評議員とは?役割・選ばれ方・理事との違いをわかりやすく解説

一般社団法人法
評議員と理事は、名前は似ていても役割がまったく違います。

法人の役員名簿などで評議員という肩書きを目にすることがあります。

理事や監事と並んで書かれていることが多い役職です。

ところが、評議員が何をする人なのかは、意外と知られていません。

しかも、評議員が置かれる法人と置かれない法人があります。

この記事では、評議員の役割・選ばれ方・理事との違いを、法人の種類ごとに整理して解説します。

POINT 結論:評議員とは、法人の運営を外から見守り、理事の選任・解任や定款変更といった重要事項を決める立場の人です。一般財団法人・社会福祉法人・学校法人などに置かれます。一般社団法人には、評議員という法律上の機関はありません。

評議員とは?どんな役職か

評議員とは、法人の重要事項の決定と運営のチェックを担う役職です。

日々の業務を執行するのは理事です。

評議員は、その理事を選び、必要なら解任する側に立ちます。

いわば、経営する人と、経営を任せる人を分ける仕組みです。

株式会社にたとえると、評議員会は株主総会に近い位置づけです。

ただし、株主と違って、評議員は法人の持ち主ではありません。

出資者としての利益を持たず、法人の目的が正しく実現されるように見守る中立的な立場です。

評議員が集まって開く会議を評議員会といいます。

評議員会は、法律と定款で決められた重要事項だけを決議します。

日常の細かな業務判断には関与しません。

評議員がいる法人・いない法人

評議員は、すべての法人に置かれるわけではありません。

置かれるかどうかは、法人の種類で決まっています。

法人の種類 評議員 位置づけ
一般社団法人 なし 最高機関は社員総会
一般財団法人 必置(3人以上) 評議員会が最高機関
公益財団法人 必置 一般財団法人と同じ機関構成
社会福祉法人 必置(理事の数を超える人数) 評議員会が議決機関
学校法人 必置 2025年の法改正で役割が強化
NPO法人・株式会社 なし 総会・株主総会が最高機関

