一般社団法人と医療法人の違い|どちらで運営するか解説

一般社団法人法
クリニックを法人で運営したいとき、医療法人にするか一般社団法人にするか。条文と厚生労働省の最新の通知をもとに、違いと選び方を説明します。

結論から申し上げます。

医療法人は、病院や診療所を開設するために医療法が用意した専用の法人です(医療法39条)。

設立には都道府県知事の認可が必要です(同法44条1項)。

一般社団法人は、定款の認証と登記だけで成立します(一般法人法13条・22条)。

一般社団法人でも、知事等の開設許可を受ければ診療所や病院を開設できます(医療法7条1項)。

ただし許可の審査では、営利を目的としていないかが確認されます(同条7項)。

さらに2026年4月からは、医療機関を開設する一般社団法人に毎年の決算書類の届出が義務づけられました(医療法施行令4条の7)。

POINT 医療法人=設立から運営まで医療法の監督を受ける法人、一般社団法人=設立は自由だが、医療機関の開設許可と非営利性の確認は受ける法人です。「一般社団法人なら規制が緩い」という前提は、2026年の制度改正で大きく変わりました。

一覧表で比べる一般社団法人と医療法人

まず、主な違いを一つの表にまとめます。

医療法人の欄は、実務で多い社団たる医療法人(持分の定めのないもの)を前提にしています。

項目 一般社団法人 医療法人(社団)
根拠法 一般法人法 医療法
設立 定款認証+登記で成立(13条・22条) 知事の認可+登記で成立(44条1項・46条1項)
設立の目的 法律上の制限なし 病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の開設(39条1項)
必ず置く機関 社員総会・理事(60条1項) 社員総会・理事・理事会・監事(46条の2第1項)
役員の人数 理事1人以上(理事会設置なら3人以上) 理事3人以上・監事1人以上(46条の5第1項)
代表者 代表理事(資格要件なし) 理事長=原則として医師・歯科医師(46条の6)
剰余金の配当 社員への分配は不可(11条2項・35条3項) 配当の禁止(54条)
残余財産 定款で定める(239条) 国・自治体・医療法人等から選ぶ(44条5項)
行える業務 制限なし(許認可は別途) 本来業務+附帯業務(42条)
決算の届出 原則なし。医療機関を開設すると知事等へ届出(施行令4条の7) 毎年3か月以内に知事へ届出(52条)
定款変更 社員総会の決議で足りる(146条) 原則として知事の認可が必要(54条の9第3項)
解散の決議 総社員の半数以上・議決権の3分の2以上 総社員の4分の3以上+知事の認可(55条2項・6項)

条番号のうち、一般社団法人の欄は一般法人法、医療法人の欄は医療法のものです。

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医療法人とはどんな法人か(医療法人社団・社会医療法人との関係)

医療法39条1項は、病院などを開設しようとする社団または財団を法人にできると定めています。

対象は、病院、医師・歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設、介護医療院です。

この法人を医療法人と呼びます(同条2項)。

病院は20人以上の患者を入院させる施設を持つもの、診療所は入院施設がないか19人以下のものです(1条の5)。

医療法人でない者は、名称に「医療法人」の文字を使えません(40条)。

一般社団法人も、名称に「一般社団法人」の文字を入れる必要があります(一般法人法5条1項)。

そのため「医療法人社団」と「一般社団法人」を名乗る法人は、根拠法の違う別の法人です。

種類 基礎 基本規則 必ず置く機関(医療法46条の2)
社団たる医療法人 人(社員)の集まり 定款 社員総会・理事・理事会・監事
財団たる医療法人 拠出された財産 寄附行為 評議員・評議員会・理事・理事会・監事

