一般社団法人の内部のもめごと・対立への対処法|原因と解決策を解説

一般社団法人法
理事同士が対立して理事会が開けない。代表理事が独断で動く。会計に不信感がある。こうした内部のもめごとで、法律が用意している手段を順番に説明します。

結論から申し上げます。

一般社団法人のもめごとは、「誰と誰が」「何について」争っているかで使える手続が決まります。

理事同士の対立は、まず理事会で決着させます。代表理事を代えるのも理事会の権限です(一般法人法90条2項3号)。

理事会で決まらないときは、法人の持ち主にあたる社員が社員総会で判断します。

理事は社員総会の決議でいつでも解任できます(70条1項)。

社員は、議決権の10分の1以上を集めれば社員総会の招集を請求できます(37条1項)。

決議の手続に違反があると、3か月以内に取消しの訴えを起こされるおそれがあります(266条1項)。

そのため、対立が深いときほど、招集・決議・議事録を条文どおりに進めることが大切です。

POINT 話し合いで終わらないときの決め手は「理事会の決議」と「社員総会の決議」です。どちらも手続を誤ると後で争われるので、定款と条文に沿って進め、議事録に残すことが最大の防御になります。

もめごとの型ごとに使う手続が違う

もめごとの型ごとに使う手続が違う
図:もめごとの型ごとに使う手続が違う

一般社団法人の内部対立は、大きく5つの型に分けられます。

型によって、判断する機関と、根拠になる条文が変わります。

まず自分たちのもめごとがどの型に当たるかを確かめると、次に打つ手が見えてきます。

もめごとの型 判断する機関 主な手段 根拠
理事同士の方針の対立 理事会(理事会なしは理事の過半数) 理事会の決議 90条2項1号・76条2項
代表理事の独断・暴走 理事会・社員総会 代表理事の解職・理事の解任 90条2項3号・70条1項
理事と社員の対立 社員総会 招集請求・議題提案・解任議案 37条・43条・70条
お金の使い方への不信 監事・社員 監事の調査・会計帳簿の閲覧 99条2項・121条
社員同士の対立 社員総会 議決・除名(正当な事由が必要) 49条・30条

実際のもめごとは、いくつかの型が重なっていることが多くあります。

その場合も、「理事会で決めること」と「社員総会で決めること」を分けて考えると整理しやすくなります。

最初にやること:定款と記録で事実を確かめる

対立が起きたら、感情的な主張より先に、定款と記録を確かめます。

定款には、理事の人数、理事会の有無、招集の方法、決議の要件が書かれています。

同じ論点でも、定款の定め方によって結論が変わることがあるからです。

社員には、法人の記録を見る権利が法律で認められています。

社員総会の議事録は、社員がいつでも閲覧や謄写を請求できます(57条4項)。

計算書類と事業報告も、社員がいつでも閲覧を請求できます(129条3項)。

理事会の議事録は、社員が権利を行使するため必要なときに、裁判所の許可を得て閲覧できます(97条2項)。

会計帳簿は、総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員が、理由を示して閲覧を請求できます(121条1項)。

見たい記録 請求できる人 条件 根拠
社員名簿 社員 理由を明らかにする 32条2項
社員総会の議事録 社員・債権者 業務時間内はいつでも 57条4項
理事会の議事録 社員 権利行使に必要なとき・裁判所の許可 97条2項
計算書類・事業報告 社員・債権者 業務時間内はいつでも 129条3項
会計帳簿 議決権10分の1以上の社員 理由を明らかにする 121条1項

法人は、社員名簿や会計帳簿の請求を、条文に書かれた場合を除いて拒めません(32条3項・121条2項)。

正当な理由なく閲覧を拒むと、理事などは過料の対象になります(342条4号)。

対立が起きたときに手元にそろえる書類

  • 現在の定款(変更を重ねている場合は最新のもの)
  • 登記事項証明書(登記されている理事・代表理事の確認)
  • 社員名簿(誰が議決権を持つかの確認)
  • 直近の社員総会・理事会の議事録
  • 直近の計算書類・事業報告・監査報告
  • 理事会規程・会員規約など、定款以外の内部規程

