NPO法人が活動を止めても、法人は自動的には消えません。
報告の義務も、登記の義務も残ります。
放置すると、認証の取消しや過料の対象になります。
この記事では、休眠状態の扱いと再開の手順を解説します。
休眠という状態はない
法律に、休眠という制度はありません。
活動していなくても、法人は存在し続けます。
したがって、義務も残ります。
毎年の事業報告書等の提出が、その代表です。
活動が何もなくても、提出は必要です。
事業を行わなかった旨を書いて、出します。
登記の義務も、同じです。
役員の任期が来れば、改選と登記が要ります。
資産の総額の変更登記も、毎年必要です。
放置するとどうなるか
報告書を出さない状態が続くと、段階的に問題が大きくなります。
まず、所轄庁から提出を促されます。
それでも出さなければ、改善命令の対象になります。
3年以上にわたって提出しない場合、認証を取り消されることがあります。
登記についても、放置すれば過料の対象です。
過料は、代表者個人に科されます。
何年分もまとめて指摘されることが、あります。
活動していないのに、負担だけが残る形です。
早めに、方針を決めましょう。
| 状態 | 生じること | 対応 |
|---|---|---|
| 1年提出しない | 所轄庁から督促 | まとめて提出する |
| 数年提出しない | 改善命令の対象 | 経緯を説明して提出 |
| 3年以上提出しない | 認証の取消しがあり得る | 所轄庁へ相談 |
| 登記を放置 | 代表者個人に過料 | まとめて登記する |
| 続けないと決めた | — | 解散の手続きを取る |
活動していなくても報告は出す
報告書は、活動の有無にかかわらず提出します。
事業報告書には、実施しなかった旨を書きます。
活動計算書も、収支がゼロなら、その旨を記載します。
貸借対照表と財産目録も、必要です。
年間役員名簿と、社員のうち10人以上の名簿も出します。
出し続けていれば、認証の取消しには至りません。
書類の作成自体は、活動がなければ簡単です。
毎年の提出を、最低限の維持と考えましょう。
所轄庁の様式に従って、作成します。
まとめて出せるか
何年分も溜まっている場合、まとめて提出できます。
所轄庁に相談すれば、対応の方法を教えてもらえます。
年度ごとに、書類を作ることになります。
通帳の記録から、収支を起こします。
会費の入金や、口座の維持費などです。
総会も、開いていない年があるはずです。
その場合の扱いも、あわせて相談します。
正直に経緯を説明することが、いちばん早い道です。
隠したり、書類を作り繕ったりしてはいけません。
- 定款と登記の現状を確認する
- 未提出の事業報告書等を洗い出す
- 通帳から各年度の収支を起こす
- 社員名簿の現状を確認する
- 役員の任期と登記の状況を確認する
- 所轄庁へ相談し、提出の方法を決める
- 総会を開いて決算を承認する
- 登記の遅れをまとめて解消する
- 通帳と印鑑の所在を確認する
- 維持するか解散するかを関係者と決める
社員が減っていることが多い
休眠状態の団体は、社員も減っています。
連絡が取れない人が、大半という場合もあります。
会費の未納も、積み上がっています。
まず、名簿を作り直しましょう。
連絡が取れる人を、確認します。
定款に自動退会の定めがあれば、それで整理します。
結果として、10人を下回ることもあります。
その場合、新しい社員を迎える必要があります。
再開するなら、まずここから始まります。
役員の任期が切れている
役員の任期も、切れていることがほとんどです。
任期は、2年以内だからです。
数年放置していれば、全員が任期満了です。
登記も、古いままになっています。
定款に、後任が就任するまで職務を行う旨の定めがあるかを確認します。
あれば、前任者が総会を招集できます。
なければ、対応をよく検討する必要があります。
所轄庁と法務局に、相談してください。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
再開の総会を開く
書類がそろったら、総会を開きます。
未提出の年度の決算を、まとめて承認します。
役員の選任も、あわせて行います。
今後の事業計画と活動予算も、決めましょう。
議事録には、経過を丁寧に書きます。
空白の期間があったことも、記録に残します。
隠さずに書くほうが、あとで説明しやすくなります。
所轄庁への提出書類にも、使います。
再開の意思を、はっきり示す場になります。
続けないと決めたら
再開しないという判断も、あります。
その場合、放置ではなく解散の手続きを取ります。
解散は、総会の議決によります。
定款で定めた特別の多数が、必要です。
社員が集まらなければ、議決できません。
そのため、早いうちに決めるほうが楽です。
解散のあとは、清算の手続きが続きます。
債務の弁済と、残余財産の処分を行います。
残余財産の帰属先は、定款で決まっています。
清算結了の登記まで行って、はじめて終わります。
解散のほうが手間は軽い
休眠のまま維持することと、解散することを比べてみます。
維持するなら、毎年の報告と登記が続きます。
10年続ければ、10年分の事務です。
解散なら、手続きは一度で終わります。
清算の事務はありますが、期限があります。
活動を再開する見込みがないなら、解散が合理的です。
団体の名前を残したいという気持ちは、分かります。
しかし、負担だけが残る状態は健全ではありません。
関係者と話し合って、決めてください。
認証を取り消されたら
