NPO法人の解散・清算の流れ|7つの解散事由と残余財産の行き先

一般社団法人法
活動を終えるときの手続きも、法律で決められています。解散から清算結了までの流れを解説します。

NPO法人をたたむには、解散と清算という2つの段階を踏みます。

解散を決めただけでは、法人は消えません。

財産を整理し、清算結了の登記をして、ようやく終わります。

この記事では、解散事由から残余財産の行き先まで、順を追って解説します。

POINT 結論:解散事由は、総会の決議、定款で定めた事由の発生、目的とする事業の成功の不能、社員の欠亡、合併、破産手続開始の決定、認証の取消しの7つです。総会の決議で解散する場合は、定款に別段の定めがなければ総社員の4分の3以上の賛成が必要です。残余財産を個人が受け取ることはできません。

解散と清算は別のもの

解散とは、法人が本来の活動をやめて、清算の段階に入ることをいいます。

解散した時点では、まだ法人格は残っています。

清算とは、財産と債務を整理して、法人を終わらせる手続きです。

清算が終わることを、清算結了といいます。

清算結了の登記をして、ようやく法人が消滅します。

つまり、解散を決議してから実際に終わるまでには、一定の期間がかかります。

債権者への公告と申出の期間もあるため、数か月は見込んでおきましょう。

手続きの途中で放置すると、登記も残ったままになってしまいます。

解散事由は7つ

法律は、NPO法人の解散事由を7つ定めています。

第1に、社員総会の決議です。最も一般的な解散の形です。

第2に、定款で定めた解散事由が発生した場合です。

第3に、目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能です。

第4に、社員の欠亡です。社員が1人もいなくなった場合を指します。

第5に、合併です。他の法人と合併して消滅する場合です。

第6に、破産手続開始の決定です。

第7に、設立の認証の取消しです。

このうち第3の事業の成功の不能による解散は、所轄庁の認定が必要になります。

NPO法人の解散事由

  • ①社員総会の決議
  • ②定款で定めた解散事由の発生
  • ③目的とする特定非営利活動に係る事業の成功の不能(所轄庁の認定が必要)
  • ④社員の欠亡
  • ⑤合併
  • ⑥破産手続開始の決定
  • ⑦設立の認証の取消し