理事同士の対立は理事会で決める

理事同士の対立は理事会で決める
図:理事同士の対立は理事会で決める

理事会のある法人では、業務執行の決定は理事会の職務です(90条2項1号)。

理事会の決議は、議決に加われる理事の過半数が出席し、その過半数で決まります(95条1項)。

理事会のない法人では、理事が2人以上いれば、業務は理事の過半数で決めます(76条2項)。

対立していても、最後は多数決で決まる仕組みです。

決議に特別の利害関係がある理事は、その議決に加われません(95条2項)。

たとえば、その理事自身と法人との取引を承認する議案が当たります。

決議に参加して議事録に異議をとどめなかった理事は、賛成したものと推定されます(95条5項)。

反対した理事は、議事録に反対の旨を残すことが自分を守ることにつながります。

「理事会を招集してもらえない」という対立もよくあります。

理事会は原則として各理事が招集できます(93条1項)。

定款などで招集する理事を決めている場合は、他の理事が目的を示して招集を請求できます(93条2項)。

請求から5日以内に、2週間以内の日を開催日とする招集通知が出なければ、請求した理事が自ら招集できます(93条3項)。

1
招集権者に招集を請求する
理事会の目的である事項を示す(93条2項)
▼
2
5日間待つ
2週間以内の日を開催日とする通知が出るかを確かめる
▼
3
自ら招集する
通知が出なければ請求した理事が招集できる(93条3項)
▼
4
決議する
議決に加われる理事の過半数が出席し、その過半数(95条1項)
▼
5
議事録を作る
出席した理事と監事が署名または記名押印(95条3項)

代表理事の独断を止める方法

代表理事は、法人の業務について一切の行為をする権限を持ちます(77条4項)。

そのため、代表理事が独断で契約などを進めると、止めるのが難しくなります。

理事会のある法人では、理事会が代表理事を解職できます(90条2項3号)。

解職は代表理事の地位を外すことで、理事の地位は残ります。

理事の地位まで外すには、社員総会での解任が必要です(70条1項)。

代表理事が法令や定款に違反する行為をしようとしているときは、差止めの請求ができます。

社員は、法人に著しい損害が生じるおそれがあれば、その理事に行為をやめるよう請求できます(88条1項)。

監事を置く法人では、社員による差止めの要件は「回復することができない損害」に変わります(88条2項)。

監事も、著しい損害のおそれがあれば理事の行為の差止めを請求できます(103条1項)。

止めたいこと 誰が 手段 根拠
代表理事の地位 理事会 代表理事の解職 90条2項3号
理事の地位 社員総会 理事の解任(普通決議) 70条1項・49条1項
違法・定款違反の行為 社員 行為の差止め請求 88条
違法・定款違反の行為 監事 行為の差止め請求 103条
不正の疑いを理事会で取り上げる 監事 理事会への報告・招集請求 100条・101条2項

理事自身にも、法人に著しい損害を及ぼすおそれのある事実を見つけたら、直ちに報告する義務があります(85条)。

報告先は社員で、監事を置く法人では監事です。

社員総会を開いて決着をつける

理事会で決着しないときや、理事全体と社員が対立しているときは、社員総会が判断の場になります。

社員総会は原則として理事が招集します(36条3項)。

理事が招集しないときは、総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員が招集を請求できます(37条1項)。

この割合は、定款で5分の1以下の範囲で定めることもできます。

請求しても遅滞なく手続が進まないときなどは、請求した社員が裁判所の許可を得て自ら招集できます(37条2項)。

請求から6週間以内の日を総会の日とする招集通知が出ない場合も同じです(37条2項2号)。

1
議決権の10分の1以上を集める
定款で5分の1以下の割合を定めていればその割合(37条1項)
▼
2
理事に招集を請求する
総会の目的である事項と招集の理由を示す
▼
3
招集されなければ裁判所へ
許可を得て請求した社員が招集する(37条2項)
▼
4
招集通知を出す
総会の日の1週間前まで。理事会設置法人は書面(39条)
▼
5
総会で決議し、議事録を作る
議事録は主たる事務所に10年間備え置く(57条2項)

社員は、一定の事項を総会の目的にするよう理事に請求できます(43条1項)。

理事会のある法人では、議決権の30分の1以上を持つ社員が、総会の6週間前までに請求します(43条2項)。

理事会のある法人の社員総会は、招集通知に書いた目的以外の事項を決議できません(49条3項)。

解任などを求めるなら、議題として通知に載せることが前提になります。

総会の運営自体が争いになりそうなときは、総会検査役の選任を裁判所に申し立てられます(46条1項)。

申立てができるのは、法人か、議決権の30分の1以上を持つ社員です。検査役は招集手続と決議の方法を調査します。

理事・監事の解任の手続

役員は、いつでも、社員総会の決議によって解任できます(70条1項)。

理事の解任は普通決議で行います。

定款に別段の定めがなければ、総社員の議決権の過半数が出席し、出席者の議決権の過半数で決まります(49条1項)。

監事の解任は特別決議です。総社員の半数以上で、総社員の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(49条2項2号)。