「医療法人社団〇〇会」という名称は、社団たる医療法人であることを示す呼び方です。

医療法人と医療法人社団の違い

「医療法人」は、医療法39条で法人になった社団と財団の総称です。

「医療法人社団」は、そのうち社団の形をとるものを指します。

つまり別々の法人の種類ではなく、医療法人社団は医療法人の一つです。

違いは上の表のとおり、社員総会を置き定款で運営するか(社団)、評議員会を置き寄附行為で運営するか(財団)にあります。

社会医療法人との関係

社会医療法人は、社団か財団かとは別の区分です。

医療法人のうち、42条の2第1項の要件を満たして都道府県知事の認定を受けたものをいいます。

社団たる医療法人が認定を受ければ、社団でありながら社会医療法人でもあります。

認定を受けると収益業務を行える点は、後の「行える業務の違い」で説明します。

財団たる医療法人との比較は、一般財団法人と医療法人の違いで説明しています。

設立手続の違い:認可か、登記だけか

設立手続の違い:認可か、登記だけか
図:設立手続の違い:認可か、登記だけか

両者の最大の違いは、設立に行政の審査が入るかどうかです。

一般社団法人は、設立時社員が共同して定款を作り、公証人の認証を受けます(一般法人法10条1項・13条)。

その後、主たる事務所の所在地で設立の登記をすれば成立します(同法22条)。

行政庁の許可や認可はいりません。

定款認証の公証人手数料は5万円です(公証人手数料令35条3号)。

医療法人は、主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受けなければ設立できません(医療法44条1項)。

知事は、資産の要件と定款の内容が法令に違反していないかを審査します(45条1項)。

認可するかどうかを決める前には、都道府県医療審議会の意見を聴きます(45条2項)。

認可の後に設立の登記をして、医療法人は成立します(46条1項)。

成立の時には財産目録を作り、主たる事務所に備え置く義務があります(46条2項)。

医療法人の定款に必ず書く事項(医療法44条2項・社団の場合)

  • 目的・名称
  • 開設しようとする病院・診療所などの名称と開設場所
  • 事務所の所在地
  • 資産及び会計に関する規定
  • 役員に関する規定・理事会に関する規定
  • 社員総会及び社員たる資格の得喪に関する規定
  • 解散に関する規定・定款の変更に関する規定
  • 公告の方法

設立当初の役員も、定款で定めておく必要があります(44条4項)。

医療法人は業務を行うのに必要な資産を持たなければなりません(41条1項)。

具体的には、開設する病院などの業務に必要な施設、設備または資金を持つことが求められます(医療法施行規則30条の34)。

1
都道府県の担当課へ事前相談
申請の受付時期や事前審査の進め方は都道府県ごとに異なるため、各都道府県の案内で確認する
▼
2
設立総会・定款の作成
定款に44条2項の事項と設立当初の役員を定める
▼
3
知事へ設立認可の申請
資産の要件と定款の内容が審査される(45条1項)
▼
4
都道府県医療審議会の意見聴取
知事が認可の前に意見を聴く(45条2項)
▼
5
認可→設立の登記
登記によって成立する(46条1項)。財産目録を備え置く(同条2項)
▼
6
診療所の開設手続
法人として開設するため、開設地の知事等の許可を受ける(7条1項)

一般社団法人の設立は、認可の待ち時間がない分、日程を自分で組めます。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。

一般社団法人でも診療所や病院は開設できるのか

医療法は、病院や診療所を開設できる者を医療法人に限っていません。

病院を開設するときは、開設者が誰であっても開設地の知事の許可が必要です(7条1項)。

診療所は、臨床研修等修了医師・歯科医師でない者が開設するときに許可が必要です(同項)。

法人は医師ではないので、一般社団法人も医療法人も、診療所を開くには許可を受けます。

保健所を設置する市や特別区では、診療所の許可は市長・区長が行います(同項かっこ書き)。

一方、医師個人が診療所を開設したときは、開設後10日以内の届出で足ります(8条)。

許可の審査では、施設の構造設備と人員が基準に合えば許可を与えなければなりません(7条4項)。

ただし営利を目的として開設しようとする者には、許可を与えないことができます(7条7項)。

また、診療所は臨床研修等修了医師に管理させる必要があります(10条1項)。

開設者 病院 診療所
医師個人(臨床研修等修了医師) 知事の許可(7条1項) 開設後10日以内に届出(8条)
医療法人 知事の許可(7条1項) 知事等の許可(7条1項)
一般社団法人 知事の許可(7条1項) 知事等の許可(7条1項)

