NPO法人が10年続くと、設立時とは状況が変わっています。
定款も、担い手も、事業も、当時のままではありません。
それでも、書類だけが古いままの団体は多くあります。
この記事では、節目で見直すべき項目を整理します。
なぜ節目で見直すか
日々の運営では、全体を見る機会がありません。
目の前の事業に、追われるためです。
節目は、立ち止まる口実になります。
10年でなくても、5年でもかまいません。
代表者が交代する時期も、好機です。
見直しを、理事会の議題にしましょう。
一度に全部やる必要は、ありません。
一年かけて、順に見ていく形で足ります。
大切なのは、始めることです。
定款を読み直す
まず、定款を通して読みます。
設立から一度も読んでいない役員も、いるはずです。
第一に、目的が実態と合っているかを見ます。
第二に、事業の記載に、いまの活動が収まるかを見ます。
第三に、役員の定数が現実的かを見ます。
第四に、会議の回数が守れているかを見ます。
第五に、会費の額を書いていないかを見ます。
第六に、書面表決の定めがあるかを見ます。
ずれている部分を、一覧にしましょう。
直すかどうかは、そのあとで判断します。
| 点検するもの | 見るところ | 直す手続き |
|---|---|---|
| 定款 | 目的・事業・役員・会議 | 総会の議決(認証または届出) |
| 規程 | 実態と合っているか | 理事会の議決 |
| 役員 | 定数・親族・任期・登記 | 選任と登記・届出 |
| 事業 | 続ける意味があるか | 定款と計画の見直し |
| 財源 | 割合と依存度 | 計画の見直し |
| 記録 | 保管と引き継ぎの状態 | 整理と一覧の作成 |
規程を点検する
規程も、実態とずれていきます。
第一に、使われているかを確認します。
誰も見ていない規程は、廃止してかまいません。
第二に、金額が古くないかを見ます。
謝金や、交通費の基準です。
第三に、決裁の基準が実務に合うかを見ます。
低すぎると、実務が止まります。
第四に、足りない規程がないかを考えます。
個人情報や、リスク管理の規程です。
数を増やすより、使えるものを残しましょう。
- 定款の目的と事業が実態と合っているか
- 役員の定数と、実際の人数
- 任期と登記が最新か
- 資産の総額の変更登記に漏れがないか
- 規程が使われているか
- 会費の額が古くないか
- 財源の割合と依存度
- 書類の保管と、探せる状態か
- 設立の経緯が記録に残っているか
- 次の担い手が育っているか
- ウェブサイトの情報が古くないか
登記の漏れを確かめる
10年もあると、登記の漏れが出やすくなります。
第一に、役員の任期と登記を照合します。
重任の登記が、抜けていないかです。
第二に、資産の総額の変更登記を確認します。
毎年必要な登記なので、漏れやすい部分です。
第三に、事務所の表示が現状と合うかを見ます。
登記事項証明書を取って、突き合わせましょう。
漏れがあれば、まとめて申請します。
過料が科される可能性も、あります。
登記申請の手続きは、司法書士の業務範囲です。
事業を見直す
事業も、そのままとは限りません。
第一に、続ける意味があるかを問い直します。
始めたときの課題が、解決している場合もあります。
第二に、参加者が減っていないかを見ます。
第三に、担う人の負担を確認します。
第四に、費用と効果を比べます。
第五に、他団体がやるようになっていないかを見ます。
やめる判断も、必要です。
続けることが目的に、なっていないか確かめましょう。
空いた力を、新しいことに使えます。
財源の構成を見る
財源の割合を、確かめましょう。
会費、寄付、助成金、委託、事業収入の内訳です。
一つに大きく依存していないかを見ます。
委託が大半なら、契約が切れたときに危うくなります。
助成金が中心なら、単年度の不安があります。
会費と寄付は、使途が自由な土台です。
この割合が低い団体は、身動きが取りにくくなります。
10年分を並べると、傾向が見えます。
数字で確かめてから、次の方針を立てましょう。
担い手の世代を見る
設立した世代だけで、次の10年は続きません。
役員の年齢層を、確かめましょう。
全員が同じ世代なら、いずれ一斉に抜けます。
第一に、若い世代を役員に迎えます。
第二に、意思決定の場に加わってもらいます。
第三に、やり方を任せる部分を作ります。
第四に、設立の経緯を記録に残して伝えます。
第五に、後任の候補を平時から探します。
10年目は、この作業を始める最後の機会かもしれません。
先送りすると、選択肢が減ります。
記録を整理する
10年分の書類は、相当な量になります。
第一に、保存の期間が過ぎたものを処分します。
第二に、年度ごとにまとめ直します。
第三に、一覧表を作ります。
第四に、電子のファイルも整理します。
第五に、設立時の書類を確認します。
定款、認証書、議事録がそろっているかです。
失われていると、あとから復元できません。
写しを、別の場所にも置いておきましょう。
記録は、団体の歴史そのものです。
周年を機会にする
10年という節目は、外に伝える機会でもあります。
第一に、記念の報告書を作ります。
10年分の実績を、まとめます。
第二に、関わった人に感謝を伝えます。
第三に、催しを開く方法もあります。
第四に、次の10年の方針を示します。
支援者を、あらためて集める機会にもなります。
報道機関に、取り上げてもらえる可能性もあります。
節目は、使える資源です。
準備には、半年程度をみておきましょう。
やめるという選択も
見直しの結果、続けない判断もあり得ます。