監事は、社員総会で監事の解任について意見を述べることができます(74条1項)。

解任された役員は、解任に正当な理由がなければ、法人に損害の賠償を請求できます(70条2項)。

「意見が合わない」だけで解任すると、この賠償の問題が残ることがあります。

項目 理事 監事
決める機関 社員総会 社員総会
決議の要件 普通決議(49条1項) 特別決議(49条2項2号)
本人の意見陳述 法律上の定めなし 総会で意見を述べられる(74条1項)
正当な理由がない解任 損害賠償を請求されうる(70条2項) 同じ
登記 変更の登記が必要(2週間以内) 監事設置法人は変更の登記が必要

解任の議案が否決されても、終わりではない場合があります。

職務の執行に不正の行為や法令・定款に違反する重大な事実があったのに否決されたときは、解任の訴えを起こせます(284条)。

訴えられるのは、議決権の10分の1以上を持つ社員で、総会の日から30日以内です。

解任や辞任で理事の人数が法律や定款の定数を下回ると、任期満了や辞任で退任した理事は後任が就くまで理事の権利義務を持ちます(75条1項)。

後任が決まらないときは、利害関係人の申立てで、裁判所が一時役員の職務を行う者を選ぶことができます(75条2項)。

理事や代表理事が変わったときは、2週間以内に変更の登記が必要です(303条)。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

解任の要件と流れは一般社団法人の理事の解任で詳しく説明しています。

社員同士の対立と除名

社員同士の対立は、社員総会での議決によって決着させるのが基本です。

社員は原則として1人1個の議決権を持ちます(48条1項)。

特定の社員を法人から外したいときは、除名の手続を使います。

除名は、正当な事由があるときに限り、社員総会の決議でできます(30条1項)。

決議は特別決議で、総社員の半数以上かつ総社員の議決権の3分の2以上が必要です(49条2項1号)。

総会の1週間前までに本人へ通知し、総会で弁明の機会を与えなければなりません(30条1項)。

除名したことを本人に通知しないと、その社員に除名を主張できません(30条2項)。

意見が違うことだけを理由にした除名は、正当な事由が認められない可能性が高いといえます。

反対に、対立の結果として社員が自分から辞めることもできます。

社員はいつでも退社でき、定款で予告期間などを定めていても、やむを得ない事由があれば退社できます(28条)。

除名の手続は一般社団法人の社員の除名、大量退会への対応は社員の脱退・大量退会が起きたときの対処法で解説しています。

お金をめぐる対立への対応

会計への不信は、内部のもめごとの大きな原因になります。

監事を置いている法人では、まず監事が調べる役割を持ちます。

監事は、いつでも理事や使用人に事業の報告を求め、業務と財産の状況を調査できます(99条2項)。

不正や法令・定款違反を見つけたときは、遅滞なく理事会に報告しなければなりません(100条)。

理事が自分や第三者のために法人と取引するときは、重要な事実を開示して承認を受けなければなりません(84条1項)。

理事会のない法人では社員総会の承認、理事会のある法人では理事会の承認が必要です(92条1項)。

理事が任務を怠って法人に損害を与えたときは、法人に賠償する責任を負います(111条1項)。

法人が責任を追及しないときは、社員が動くこともできます。

社員は、書面などで法人に役員の責任を追及する訴えを起こすよう請求できます(278条1項)。

請求から60日以内に法人が訴えを起こさなければ、請求した社員が法人のために訴えを起こせます(278条2項)。

監事を置く法人では、この請求を受けるときや、理事との訴えでは、監事が法人を代表します(104条)。

会計の不信を広げないための点検

  • 通帳と会計帳簿の残高が一致しているか
  • 理事と法人との取引に、承認の決議が残っているか(84条1項・92条1項)
  • 監事の監査報告が毎年作られているか(99条1項)
  • 計算書類と事業報告を社員が閲覧できる状態か(129条)
  • 支出の決裁ルールが規程で決まっているか