厚生労働省は2024年3月、社団法人・一般社団法人が開設する医療機関の数を都道府県に調査しました。

2023年時点で、病院82、医科診療所780、歯科診療所151という結果です。

同じ資料では、医科診療所が2019年比で396増えたとされています。

一般社団法人の非営利性をどう確認するかは、これまで自治体ごとに差がありました。

同じ調査で、開設時の確認基準を定めていたのは9都県の一部の自治体にとどまっています。

開設を考えるときは、開設地の都道府県や保健所設置市の担当課に事前に相談し、求められる書類を確かめてください。

2026年4月から:医療機関を開設する一般社団法人の新しい義務

2026年4月から:医療機関を開設する一般社団法人の新しい義務
図:2026年4月から:医療機関を開設する一般社団法人の新しい義務

一般社団法人による医療機関の開設が増え、非営利性に疑問がある例が指摘されてきました。

これを受けて医療法施行令が改正され、新しく4条の7が設けられました。

病院または診療所を開設する一般社団法人は、毎会計年度終了後3か月以内に書類を知事に届け出ます。

届け出るのは、一般法人法123条2項の計算書類(貸借対照表・損益計算書)と事業報告、一定の附属明細書です。

公益社団法人は、この届出の対象から除かれています。

厚生労働省の通知によると、施行は2026年(令和8年)4月1日です。

実際の届出は、2026年度の事業分について2027年(令和9年)4月1日以降に始まります。

診療所の場合、保健所設置市・特別区では市長・区長が確認を行います。

あわせて厚生労働省は、2026年7月31日付けの通知で「非営利性の確認のポイント」を自治体に示しました。

開設許可の申請時と、毎年の届出書類で、次の点が確認されます。

確認の観点 主に見られる書類 求められる内容
活動目的が営利でないこと 開設許可申請・定款・事業報告書 「地域医療の確保」等を目的とし、物品販売・賃貸・事業の企画等の営利の内容を書かない
利益の移転をしないこと 定款・貸借対照表・損益計算書・附属明細書 剰余金の配当をしない旨を定款に定める。賃料が収入の一定割合で決まる契約にしない
残余財産の帰属先 定款 国・地方公共団体・医療法人など、または一定の一般社団法人・一般財団法人から選んで明記する
役員の兼務 事業報告書・取引状況の報告書 取引のある営利法人の役員が理事長や役員として参画していない
一社員一議決権 定款 社員の議決権の例外規定を置かない
管理者が理事であること 定款・事業報告書 開設する医療機関の管理者を理事に加える

確認のポイントに合わない定款は、変更を求められます。

非営利性を満たさないと判断された場合、知事等は開設を許可しないことができます(医療法7条7項)。

開設後に問題があれば、改善命令や業務停止命令の対象になります(24条の2)。

命令に違反すると、開設許可の取消しや閉鎖命令もあり得ます(29条1項4号)。

一般社団法人で診療所を開く前に定款で確かめること

  • 目的に「地域医療の確保」「公衆衛生の向上」などが書かれているか
  • 物品の販売・賃貸・事業の企画・請負などの営利を追う目的が混ざっていないか
  • 剰余金の配当をしない旨の定めがあるか
  • 残余財産の帰属先が国・地方公共団体・医療法人などに限られているか
  • 社員の議決権を1人1個以外にする規定がないか
  • 診療所の管理者を理事に加える体制になっているか

定款の目的の書き方は、一般社団法人の事業目的の書き方も参考にしてください。

機関と役員の違い

社団たる医療法人は、社員総会・理事・理事会・監事を必ず置きます(医療法46条の2第1項)。

一般社団法人は、社員総会と理事1人以上がいれば足ります(一般法人法60条1項)。

理事会・監事は、定款で置くかどうかを選べます(同条2項)。

医療法人の役員は、理事3人以上と監事1人以上が原則です(46条の5第1項)。

知事の認可を受ければ、理事を1人または2人にすることもできます(同項ただし書)。

医療法人は、開設するすべての病院・診療所の管理者を理事に加える必要があります(46条の5第6項)。

監事は、その医療法人の理事や職員を兼ねられません(同条8項)。

役員の任期は2年以内で、再任はできます(同条9項)。

理事長は、原則として医師または歯科医師である理事から選びます(46条の6第1項)。

医師・歯科医師でない理事を理事長にするには、知事の認可が必要です(同項ただし書)。

項目 一般社団法人(一般法人法) 医療法人・社団(医療法)
理事の人数 1人以上。理事会設置なら3人以上(60条・65条3項) 3人以上(46条の5第1項)
監事 任意(理事会設置法人などは必置) 1人以上必置
代表者の資格 制限なし 理事長は原則として医師・歯科医師(46条の6)
管理者の理事就任 法律上の定めなし(非営利性の確認では求められる) 義務(46条の5第6項)
社員の議決権 1人1個。定款で別段の定め可(48条1項) 1人1個(46条の3の3第1項)
社員総会の権限 理事会を置くと法定事項と定款事項に限られる(35条2項) 法定事項と定款事項(46条の3第1項)