総会の決議で解散する場合

自主的に解散する場合は、社員総会で決議します。

議決要件は、定款に別段の定めがなければ総社員の4分の3以上の賛成です。

出席者の4分の3ではなく、社員全体の4分の3である点に注意してください。

定款でこれと異なる割合を定めている場合は、そちらが優先します。

総会を開く前に、定款の解散に関する条文を必ず確認しましょう。

議決したら、解散の日と清算人を決めます。

清算人は、定款に定めがなければ理事がそのまま就任するのが原則です。

議事録は、その後の登記や届出で使うため丁寧に作成します。

解散後の登記と届出

解散を決議したら、法務局へ解散の登記を申請します。

同時に、清算人の登記も行います。

登記は、解散の日から2週間以内に行うこととされています。

あわせて、所轄庁へ解散の届出をします。

事業の成功の不能を理由とする場合は、届出ではなく認定の申請が必要です。

税務署と都道府県税事務所、市区町村にも異動届出書を提出します。

職員を雇っていた場合は、労働保険と社会保険の手続きも必要になります。

取引先や会員への連絡も、忘れずに行いましょう。

清算の手続き

清算人は、法人の財産と債務を整理する役割を担います。

まず、現務の結了として、進行中の事業を終わらせます。

次に、債権の取立てと債務の弁済を行います。

債権者に対しては、一定の期間内に申し出るよう公告します。

公告の期間は2か月を下ることができません。

知れている債権者には、個別に催告します。

公告と催告を経て、債務を弁済します。

債務を弁済してもなお財産が残れば、それが残余財産になります。

財産が債務に足りない場合は、破産手続に移行することになります。

残余財産は個人に渡せない

清算後に残った財産を、社員や役員が受け取ることはできません。

これは、非営利法人であるNPO法人の根幹にかかわるルールです。

残余財産は、定款で定めた者に帰属します。

帰属先にできるのは、法律で認められた範囲に限られます。

他のNPO法人、国、地方公共団体が代表的な帰属先です。

公益社団法人や公益財団法人、学校法人、社会福祉法人、更生保護法人も対象です。

定款に定めがない場合は、清算人が所轄庁の認証を得て国または地方公共団体へ譲渡します。

それもできない場合は、最終的に国庫に帰属します。

設立時に帰属先を定款へ書いておくことが、後の手続きを楽にします。

項目 NPO法人 株式会社
残余財産の行き先 定款で定めた法定の範囲へ 株主に分配
個人が受け取れるか 受け取れない 受け取れる
解散の議決要件 総社員の4分の3以上(定款で別段の定め可) 株主総会の特別決議
所轄庁への届出 必要 不要
債権者への公告期間 2か月以上 2か月以上