会計の進め方は会計・帳簿のつけ方とよくあるトラブルで扱っています。

決議の効力が争われたとき

対立が深いと、決議の後で「その決議は無効だ」と争われることがあります。

社員総会の決議を争う訴えは、主に3種類です。

招集の手続や決議の方法が法令・定款に違反する場合などは、決議の日から3か月以内に取消しの訴えを起こせます(266条1項)。

訴えを起こせるのは、社員・理事・監事・清算人です(264条2項1号・266条1項)。

違反が重大でなく、決議に影響しないと認められるときは、裁判所は請求を棄却できます(266条2項)。

決議の内容が法令に違反する場合は無効確認の訴え、決議が存在しない場合は不存在確認の訴えがあります(265条)。

請求を認める確定判決は、第三者にも効力が及びます(273条)。

訴えの種類 主な理由 期間 根拠
決議取消しの訴え 招集手続・決議方法の違反、内容の定款違反、特別利害関係人の議決権行使で著しく不当な決議 決議の日から3か月以内 266条1項
決議無効確認の訴え 決議の内容が法令に違反する 定めなし 265条2項
決議不存在確認の訴え 決議が存在しない 定めなし 265条1項

取消しの理由の多くは、招集通知の期限や方法の誤りなど、手続の問題です。

対立している相手がいるときほど、招集通知の期限(39条)と決議の要件(49条)を確かめてから総会を開きます。

議事録の作り方は社員総会・理事会の議事録の書き方を参考にしてください。

話し合いで解決できないときの外部の手続

内部の手続を尽くしても解決しないときは、外部の手続を使います。

民事調停は、裁判所で話合いによる合意を目指す手続です。

民事に関する紛争が生じたときは、当事者は裁判所に調停を申し立てられます(民事調停法2条)。

申立て先は、原則として相手方の住所や事務所の所在地を管轄する簡易裁判所です(同法3条1項)。

理事の職務を急いで止める必要があるときは、民事保全法の仮処分という手続もあります。

争いがある権利関係について著しい損害や急迫の危険を避けるため、仮の地位を定める仮処分が認められています(民事保全法23条2項)。

理事などの職務執行を停止する仮処分が出ると、その旨が登記されます(一般法人法305条・民事保全法56条)。

手続 どんなときに 相談先
民事調停 話合いで合意したいが当事者だけでは進まない 簡易裁判所
職務執行停止の仮処分 理事の行為を急いで止めたい 弁護士
決議取消し・無効確認の訴え 決議の効力を争いたい 弁護士
役員の解任の訴え 不正があるのに解任議案が否決された 弁護士
定款・規程の見直し 再発を防ぐルールを作りたい 行政書士など

報酬を得て紛争の代理や交渉を行うことは、弁護士でない者には認められていません(弁護士法72条)。

相手方との交渉や訴訟は弁護士へ、登記の申請は司法書士へ相談するのが原則です。

分裂や解散まで進んだとき

対立が深まると、一部の社員がまとまって退社し、別の団体を作ることがあります。

社員が退社しても、法人の財産の分け前を受け取る仕組みはありません。

社員に剰余金や残余財産の分配を受ける権利を与える定款の定めは、効力を持たないとされています(11条2項)。

社員が1人もいなくなると、一般社団法人は解散します(148条4号)。

社員総会の決議で解散することもでき、この決議は特別決議です(148条3号・49条2項6号)。

業務の執行が著しく困難で回復できない損害が生じるおそれがあるなど、やむを得ない事由があるときは、解散の訴えもあります(268条)。

訴えられるのは、議決権の10分の1以上を持つ社員です。

解散を考える前に、残る社員で役員を選び直して立て直せないかを検討します。

解散の流れは一般社団法人の解散・清算の流れで説明しています。

もめごとを防ぐ定款と規程の整え方

多くの内部対立は、ルールがあいまいな部分から始まります。

一般法人法は、法律に違反しない範囲で定款に定めを置くことを認めています(12条)。

対立が起きてから定款を変えるのは難しいので、平時に整えておきます。

定款の変更は、社員総会の特別決議が必要です(146条・49条2項4号)。

平時に定款・規程で決めておくこと

  • 理事会を招集する理事と、その理事が欠けたときの代わり(93条1項)
  • 理事会の決議の要件(過半数を上回る割合にするか)(95条1項)
  • 代表理事の選定・解職の方法
  • 社員の資格の取得と喪失、除名の事由(11条1項5号・30条)
  • 支出の決裁権限と、理事と法人の取引の承認手続(84条)
  • 社員総会の招集請求の割合を引き下げるか(37条1項)
  • 役員の任期をそろえるか(66条)
定款・理事会規程の記載例(抜粋)