医療法人の役員には欠格事由があります(46条の5第5項・46条の4第2項)。

たとえば、医事に関する法律で罰金以上の刑を受け、2年を経過しない者は役員になれません。

拘禁刑以上の刑に処せられ、執行を終わるまでの者も同様です(46条の4第2項4号)。

行える業務の違い:附帯業務と自由な事業

医療法人の本来業務は、病院・診療所・介護老人保健施設・介護医療院の運営です。

それに加えて、本来業務に支障のない限り、定款に定めた附帯業務を行えます(42条)。

附帯業務として条文に挙がるのは、次のような業務です。

医療法人の附帯業務(医療法42条各号)

  • 医療関係者の養成または再教育(1号)
  • 医学・歯学に関する研究所の設置(2号)
  • 医師が常時勤務しない診療所の開設(3号)
  • 疾病予防のための有酸素運動施設・温泉利用施設で基準に合うものの設置(4号・5号)
  • その他の保健衛生に関する業務(6号)
  • 社会福祉法の事業のうち厚生労働大臣が定めるもの(7号)
  • 有料老人ホームの設置(8号)

都道府県知事の認定を受けた社会医療法人は、厚生労働大臣が定める収益業務も行えます(42条の2第1項)。

社会医療法人の認定では、役員や社員に占める親族等の割合が3分の1以下であることなどが要件です(同項1号・2号)。

一般社団法人には、このような業務範囲の制限がありません。

厚労省の調査でも、医療法人の附帯業務の範囲外の福祉や研究を行うために一般社団法人を選んだ例が挙げられています。

ただし、医療機関を開設する場合は、上の非営利性の確認で営利を追う事業がないかを見られます。

事業ごとに必要な許認可は、一般社団法人で許認可が必要な事業で整理しています。

剰余金・残余財産・持分の違い

医療法54条は「医療法人は、剰余金の配当をしてはならない」と定めています。

一般社団法人でも、社員に剰余金を分配する定款の定めは無効です(一般法人法11条2項)。

社員総会で剰余金を分配する決議もできません(同法35条3項)。

違いが出るのは、解散したときの残余財産です。

医療法人が残余財産の帰属先を定めるときは、国・地方公共団体・医療法人その他の医療を提供する者から選びます(44条5項)。

医療法施行規則31条の2は、公的医療機関の開設者や持分の定めのない医療法人などを挙げています。

定款で処分されない財産は国庫に帰属します(56条2項)。

一般社団法人は、残余財産の帰属を定款で定めます(一般法人法239条1項)。

ただし医療機関を開設する一般社団法人は、帰属先を国や医療法人等に限るよう求められます(前述の確認のポイント)。

「持分あり」の医療法人と基金拠出型医療法人

かつては、出資額に応じて払戻しや残余財産の分配を受けられる「持分あり」の医療法人がありました。

平成18年法律第84号による医療法改正(平成19年4月1日施行)で、44条5項の帰属先の制限が設けられました。

この規定は、施行日以後に申請された設立認可に適用されます(同法附則10条1項)。

このため、持分ありの医療法人は新しく設立できません。

施行日前からある持分ありの社団医療法人は、経過措置医療法人として存続しています(同法附則10条の2)。

新しく社団医療法人を作るときの資金の受け皿が、基金です。

基金は、医療法人に拠出された財産で、法人が拠出者に返還義務を負うものです(医療法施行規則30条の37第1項)。

基金の返還に係る債権には、利息を付けられません(同条2項)。

一般社団法人にも、ほぼ同じ形の基金制度があります(一般法人法131条)。

項目 一般社団法人 医療法人(社団・持分なし)
剰余金の配当 社員への分配は不可 不可(54条)
残余財産の帰属先 定款で定める(239条) 国・自治体・医療法人等に限る(44条5項)
帰属先が決まらない場合 社員総会の決議→国庫(239条2項・3項) 国庫(56条2項)
出資の持分 なし なし(経過措置医療法人を除く)
基金 定款で定めれば募集できる(131条) 定款で定めれば募集できる(規則30条の37)