清算結了と最後の登記

債務の弁済と残余財産の引渡しが終わったら、清算事務は完了です。

清算人は、決算報告書を作成します。

決算報告について、社員総会の承認を受けます。

そのうえで、法務局へ清算結了の登記を申請します。

登記が完了すると、法人の登記記録は閉鎖されます。

所轄庁へも、清算結了の届出を行います。

税務署などへの最後の申告と届出も忘れないでください。

ここまで終えて、はじめて法人が完全に消滅します。

休眠という選択肢はあるか

株式会社には、事実上の休眠という運用があります。

NPO法人の場合、活動を止めても報告義務は続きます。

毎事業年度の事業報告書等の提出は、活動がなくても必要です。

つまり、放置するという選択は現実的ではありません。

提出しないまま3年以上経過すると、認証の取消しにつながります。

認証が取り消されると、そのまま解散事由に該当します。

結果として清算手続きが必要になり、誰かが対応しなければなりません。

活動を続けられないと判断したら、きちんと解散したほうが後腐れがありません。

合併という形で他団体に引き継ぐ方法もあります。

解散する前に検討したいこと

解散を決める前に、いくつか検討したい選択肢があります。

第1に、事業を縮小して細く続けるという方法です。

報告義務は残りますが、法人格を維持できます。

第2に、他のNPO法人との合併です。

事業と財産を引き継いでもらえるため、活動が途切れません。

第3に、事業だけを他団体へ譲渡する方法です。

法人は解散しても、活動そのものは残せます。

第4に、役員と社員を入れ替えて体制を刷新する方法です。

担い手の問題であれば、これで解決することもあります。

いずれの場合も、会員や利用者への説明を丁寧に行いましょう。

清算人が行う具体的な作業

清算人は、まず法人の財産の状況を調査します。

財産目録と貸借対照表を作成し、社員総会の承認を受けます。

次に、進行中の契約を整理します。

事務所の賃貸借契約、リース契約、通信契約などを解約します。

職員がいる場合は、雇用の終了に関する手続きを行います。

未払いの給与や社会保険料があれば、優先して支払います。

債権の取立ても清算人の仕事です。

未収の会費や委託費があれば、回収を試みます。

回収できない債権は、清算の中で整理することになります。

一連の作業は数か月にわたるため、担当を決めて計画的に進めましょう。

解散にかかる費用

解散にも、いくらかの費用がかかります。

解散と清算人の登記に、登録免許税がかかります。

清算結了の登記にも、別に登録免許税が必要です。

債権者への公告を官報で行う場合は、その掲載料もかかります。

官報の掲載料は、内容と行数によって変わります。

登記事項証明書の取得費用も、そのつど発生します。

専門家に依頼する場合は、その報酬が加わります。

設立時より費用がかかることもあるため、資金が尽きる前に判断することが大切です。

財産がまったくない状態だと、手続きを進めること自体が難しくなります。

合併という選択肢

解散のほかに、他のNPO法人と合併するという方法があります。

合併には、吸収合併と新設合併の2つの形があります。

合併には、社員総会の議決と所轄庁の認証が必要です。

債権者に対する公告と、異議申立ての手続きも行います。

合併が成立すると、財産も事業も権利義務がまとめて引き継がれます。

事業を止めずに、活動を続けてもらえるのが最大の利点です。

会員や利用者にとっても、サービスが途切れないという安心があります。

一方で、相手方との条件の調整に時間がかかります。

理念や運営方針が合うかどうかも、慎重に見きわめる必要があります。

解散を考え始めたら、早い段階で候補となる団体に相談してみましょう。

会員や関係者への説明

解散は、団体だけの問題では終わりません。

会員、利用者、寄付者、行政の担当者に説明する必要があります。

特に、継続的にサービスを利用していた人への影響は大きくなります。

代わりになる団体や窓口を紹介できると、混乱を減らせます。

寄付を受けていた場合は、その使い道についても説明を尽くしましょう。

助成金を受けている途中なら、助成元への報告と精算が必要です。

事業を委託されているなら、契約の解除について早めに相談します。

突然の解散は、団体の信用だけでなく関係者の信頼も損ないます。

時間に余裕をもって、段階的に進めることが大切です。

認証取消しによる解散

解散事由のひとつに、設立の認証の取消しがあります。

所轄庁は、法令に違反した場合などに認証を取り消すことができます。

事業報告書等を3年以上提出しない状態も、取消しの理由になり得ます。

取り消されると、その時点で解散したことになります。

その後の清算手続きは、自主的に解散した場合と同じです。

つまり、放置しても手続きから逃れられるわけではありません。

誰かが清算人となって、後始末をしなければならなくなります。

役員が連絡不能になっていると、この作業は非常に困難になります。

活動を止めるなら、体制があるうちに正式な手続きをとりましょう。

解散・清算のまとめ

NPO法人の解散事由は7つあり、最も多いのが総会の決議です。

総会での解散は、定款に別段の定めがなければ総社員の4分の3以上の賛成が必要です。

解散したら、2週間以内に解散と清算人の登記を行い、所轄庁へ届け出ます。

清算では、債権者への公告を2か月以上行い、債務を弁済します。

残余財産を個人が受け取ることはできず、定款で定めた法定の範囲へ帰属します。

清算結了の登記と届出を経て、法人は消滅します。

活動を止めても報告義務は続くため、放置は選択肢になりません。

よくある質問

Q. 解散はどうやって決める?

A. 社員総会の決議で決めるのが一般的です。定款に別段の定めがなければ、総社員の4分の3以上の賛成が必要です。出席者の4分の3ではない点に注意してください。

Q. 残った財産は分けられる?

A. 社員や役員が受け取ることはできません。定款で定めた他のNPO法人や国、地方公共団体、公益社団法人などへ帰属します。定めがない場合は国または地方公共団体へ譲渡されます。

Q. 解散から終わるまでどのくらいかかる?

A. 債権者への公告期間が2か月以上必要なため、最短でも数か月かかります。財産の整理に時間がかかる場合は、さらに長くなります。

Q. 活動をやめて放置してもいい?

A. おすすめできません。活動がなくても事業報告書等の提出義務は続き、3年以上提出しないと認証の取消しにつながります。取消しはそのまま解散事由になります。

Q. 社員がいなくなったらどうなる?

A. 社員の欠亡は解散事由に当たります。社員が1人もいなくなると解散することになるため、10人以上を維持する運用が必要です。

Q. 解散以外の選択肢は?

A. 他のNPO法人との合併、事業だけの譲渡、事業を縮小して継続する方法があります。担い手不足が原因なら、役員と社員の入れ替えで解決することもあります。

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