第〇条(理事会の招集)理事会は、理事長が招集する。理事長が欠けたとき又は理事長に事故があるときは、各理事が理事会を招集する。

第〇条(決議)理事会の決議は、決議に加わることのできる理事の過半数が出席し、その過半数をもって行う。

第〇条(特別の利害関係)理事会の決議について特別の利害関係を有する理事は、議決に加わることができない。

第〇条(支出の決裁)1件〇万円を超える支出は、理事会の承認を得なければならない。

招集権者が欠けたときの定めがあると、「理事会を開けない」という対立を避けやすくなります。金額は法人の規模に合わせて決めます。

定款の見直しは一般社団法人の定款の見直しで解説しています。

内部のもめごとについてのよくある誤解

誤解1:代表理事は社員総会でしか代えられない。

理事会のある法人では、理事会が代表理事を解職できます(90条2項3号)。

理事の地位を外すのが社員総会です。

誤解2:理事を解任するには特別決議が必要。

理事の解任は普通決議です(49条1項)。

特別決議が必要なのは監事の解任です(49条2項2号)。

誤解3:解任すれば何の問題も残らない。

正当な理由がない解任は、解任された役員から損害賠償を請求されることがあります(70条2項)。

誤解4:招集権者が理事会を開かなければ打つ手はない。

他の理事は招集を請求でき、開かれなければ自ら招集できます(93条2項・3項)。

誤解5:意見が違う社員は除名できる。除名には正当な事由と特別決議、弁明の機会が必要です(30条1項・49条2項1号)。

誤解6:決議が終われば後から争われない。

手続に違反があれば、決議の日から3か月以内は取消しの訴えを起こされるおそれがあります(266条1項)。

一般社団法人の内部のもめごとについてよくある質問

Q. 理事同士が対立して理事会で何も決まりません。どうすればよいですか?

A. 理事会の決議は、議決に加われる理事の過半数が出席し、その過半数で行います(一般法人法95条1項)。可否が同数で決まらない状態が続くときは、社員総会で理事を選び直すことが最終的な解決になります(63条・70条1項)。

Q. 代表理事の独断を止めるにはどうすればよいですか?

A. 理事会のある法人では、理事会の決議で代表理事を解職できます(90条2項3号)。法令や定款に違反する行為には、社員や監事が差止めを請求できます(88条・103条)。

Q. 理事を解任するにはどんな決議が必要ですか?

A. 社員総会の普通決議です(70条1項・49条1項)。正当な理由のない解任では、解任された理事から損害賠償を請求されることがあります(70条2項)。

Q. 理事が社員総会を開いてくれません。社員から開けますか?

A. 総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員は、目的と理由を示して招集を請求できます。招集されないときは、裁判所の許可を得て自ら招集できます(37条1項・2項)。

Q. 会計がおかしいと思ったら帳簿を見られますか?

A. 総社員の議決権の10分の1以上を持つ社員は、理由を明らかにして会計帳簿の閲覧を請求できます(121条1項)。計算書類と事業報告は、社員なら誰でも閲覧を請求できます(129条3項)。

Q. 社員総会の決議に納得できません。争う方法はありますか?

A. 招集の手続や決議の方法が法令・定款に違反するときなどは、決議の日から3か月以内に取消しの訴えを起こせます(266条1項)。内容が法令に違反するときは無効確認の訴えがあります(265条2項)。

Q. 対立している社員を除名できますか?

A. 正当な事由がある場合に限り、社員総会の特別決議で除名できます。総会の1週間前までの通知と、総会での弁明の機会が必要です(30条1項・49条2項1号)。

Q. もめごとは誰に相談すればよいですか?

A. 相手方との交渉や訴訟は弁護士の業務です(弁護士法72条)。話合いによる解決を目指すなら、簡易裁判所の民事調停もあります(民事調停法2条)。役員変更の登記は司法書士に相談できます。

【免責事項】本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、正確性・最新性に配慮していますが、内容の完全性・正確性を保証するものではありません。法令・制度・税制は改正される場合があり、個別の事情により取り扱いが異なることもあります。本記事の情報を利用して行われた一切の行為およびその結果について、当サイトおよび筆者は責任を負いかねます。実際のお手続きや判断にあたっては、必ず公的機関の最新情報をご確認のうえ、必要に応じて専門家にご相談ください。