基金の詳しい仕組みは、基金と資本金の違いで説明しています。

決算と行政への届出の違い

医療法人は、毎会計年度終了後2か月以内に事業報告書・財産目録・貸借対照表・損益計算書などを作ります(51条1項)。

関係事業者との取引の状況に関する報告書も、この書類に含まれます(同項)。

事業報告書等は監事の監査を受け、理事会の承認を受けます(51条4項・6項)。

貸借対照表と損益計算書は、社員総会の承認も受けます(51条の2第3項)。

そして毎会計年度終了後3か月以内に、監査報告書とともに知事へ届け出ます(52条1項)。

届け出た書類は、請求があれば知事が閲覧に供します(52条2項)。

一般社団法人は、計算書類と事業報告を作る義務はありますが(一般法人法123条2項)、行政庁への提出は原則ありません。

例外が、前述の医療機関を開設する一般社団法人の届出(医療法施行令4条の7)です。

手続 一般社団法人 医療法人
決算書類の作成 事業年度ごと(123条2項) 終了後2か月以内(51条1項)
行政への届出 原則なし。医療機関開設なら3か月以内に知事等へ 3か月以内に知事へ(52条1項)
定款変更 社員総会の特別決議(146条・49条2項4号) 社員総会の決議+原則として知事の認可(54条の9)
行政の監督 法人自体への監督官庁はない 法令違反等で設立認可の取消しもある(66条)

医療法人の定款変更は、厚生労働省令で定める事項を除き、知事の認可がなければ効力を生じません(54条の9第3項)。

一般社団法人の定款変更の流れは、一般社団法人の定款変更の手続きをご覧ください。

解散の違い:4分の3と知事の認可

社団たる医療法人の解散事由は、医療法55条1項に7つ挙げられています。

定款で定めた事由、目的たる業務の成功の不能、社員総会の決議、合併、社員の欠亡、破産手続開始、設立認可の取消しです。

社員総会で解散を決めるには、総社員の4分の3以上の賛成が必要です(55条2項。定款に別段の定めがある場合を除く)。

社員総会の決議と業務の成功の不能による解散は、知事の認可がなければ効力を生じません(55条6項)。

一般社団法人の解散事由は、一般法人法148条に定められています。

社員総会で解散するときは、総社員の半数以上で、総社員の議決権の3分の2以上の賛成が必要です(49条2項6号)。

行政庁の認可はいりません。

一般社団法人の解散手続は、一般社団法人の解散・清算の流れにまとめています。

介護事業を行う場合の違い

介護保険の事業所の指定は、法人格の種類より事業ごとの要件で決まる部分が大きくなります。

たとえば居宅サービスの指定では、申請者が都道府県の条例で定める者であることが要件です(介護保険法70条2項1号)。

一般社団法人も、条例の要件と人員・設備・運営の基準を満たせば指定を受けられます。

一方、介護老人保健施設の開設許可は、開設者が限られています(同法94条3項1号)。

条文に挙がるのは、地方公共団体、医療法人、社会福祉法人その他厚生労働大臣が定める者です。

医療法人は、有料老人ホームの設置や一部の社会福祉事業を附帯業務として行えます(医療法42条7号・8号)。

事業 一般社団法人 医療法人
診療所・病院 知事等の開設許可で可(医療法7条1項) 本来業務(39条1項)
介護老人保健施設・介護医療院 介護老人保健施設は開設者が限られる(介護保険法94条3項1号) 本来業務(39条1項)
居宅サービス(訪問介護など) 条例の要件と基準を満たせば指定を受けられる 附帯業務として定款に定めて行う(42条)
有料老人ホーム 法人格の制限なし(設置前に知事へ届出・老人福祉法29条1項) 附帯業務(42条8号)
医療・介護の啓発や研究 制限なし 附帯業務の範囲内で可(42条1号・2号・6号)