評議員がいるのは、一般財団法人・公益財団法人・社会福祉法人・学校法人などです。

これらに共通するのは、社員や株主にあたる構成員がいない、財産を軸にした法人だという点です。

構成員による総会が開けないため、代わりに運営をチェックする人として評議員が必要になります。

一般社団法人に評議員はいない

まず大事な前提として、一般社団法人に評議員という法律上の機関はありません

一般社団法人の機関は、社員総会と理事が必ず置かれ、任意で理事会・監事・会計監査人を置く構成です。

重要事項を決める最高機関は社員総会です。

社員という構成員がいるため、評議員に運営を委ねる必要がないのです。

ただし、定款で任意に「評議員」や「評議員会」という名前の役職を作ること自体は可能です。

有識者に助言をもらう諮問機関として置く例が実際にあります。

この場合の評議員は、法律上の権限を持ちません。

理事を解任したり、定款変更を決議したりする力はなく、あくまで相談役に近い存在です。

名刺や案内に書かれた「評議員」がどちらの意味なのかは、その法人の定款を確認しないと分かりません。

一般社団法人の機関の組み合わせについては、機関設計の記事で詳しく解説しています。

一般財団法人の評議員|人数・任期・兼任禁止

評議員の仕組みがいちばん整っているのは、一般財団法人です。

一般財団法人では、評議員・評議員会・理事・理事会・監事のすべてが必置と法律で決められています。

評議員の人数は3人以上です。

上限はありませんが、実務では3人から7人程度が多数派です。

任期は、選任後4年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時評議員会の終結の時までです。

定款で定めれば、6年まで伸ばすことができます。

理事の任期が2年であるのに比べて長いのが特徴です。

腰を据えて運営を見守れるようにするためです。

また、評議員はその法人の理事・監事・使用人を兼ねることができません

チェックする側とされる側を分けるための兼任禁止です。

理事長が評議員を兼ねる、職員が評議員に入る、といった構成は認められません。

評議員会は何を決めるのか

評議員会は、法律に規定された事項と、定款で定めた事項に限って決議できます。

代表的な決議事項は次のとおりです。

第一に、理事・監事・会計監査人の選任と解任です。

経営陣の人事権を握っているのが評議員会です。

第二に、定款の変更です。

法人の根本ルールを変える権限も評議員会にあります。

第三に、計算書類の承認です。

毎事業年度の決算は、定時評議員会の承認を受けます。

第四に、合併や事業の全部譲渡といった組織の重大な変更です。

逆に、日常の業務執行の決定は理事会の仕事であり、評議員会は関与しません。

経営そのものではなく、経営者を選び、結果を確認するのが評議員会の役割です。

評議員の選ばれ方と資格

一般財団法人では、評議員の選任・解任の方法を定款に必ず記載しなければなりません。

記載がなければ定款自体が認められない、必須の記載事項です。

実務でよく使われる方法は二つあります。

一つは、評議員会の決議で次の評議員を選ぶ方法です。

もう一つは、外部の有識者を交えた選定委員会を設けて選ぶ方法です。

公益認定を目指す場合は、中立性の高い選び方が望ましいとされています。

評議員になれない人も法律で決められています。

法人そのものや、一定の刑に処せられて間もない人などは評議員になれません。

未成年者が就任できるかなど個別の扱いは、定款と登記実務の確認が必要です。

設立時の最初の評議員は、定款で直接定めるか、定款の定めに従って設立者などが選任します。

社会福祉法人の評議員

社会福祉法人にも評議員会が必ず置かれます。

2017年4月施行の制度改革で、評議員会は諮問機関から法人の重要事項を決める議決機関に変わりました。

評議員の人数は、理事の員数を超える数と決められています。

理事は6人以上必要なので、評議員は7人以上になります。

任期は選任後4年以内の定時評議員会の終結の時までで、定款により6年まで伸長できます。

評議員は、その法人の役員や職員を兼ねることができません。

さらに、各評議員や各役員と親族などの特殊関係にある人が評議員に含まれてはならない、という制限もあります。

同族的な運営を防ぐための、社会福祉法人ならではの厳しいルールです。

理事の選任・解任、定款変更、報酬基準の承認などが評議員会の決議事項です。

学校法人の評議員|2025年改正で大きく変わった

私立学校を運営する学校法人にも評議員会があります。

長らく、学校法人の評議員会は理事長の諮問機関という位置づけが基本でした。

しかし、2025年4月施行の改正私立学校法で仕組みが大きく変わりました。

理事と評議員の兼職が禁止され、評議員会のチェック機能が強化されています。

理事を選ぶ仕組みも見直され、評議員会が関与する度合いが高まりました。

ガバナンス改革の流れを受けた、近年でも特に大きな制度変更です。

学校法人の評議員に就任する場合や、規程を整備する場合は、改正後の条文と文部科学省の最新情報を必ず確認してください。

評議員と理事・監事の違い

項目 評議員 理事 監事
役割 重要事項の決定・理事の選解任 業務の執行 業務・会計の監査
選ぶ人 定款の定めによる 評議員会(財団の場合) 評議員会(財団の場合)
任期の目安 4年(最長6年) 2年 4年
兼任 理事・監事・使用人と兼任不可 監事・評議員と兼任不可 理事・評議員・使用人と兼任不可

ポイントは、決める人・実行する人・監査する人の三者を分けている点です。

評議員は決める側、理事は実行する側、監事は両方をチェックする側です。

役割の分離があるからこそ、特定の人物の独走を防げます。

理事や監事の仕事の中身は、それぞれの解説記事をご覧ください。

評議員の報酬

評議員に報酬を払うかどうかは、法人の判断です。

ただし一般財団法人では、評議員の報酬等は定款で定めなければならないとされています。

理事の報酬が定款または評議員会決議で決められるのと違い、評議員の報酬は定款に書くのが原則です。

お手盛りを防ぐため、決め方が厳格になっています。

実務では、無報酬とするか、会議1回あたり数千円から数万円程度の謝礼とする例が多く見られます。

社会福祉法人では、報酬の支給基準を定めて公表する仕組みがあります。

公益財団法人では、報酬が不当に高額でないことが公益認定の基準にも関わります。

金額そのものより、決め方と透明性が重視される役職だといえます。

評議員の責任

評議員は名誉職と思われがちですが、法律上の責任を負う立場です。

評議員と法人の関係は委任の関係であり、善良な管理者としての注意義務を負います。

任務を怠って法人に損害を与えれば、損害賠償責任を問われることがあります。

評議員会に出席せず放置していた、明らかに問題のある理事の選任に漫然と賛成した、といった場合が典型です。

引き受ける際は、その法人の定款・財務状況・理事会の運営状況を確認しておくべきです。

会議への出席と議事録の確認は、自分を守る意味でも欠かせません。

形だけの就任依頼を安易に受けるのは避けましょう。

公益認定と評議員

公益財団法人を目指す場合、評議員の構成は審査で必ず見られるポイントです。

公益認定の基準では、同一の親族や特定の団体の関係者が理事・監事に偏らないことが求められます。

評議員についても、理事による選任や親族中心の構成では、中立性に疑問を持たれやすくなります。

外部の有識者を交えた評議員選定委員会を設ける方式は、この中立性を示すための実務上の工夫です。

設立の段階から公益化を視野に入れるなら、評議員の人選と選任方法を最初に丁寧に設計しておくべきです。

後から構成を入れ替えるのは、現任者との関係もあり簡単ではありません。

公益社団法人・公益財団法人への移行の全体像は、公益移行の記事で解説しています。

よくある質問

Q. 一般社団法人に評議員は置けますか?

A. 法律上の機関としては置けません。一般社団法人の最高機関は社員総会です。ただし定款で任意に評議員会という諮問機関を設けることはでき、その場合は法律上の権限を持たない助言役という位置づけになります。

Q. 評議員と理事はどちらが上ですか?

A. 上下というより役割の違いですが、一般財団法人では評議員会が理事を選任・解任するため、人事権の面では評議員会が理事の上位に立ちます。日常の業務執行は理事の権限で、評議員は介入しません。

Q. 評議員は何人必要ですか?

A. 一般財団法人では3人以上です。社会福祉法人では理事の員数を超える数とされ、理事が6人以上必要なため評議員は7人以上になります。上限はいずれもありません。

Q. 評議員に給料は払えますか?

A. 払えます。ただし一般財団法人では評議員の報酬等は定款で定める必要があります。実務では無報酬か会議ごとの謝礼程度が多く、高額の報酬は公益認定や税務の面からも慎重に判断すべきです。

Q. 評議員は職員と兼任できますか?

A. できません。一般財団法人では評議員はその法人の理事・監事・使用人を兼ねられず、社会福祉法人でも役員・職員との兼職が禁止されています。チェック機能を保つための決まりです。

Q. 評議員を辞めたいときはどうすればいいですか?

A. 委任の関係なので、いつでも辞任の意思表示ができます。後任の選任が必要な場合は、定款の定めに従って評議員会や選定委員会で選びます。人数が法律の下限を割る場合は、後任者が就任するまで職務を続ける義務が残ることがあります。


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