議案として、あわせて出しましょう。
他の定款の見直しと、まとめて行うと効率的です。
理事会が成立しなくなる
理事が減ると、理事会の運営に支障が出ます。
定款で、定足数を定めているためです。
理事の過半数の出席とする例が、多く見られます。
3人しかいない状態で一人欠席すると、成立しません。
日常の決定が、止まってしまいます。
契約の承認も、事業の開始もできません。
余裕を持った人数を、確保しておきましょう。
5人程度いると、運営が安定します。
一方、多すぎると日程が合わなくなります。
実際に集まれる人数で、決めてください。
解任という手続き
欠員の原因の一つに、解任があります。
役員を、任期の途中で辞めさせる手続きです。
定款に、解任の定めがあるかを確認します。
職務の遂行に堪えない場合などが、理由になります。
除名と同じく、本人に弁明の機会を与えます。
総会の議決によるのが、原則です。
手続きを欠けば、争いになります。
感情的な対立から進めるのは、危険です。
辞任を促すほうが、円満に済むことも多いものです。
解任は、最後の手段と考えてください。
候補者を平時から探す
欠員が出てから探すと、間に合いません。
平時から、候補を考えておきましょう。
第一に、活動に関わっている会員を見ます。
第二に、賛助会員にも目を向けます。
第三に、退任した役員に再登板を頼む方法もあります。
第四に、外部から迎えることも選択肢です。
会員以外を役員にできるかは、定款で確認します。
第五に、専門の知見を持つ人を探します。
会計や労務に明るい人がいると、運営が安定します。
頼むときは、責任の中身を正確に説明しましょう。
曖昧な説明で頼むと、就任後に辞任されて振り出しに戻ります。
正確に伝えて断られるほうが、あとの負担は軽く済みます。
登記と届出への影響
役員が変われば、手続きが生じます。
代表権のある理事なら、2週間以内の変更登記です。
代表権のない理事の変更は、登記の対象になりません。
ただし、所轄庁への役員変更届は必要です。
監事の変更も、届出の対象です。
欠員のまま放置すると、届出の内容も実態と合わなくなります。
毎年の役員名簿にも、影響します。
事業報告書等の提出時に、食い違いが見つかります。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
早めに、進め方を決めておきましょう。
役員名簿を正確に保つ
役員名簿は、毎年の提出書類に含まれます。
年間役員名簿として、報酬の有無も書きます。
住所と氏名が、記載事項です。
引っ越しがあれば、その都度直します。
任期の起算日も、記録しておきましょう。
誰がいつから役員かが、あとで分からなくなりがちです。
就任承諾書と辞任届を、まとめて保管します。
議事録とあわせて見れば、経過が追えます。
交代の多い団体ほど、この記録が効きます。
定数を満たしているかも、名簿で確認できます。
役員に何を求めるか
人数をそろえることが目的になると、失敗します。
定数を埋めるためだけの就任は、双方に危険です。
理事は、善良な管理者としての注意義務を負います。
理事会に出席し、内容を把握する必要があります。
それができない人に、頼むべきではありません。
関われないなら、賛助会員として応援してもらう形もあります。
頼むときは、頻度と時間を正確に伝えましょう。
報酬の有無も、はっきりさせます。
氏名と住所が公開されることも、説明します。
納得したうえでの就任が、長く続く関係を作ります。
役員の定数と欠員のまとめ
理事3人以上・監事1人以上は、法律の要件です。
定款には、幅を持たせて定数を書くと扱いやすくなります。
確定数だと、一人辞めただけで欠員になります。
欠員が生じたら、遅滞なく補充してください。
いちばん多い原因は、任期満了の見落としです。
任期の満了日を、年間の予定表に書き込みましょう。
監事は1人以上なので、一人辞めれば直ちに欠員です。
親族の制限は、役員を選ぶたびに確認してください。
理事が3人ちょうどだと、一人欠席で理事会が成立しなくなります。
5人程度を確保しておくと、運営が安定します。
解任は最後の手段で、辞任を促すほうが円満に済むことが多いものです。
候補は欠員が出てからでは間に合わないため、平時から探しましょう。
人数をそろえること自体が目的になると、双方にとって危険です。
よくある質問
A. 理事3人以上、監事1人以上です。法律の要件なので、定款でこれより少なくすることはできません。多くすることはできます。運営の安定を考えると、理事は5人程度が現実的です。
A. 定款の書き方によります。理事5人といった確定数なら直ちに欠員ですが、理事3人以上10人以内のように幅があれば、範囲内にとどまる限り問題ありません。欠員が繰り返すなら、定款変更で幅を持たせることも検討してください。
A. 遅滞なく補充します。放置すると理事会が成立しないなど、法人の意思決定に支障が出ます。定数を大きく割っているなら、臨時総会を開いてでも急いでください。
A. いちばん多い原因です。登記が古いままという形で発覚します。速やかに選任し、重任の登記と所轄庁への届出を行ってください。任期の満了日は、年間の予定表に書き込んでおきましょう。
A. 1人以上なので、一人辞めれば直ちに欠員です。監査ができず、決算の承認や事業報告書等の提出にも支障が出ます。監事は理事や職員を兼ねられないため、平時から候補を考えておきましょう。
A. 制限があります。役員総数が6人以上の場合に1人まで認められ、5人以下なら入れられません。婚姻などで後から該当することもあるため、役員を選ぶたびに確認してください。要件を欠けば、認証にも関わります。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
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