医療を伴わない介護・福祉の活動は、一般社団法人で医療・介護・福祉の支援活動を行う方法で紹介しています。

税金の扱いは法人の種類と事業で変わる

一般社団法人は、非営利型法人の要件を満たすかどうかで法人税の課税範囲が変わります。

医療機関を開設する一般社団法人に求められる残余財産の帰属先には、法人税法施行令3条1項2号の法人も含まれています。

医療法人の税務は、医療法人の種類や認定の有無によって扱いが異なります。

どちらを選ぶかで税負担が変わるため、設立前に試算しておくことが大切です。

一般社団法人の税の基本は、一般社団法人にかかる税金で説明しています。

この記事の位置づけ

本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。

  • 税務の取扱いは、収入の性質や事業の実態によって結論が変わります。具体的な判定や税額の計算については、税理士または所轄の税務署へご確認ください。

どちらを選ぶかの判断基準

選ぶ基準は、医療機関の運営が事業の中心かどうかです。

病院や診療所の経営そのものが目的なら、医療法が想定している医療法人が基本になります。

理事長を医師とし、管理者を理事に入れ、知事の監督を受ける仕組みが条文で組み込まれているためです。

医療機関の運営が中心でない活動なら、一般社団法人が向きます。

学会、患者会、医療従事者の研修、啓発活動などは、医療機関を開設しなくても行えます。

一般社団法人で診療所も開く場合は、非営利性の確認と毎年の届出に対応できるかを確かめてから決めます。

やりたいこと 向いている法人 確認すること
個人開業のクリニックを法人化する 医療法人 知事の認可の受付時期・必要な資産
複数の病院・診療所を経営する 医療法人 管理者を理事に加える体制(46条の5第6項)
学会・研究会・患者会を運営する 一般社団法人 医療機関を開設しないなら開設許可は不要
医療と附帯業務外の福祉・研究を一体で行う 一般社団法人(医療機関の開設は許可制) 非営利性の確認のポイントに合う定款
医師会・歯科医師会などが医療機関を開く 一般社団法人で開設する例がある 開設地の自治体への事前相談

一般社団法人と他の法人との比較は、社会福祉法人との違いや株式会社との違いでも説明しています。

よくある誤解

誤解1:一般社団法人は診療所を開設できない。

医療法は開設者を医療法人に限っておらず、知事等の許可を受ければ開設できます(7条1項)。

誤解2:一般社団法人なら医療機関の運営に行政の目が届かない。

2026年4月から、毎年の計算書類と事業報告の届出が義務になりました(施行令4条の7)。

誤解3:医療法人社団と一般社団法人は同じもの。前者は医療法、後者は一般法人法に基づく別の法人です。

誤解4:医療法人は利益を出してはいけない。禁止されているのは剰余金の配当で、利益を出すこと自体ではありません(54条)。

誤解5:医療法人の理事長は必ず医師。

原則は医師・歯科医師ですが、知事の認可を受ければ医師でない理事も理事長になれます(46条の6第1項ただし書)。

誤解6:持分ありの医療法人も今から作れる。

平成19年4月1日以後に申請された認可には残余財産の制限が適用され、新設はできません。

あわせて読みたい

これは一般社団法人の話です。一般財団法人と医療法人(財団型)の違いはこちらで対比しています。

一般社団法人と医療法人の違いについてよくある質問

Q. 一般社団法人でクリニックを開設できますか?

A. 開設できます。法人が診療所を開設するときは、開設地の都道府県知事(保健所設置市・特別区では市長・区長)の許可を受けます(医療法7条1項)。営利目的と判断されると許可されないことがあるため(同条7項)、事前に担当課へ相談してください。

Q. 医療法人の設立に必要な手続は何ですか?

A. 主たる事務所の所在地の都道府県知事の認可を受け(医療法44条1項)、その後に設立の登記をすると成立します(46条1項)。知事は認可の前に都道府県医療審議会の意見を聴きます(45条2項)。

Q. 医療機関を開設する一般社団法人には、どんな届出義務がありますか?

A. 毎会計年度終了後3か月以内に、計算書類(貸借対照表・損益計算書)、事業報告、一定の附属明細書を知事に届け出ます(医療法施行令4条の7)。公益社団法人は除かれます。実際の届出は2027年4月以降に始まります。

Q. 医療法人は利益を分配できますか?

A. できません。医療法54条が剰余金の配当を禁止しています。解散時の残余財産の帰属先も、国・地方公共団体・医療法人その他の医療を提供する者から選ぶ必要があります(44条5項)。

Q. 医療法人の理事長は医師でなければなりませんか?

A. 原則として医師または歯科医師である理事から選びます。都道府県知事の認可を受ければ、医師・歯科医師でない理事から選ぶこともできます(医療法46条の6第1項)。

Q. 医療法人社団と一般社団法人は何が違いますか?

A. 医療法人社団は医療法に基づく社団たる医療法人で、知事の認可で設立します。一般社団法人は一般法人法に基づき、登記で成立します。医療法人でない者は名称に「医療法人」を使えません(医療法40条)。

Q. 医療法人はどんな業務まで行えますか?

A. 病院・診療所などの運営に加え、本来業務に支障のない範囲で、定款に定めた附帯業務(医療関係者の養成、研究所、保健衛生業務、有料老人ホームなど)を行えます(医療法42条)。

Q. 医療法人を解散するにはどうすればよいですか?

A. 社員総会で解散を決めるには、定款に別段の定めがない限り総社員の4分の3以上の賛成が必要です(医療法55条2項)。社員総会の決議による解散は知事の認可を受けなければ効力を生じません(同条6項)。

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