認証が取り消されると、法人は解散します。
その後、清算の手続きに入ります。
自分たちで解散を決めた場合と、結果は似ています。
ただし、経緯として記録に残ります。
関係者の信用にも、影響します。
取消しに至る前に、所轄庁と話し合いましょう。
事情を説明すれば、猶予が得られることもあります。
連絡を絶つことが、いちばんよくない対応です。
届いた通知は、必ず確認してください。
連絡が取れる人を先に確保する
立て直しでいちばん困るのが、人の不在です。
書類を作るにも、総会を開くにも、人が要ります。
まず、連絡が取れる関係者を確認しましょう。
前の役員、活動していた会員、事務を担っていた人です。
一人でも当時を知る人がいれば、経過をたどれます。
通帳や書類の保管場所も、その人から分かります。
誰も見つからない場合は、非常に難しくなります。
所轄庁に、状況を説明して相談してください。
書類が散逸していても、方法はあります。
早いほど、選択肢が残ります。
通帳と印鑑の所在
実務で止まるのが、通帳と印鑑です。
前の代表者が持ったまま、連絡が取れない例があります。
口座があっても、動かせません。
金融機関に、状況を相談しましょう。
代表者の変更登記を済ませてから、手続きに入ります。
法務局に届け出た印鑑が分からない場合もあります。
印鑑の改印の手続きが、必要になります。
手順が複雑になるため、専門家への相談も検討してください。
登記申請の手続きそのものは、司法書士の業務範囲です。
放置する期間が長いほど、この作業は重くなります。
活動を細く続ける方法
完全に止めるのではなく、細く続ける選択もあります。
年に一度の総会と、報告の提出だけは行う形です。
事業は小さくても、継続していることになります。
会員が数人でも、10人以上いれば維持できます。
会費を下げて、負担を軽くする方法もあります。
事務を担う人を、一人決めておきましょう。
毎年の予定表があれば、その人が回せます。
将来また活動が広がる可能性があるなら、この形が有効です。
完全に止めてしまうと、再開は難しくなります。
維持するか終わらせるかを、意識して選んでください。
関係者への説明
休眠や解散は、関係者にも影響します。
会員には、状況を説明しましょう。
会費を集めていたなら、なおさらです。
寄付をしてくれた人にも、報告が要ります。
助成金を受けた事業があれば、その扱いも確認します。
説明しないまま消えるのは、避けたいところです。
団体を信じた人が、いるはずだからです。
解散するなら、最後の総会で経過を報告します。
記録を残して、区切りをつけましょう。
誠実な終わり方が、関わった人を守ります。
債務が残っている場合
解散を考えるとき、債務の有無は重要です。
未払いの費用や、借入が残っていることがあります。
清算の手続きでは、まず債務を弁済します。
財産が足りなければ、清算は簡単に終わりません。
債権者への公告や、催告の手続きも必要です。
未払いの家賃や、職員の給与が残る例もあります。
早い段階で、全体像を把握しておきましょう。
債務が膨らむ前に決めるほうが、対応しやすくなります。
判断が難しい場合は、専門家に相談してください。
放置しても、債務は消えません。
休眠と再開のまとめ
法律に、休眠という制度はありません。
活動していなくても、報告と登記の義務は残ります。
3年以上報告書を提出しないと、認証を取り消されることがあります。
登記の放置は、代表者個人への過料につながります。
溜まっている場合は、所轄庁に相談してまとめて提出できます。
立て直すなら、名簿の作り直しと役員の選任から始めます。
続けないと決めたなら、放置ではなく解散の手続きを取りましょう。
解散のほうが、長い目では手間が軽く済みます。
立て直すなら、まず連絡が取れる関係者を確保してください。
通帳と印鑑の所在が分からないと、実務がそこで止まります。
完全に止めず、報告だけ続けて細く維持する選択もあります。
会員や寄付をしてくれた人には、状況を説明しましょう。
誠実な終わり方が、関わった人を守ります。
債務が残っている場合は、清算が簡単には終わりません。
放置しても債務は消えないため、早い段階で全体像を把握してください。
よくある質問
A. 要ります。事業を行わなかった旨を書いて提出します。活動がなければ書類の作成自体は簡単です。毎年の提出を、最低限の維持と考えてください。
A. 3年以上にわたって事業報告書等を提出しない場合、認証を取り消されることがあります。その前に督促や改善命令があります。
A. 所轄庁に相談すれば、まとめて提出する方法を教えてもらえます。通帳から各年度の収支を起こしてください。正直に経緯を説明するのがいちばん早い道です。
A. 定款に、後任が就任するまで職務を行う旨の定めがあるかを確認します。あれば前任者が総会を招集できます。なければ所轄庁と法務局に相談してください。
A. まとめて登記します。過料は代表者個人に科され、何年分も一度に指摘されることがあります。登記申請の手続きそのものは司法書士の業務範囲です。
A. よくありません。解散の手続きを取ってください。維持すれば毎年の事務が続きますが、解散なら一度で終わります。社員が集まるうちに決めるほうが楽です。
本記事は、制度を一般的に説明したものです。個別の事案についての判断や手続きの代行を行うものではありません。
- 設立登記など登記申請の手続きは司法書士が取り扱う業務です。ご自身で法務局へ申請することもできます。
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