課題が解決された場合です。
担い手がいなくなった場合も、あります。
その場合、放置ではなく解散の手続きを取ります。
社員が集まるうちに、決めるほうが楽です。
事業を他団体に引き継ぐ方法も、あります。
利用者がいるなら、その配慮も要ります。
終わらせることも、責任の一つです。
10年続けたことは、それだけで価値があります。
無理に続けて、崩れる形は避けましょう。
会員名簿を洗い直す
10年たつと、名簿も実態と合わなくなります。
第一に、連絡が取れない人を確認します。
第二に、会費の未納が続く人を整理します。
第三に、住所の変更を反映します。
第四に、社員の数を正確に数えます。
10人を下回っていないかを、確かめてください。
第五に、賛助会員との区分を確認します。
名簿が正確でないと、総会の招集で不備が生じます。
定款の自動退会の定めを、確認しましょう。
整理は、一度やれば以後は楽になります。
外から見た姿を確かめる
内側からは、気づかないことがあります。
ウェブサイトを、久しぶりに見てみましょう。
第一に、情報が古くないかを見ます。
数年前の催しが、最新のままの団体もあります。
第二に、連絡先が現状と合うかを見ます。
第三に、代表者名が最新かを見ます。
第四に、活動の内容が伝わるかを見ます。
第五に、入口が見えるかを確かめます。
会員、寄付、ボランティアへの導線です。
外の人に、見てもらう方法もあります。
見直しの進め方
一度に全部やろうとすると、進みません。
一年かけて、順に見る形にしましょう。
第一に、理事会で見直しを決議します。
第二に、担当を決めます。
第三に、点検の項目を一覧にします。
第四に、毎回の理事会で一つずつ扱います。
第五に、必要なものを総会の議案にまとめます。
定款変更があるなら、通常総会に合わせます。
認証が必要なら、そこから数か月かかります。
逆算して、日程を組んでください。
設立の思いを確かめる
書類の点検だけが、見直しではありません。
なぜこの活動を始めたかを、確かめましょう。
設立趣旨書を、読み返します。
当時の課題は、いま解決しているでしょうか。
形を変えて、残っているかもしれません。
新しい課題が、生まれている場合もあります。
関わる人が、その思いを共有できているかも重要です。
知らない世代が、増えているはずです。
一度、全員で話す機会を作りましょう。
書類より、こちらのほうが大切かもしれません。
10年続いたこと自体
10年続く団体は、実は多くありません。
設立しても、数年で動かなくなる例が多いためです。
続いてきたこと自体が、成果です。
関わった人に、それを伝えましょう。
数字でも、示せます。
延べの参加者数、実施した回数などです。
10年分を合計すると、驚く数になります。
自分たちでも、忘れていることがあります。
記録を掘り起こして、まとめてみてください。
次の10年を進む力に、なります。
外部の目を入れる
内側だけで見ると、当たり前が見えません。
外の人に、見てもらう方法があります。
第一に、中間支援組織に相談します。
他団体を数多く見ているため、比較ができます。
第二に、他団体の役員に意見をもらいます。
第三に、新しく入った会員に聞きます。
慣れていない人ほど、疑問に気づきます。
第四に、利用者の声を集めます。
指摘されると、痛いこともあります。
それでも、内側だけで回すより健全です。
10年目の見直しのまとめ
10年たつと、定款と実態はほぼ必ずずれています。
定款、規程、役員、事業、財源、記録の6つを点検しましょう。
定款は通して読み、ずれている部分を一覧にします。
登記の漏れは、登記事項証明書を取って突き合わせます。
財源の割合を数字で確かめ、依存度を見てください。
役員の年齢層が偏っていないかも、確認しましょう。
10年分の記録を整理し、探せる状態にします。
見直しは、次の10年を担う人への引き継ぎでもあります。
会員名簿も洗い直し、社員が10人を下回っていないか確かめます。
ウェブサイトを久しぶりに見て、外から見た姿も確認しましょう。
一度に全部やらず、一年かけて理事会で一つずつ扱う形で足ります。
設立趣旨書を読み返し、当時の思いを全員で確かめてください。
10年続いたこと自体が成果であり、数字で示せます。
よくある質問
A. 定款を通して読むことです。目的と事業が実態と合っているか、役員の定数が現実的か、会議の回数が守れているかを見ます。ずれている部分を一覧にしてください。
A. 登記事項証明書を取り、役員の任期と資産の総額の変更登記を突き合わせます。毎年必要な登記があるため、10年もあると漏れやすい部分です。
A. やめる判断も必要です。始めたときの課題が解決している、参加者が減っている、他団体がやるようになった場合などです。続けること自体が目的になっていないか確かめてください。
A. 会費・寄付・助成金・委託・事業収入の割合です。一つに大きく依存していると、それが切れたときに危うくなります。10年分を並べると傾向が見えます。
A. 役員の年齢層です。全員が同じ世代なら、いずれ一斉に抜けます。若い世代を意思決定の場に迎え、設立の経緯を記録に残して伝えてください。
A. あります。課題が解決された、担い手がいなくなった場合などです。放置ではなく解散の手続きを取り、社員が集まるうちに決めるほうが楽です。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
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